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塩対応 後藤 2話

【教官室】

翌日。

休み時間になると、課題の提出をするために教官室へやってきた。

サトコ

「失礼します」

加賀

はぁ‥

教官室に入った途端、盛大なため息が聞こえる。

視線を向けた先には、加賀教官がデスクにぐったりと突っ伏していた。

サトコ

「あの‥大丈夫ですか?」

加賀

ああ゛?何だ、テメェか

加賀教官から鋭い視線を向けられ、怯みそうになる。

黒澤

ダメですよ、加賀さん。サトコさんが怯えてるじゃないですか

加賀

うるせぇ。こっちはロクに寝れてねぇんだ。騒ぐんじゃねぇ

加賀教官はそう言いながら、大きな欠伸をした。

(加賀教官が珍しいな‥夜遅くまで、お仕事があったのかな?)

後藤

氷川、課題はそろっているのか?

サトコ

「あっ、はい。これで全員分になります」

私は集めた課題を、後藤さんに受け渡す。

黒澤

まぁ、寝つきが悪かったのも分からなくもないですけどね

いつの間にか現れた黒澤さんは、怪しげな笑みを浮かべながら言葉を続ける。

黒澤

まさか、加賀さんと後藤さんがキ‥

んぐっ!

後藤

黒澤‥

いつの間に移動したのか、後藤さんが黒澤さんの顔面を鷲掴みにしていた。

(えっ、加賀教官とキス!?)

(そ、そんな‥!加賀教官からしたのかな?それとも‥後藤さんから!?)

<選択してください>

A: 加賀教官とキスしたんですか!?

サトコ

「か、加賀教官とキスしたんですか!?」

加賀

はぁ‥?

地獄の底から這い出たような声に、肩を震わせる。

加賀

誰と誰が、キスしたって‥?

サトコ

「そ、それは‥後藤教官と加賀教官が、ですね‥」

加賀

ありえねぇこと言ってんじゃねぇ、クズが

バンッとデスクに拳を落とし、加賀教官は私を睨みつける。

サトコ

「ひいっ!」

加賀

クズだクズだとは思っていたが、ここまで救いようのないクズだとはな

サトコ

「ご、後藤教官!」

私は助けを求めるように、後藤さんに視線を向ける。

後藤

‥‥‥

しかし、後藤さんはどこか冷ややかな目で私を見ていた。

(余計なこと口走っちゃったのかも‥!)

サトコ

「す、すみません!すみません!」

私は何度も何度も、ふたりに向かって頭を下げた。

B: 加賀教官をじっと見る

私は、加賀教官をじっと見た。

加賀

ああ゛?なんだ、その目は

サトコ

「い、いえ‥」

鋭い視線で返され、たじろいでしまう。

加賀

言いたいことがあるなら、ハッキリ言え

サトコ

「は、はい!加賀教官が後藤教官とキス‥」

加賀

あ?

『キスをした』と口にしようとした瞬間、加賀教官の眉がピクリと跳ねた。

サトコ

「キス‥の天ぷらって美味しいですよね」

私は冷や汗をかきながら、自分でもわけのわからない返しをしてしまう。

(下手なことを言ったら、殺される‥!)

C: 深呼吸をして冷静になる

(こういう時こそ、冷静にならなきゃ!)

私は深呼吸をして、頭をクリアにする。

サトコ

「ふぅ‥」

(冷静になって考えてみれば、後藤さんと加賀教官がキスなんてありえないよね)

(‥うん!ありえない、ありえない‥)

サトコ

「まさか、加賀教官と後藤教官がキスだなんて‥」

後藤

‥ん?今、何か言ったか?

後藤さんの声に、背筋をぴんと張る。

(しまった!口が滑った‥!)

サトコ

「い、いえ!何も言ってません!」

(うぅ‥冷静にならなきゃって思っているのに‥)

落ち着こうと思えば思うほど、頭は混乱していった。

(これ以上下手なこと言う前に、退散しよう!)

