カテゴリー

お返し 後藤1話

【滝】

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-001

後藤

サトコ‥

暗闇の中、優しい口づけが贈られる。

ゆっくりと顔が離れると、後藤さんは柔らかく微笑んだ。

後藤

アンタといると、何があっても笑っていられる気がするな

サトコ

「私もです。後藤さんと一緒にいられるだけで‥」

その瞬間、暗闇の中に光が差す。

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-002

青や赤、黄色に紫‥ライトアップされた滝が、幻想的な姿を見せる。

サトコ

「綺麗‥」

後藤

ああ

後藤さんはフッと笑み、私の頬に手を添える。

後藤

アンタがくれたクッキー、美味かった

また‥作ってくれるか?

(あのクッキー、そんな喜んでもらえてたんだ‥)

【駅】

バレンタイン当日。

サトコ

「あ、後藤さん!」

後藤

サトコ‥?

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-004

(ふふ、驚いてる)

潜入捜査で忙しい後藤さんに、バレンタインのクッキーを渡したい‥。

そんな思いから、講義が終わると潜入捜査場所の近くまで後藤さんを迎えに来ていた。

後藤

どうしたんだ?

サトコ

「どうしても、当日に渡したくて‥」

「ハッピーバレンタイン、です」

後藤

‥‥‥

ラッピングされたクッキーを渡すと、後藤さんは目を丸くする。

後藤

バレンタイン‥

サトコ

「ふふ、もしかしなくても忘れてました?」

「甘さ控えめなので、食べやすいと思います」

後藤

ああ、ありがとう

後藤さんは嬉しそうに微笑むと、クッキーを受け取る。

サトコ

「今日の捜査は終わりですよね?」

後藤

ああ。途中まで一緒に帰るか

サトコ

「はい!」

【電車】

後藤

長い間、留守にして悪いな

私たちはドアの近くに立ち、久しぶりの逢瀬に胸を弾ませていた。

サトコ

「捜査はまだ続きそうですか?」

後藤

ああ、今月中にはなんとかカタがつくだろう

それまでアンタにもいろいろやってもらうことがあるだろうが‥

サトコ

「雑用は任せてください!私は後藤さんの補佐官ですから」

後藤

そうだな

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-006

後藤さんは微笑みながら、私の頭をポンッと撫でる。

アナウンス

『まもなく、次の駅に‥』

サトコ

「あっ‥」

(もう後藤さんの最寄駅に着いちゃうんだ‥)

ふと寂しさが過るも、笑顔で隠す。

サトコ

「後藤さん、忙しいのは分かってますけど、体調には気を付けてくださいね」

後藤

ああ

電車が駅に着き、ドアが開く。

後藤さんは電車から降り、振り返ると‥

サトコ

「それじゃあ、また‥」

後藤

‥サトコ

サトコ

「!」

【ホーム】

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-007

サトコ

「後藤、さん‥?」

私は後藤さんに腕を引かれ、ホームに降りた。

アナウンス

『閉まるドアに、お気を付けください』

ドアが閉まると、電車はゆっくりと走り出す。

後藤

‥悪い。まだ離れたくなかった

そして、後藤さんは私を抱き寄せ‥

サトコ

「ん‥」

優しいキスをしてくれる。

サトコ

「ご、後藤さん。こんなところで‥」

後藤

誰もいないから、大丈夫だ

サトコ

「そういう問題じゃ‥」

後藤

サトコ‥

後藤さんは身体を離すと、私の言葉を遮るように口を開く。

後藤

来月の14日、連れて行きたいところがある

サトコ

「来月、ですか?」

後藤

ああ

(来月の14日って‥ホワイトデー、だよね)

後藤

予定、空けておいてくれるか?

サトコ

「はい!それを楽しみに頑張れます!」

デートのお誘いに、ニコニコと頬が緩む。

後藤

俺も楽しみにしてる

後藤さんはもう一度私を抱き寄せて、そっとキスをした。

【車内】

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-008

ホワイトデー当日。

サトコ

「今日はどこに行くんですか?」

後藤

着いてからのお楽しみだ

駅前を出発してしばらく、車は街を外れて高速道路に乗っていた。

(どこに連れてってくれるんだろう?)

久しぶりのデートに、期待で胸が膨らむ。

そして、しばらく高速道路を走って着いた先は‥

【日本庭園】

サトコ

「ここは‥」

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-009

後藤

ここの庭園は梅の名所だ。今日は暖かいし、梅も見頃だろう

近くに着物のレンタルショップがあるから、そこで着物を借りて散策しよう

サトコ

「ふふ、素敵なデートプランですね」

後藤

‥そうか?

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-010

ふいに視線を逸らす後藤さんの耳は、少しだけ赤く染まっている。

<選択してください>

A: 耳、赤くなってますよ?

サトコ

「耳、赤くなってますよ?」

後藤

‥アンタのせいだ

サトコ

「でも‥」

後藤

‥‥‥

サトコ

「あっ‥」

後藤さんは私の手を取り、歩き出す。

後藤

ほら、行くぞ

(後藤さん‥照れてる、のかな?)

