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ホワイトデー 後藤2話

(まさか、大口開けているところを写メ撮られるなんて‥)


「お前、公安を目指してんだろ?だったら隙を作るなよ」

サトコ
「だって、まさか撮られるなんて思ってなかったですし‥」


「だったら、今度からは気を付けることだな」

一柳教官は落胆する私を見つめ、フォークを置いた。


「それにしても‥アイツの下で働くなんてお前も大変そうだな」
「アイツは昔からツンケンしてたからな」

サトコ
「そうなんですか‥?でも、後藤教官はとてもよくしてくれますよ」


「へぇ、珍しいこともあるもんだな」
「まぁ、お前はどんなにひどい扱いをされても、食いついていくらしいしな」
「ドMかと思うくらい根性があるやつだって聞いてるぜ」

サトコ
「ど、ドMって‥!」


「いいんじゃねーの?それだけ評価されてるってことだろ」

(それって、褒められてるのかな?)


「‥アイツも丸くなったよな。昔はもっと‥」

それから一柳教官は、後藤さんの昔話を聞かせてくれる。

(ふふっ、なんだかんだ言って2人って仲良いよね)
(一柳教官のおかげで、後藤さんの昔のこと知れてよかった‥)


「‥とまあ、そんなわけで、お前もいろいろと大変だな」

サトコ
「私は公安刑事を目指していますから!どんなことがあっても、へこたれませんよ!」


「フッ、そうか‥」

胸を張る私に、一柳教官がニヤリと笑みを浮かべたかと思うと‥

サトコ
「!?」

一柳教官は。私の頭をポンポンと撫でた。

サトコ
「い、一柳教官!?」


「まぁ、頑張れよ」

サトコ
「は、はぁ‥」

ポカンとしていると、急に腕を引かれた。

サトコ
「わわっ‥!」

(な、何‥!?)

振り返ると、そこには後藤さんの姿があった。

サトコ
「ご、後藤さ‥教官!?どうして、ここに‥」

後藤
‥行くぞ

サトコ
「あっ‥」

後藤さんに強く腕を引かれ、お店を出る。

お店を出てしばらくすると、後藤さんはようやく私の腕を離した。

サトコ
「あの‥後藤さん?お仕事は終わったんですか?」

後藤
ああ‥メールを送ったんだが、観ていなかったみたいだな

サトコ
「えっ‥」

(もしかして‥!さっきのメール、後藤さんからだったんだ‥)

サトコ
「すみません‥」

後藤
任務を終えてお前の元に向かおうとしたら
アイツからメールが届いて‥

そう言って、後藤さんは私に携帯を見せる。
そこには、お店のアドレスと‥

サトコ
「そ、その写真は‥!」

(あの時、一柳教官に撮られたやつだ!)

サトコ
「あ、あのですね!その写真は‥」

後藤
幸せそうな顔して食べてるな。よほど美味かったんだろう

サトコ
「はい!それはもう、一度口にしたら忘れられない味で‥って、違います!」

(あんな写真を後藤さんに見られるなんて‥)
(そっか‥!あの時、一柳教官は後藤さんに送ってたんだ!)

後藤
‥なぁ、サトコ

サトコ
「はい?」

後藤
‥一柳とデート、か?

<選択してください>

A: デートなんかじゃ‥!

サトコ
「ち、違います!デートなんかじゃありません!」

後藤
そうなのか?アイツからメールが送られてくるのは珍しいからな
しかも、アンタは大口開けてパンケーキを食べているし‥

サトコ
「そ、それは忘れてください!」
「と、とにかく、一柳教官とはたまたま会っただけです」

後藤
そうか‥

B: デートです‥

サトコ
「その‥実は、デートです‥」

後藤
‥‥‥

私の言葉を聞き、後藤さんの眉間に深いシワが刻み込まれる。

サトコ
「な、なんて、冗談です!」

後藤
笑えない冗談だな

サトコ
「すみません‥」
「だけど、一柳教官とはたまたま会っただけなんです」

後藤
そうか‥

C: たまたま会っただけ

サトコ
「一柳教官とは、たまたま会っただけなんです」

後藤
そうか‥

後藤さんは、安心したようにホッと息をつく。

(あれ?後藤さん、もしかして‥)

サトコ
「‥嫉妬、ですか?」

後藤
っ!?俺は、別に‥

後藤さんはバツが悪そうに、視線を逸らす。

後藤
‥少しくらい、心配してもいいだろう

サトコ
「後藤さん‥」

後藤さんの気持ちに触れ、頬が緩みそうになった。

後藤
ホワイトデーの時は、直前でキャンセルしてしまって悪かった‥

サトコ
「後藤さん‥」
「いいえ、無事に任務が完了してよかったです」

後藤
サトコ‥

後藤さんによかったと伝えると、優しく微笑み返される。
すると、何かを気にするように後藤さんが口を開いた。

後藤
‥この後、時間はあるか?

サトコ
「え‥?」

後藤
ホワイトデーのことも含めて、お詫びがしたいんだ。今夜、家に来てほしい

サトコ
「っ、はい!」

元気よく返事をする私に、後藤さんはフッと笑みを返した。

夜になり、後藤さんの家を訪ねる。

サトコ
「お邪魔します」

後藤
ああ。‥ここで少し、待っててもらえるか?