サトコ

「それでは、私はこれで失礼します!」

私は踵を返し、早々と教官室を後にした。

【廊下】

放課後になり、私は補佐官の仕事のために教官室へ向かっていた。

(うぅ、行きづらいな‥)

(加賀教官のこと‥好きになっちゃった、とか‥?)

(いや、まさか!!それはないよね‥!)

昼間あんなことがあったせいか、足取りが重くなる。

(『百合子』って女の人のことも分からないことだらけだし)

(後藤さんがこの前連れて行ってくれた、レストランだって‥)

サトコ

『後藤さんは、前にも来られたことがあるんですか?』

後藤

ああ、それは‥このレストランのことは、知人に聞いたんだ

【廊下】

(あの時も、何だか様子がおかしかったよね)

ここ数日の出来事が、ぐるぐると頭の中を駆け巡っていた。

サトコ

「あ~、もう!いつまでもこんな気持ちじゃダメ!」

(何よりも、後藤さんに失礼すぎるし!)

私は大きく伸びをして、気持ちを入れ替える。

(何度も後藤さんに話しをしようとして、挫折したけど‥)

後藤さんを信じる心に、偽りはなかった。

(次に後藤さんに会ったら、ちゃんと話をしよう)

(それで、疑ってしまったことをちゃんと謝らなきゃ)

私はそう思い、教官室の扉をノックした。

【教官室】

サトコ

「お疲れさまです‥」

黒澤

後藤さんも隅に置けないですね

(えっ、後藤さん!?)

後藤さんの名前が出て、思わずその場に立ち止まる。

黒澤

あっ、サトコさん、こんにちは!

サトコ

「こ、こんにちは」

東雲

‥‥‥

東雲教官は私の姿に気付くと、ニヤリと口角を上げる。

東雲

透、話の続きだけど‥

黒澤

ああ、後藤さんのことですね!毎日、美女とデートしているらしいですよ

東雲

やっぱりそうなんだ。オレも見かけたことあるんだよね

栗色のサラサラのロングヘアーでスタイル抜群だったな

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前に後藤さんと一緒にいた女性と、東雲教官が見たという女性の姿が一致する。

黒澤

へぇ、後藤さんも隅に置けないですね‥‥

サトコ

「そんなはずないです!」

黒澤

へ?

私の声に驚いたのか、黒澤さんは目をパチクリさせた。

サトコ

「あ‥‥」

(わ、私ったら、つい‥)

東雲

なんでただの補佐官のキミが、そんなにムキになるわけ?

サトコ

「それは‥」

東雲

それとも、何か理由があるとか‥?

東雲教官は、ニヤニヤと笑みを浮かべながら私に視線を向ける。

サトコ

「な、なんでもありません!」

いたたまれなくなった私は、慌てて教官室を後にした。

【廊下】

(はぁ‥‥きっと、なにかの間違いだよね‥)

(帰ったら後藤さんに連絡してみようかな‥?)

サトコ

「あっ‥」

教官室を出て、寮に向かおうとすると後藤さんが立っていた。

後藤

「‥‥‥」

後藤さんは不自然に、視線を逸らしている。

(い、今の話、絶対に聞かれてた‥!)

サトコ

「ご、後藤さん。あの‥」

後藤

‥ちょっといいか?

サトコ

「え‥?」

後藤さんは漂わせていた視線を私に向け、真っ直ぐ見つめてくる。

サトコ

「‥はい。分かりました」

後藤さんの眼差しを受け、私はこくりと頷いた。

【屋上】

後藤さんに連れられてやってきたのは、屋上だった。

サトコ

「‥‥‥」

後藤

‥‥‥

私たちの間に、重い沈黙が訪れる。

(‥次に後藤さんに会ったら、ちゃんと話すって決めたじゃない)

サトコ

「後藤さん‥」

後藤

俺から話してもいいか?

