【カフェテリア】
サトコ
「うーん‥」
鳴子
「どうしたの?」
サトコ
「目にゴミ、入ったみたいで‥」
鳴子
「やだ、こすっちゃダメだよ!赤くなってる!」
「目薬は?」
サトコ
「バッグの中‥教官室にあるんだけど」
鳴子
「早く取ってきなよ‥私、先に寮に戻ってるけど平気?」
サトコ
「うん、行ってくるね」
【個別教官室】
サトコ
「失礼します」
颯馬
「サトコさん‥」
「もしかして、こちらですか?」
サトコ
「ああ、私のバッグ‥!」
「すみません、置きっぱなしにしてしまって」
颯馬
「いえ、取りに来ていただければお会いできると思って待ってました」
「ときに‥片目が随分と赤いようですが。大丈夫ですか?」
サトコ
「目にゴミが入ってしまったみたいで‥」
「だから目薬を取りに来たんです」
(えーっと、この辺に‥あったあった!)
目薬をさすが、目は痛痒いまま‥
サトコ
「うぅ‥」
颯馬
「ああ‥こすってはダメです。少し見せてください」
両頬を包まれ、上を向かされる。
サトコ
「あ、あの‥」
(なんか、キスできちゃいそうなシチュエーションに‥)
颯馬
「こんなに真っ赤にして‥」
「綺麗な瞳が傷ついてしまってはよくありませんから‥」
濡れた目元に、教官の唇が落ちる。
サトコ
「きょ、教官!」
颯馬
「フフッ、どうしました。そんなに慌てて‥」
サトコ
「だっ!こ、ここっ!がっこ‥!」
颯馬
「早くよくなるように、おまじないをしただけですよ」
そう言って、教官はもう片方の瞳にもキスをした。
サトコ
「そ、颯馬教官!ダメで‥っ」
ゆっくりと落ちてきたそれは、徐々に下へ降りて、口元の横まで来る。
気付くと、バッグを置いていたソファに、自分自身が座らされていた。
颯馬
「いい子だね、サトコ」
「ここが学校なのが、残念だ」
その口調から、教官の雰囲気が学校での態度とは違うことに気付く。
(う、裏颯馬さん‥!)
シュルっとネクタイを緩める姿を、何故かもどかしく感じる。
颯馬
「今晩は‥私の家でいい?」
耳元に熱のこもった声。
顔が熱くなるだけでは止まらず‥胸の鼓動は否が応でも高まる。
いつの間にか、目の痛さなんて忘れてしまっていた。
Happy End