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難波 出会い編 シークレット3


Episode 10.5

「モテる男・難波」

【室長室】

サトコ

「失礼します!」

お昼休み終了直前、室長室に書類を届けに行くと、室長はお弁当を食べていた。

サトコ

「これ、石神教官から届けるよう頼まれました」

難波

おう、サンキューな

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室長は相変わらずおいしそうなお弁当を食べている。

(アスパラの肉巻きにコロッケにお魚の切り身‥)

(ご飯は炊き込みだし、結構手間がかかってそうなものばかりだなあ)

難波

なんだ?

気付くと、室長がじっと見つめていた。

サトコ

「いえ、その‥」

難波

そんなに食いたいのか?

サトコ

「い、いえ、そういうわけでは‥!」

難波

‥そうか

室長は軽く首を傾げると、また豪快にお弁当を食べ始める。

(ずっと奥さんの手作りなんだろうなって思ってたけど、奥さんはいないみたいだし‥)

(てことは、このおいしそうなおかずの数々は全部室長の手作りってこと!?)

私は、キッチンに立つ室長の姿を思い浮かべた‥‥

【キッチン】

爽やかな白いシャツの袖を豪快に捲ると、室長は包丁でダイナミックにお肉を切る。

難波

‥‥‥

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力を入れる度に浮き上がる二の腕の筋肉が逞しい。

フライパンを火にかけると、豪快にお肉の塊を投入。

難波

いい色だ‥

肉に励ますような声を掛けると、お酒をふりかけ、コンロの火を移す!

青白い炎に彩られた室長の表情に、期待に満ちた笑みが浮かんだ。

スプーンで肉汁を軽くすくい、味見をする室長。

難波

「うん、うまい‥

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【室長室】

(なんか、ワイルドでかっこいいかも‥)

(なのにちゃんとエプロンはしてるってとこが、室長らしくてキュートだなあ‥)

難波

氷川‥?

サトコ

「はい?」

(いけない、いけない‥またうっかり妄想の世界に‥)

難波

なんだか楽しそうだな

サトコ

「そ、そんなことは‥」

難波

なんだ?思い出し笑いか?

そういうのは、おっさんの専売特許だぞ

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室長がニヤリと笑う。

サトコ

「そ、そんなんじゃありません!」

私は、慌てて室長室を飛び出した。


【街】

難波

よし、今日の捜査はこれで終了だ

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よく頑張ったな

室長にガシガシ頭を撫でられ、思わず笑顔になった。

サトコ

「ありがとうございます!」

(特別な意味なんかないって分かってるのに、なんか幸せ感じちゃうな‥)

難波

‥で、だ

ちょっと寄りたいところがあるんだが‥

一緒に来るか?

サトコ

「はい!」

(もちろんです‥!)

少しでも一緒にいられるならと、私は喜んで室長について行った。

【巣鴨】

連れて行かれたのは、巣鴨の商店街。

サトコ

「ここ、巣鴨‥ですよね‥?」

難波

おお、ひよっこでも知ってるか

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サトコ

「はい、一応は‥」

(あんまりちゃんと来たことないけど‥)

(確かここって、『おばあちゃんの原宿』だよね‥)

そう思って周りを見ると、確かにご老人ばかりいるような気がする。

(相変わらず、渋いなぁ‥)

おばあちゃんA

「仁ちゃ~ん!」

おばあちゃんB

「あら、仁ちゃん」

両脇のお店から、突然声が掛かった。

(仁ちゃん!?)

難波

ああ、どうも~

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室長は愛想よく笑顔で手を振っている。

(そっか‥室長って難波仁っていうんだっけ)

おばあちゃんA

「仁ちゃん、から揚げ持ってって」

おばあちゃんB

「ウチの玉子焼きも持ってってよ!」

おばあちゃんC

「仁ちゃん、ちょうどよかった。さつま揚げ、揚げたてだから持ってきな」

難波

なんか悪いな~

いつもありがとうございます

サトコ

「‥いつも?」

(てことは、まさか‥)

次々に増えて行く室長の荷物を改めて見つめた。

サトコ

「室長、もしかして、あの美味しそうなお弁当のおかずって‥」

難波

バレちまったか‥

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室長はきまり悪そうに頭をかいた。

難波

みんなここで貰ったやつか、大家さんの差し入れだ

(道理で手が込んでる風だったわけだ‥)

(よぅし、そういうことなら‥!)

