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石神 キス

キス&Kiss 【1】

「さようならの代わりのキス」

【公園】

サトコ

「夜景が綺麗で‥とても素敵なレストランでしたね」

石神

ああ

私たちはディナーの後、公園を歩いていた。

遅い時間のせいか、私たち以外の人影はない。

石神

‥そろそろ、時間だな

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サトコ

「あっ‥」

石神さんの言葉に、声が漏れてしまう。

(寂しい、なんて思っちゃダメなんだよね‥)

【個別教官室】

サトコ

『出張、ですか?』

石神

ああ。明日から3週間ほどな

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サトコ

『そうですか‥』

『‥わかりました。留守の間は、任せてくださいね!』

【公園】

(石神さんはお仕事なんだから、笑顔で送り出さなきゃ)

込み上げる寂しさを、ぐっと堪える。

サトコ

「‥石神さん」

ふと足を止めて名前を呼ぶと、石神さんが振り返る。

私はそんな彼の肩に手を置き、精一杯背伸びをして‥

サトコ

「ん‥」

石神

っ!

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キスをすると、石神さんの驚きが唇から伝わってきた。

石神

サトコ‥?

サトコ

「‥‥‥」

急に恥ずかしさが込み上げるも、精一杯の笑顔を見せる。

サトコ

「気を付けて行ってきてくださいね」

石神

‥‥‥

石神さんは口元に手の甲を当て、困ったように視線を逸らす。

石神

お前ってやつは‥

どこか呆れながらも、頬を薄っすらと赤く染めて‥

サトコ

「あっ‥」

私を抱き寄せ、額にキスを落とした。

石神

‥寂しくさせて、悪い

石神さんは私の唇を優しく撫でて、耳元に唇を寄せる。

石神

続きは帰ってきたら‥な

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吐息が耳を掠め、トクンと心臓が高鳴った。

to be continued

キス&Kiss 【2】

「反論を聞かないためのキス」

【街】

サトコ

「っ、石神さん!」

石神さんの姿を見つけ、自分でも分かるくらい満面の笑顔になる。

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サトコ

「お疲れさまです」

石神

ああ。長い間、留守にして悪かったな

サトコ

「ふふ、頼まれていた仕事はちゃんと終わらせましたよ」

石神

そうか

石神さんは目を細めると、自然な動作で私の手を取った。

【ホテル】

私たちはホテルにやってくると、エレベーターに乗る。

ふたりきりのエレベーターは、最上階に向けてゆっくりと上昇していく。

(石神さんとディナーなんて久しぶりだなー)

隣に石神さんがいる‥ただそれだけのことなのに、頬が緩みっぱなしだった。

石神

‥何かいいことでもあったのか?

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サトコ

「はい。だって、石神さんと‥」

石神

俺と?

サトコ

「あ、いえ‥」

ふいに恥ずかしさが込み上げ、口をつぐむ。

石神

どうした?

顔を覗き込まれ視線を逸らそうとすると、石神さんの髪が目に留まった。

サトコ

「石神さん、ちょっと髪伸びました?」

手を伸ばし髪に触れる。

(ふふ、柔らかいなぁ‥)

指先の感触に、改めて彼が傍にいることを実感していると‥

石神

‥ニヤつきすぎだ

手を掴まれ、壁に押し当てられる。

(こ、これって、壁ド‥)

サトコ

「ん‥」

強引に唇が重ねられ、一瞬、息が止まった。

サトコ

「っ‥」

久しぶりのキスは強引で、だけどちゃんと温もりもあって‥とても優しい。

顔が離れると、石神さんの瞳が私を射抜いた。

サトコ

「石神、さん‥」

逸る鼓動を必死に抑えながら、言葉を探していると‥

サトコ

「!」

エレベーターが止まり、扉がゆっくりと開き始める。

女性

「ここのホテルに泊まれるなんて、夢みたい!」

男性

「いつか来ようって、約束したからな」

石神

‥‥‥

石神さんは私から離れ、何事もなかったかのように平然としていた。

扉が閉まると、再びエレベーターは上昇していく。

(び、ビックリした‥)

チラリと隣を見ると石神さんを目が合い‥

石神

フッ‥

サトコ

「ふふ」

私たちはこっそりと、笑い合った。

to be continued

キス&Kiss 【3】

「おはようより先に愛を込めたキスを」

【石神 マンション】

サトコ

「ん‥」

暗闇の中で、唇に何かが触れる。

(今のは‥)

瞼を開けると、目の前には石神さんの顔があった。

石神

起こしたか‥?

サトコ

「いえ‥」

先程の感触が気になり、唇を触る。

(もしかして‥)

ぼんやりする頭で、石神さんの唇をじっと見つめる。

石神

‥お前の寝顔が可愛かったからな

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サトコ

「っ‥」

聞き覚えのある言葉に、頬が熱くなる。

サトコ

「か、可愛いって‥ハッ!」

(ね、寝癖!)

慌てて髪に触り、寝癖の確認をする。

(昨日はお風呂に入って、そのまま石神さんと‥)

乾かす間もなく甘い夜を迎えたため、余計に気になってしまう。

石神

フッ‥慌ただしいなお前は

サトコ

「だって‥!」

楽しそうに笑う石神さんに恥ずかしさでいっぱいになり、頭から布団をかぶった。

石神

なぜ、隠れる

サトコ

「察してください!」

石神

‥サトコ

サトコ

「っ‥」

石神さんは布団を剥ぎ取ると、両手で私の頬を包み込む。

石神

どんなお前も俺には愛しい。‥気にするな

サトコ

「んっ‥」

熱いキスが、唇を塞ぐ。

愛情を注ぎこまれるようなキスに、頭がクラクラした。

(息、出来なっ‥)

キュッと石神さんにしがみつくと、僅かに勢いが弱まった。

石神

‥‥‥

サトコ

「あっ‥」

一度唇が離れ、石神さんは覆いかぶさるように私を組み敷く。

石神

‥あまり俺を煽るな

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サトコ

「煽ってなんか、な‥」

ふと、石神さんの頬が染まっていることに気付く。

そっと彼の頬に手を伸ばすも、触れる前に手が握られてしまった。

石神

‥そういうのが煽っているというんだ

サトコ

「っ‥」

愛しい温もりが唇を伝い、ゆっくりと目を閉じる。

先ほどとは違う、慈しむような口づけは、私の身も心も溶かしていった。

Happy  End

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