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櫻 加賀1話

(3日間の休みのうち、1日でも加賀さんと過ごせたら‥って思ってたけど)
(まさか教官たちまでお休みだなんて‥これは、加賀さんをお誘いするチャンス!?)

東雲
加賀教官、休みとれるんだ‥!もしかして、お誘いするチャンスかも!

黒澤
できれば一緒に過ごしたい!あわよくばあ~んなことやこ~んなことまで!

サトコ
「なっ!?」

振り返ると、東雲教官と黒澤さんが私の耳元で囁いている。

サトコ
「勝手にモノローグをつけないでください‥」

東雲
でも、どうせそんなこと考えてるんでしょ?
さっさと誘わなくていいの?兵吾さん、下手したら仕事入れちゃうかもよ

サトコ
「でも、室長は有休を消化しろって」

東雲
有休なんざあってもなくても変わりねぇ
‥って言うのが、兵吾さんの口癖だからね

黒澤
さすが仕事人間ですよね~
加賀さんの余ってる有休、オレにくれないかな

東雲
透はそれ以上サボってどうすんの

黒澤
ちゃんと仕事してますよ!
情報収集はオレの一番の仕事ですから

(ここで一体なんの情報を収集してるんだろう‥怖すぎる‥)

黒澤
それにしてもサトコさん、せっかくの休みなのに、予定ないんですか?

サトコ
「うっ‥ハイ‥」

東雲
うわーさみしーい。友達とかいないの?

サトコ
「いや、いますけど!でもみんな仕事してるから、春休みなんてないんですよ」

東雲
確かに、この歳で学生やってるのなんて、うちの学校の生徒くらいか
または、浪人してるか留年しちゃってる人ぐらいだしね

サトコ
「なんでそんなグサグサくること言うんですか‥」

(とにかく、まずは加賀さんに予定を聞いてみないと)

チラリと加賀さんを見ると、その鋭い視線とぶつかった。

加賀
何見てんだ、コラ

サトコ
「す、すみません!」

鳴子
「加賀教官、相変わらずガラが悪‥じゃなくて、迫力あるね」

サトコ
「うん、もう慣れたけど‥」

(なんとか、さりげなくお誘いする方法は‥)
(だけど他の人に聞かれたら困るし、まずはお酌するフリをして加賀さんの隣に)

難波
お前らみんな、連休はどうするんだ?

鳴子
「私は実家に帰ります。そろそろ顔出しとかないと」

千葉
「僕は寮に戻ってのんびりしてます」

難波
氷川は?

サトコ
「それが‥」

こっそり加賀さんを見たけど、もう向こうを向いてしまっていた。

サトコ
「あの‥まだ予定は何も決まってなくて」

難波
ちょうどよかった。それなら、俺に付き合え

サトコ
「わかりました」
「‥え?」

黒澤
ななななーんと!難波さん!それはもしかしなくてもデートのお誘いですか!?

鳴子
「デート!?サトコと室長が!?」

サトコ
「いや、ちょっ‥そんなわけ」

難波
なんだ、おじさんとデートは嫌か

サトコ
「そそそ、そんな‥滅相もないです!」

(え!?っていうか本当にデートなの!?)

加賀
‥‥‥

東雲
兵吾さん、いいんですか?

加賀
何の話だ

黒澤
そうですよ!引き止めないと、サトコさんがおじさんの餌食に!

難波
誰がおじさんだ

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黒澤
自分で言ったんじゃないですか~

加賀
補佐官の仕事なんざ、知ったこっちゃねぇ
室長が連れて行きたいってんなら、行くのが筋だろ

<選択してください>

A: 室長の補佐官になりますよ

サトコ
「そんなこと言われたら、難波室長の補佐官になっちゃうかもしれませんよ!」

加賀
上等だ。せいぜい難波さんの駒として働いて来い

難波
俺はさすがにそんな扱いはしないぞ
女にしかできない仕事はしてもらうかもしれないけどな

(加賀さんにクズ扱いされるのも悲しいけど、室長もなんか怖い‥!)

B: 後悔しませんか?

サトコ
「こ、後悔しませんか!?」

加賀
すると思うか?

サトコ
「思わないです‥」

黒澤
サトコさん、弱っ

C: 上官命令ですか?

サトコ
「それは、上官命令ですか?」

加賀
んなことは難波さんに聞け

難波
命令ではないけどな
まぁ、ヒマなら一緒に出掛けないか、ってお誘いだ

黒澤
それは立派なデートです!