意を決して言葉にしようとした瞬間、後藤さんによって遮られた。

サトコ

「はい‥」

後藤さんは小さく息を吐くと、しっかりとした口調で話し始める。

後藤

最近、毎年恒例である警察庁上官の接待が行われているんだ

(それって、前に黒澤さんが話していたやつ、だよね‥?)

後藤

あいつらがさっき話していた女は、その接待で使っている店の女だ

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サトコ

「っ‥」

後藤さんの口から女性の存在を聞き、僅かに胸が痛む。

後藤

「俺は接待の幹事を任されているから、その女と打ち合わせをしていたんだ」

「あいつらは、その時の話をしていたんだろう」

サトコ

「そう、ですか‥」

後藤

‥ただ

後藤さんは短く言って、バツが悪そうに視線を逸らす。

後藤

便宜上、女と言ったが‥そいつは、女じゃない

男、なんだ

サトコ

「へっ!?」

思いもよらぬ言葉に、頭が真っ白になった。

サトコ

「男、ですか‥?」

後藤

ああ。それで、その‥接待をする場所なんだが‥

後藤さんはひと呼吸置き、口を開く。

後藤

ゲイバー、なんだ

サトコ

「ゲイバー‥」

後藤

‥繰り返して言うな

少しだけ、頬を赤らめる後藤さん。

後藤

その、いろいろあったというか‥場所が場所だからな。言い辛かったんだ

ゲイバーと言ってもキャバクラと変わらないし、アンタに余計な心配を掛けたくなかった

だけど、そのせいでアンタを不安にさせたな‥悪かった

サトコ

「後藤さん‥」

(全部、私の思い過ごしだったんだ‥)

私はホッと安堵のため息を漏らすと、満面の笑みを浮かべる。

サトコ

「そんなことなら、早く言ってください」

「接待でキャバクラを使うのは、仕方がないですから」

後藤

ゲイバーでもか?

サトコ

「ゲイバーでもです」

後藤

そうか‥

私の言葉に、後藤さんはフッと笑みを浮かべる。

後藤

実は‥この後も接待があって、もう出なければいけないんだ

サトコ

「そうなんですか‥頑張ってくださいね」

後藤

ああ。行ってくる

サトコ

「いってらっしゃい」

わだかまりが解け、私は晴れやかな気持ちで後藤さんを送り出した。

【自室】

寮に戻り夕食とお風呂を済ませると、就寝の準備をする。

ピピピピ~♪

サトコ

「携帯が鳴ってる‥」

ディスプレイを見ると、そこには『後藤さん』と表示されていた。

(あれ?今日も接待って言ってたけど‥)

サトコ

「もしもし?」

後藤

夜遅くにすまない。今、大丈夫か?

サトコ

「はい、大丈夫ですよ。どうかしましたか?」

後藤

今から、会えないか?

サトコ

「今って‥後藤さん、どこにいるんですか?」

後藤

駅の近くの公園だ

‥アンタに会いたくて出てきた

サトコ

「っ!」

「はい、急いで行きます!」

電話口の向こう側で、後藤さんが苦笑いするのが分かった。

後藤さんの言葉に、就寝の準備をしていたことを忘れて答える。

後藤

それじゃ、待ってるな

サトコ

「分かりました」

(急いで支度をしなきゃ!)

私は携帯を切ると手早く身支度を整え、部屋を出た。

【公園】

公園で合流すると、肩を並べて後藤さんの家をめざす。

後藤

急に呼び出したりして、悪かったな

サトコ

「起きていたので、大丈夫ですよ」

「それよりも、後藤さんは接待だったんじゃ‥」

後藤

まあ、な‥

どこか歯切れの悪い後藤さんに、首を傾げる。

(お店で、何かあったのかな‥?)

前のような心配はもうないけれど、後藤さんの様子に不安が過る。

後藤

‥‥‥

サトコ

「‥‥‥」

それから私たちは会話もなく、黙々と歩みを進めた。

【後藤の部屋】

後藤さんの家に着くと、私たちはソファに座る。

(なんだか気まずいな‥)

テレビを点けるも、なかなか内容が入ってこなかった。

チラリと隣を見ると、後藤さんは何かを考える風にテレビ画面を眺めている。

(屋上で話をした時は、普通だったのに‥)

サトコ

「あの‥後藤さん、大丈夫ですか?」

後藤

は?

