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加賀 出会い編 シークレット2

『教官のベッドで迎える朝』

【加賀マンション 寝室】

竹田の尾行に失敗し、加賀教官の部屋に泊めてもらった翌朝。

加賀
おい‥起きろ

サトコ
「ん‥」

加賀
いつまで寝てる

サトコ
「まだ‥眠い‥」

寝惚けながらそう答えると、鼻をギュッとつままれた。

サトコ
「!?」

加賀
‥‥‥

(加賀教官!?な、なんで‥)

慌てて辺りを確認し、自分が寝ているふかふかの高級ベッドを見て思い出す。

(そうだ、昨日は教官の家に泊めてもらって‥ベッドが気持ち良すぎて、寝すぎた!)

サトコ
「お、オハヨウゴザイマス‥」

加賀
奴隷の分際で、俺より寝てんじゃねぇ

サトコ
「すみません‥」
「って‥教官、なんで裸っ‥!?」

加賀
シャツ着てねぇくらいで喚くな

サトコ
「だって‥!」

目のやり場に困りながら、慌てて顔を伏せる。

(昨日はご当地桜見大福をくれたり、ベッドを貸してくれたり‥優しかったのに)
(一夜明けたら、またいつもの鬼教官に戻っちゃったな)

加賀
俺はシャワーを浴びる。お前はメシでも作っとけ

サトコ
「は、はい‥わかりました」

教官を見送ると急いで着替えて顔を洗い、キッチンへ向かった。

【キッチン】

サトコ
「えーと‥確か野菜はまったくないんだよね。あるのは、卵と‥」

冷蔵庫の中身を確認していると、その横のカゴに食パンの袋が入っているのが見えた。

(パンがあれば、フレンチトーストを作れそうだったけど)
(スクランブルエッグにしようかな。それなら教官も食べれるよね)

完成したあとは、コーヒーをドリップしながら教官を待つ。

(それにしても、なんか変な感じ‥こうして教官の家で朝を迎えるなんて)
(一緒に学校へ行くわけにいかないよね。時間ずらさないと‥)

サトコ
「教官と生徒が同じ部屋から出て来るなんて、誰かに見られたら大変だし」
「でもそれなら、私の方が早く出なきゃ」

(教官の家でシャワーを借りるわけにはいかないから)
(ごはん食べたらすぐ出て、学校でちょっと時間を潰して‥)

その時、手元に置いてあった携帯が鳴った。表示された名前は、鳴子。

(出ない方がいいかな‥教官の部屋にいるなんて知られたら大変だもんね)
(でも、鳴り止まない‥もしかして心配でかけてきてくれたのかも)

悩んだ末、通話ボタンを押した。

サトコ
「も、もしもし、鳴子?」

鳴子
『おはよー。今日って講義の時間が入れ替わって、朝は成田教官で間違いないよね?』

サトコ
「え?うん、そうだね」

鳴子
『私、あの教官苦手なんだよね~。なんかネチネチしててしつこいでしょ?』

どうやら鳴子は心配でかけてきたわけではなく、朝の講義内容の確認をしたかったようだった。

(ここにいることがバレないように、早く切らないと‥)

サトコ
「えっと、ごめん鳴子、私いまちょっと朝ごはん‥」

加賀
できたか

サトコ

「ひゃっ」

突然後ろから声をかけられて、ピクリと肩が震えた。

(っていうか教官‥バスタオル1枚!?)

鳴子
『え?何?』

サトコ
「な、なんでもないよ!今テレビで、怖い映像が‥!」

加賀
‥‥‥

慌てて目を逸らす私をじっと見つめ、教官が口の端を持ち上げる。
そして、私の耳たぶをぷにぷにといじり始めた。

サトコ
「っ‥‥」

鳴子
『それでねー。びっくりしちゃった!その時に颯馬教官が‥』

加賀
俺を放って他の奴と電話か?

電話している方と逆の耳に、教官が低くささやいてくる。
シャワーを浴びて少し濡れた髪が頬に触れ、再び体が震えそうになった。

鳴子
『あれ?今何か言った?』

サトコ
「な、何もっ‥」

(教官、相手が鳴子だってわかっててやってる‥!)
(バレたら教官だって大変なのに、この楽しそうな顔‥!)

なんとか鳴子との電話を切ると、涙目になりながら教官を振り返った。

サトコ
「あ、危うく気づかれるところでしたよ!」

加賀
そん時はそん時だ

サトコ
「バレたら大変じゃないですか‥!」

加賀
何がだ?

サトコ
「え?」

加賀
昨日の夜のことか

色気をにじませた表情で、教官が私の顎をつかむ。

サトコ
「よ、夜は何もっ‥教官、先に寝ちゃったじゃないですか!」

加賀
なるほどな‥夜中のことは忘れてるってわけか

サトコ
「夜中のこと‥?」

(なんの話‥!?まさか私、寝惚けて教官と‥!?)

加賀
今から思い出させてやってもいい
ここで続きをやってな

(‥!まさか、本当に私‥!?)

加賀
‥‥‥
‥‥はぁ
クズが

サトコ
「え?」

加賀
もっとマシな反応しろって何度言やわかる
ったく

あしらうように言って、教官がキッチンを出て行った。

加賀
メシ、さっさと持って来い

(もしかして今のも、恋人のフリの訓練だったのかな)
(じゃあ、夜中の‥っていうのは嘘なんだよね。はぁ‥なんか朝からどっと疲れた‥)

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【リビング】

トーストしたパンとスクランブルエッグを持っていくと、教官がイスに座るなり食べ始める。

サトコ
「あ、コーヒー持ってきますね」

加賀
ああ

でもコーヒーを淹れて戻ってくると、すでに教官のお皿は空だった。

(は、早い!)

サトコ
「あの‥今日って、どうしたらいいでしょう」

加賀
何がだ

サトコ
「一緒に学校にいくわけには」

加賀
当たり前だ

立ち上がると手早く警察服に着替え、教官は玄関の方へ歩いて行った。

加賀
もう行く。お前は適当に出て行け

サトコ
「鍵は‥」

加賀
あとで返せ

テーブルに鍵を放り投げると、部屋を出て行きながら私に声をかける。

加賀
シャワーも好きに使っていい

サトコ
「え?は、はい。ありがとうございます」

(行っちゃった‥相変わらずマイペースっていうか、勝手な人だよね‥)
(でも、それにもだいぶ慣れつつある自分がいるかも)

私も食事を終え、教官の分も一緒に洗って伏せておく。
リビングに戻ってくると、ふと、ソファの前のテーブルに救急箱がおいてあることに気づいた。

サトコ
「‥‥‥」

(包帯を換えて行け、ってことなのかな)

サトコ
「‥ふふ」

(教官の優しさって、ちょっとわかりにくいよね)

ありがたく包帯を換えさせてもらいながら、少しだけ、胸が温かくなるのを感じた。

End

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