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塩対応 後藤 1話

サトコ

「一番辛かったのは、後藤教官から無視されたことかな」

いろいろと凹むことがあったせいか、余計に気になってしまうのかもしれない。

サトコ

「もちろん、後藤教官が意図的に無視をするなんてことはないってわかってはいるんだけど‥」

千葉

「そっか‥」

「気になるなら、後藤教官と話をしてみるのもいいと思うよ」

「ちゃんと話せば、スッキリするんじゃないかな?」

サトコ

「千葉さん‥」

(そうだよね。理由も聞かずにただ凹んでいるなんて、後藤教官に対しても失礼だし‥)

私はパッと顔を上げ、満面の笑みを浮かべる。

サトコ

「ありがとう、千葉さん。私、後藤教官と話をしてみるね!」

千葉

「ああ。‥やっぱり、氷川は笑顔が一番いいな」

サトコ

「え?」

千葉

「あっ、ううん。なんでもない」

千葉さんはどこか慌てたように、顔の前で手を振った。

(千葉さん?どうしたんだろう‥あっ!)

視界の端に、後藤さんの姿が映った。

私の視線に気づいたのか、千葉さんも後藤さんに顔を向ける。

千葉

「ちょうどいいタイミングだね」

サトコ

「うん。私、話してくるね」

私はもう一度千葉さんに礼を言うと、後藤さんの元へと駆け寄った。

サトコ

「後藤教官、お疲れさまです!」

後藤

‥氷川?

後藤さんは私を認めると、その場に立ち止まる。

後藤

そんなに慌てて、どうした?

サトコ

「教官に話したいことがありまして‥」

口を開いた、瞬間‥‥‥

ぐぅ~‥

後藤

‥腹が減っているのか?

サトコ

「ち、違っ!それは、その‥!」

(どうしてこのタイミングでお腹が鳴るの!?)

後藤さんはフッと笑みを浮かべると、腕時計を見る。

後藤

まぁ、そろそろ晩飯時だからな

腹が減ったなら、これから晩御飯を食べに行かないか?

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サトコ

「いいんですか?」

後藤

ああ

後藤さんからの思わぬお誘いに、胸が躍る。

サトコ

「はい!ぜひ、ご一緒したいです」

後藤

じゃあ、俺は一度教官室に戻るから後で合流しよう

サトコ

「分かりました」

私たちは待ち合わせ場所を決め、一度解散した。

【レストラン】

後藤さんに連れられてやってきたのは、オシャレなレストランだった。

凝った装飾品があちこちにあり、窓からは綺麗な夜景が見える。

後藤

乾杯

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サトコ

「乾杯」

ワインで乾杯をし、そのままグラスに口をつける。

濃厚な味わいが、口の中に広がった。

サトコ

「このワイン、美味しいですね」

後藤

そうだな

柔らかい笑みを浮かべる後藤さんに、ホッと息をつく。

(いつもの後藤さんだ‥)

そう思うと同時に、昼間のことが脳裏を過った。

(あの時、後藤さんに無視されたけど‥やっぱり私の思い過ごしだったのかな?)

後藤

‥ん?何か考え事か?

後藤さんはグラスをテーブルに置き、首を傾げる。

(昼のことは、なんだか話しにくいし‥)

サトコ

「こんな素敵なお店に来られて、嬉しいなって思ったんです」

「後藤さんは、前にも来られたことがあるんですか?」

後藤

ああ、それは‥

短く言葉を切ると、後藤さんは少しだけ視線を外す。

後藤

‥このレストランのことは、知人に聞いたんだ

ここはワインだけじゃなくて、料理も絶品らしい。きっと、サトコも満足すると思う

そう言って、後藤さんは何かを誤魔化すようにグラスを煽った。

(後藤さん、どうしたんだろう‥?)