突然の質問に、後藤さんは不思議そうに視線を向けてくる。

サトコ

「私の勘違いならいいんですが、後藤さんの様子がいつもと違うような気がして‥」

「私で力になれることがあれば、なんでも言ってください」

後藤

サトコ‥俺、は‥

後藤さんは何か言いかけるも、すぐに口を閉ざしてしまう。

(やっぱり‥何かあったのかは明白、だよね。話すきっかけが必要なのかな)

(こういう時は、温かいものでも飲んで一度リラックスしてもらった方がいいよね)

サトコ

「後藤さん、喉が渇きませんか?今、お茶を淹れてきますね」

柔らかい笑みを浮かべ、キッチンへ行くために立ち上がると‥

後藤

サトコ‥

サトコ

「っ!」

突然、後ろから抱きしめられた。

サトコ

「後藤さ‥んっ‥」

振り返ろうとした瞬間、唇を塞がれる。

サトコ

「っ‥」

息が漏れないくらい、ピッタリと唇が重なり合う。

きつく抱きしめられ、噛みつくかのようなキスに心臓が早鐘を打った。

サトコ

「はぁ‥」

唇が離れた瞬間、甘い吐息が漏れる。

後藤

サトコ‥

後藤さんは囁くように私の名前を呼び、再び唇をあてがった。

いつの間にか後藤さんの手は後頭部に置かれ、口づけが深くなっていく。

サトコ

「っ‥」

いつもより強引なキスにクラクラしていると、チュッと音を立てて名残惜しそうに唇が離れた。

<選択してください>

A: 後藤から離れる

強引なキスを受け、恥ずかしさが込み上げてくる。

(ご、後藤さん、どうしちゃったの!?)

後藤

‥逃げるな

思わず距離を取ろうとするも、後藤さんは腕の力を強めて私を放さない。

サトコ

「後藤さん‥」

そんな後藤さんを、おずおずと見上げると、

サトコ

「んっ‥」

触れるだけの優しいキスが、唇に落ちた。

B: 自分からキスをする

私は後藤さんの唇を、そっと見つめる。

サトコ

「っ‥」

あれだけ深くつながっていた唇が離れていき、寂しさを覚えた瞬間

後藤

っ!

私は後藤さんの唇に、自分の唇を重ねていた。

後藤

サトコ‥

顔が離れると、後藤さんは驚いたような‥だけど、どこか嬉しそうな表情を浮かべる。

サトコ

「んっ‥」

そして私の唇を指で撫でると、小さなキスを落とした。

C: 後藤の胸に顔を埋める

私は恥ずかしさのあまり、後藤さんの胸に顔を埋めた。

後藤

どうした?

サトコ

「ご、後藤さんがいきなり、あんなことをするから‥」

後藤

嫌、だったか?

サトコ

「嫌だなんて、そんなこと‥!」

慌てて顔を上げると、ニヤリと笑みを浮かべている後藤さんが瞳に映った。

後藤

そんなこと?

サトコ

「‥‥‥」

後藤

サトコ‥言わないと分からないだろ?

誘うかのような甘い声に、言葉が口をつく。

サトコ

「そ、そんなこと‥ない、です‥」

後藤

よくできました

後藤さんは満足そうに言うと、ご褒美と言わんばかりに私の額にキスを落とす。

いつもより強引で違う雰囲気を見せる後藤さんに、戸惑いを覚えた。

後藤

‥もうひとつ、言わなければならないことがあるんだ

後藤さんは少しだけ視線を彷徨わせると、真っ直ぐ私を見つめる。

後藤

俺と一緒にいたっていう女‥というか、男にだが‥

‥‥そいつに、キスをされたんだ

サトコ

「キスって‥唇に、ですか?」

後藤

いや‥ココにだ

スッと視線を逸らした後藤さんは、唇の下をトントンと指す。

後藤

どうしても、アンタに言えなかった‥

申し訳なさそうに話す後藤さんに、頬が緩む。

(後藤さん、ずっと気にしていたのかな?)