ゴン!と後藤教官が黒澤さんを後ろからゲンコツで殴った。

黒澤
痛い!
脳細胞が死んだらどうするんですか!

後藤
それ以上死ぬ細胞もないだろう

東雲
あーあ、ほんと兵吾さんって素直じゃないですよね

加賀
チッ‥くだらねぇ

一言そう吐き捨てて、加賀さんが持っていたお酒を口にする。

(はぁ‥そうだよね。加賀さんがヤキモチなんて妬いてくれるはずない‥)
(でもせめて、もうちょっと引き止めるとかしてほしかったな‥)

お手洗いに立ち、みんなから離れたところで一人、ため息をつく。

(難波室長のお誘いは半分以上冗談だとして‥)
(春休みの3日間、加賀さんとは会えないってことなのかな‥)

サトコ
「とりあえず後で、ダメ元で予定を聞いてみよう」
「でも加賀さんの場合、休みだろうが気にせず捜査に行っちゃうし‥」

みんなのところに戻ろうとした時、突然後ろから腕を引っ張られた。

(え!?)

思わず振り返ろうとすると、大きな手で口を塞がれた。

サトコ
「もが!?んー!んー!!!」

加賀
クズが。俺だ

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サトコ
「ん゛ん゛ん゛!?」

加賀
黙れ

必死にうなずくと、ようやく口を押えていた手が離れた。

サトコ
「きゅ、急に引っ張られるから、拉致されるのかと思いました‥!」
「どうしたんですか?みなさんは?」

加賀
向こうでよろしくやってんだろ
それより‥

掴んだ手を離さないまま、加賀さんが私を睨む。

サトコ
「な、なんですか‥?」

加賀
他の男に誘われて、嬉しそうに尻尾振ってんじゃねぇ
躾け甲斐のねぇ駄犬は捨てるぞ

サトコ
「捨てる!?」

慌てて加賀さんに追いすがりながら、ふと気づいた。

サトコ
「あの‥つかぬことをお聞きしますが」

加賀

なんだ

サトコ
「それって‥もしかして世間一般的に言う、ヤキモチ‥というアレですか?」

加賀
ああ?

ガッと、加賀さんの大きな手が私の顔を掴む。

(またアイアンクロー!?)

サトコ
「調子に乗ってすみません!」
「もしかして、室長に嫉妬して追いかけて来てくれたのかな、なんて思っちゃって‥!」

加賀
‥‥‥

まだ喋ろうとする私の口を、加賀さんが強引にキスでふさぐ。

サトコ
「!?」

加賀
黙れ

サトコ
「ハイ‥」

(これは‥本当にヤキモチ妬いてる?)

そっと見上げると、鬼の形相の加賀さんと視線がかち合った。

サトコ
「ひぃ!」

加賀
何度教えてもわからねぇ駄犬は、躾け直しだな

サトコ
「し、躾け直し‥!?」

加賀
テメェの飼い主が誰なのか、足りねぇ頭で考えろ

サトコ
「ちゃ、ちゃんとわかってます!私は加賀さんの‥」

私の言葉など聞く耳持たない加賀さんは、そのまま私の腕を引いて公園の出口へ向かう。

サトコ
「え?どこに行くんですか?」

加賀
特別に、その身体にきっちり教え込んでやる
二度と、飼い主の顔を忘れないようにな

サトコ
「も、もう大丈夫ですから!ていうか、室長のお誘いは断りますから!」

加賀
当然だ
どうせ、雑用だろ

サトコ
「そうなんですか?でも、一緒に行ってお手伝いした方が」

加賀
‥‥‥

サトコ
「な、なんでもないです!」

結局、そのまま加賀さんに引きずられて公園を後にした私は‥
翌朝まで、加賀さんの部屋でお仕置きを受け続けたのだった。

お花見の翌日、教官室へ向かう途中で東雲教官と黒澤さんに遭遇した。

(まずい‥!絶対昨日のこと聞かれる!)

まわれ右をして逃げようとした瞬間、首根っこを掴まれた。

サトコ
「ぎゃっ」

東雲
キミ、いま逃げようとした?

サトコ
「めめめ、滅相もない‥!」

黒澤
あれ~?昨日途中からいつの間にかいなくなったサトコさんじゃありませんか!
そういえば、加賀さんも戻ってこなかったですけど‥

サトコ
「いや、その‥」

東雲
2人とも、長いトイレだったね

黒澤
えっ、トイレで?それはまずいですよ!