矢継ぎ早に言う後藤さんに、少しだけ違和感を覚えながら‥

サトコ

「はい!どんなお料理が出てくるのか、楽しみです!」

私は笑顔で、そう返した。

【街中】

数日後。

放課後になり、私は街に出て買い物をしていた。

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サトコ

「後は、鳴子に頼まれたものを‥ん?」

(あそこにいるのは、後藤さん‥?)

車道を挟んだ向かい側に、後藤さんの姿を見つける。

(せっかくだし、声を掛けてみようかな)

ちょうど横断歩道が青信号になり渡ろうとした、その時。

サトコ

「えっ!?」

目の前の光景に、ピタリと足を止める。

(あれって‥)

後藤さんの隣には、綺麗な女の人がいた‥

栗色のストレートロングに少しだけ派手目の服を着ているその人は、

後藤さんと親しげに話をしていた。

サトコ

「あの人はいったい‥」

(もしかして‥浮気!?)

(いやいや、後藤さんに限ってそんなことがあるはずは‥)

呆然と立ち尽くしていると信号が赤に変わり、車が目の前を走り始める。

サトコ

「あっ‥!」

後藤さんたちは人混みにまぎれてしまい、見失ってしまった。

サトコ

「ど、どうしよう‥」

(ここの信号は長いから、青に変わるまで時間がかかるし‥)

(‥そうだ!こういう時は、電話をしてみて‥)

私は逸る気持ちを抑えながら、携帯を取り出し後藤さんに電話を掛ける。

サトコ

「‥‥‥」

何回もコール音が鳴るも、一向に出る気配がない。

サトコ

「どうして、出ないの‥?」

(後藤さん‥)

(いや、きっと協力者の人かもしれない‥!)

私は自分にそう言い聞かせるが、不安を抱えたまま電話を切った。

【教場】

翌日。

サトコ

「はぁ~」

講義が終わり、私は机にうつぶせになりながら盛大なため息をついた。

(うぅ‥昨日のことが気になり過ぎて、集中できなかった‥)

(そういえば‥最近、キスもしていないような‥)

鳴子

「サトコ、お疲れさま」

「今日はまた、いつも以上に加賀教官から質問攻めにされてたね」

サトコ

「うん‥ちょっと考え事をしてて‥」

千葉

「考え事って‥何かあったのか?」

千葉さんは私の元へ来ると、眉を曇らせる。

(後藤さんのことを、そのまま話すわけにはいかないし‥)

サトコ

「友達の話なんだけど‥」

そう前置きをしてから、最近の出来事をかいつまんで話した。

鳴子

「へぇ、そんなことがあったんだ」

サトコ

「うん‥それに最近、キスとかもしてないらしくて」

鳴子

「えっ!?キスもしてないの!?」

サトコ

「な、鳴子!声が大きいよ!」

鳴子の声に驚いたのか、近くに居た訓練生たちが何事かと私たちを見ている。

鳴子

「ごめん、ごめん。ちょっと、驚いちゃってさ」

「でも‥それで決まりだね」

サトコ

「決まりって?」

鳴子

「そこまで冷めてるなら、浮気で決まりってこと」

サトコ

「や、やっぱりそうなのかな!?」

千葉

「いや、そうとも限らないんじゃないか?」

「会社の人とか、友人って可能性もあるし‥」

鳴子

「女の人と親しげに話をしていたのに?」

「そのうえ、様子がおかしいって言ったら、ほぼ浮気確定でしょ!」

千葉

「ん~、怪しいのは分かるけどさ‥むやみに疑うのも良くないと思うけど」

サトコ

「やっぱりそうだよね‥」

(後藤さんは浮気をするような人じゃないって、自信を持って言えるもの)

だけど、どこか引っ掛かるところがあるのも確かだった。

鳴子

「まぁ、確実なのは本人に確かめることだけどね」

千葉

「俺も、それがいいと思う」

サトコ

「だよね‥」

(このまま後藤さんを疑うなんて、したくないし‥)