それでも私のためを思って、言い出せずにいたのかもしれない。

サトコ

「後藤さん。それくらいで私は怯みませんよ?」

「全部受け止めるので、これからは何でも話してください」

後藤

‥アンタは強いな

それじゃあ‥もう隠さず言っていいか?

後藤さんは何かが吹っ切れたかのように、笑みを浮かべる。

後藤

黒澤のこと、割と妬いてたんだ

サトコ

「黒澤さん、ですか?」

後藤

ああ、ここ最近のアンタは、気付いたら黒澤と一緒にいたからな

何もないって分かってはいたが‥

嫉妬していたんだ

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照れ臭そうに頬を染める後藤さんに、胸がキュッと詰まる。

サトコ

「‥私も、後藤さんに話すことがあります」

「最近はキスもしていないし‥」

「その、ゲイバーの方と一緒にいるのを見て、浮気の心配をしていたんです」

「疑ってしまって‥すみませんでした」

後藤

浮気って‥

男だろうと女だろうと浮気なんて、あり得ない

サトコ

「ふふっ、そうですね」

私たちはお互いの勘違いに、顔を見合わせて笑い合う。

後藤

心配をかけたとは思っていたが‥男との浮気を疑われるなんて思わなかった

サトコ

「百合子さんだけじゃないんですよ?その、加賀教官ともキスをしたって聞いたし‥」

後藤

は‥?

サトコ

「なのに最近、私にはキスもしてくれない気がして‥」

「もう私はいらないんじゃないかって心配だったんです」

後藤

アンタ‥どういう勘違いをしているんだ。加賀さんとキスだなんて、冗談でもあり得ない

サトコ

「あっ‥」

後藤さんはため息をつきながら、私の顎に手を添える。

そしてクイッと持ち上げると、視線が絡み合った。

サトコ

「後藤、さん‥?」

真剣なその表情に、胸が高鳴っていく。

後藤

俺は‥アンタ以外には、こんなことをしない

サトコ

「ん‥」

再び唇が塞がれ、私は目を瞬かせる。

サトコ

「っ‥」

熱く深く繋がっていくキスに、ゆっくりと目を閉じた。

お互いの息遣いを感じ、求めるようにキスを繰り返していく。

(後藤さん‥っ)

言葉にできない代わりに、心の中で愛おしい名前を呼び、

私たちは、甘い夜へと堕ちていった‥‥

【教官室】

翌日。

サトコ

「失礼します‥」

後藤さんと時間をずらして登校すると、私は教官室へやってきた。

後藤

‥‥‥

ふと後藤さんと視線が合い、昨日の記憶がよみがえる。

サトコ

「っ‥」

気恥ずかしさを感じ、視線を逸らすと‥

バンッ!

黒澤

後藤さん~!何で昨日途中で帰っちゃったんですか~!

飛び込むように教官室に入って来た黒澤さんが、勢いよく後藤さんに詰め寄った。

後藤

なんのことだ?

黒澤

とぼけないでください!あの後、大変だったんですよ!?

これ、サトコさんも見てくださいよ!

黒澤さんは携帯を操作すると、私に写真を見せてくる。

サトコ

「こ、これは‥」

(黒澤さんが、ゲイのお姉さんたちに身ぐるみを剥がされている‥!)

黒澤

お婿に行けなくなったら、どうするんですか~?

後藤

それなら、ずっと公安で働けばいいだろう

黒澤

い、石神さんみたいなことを‥!後藤さんの、鬼ぃ~!!

黒澤さんはがくりと項垂れ、大袈裟に涙をぬぐう。

(こんなことを思ったら、黒澤さんに申し訳ないけど‥)

後藤さんが抜け出してくれて良かったと、心の底から安堵した。

Happy  End

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