サトコ
「なんの話ですか!?セクハラですよ!」

黒澤
冗談はさておき、結局加賀さんと逢引きだったんですか?
『このあと抜け出そう』みたいなアイコンタクトとかありました?

サトコ
「ないです!示し合わせて抜け出したわけじゃないですから‥!」

東雲
ってことは、兵吾さんの方がキミを追いかけて‥って感じ?
キミの方が、席を立ったのは先だったしね

(ま、まずい‥余計なこと言った‥!?)

黒澤
へぇー、女性を追いかけるなんて、加賀さんも意外に情熱的だったんですね
で?春休みはやっぱり、逢引きですか?

サトコ
「ち、違います!?」

(逢引きって‥)
(そういえば‥加賀さんをまだ誘えてなかった‥!)

東雲
まぁ、キミの色恋沙汰なんて正直心の底からどうでもいいんだけど
確か兵吾さんが有休取ってたっけ‥なんでだろうね?

サトコ
「え!?」

(じゃあ、もしかして1日でも一緒にいられる‥!?)

サトコ
「あ、あの‥私、用事を思い出しまして」

黒澤
加賀さんなら、屋上に行きましたよ

サトコ
「ありがとうございます!」

2人に頭を下げると、屋上に向かって廊下を走り始めた。

東雲
あれで隠し通せるって思ってるんだから、ほんっと、彼女って浅はかだよね

黒澤
まぁまぁ、こそがかわいいんじゃないですか

2人の声は、全力で走る私の耳には届かなかった。

屋上のドアを開ける、加賀さんがタバコを吸っていた。

サトコ
「お、お疲れ様です!」

加賀
なんだそのアホ面

サトコ
「へ?」

走ってきたせいで髪は乱れ、呼吸も乱れている。

サトコ
「す、すみません‥!ちょっと急いでて」
「あのっ‥加賀さん、春休みはお休みを取ってるって小耳に挟んだんですが」

加賀
それがどうした

<選択してください>

A: デートしてください!

サトコ
「じゃあ‥私とデートしてください!」

加賀
クズが

サトコ
「や、やっぱりダメですか‥?」

加賀
声がでけぇ

サトコ
「あ‥」

(そ、そうだよね‥他の人に聞かれたら困るもんね)

B: どうもしません!

サトコ
「ど、どうもしません!」

加賀さんの凄味に負けて、反射的にそう答えてしまう。

(って、そうじゃない!)

加賀
そうか。どうもしねぇか

サトコ
「あ、あの‥ちょっといじけてます?」

加賀
‥‥‥

(また余計なこと言っちゃった‥!)

サトコ
「その‥もしお時間があるなら、一緒に過ごしていただけないかと‥」

C: 何か言うことはないですか!?

サトコ
「わ、私に何か言うことないですか‥!?」

加賀
ねぇ

(一刀両断‥!)
(でも、ここで怯んじゃダメだ‥!やっぱり、勇気を出して私から誘わなきゃ)

サトコ
「その‥もしお休みなら、一緒に過ごしたいなって‥」

加賀
‥休みは取ってある

サトコ
「じゃ、じゃあ‥」

加賀
テメェは、俺以外の予定を入れてんじゃねぇだろうな?

試すような言葉に、ふと思い出す。

(あ、そういえば、まだ室長にお断りしてなかった)
(っていうか、あれって本気だったのかな。お酒の席で言った冗談のようにも思えるけど)

加賀
‥他の男と過ごすつもりだったのか?

サトコ
「え!?」

加賀
室長は、テメェと出かけるつもりだったようだが

サトコ
「あの‥まだお断りしてなくて」

加賀
断ってねぇのに、俺を誘いに来たってわけか
あっちにもこっちにも尻尾振りやがって、テメェは発情期か?

サトコ
「はっ、発情期!?」

明らかに不機嫌そうな加賀さんが恐ろしくて、反論できない。

(でも、これ‥ちょっとくらいは妬いてくれてるって思っていいのかな?)

サトコ
「それじゃ‥難波室長にお断りしたら、ちゃんとお誘いしてもいいですか?」

加賀
勝手にしろ

サトコ
「願わくば、それまで他の予定を入れずに待っていて頂けると‥」

加賀
知るか

口の端を持ち上げる笑い方を見て、なんとなくホッとしてしまう。

(たぶん、待っててくれるよね‥加賀さん、なんだかんだ言って優しいし‥)
(でも万が一があるから、とにかく急いで室長にお断りしてこよう)

to be continued


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