私は後藤さんに事の真相を聞こうと、心の中で決意をした。

千葉

「しかし、氷川は友達想いだよな」

「人のことなのに、こんなに親身になって考えるなんて‥」

サトコ

「そ、そうかなぁ‥?ははは」

鳴子

「人のことねぇ~」

【個別教官室】

私は放課後になると、教官室で補佐官の仕事をしていた。

資料をまとめながら、何度も後藤さんの様子を窺う。

(後藤さんに確かめるって決めたけど‥)

なかなかタイミングを掴めずにいた。

後藤

‥サトコ

サトコ

「は、はい!?」

突然声を掛けられ、声が裏返ってしまう。

後藤

さっきからそわそわしているが‥何かあったか?

サトコ

「そ、それはですね‥」

(いつまでも、こうしているわけにはいかないし‥)

サトコ

あの!後藤さんにお話が‥‥」

黒澤

お疲れさまでーす!

意を決して言葉を発しようとしたものの、黒澤さんの登場によって見事に打ち砕かれた。

黒澤

アナタの黒澤透が‥‥‥

って、サトコさん?肩を落として、どうかされましたか?

サトコ

「なんでもありません‥」

黒澤

なんでもないって感じはしませんけど‥

それより、後藤さん

黒澤さんは後藤さんに近づき、ニカッと笑みを浮かべる。

後藤

‥なんだ?

黒澤

この前のアレのことですよ

後藤

アレ‥?

黒澤さんの言葉に、後藤さんの眉がピクリと跳ねる。

黒澤

はい!後藤さんに熱々のお相手がいたなんて、驚いちゃいました

(えぇっ!?熱々のお相手って‥ま、まさか私のことじゃないよね?)

最近、後藤さんと補佐官の仕事以外で一緒にいることはほとんどない。

疑われることはないと言っていいだろう。

(黒澤さんは、誰のことを言ってるの‥?)

黒澤

その上、みんなの前であつ~いキ‥

むぐっ!

後藤

‥‥‥

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後藤さんは無言で黒澤さんの顔面を鷲掴みにし、睨みつける。

(あつ~いキ、って‥なんだろう?)

(聞かれちゃマズイことなのかな‥?)

<選択してください>

A: 黒澤さんを助ける

(話を聞くには、黒澤さんを助けなきゃ!)

サトコ

「後藤教官!黒澤さんが苦しそうです」

後藤

これくらい、大丈夫だ

黒澤

んぐ~!

後藤さんはそう言うものの、黒澤さんは苦しそうにもがいている。

黒澤

むぐ~!んぐぅ~!!

(こ、このままだと、話を聞くどころじゃなくなっちゃう!)

サトコ

「く、黒澤さんが本当に窒息してしまいますよ!?」

後藤

‥黒澤の肩を持つと言うのか?

キラリと目を光らせる後藤さんに、ビクリと肩が跳ねる。

(そんなに聞かれたくないことを、黒澤さんは言おうとしていたの?)

B: 私の勘違いかも‥

(黒澤さん何て言おうとしたんだろう?)

(ま、まさか‥!『キス』なんてことはないよね‥?)

(いや、『キ』から続く言葉なんていくらでもあるし!)

自己完結をし、ホッと息をつく。

黒澤

むぐ、むぐ~!

サトコ

「あっ‥!」

私が思考を巡らせている間にも、黒澤さんは苦しそうにもがいていて‥

(か、顔が青くなってる‥!)

黒澤さんを黙らせようとする、後藤さんの本気度が見て取れた。

C: 後藤さんに聞く

(黒澤さんは話せる状態じゃないし‥)

サトコ

「後藤さん‥今、黒澤さんはなんて言おうとしたんでしょうか?」

後藤

‥さあな

そっけない言い方に、ツキンと心が痛む。

サトコ

「もしかして、キ‥」

黒澤

んぐ~!!

『キス』と言おうとした瞬間、黒澤さんが大きくうめいた。

後藤さんが、手に力を込めたのだろう。

後藤

‥なんだ?