さらに荷物を増やしながら歩いていく室長の背中を追いかけながら、いいアイデアが浮かんだ。

【室長室】

サトコ

「あの‥」

「おなか減ってたりしませんか?」

室長の前にお弁当箱を置くと、室長はポカンとした顔で私を見返した。

難波

これは‥なんだ?

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サトコ

「お弁当です」

難波

‥だろうな

サトコ

「て、手作りしてみました‥!」

難波

え‥お前が?

サトコ

「はい!」

「いつもお疲れだと思いますので差し入れ出来たら‥なんて」

室長の沈黙が永遠のように長く感じる。

(ど、どうしよう‥手作り弁当なんて重すぎたかな!?)

難波

じゃあ、遠慮なく

ちょうど腹減ってたんだよ‥

(よかった‥第一関門クリア!)

室長はお弁当のふたを開けると、しみじみおかずを見つめながら食べ始めた。

難波

お、うまいな

サトコ

「本当ですか!?」

(よかったー!!!)

難波

ああ、お前って‥

室長は一度言葉を止め、じっと私を見つめた。

難波

意外と胃袋を掴むタイプかもな

サトコ

「え‥?」

難波

こんなん食わせられたら、男は嫁にしたくなるだろ

サトコ

「そ、そんな‥!」

(嬉しい‥!!!頑張って作ってきた甲斐があったよ!)

(でもここまで言われるとは思わなかったから、どう反応したらいいのか‥)

顔を赤らめたままもじもじしていると、室長が軽く吹き出した。

難波

お前、やっぱり男慣れしてねぇな

サトコ

「そ、それは‥!」

ますますどうしたらいいのか分からなくなってしまった私の頬を、室長が軽く摘まむ。

難波

こんなこと言われたくらいで、なに赤くなってんだ

サトコ

「い、いたっ!」

難波

ははっ、お前のほっぺ、たこ焼きみたいで柔らかいな

感触が気に入ったのか、室長は嬉しそうに何度もむきゅむきゅ私の頬を摘まむ。

サトコ

「ちょ!やめてくらさい!」

必死に逃れようとする私を見て、室長が笑った。

難波

悪い、悪い

ほら

サトコ

「ええっ!?」

室長が顔をグイッと近づけてきた。

サトコ

「いや、その‥」

(えっ‥室長のほっぺを摘まめってこと!?)

(いやいやいくらなんでもそれは‥)

(っていうか何!?この甘酸っぱい展開は!!)

止まったままの室長。

恐る恐る室長の頬に触れようとすると‥

難波

ははっ

バカ、なに本気にしてんだ

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サトコ

「えっ!?」

スッと身を引いた室長が豪快に吹き出した。

難波

お前はウブで可愛いな~

そういうとこがほっとけないんだろうけど

室長にガシガシ頭を撫でられながら、やっとからかわれていたのだと気付く。

一瞬で顔が赤くなったのが分かって、慌てて俯いた。

(‥なに本気でほっぺ触ろうとしちゃったんだろ)

(穴があったら入りたい‥)

難波

ま、俺は気に入ったぞ

お前のほっぺたこ焼き

サトコ

「え‥?」

室長の紛らわしい発言にドキドキが止まらない。

(気に入ったのは、あくまでもほっぺたの感触‥)

(期待しちゃダメ!期待しちゃダメだよ、氷川サトコ!!!)

室長の発言に意味がない事なんてわかっている。

それでもほんの少しだけでも、自分のことを気に入ってくれていたら‥

そんな想いが募るばかりであった。

End



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