サトコ
「?はい、わかりました」

しばらくすると、リビングから後藤さんの声が聞こえてきた。

後藤
サトコ、入って来てくれ

(どうしたんだろう‥?)

そして、リビングの扉を開けると‥

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サトコ
「わぁ‥!天井に星空が‥!」

予想だにしない光景に、子どものように目を輝かせる。

サトコ
「綺麗‥後藤さん、これは‥?」

後藤
ホワイトデーの日はデートができなくて、プラネタリウムにも行けなかったからな
せめてものと思って‥遅くなって悪い

サトコ
「大丈夫です!私、すごくうれしくて‥」

後藤さんの優しさを受け取り、胸が温かくなる。

後藤
仕事でデートが中止になることも日常茶飯事だ
そのうえ、ロクに連絡も取れなくて寂しい思いをさせている‥
だけど、それを理解して応援してくれるサトコがいるから、俺は頑張れるんだ
いつもありがとう‥

サトコ
「後藤さんこそ、いつも私を気遣ってくださって‥ありがとうございます」
「私は色々なことに対して、まだまだ未熟ですけど‥」
「後藤さんの傍にいられて、幸せです」

後藤
サトコ‥

そのまま私をそっと、抱き寄せる。

後藤
‥サトコ

サトコ
「んっ‥」

後藤さんは私の唇をそっと撫でると、優しいキスを落とした。

後藤
でも‥恋人として二人でいる時は、甘えてほしい
いつも我慢させている分、アンタのことは甘やかしたいんだ

(後藤さん‥)

サトコ
「あの‥」

後藤
ん‥?どうした?

サトコ
「あの、それじゃあ‥甘えてもいいですか?」

後藤
‥!
ああ‥当たり前だろ?

思い切って後藤さんに聞くと、一瞬驚いた表情を見せる。
しかし、すぐに優しく微笑んで答えてくれた。

<選択してください>

A: キスをする

(後藤さんも、こう言ってくれているし‥)

サトコ
「んっ‥」

私は後藤さんにそっと近づき、唇にキスをした。
少しだけ長いキスをして唇を離すと、後藤さんは目を丸くしている。

サトコ
「後藤さん‥?」

(あ、あれ?キスはまずかったかな‥?)

後藤
いや‥まさか、アンタからキスをされるとは思わなかったんだ
たまには、アンタからのキスもいいな‥

サトコ
「ん‥」

そう言って微笑むと、今度は後藤さんからキスを贈られた。

B: 抱きつく

サトコ
「それじゃあ‥えいっ!」

後藤
っ!?

私は勢いよく、後藤さんに抱きついた。

後藤
お、おい‥!勢いよく抱きつかれたら、驚くだろう

サトコ
「すみません。後藤さんの言葉が嬉しくて‥」

後藤
フッ‥アンタらしいな

そう言いながら、後藤さんは私の背中に腕を回す。

後藤さんは私の背中を、優しく撫でてくれた。

C: 手を繋ぐ

サトコ
「後藤さん‥」

私はそっと、後藤さんの手を握る。

サトコ
「こうして、手を繋いでいてもいいですか?」

後藤
ああ‥
だけど‥アンタはこれで満足なのか?

サトコ
「え‥?」
「んっ‥」

後藤さんはふわりと笑みを浮かべると、私の額にキスをした。

後藤
キスをしてほしいって‥そう甘えたっていいんだからな

後藤
サトコ

そして、後藤さんはその場に座ると、膝をポンポンと叩く。

後藤
‥いつもアンタが膝枕をしてくれるから
き、今日は俺が‥

薄暗くてよく見えないけど‥後藤さんは頬を赤らめ、照れ臭そうに言っているように見えた。

サトコ
「はい、ありがとうございます」

そんな普段と違う行動に、私も恥ずかしくなってしまう。
お礼を言って、後藤さんの膝にそっと頭を乗せた。
そのまま、星空を見上げる。

サトコ
「‥綺麗ですね」

後藤
ああ。簡易的なプラネタリウムで悪いが‥今度はちゃんと、一緒に行こう

サトコ
「ふふっ、そうですね」
「だけど‥こうしてふたりきりで見るプラネタリウムも、素敵ですよ」

後藤
フッ‥そうだな

後藤さんは優しい手つきで、私の頭を撫でてくれる。

(恥ずかしいけど、なんだか落ち着くなぁ‥)

私たちは今まで一緒にいられなかった分を埋めるように、星空を眺めながら語り合った。

翌日。
放課後になり補佐官の仕事をしていると、一柳教官がやってきた。


「よお、書類届けに来てやったぜ」

サトコ
「ありがとうございま‥」

後藤
ああ

後藤さんは遮るように、一柳教官から書類を受け取る。
一柳教官は、そんな後藤さんをニヤニヤしながら見ていた。

(あっ、そうだ‥)

サトコ
「一柳教官!昨日はありがとうございました」

一柳教官は、お礼を言った私の顔をじっと見る。

サトコ
「あの‥どうかしましたか?」


「スッキリした表情してんじゃねぇか」

サトコ
「っ!」

(一柳教官は、いろいろと気を遣ってくれたんだよね)
(私と後藤さんの関係は秘密。だから、直接言葉にすることは出来ないけど‥)

ちらりと後藤さんを見ると、視線が絡み合う。
後藤さんも同じことを思ったのか、私たちは顔を見合わせ微笑み合った‥‥

Happy  End

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