サトコ

「い、いえ!なんでもないです!」

私は慌てて首を振った。

後藤

‥黒澤はこの後、大事な予定があるそうだ

黒澤

んぐ~!!

後藤さんはそのままの状態で、黒澤さんを引きずり教官室から追い出す。

サトコ

「あっ‥」

(黒澤さんが何を言いかけたのか、確かめなきゃ!)

後藤

‥それで、サトコ。話の続きだが‥

サトコ

「後藤さん!資料をまとめ終わりましたので、ここに置いておきますね!」

後藤

あっ、おい!

私は資料をデスクに置くと、教官室を後にした。

【廊下】

サトコ

「黒澤さん!‥って、あれ?」

慌てて廊下に出るも、黒澤さんの姿はどこにもない。

サトコ

「黒澤さんなら、何か知ってると思ったのに‥」

再び落ち込みそうになるも、両手で頬をパンッと叩く。

サトコ

「ここで諦めたら、ダメ‥」

(なんとしてでも、黒澤さんから話を聞かなきゃ!)

数日後。

サトコ

「さすが公安というべきか‥」

あれから何度もアタックを掛けたものの、黒澤さんには誤魔化されてばかりいた。

【食堂】(回想)

食堂で黒澤さんを見つけた私は、一緒に昼食を取ることになった。

サトコ

「黒澤さん、後藤教官のことでお聞きしたいことが‥」

黒澤

後藤さんですか?

そういえば、最近は忙しくしてるみたいですね

サトコ

「え、そうなんですか?」

黒澤

はい。毎年恒例のとある行事がありまして、そのせいで忙しいみたいです

とはいえ、それももう少しすれば終わる予定ですけどね

サトコ

「‥知らなかったです」

黒澤

後藤さんはサトコさんに心配をかけないようにしてるんじゃないんですか?

サトコさんは後藤さんにとって、可愛い補佐官ですからね!

サトコ

「そ、そうだといいんですが‥」

黒澤さんの言葉に、頬が熱を持つ。

サトコ

「って、そうじゃなくて!私が聞きたいのは‥」

黒澤

‥ごちそうさまでした!

はぁ、美味しかった~

それでは、サトコさん!オレはこの後、用がありますので!

サトコ

「あっ、ちょっと!黒澤さん!」

【廊下】

(黒澤さんって口が軽い時もあるけど‥こういう時って絶対、口を割らないんだよね)

(鳴子たちも言ってたし‥こうなったら、後藤さんに直接聞くしかないのかな)

それが一番いいと分かっていながらも、一度失敗してしまったせいか

自分の中でハードルがかなり上がっていた。

サトコ

「‥あっ」

廊下の反対側から、後藤さんがこちらに向かって歩いて来る。

サトコ

「お疲れさまです」

後藤

ああ

後藤さんが近づいた瞬間、タバコの香りが鼻腔をついた。

(あれ‥?後藤さんって、タバコ吸わなかったはずだけど‥)

(難波室長か加賀教官のかな‥?)

不思議に思った私は、ふと足を止める。

そんな私に疑問を持ったのか、後藤さんも足を止めていた。

後藤

氷川‥?

サトコ

「あの‥」

僅かな不安が過り、気付いたら口を開いていた。

サトコ

「後藤さんって、タバコを吸っていましたっけ?」

後藤

タバコ‥?いや、吸っていないが‥

後藤さんはそこまで話すと、ハッとした表情をする。

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後藤

‥前に行った店が、喫煙席しかなかったせいだろう

それじゃあ、俺は講義の用意があるから

サトコ

「あっ‥」

矢継ぎ早に言うと、後藤さんはそのまま去って行った。

サトコ

「後藤さん‥」

私は後藤さんの背中を、そっと見つめる。

後藤さんの反応に、少なからずショックを受けている自分がいた。

(浮気とは言わないけど‥やっぱり、何かあったかな)

私の中に、何か確信めいたものが芽生えた。

(そういえば、前に黒澤さんが‥)

黒澤

毎年恒例のとある行事がありまして、そのせいで忙しいみたいです

黒澤さんの言葉を思い返し、ハッとなる。

(公安は同僚にも、自分の仕事について話せないことがあるんだ‥)

サトコ

「事件かもしれないのに‥勝手に勘違いして、私情を挟むなんてダメだよね」

(もし本当に何かあったら、後藤さんから話してくれるはずだから‥私は、それまで待とう)

サトコ

「‥っと、いけない。私も講義の準備をしなきゃ」

冷静さを取り戻した私は、先ほどよりも晴れやかな気持ちで教場へと足を進めた。

【教官室】

講義が終わり、ノートを集めると教官室へやってきた。

サトコ

「失礼します。颯馬教官、ノートを集めてきました」

颯馬

ありがとうございます。そこのデスクに置いておいてもらえますか?

サトコ

「はい」

東雲

『百合子』‥?これ、後藤さんの携帯だよね

サトコ

「えっ!?」

ノートをデスクに置いていると不穏な言葉が聞こえ、顔を上げた。

<選択してください>

A: 人の携帯を見るのは良くないのでは‥

サトコ

「東雲教官、人の携帯を見るのは良くないのでは‥」

東雲

見えるところに置いておく方が悪いと思わない?

東雲教官は、ニヤリと笑みを浮かべる。

東雲

それにしても、百合子ねぇ‥後藤さんに彼女っていましたっけ?

颯馬

そうだな‥少なくともここしばらくは、彼女がいるって聞いていませんね

東雲

でも明らかに女の名前ですし、彼女がいてもおかしくありませんよね

(か、彼女って‥)

東雲教官が指しているのは、私じゃなくて他の女性だろう。

(ダメダメ!後藤さんのこと、容易に疑うだなんて‥信じて待とうって決めたじゃない!)

私は心の中で、頭を振った。

B: 聞いていないふりをする

咄嗟に顔を上げてしまうものの、聞いていないふりをする。

東雲

へぇ、後藤さん彼女いたんだ

颯馬

まだ彼女と決まったわけじゃないでしょう?

東雲

後藤さんってムッツリっぽいし

実は陰で彼女作ってました~ってありそうじゃないですか

オレ、前にチラッと後藤さんのとある現場を目撃しましたし

サトコ

「‥‥‥」

いけないと思いつつも、私は耳をゾウのように大きくしながら聞き耳を立てる。

東雲

‥サトコちゃん、何だと思う?

サトコ

「へっ!?」

東雲

オレが目撃した現場。何だと思うって聞いているんだけど?

楽しそうに話す東雲教官に、焦りが出る。

(目撃って‥私と後藤さんのこと?それとも‥)

私は街中で見かけた、後藤さんと女の人のことを思い返す。

颯馬

‥歩。サトコさんを混乱させるのは、感心しないな

東雲

このくらいで混乱するようじゃ、公安としてやっていけませんよ

C: 携帯を見る

(百合子って‥明らかに、女の人の名前だよね!?)

サトコ

「あ、あの‥私にも見せてください!」

私は慌てて、後藤さんの携帯を見る。

ディスプレイには、本当に『百合子』と文字が表示されていた。

東雲

サトコちゃん、いいの?勝手に教官の携帯を見るなんてさ

サトコ

「ハッ!こ、これはですね!その‥」

東雲

サトコちゃんが勝手に携帯を見たって知ったら、後藤さんどう思うかな?

サトコ

「っ!」

(咄嗟のこととはいえ、普通は携帯を見られたくないよね‥)

東雲教官の言葉に、罪悪感が生まれる。

颯馬

こら、歩。サトコさんをからかわない

東雲

サトコちゃんの反応が面白いのがいけないんですよ

サトコ

「‥‥‥」

いろいろと、私の中で整理を付けたはずだった。

(だけど、携帯に名前で登録しているだなんて‥)

落ち着いたはずの心が、微かにざわつき始めた。

to be continued

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