いつもより強く繋がれた手に、笑みがこぼれた。

B: 後藤さんって可愛いですね

サトコ

「後藤さんって可愛いですね」

後藤

可愛い?

サトコ

「素直じゃないけど、分かりやすいって言いますか‥」

後藤

‥‥‥

(あ、あれ?怒っちゃったかな‥?)

後藤

‥可愛いのは、アンタの方だろう?

それに、オレは可愛いと言われるより‥

サトコ

「?」

後藤

‥なんでもない

行くぞ

C: 手を繋ぐ

(可愛いって言ったら、怒るかな?)

後藤

‥どうした?

サトコ

「ふふ、なんでもないです」

私は後藤さんの手を繋ぐ。

私よりも大きくて、男らしい手。

(後藤さんはこの大きな手で、いろいろなものを守ってきたんだろうな)

(私もいつか後藤さんの隣に並べるように‥支えられるように、もっと頑張らなきゃ)

【レンタルショップ】

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-011

サトコ

「わぁ、綺麗な着物‥!」

レンタルショップには、色とりどりの着物が並んでいた。

サトコ

「こっちの赤い着物も可愛いし‥あっ、こっちの着物はシンプルだけどデザインが良いな‥」

(う~ん、いろいろあって迷うな‥)

サトコ

「後藤さんは、どれが好きですか?」

後藤

女物の着物はよくわからないが‥

後藤さんはいくつかの着物を手に取り、じっと眺める。

後藤

これ、アンタに似合いそうだな

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-012

後藤さんが選んだ着物は、白地で花柄のシンプルなデザインだった。

サトコ

「可愛くて、でも落ち着きがあって‥いいデザインですね」

「私、これにします!」

後藤

そうか

サトコ

「後藤さんの着物は、私が選んでいいですか?」

後藤

ああ、頼む

私はいくつかの着物を見て、落ち着いた色合いのものを選ぶ。

後藤

それじゃ、着付けをお願いするか

サトコ

「はい」

着物をレンタルすると、着付けの順番を待つ。

そして‥

サトコ

「順番、なかなか回って来ませんね」

後藤

スタッフの手が足りてないんだろう。結構混んでるみたいだしな

サトコ

「そうですね‥」

(後藤さんとせっかくのデートなのにな‥)

一緒にいられるだけで充分だと思っていたのに‥そんな小さな欲が顔を覗かせる。

後藤

ちょっと待ってろ

サトコ

「後藤さん‥?」

後藤さんは私をその場に残し、近くのスタッフに話しかける。

(どうしたんだろう‥?)

後藤

サトコ、こっちだ

後藤さんは私の手を引き、試着室へ向かう。

【試着室】

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-013

サトコ

「あの‥」

試着室に入るなり着物を広げる後藤さんに、首を傾げる。

後藤

俺が着付けてやる

サトコ

「えっ、後藤さんがですか!?」

後藤

ああ、まずは服を脱いでくれ

サトコ

「あ、あの‥」

(後藤さんが見てる前で自分から脱ぐのって、緊張する‥)

サトコ

「は、はい‥」

(それにしても、後藤さんって着付けできたんだ‥)

一枚一枚服を脱いでいき、ほぼ下着だけの状態になる。

後藤

まずは足袋と裾避けだな

後藤さんは私に足袋を履かせると、薄い布を腰のあたりに巻いていく。

後藤

こんなもんか‥次は肌襦袢だな

サトコ

「はい‥」

肌襦袢が広げられ、袖を通す。

後藤さんは私の前に回ると、丁寧に紐を結んだ。

(こうして着せてもらうのって‥なんだか、恥ずかしいかも‥)

後藤

次は長襦袢‥

サトコ

「‥‥‥」

後藤

‥おい、聞いてるか?

サトコ

「は、はい!?なんですか?」

後藤

アンタな‥そんな赤い顔するな

‥こっちまで照れるだろ

サトコ

「へ‥?」

後藤

‥ほら、次は長襦袢だ

サトコ

「は、はい‥」

後藤さんは平然を装いながら、着付けを続けているけど‥

(少し顔が赤くなってる‥)

だけどそれ以上に、私の顔は赤くなっていた。

後藤

こんなもんだろ

サトコ

「わぁ‥!」

試着室に備え付けられている鏡には、きっちりと着物に身を包む私の姿が映っていた。

後藤

よく似合ってる

サトコ

「後藤さんのおかげです!ありがとうございます」

後藤

っ‥

サトコ

「あっ‥」

ニッコリと微笑むと、後藤さんは私の手を取ってそっと引き寄せる。

後藤

アンタってやつは‥

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-015

サトコ

「ん‥」

後藤さんは私を抱きしめると、首元に唇を落とした。

<選択してください>

A: だ、ダメですよ!

サトコ

「ご、後藤さん‥!ダメですよ!」

後藤

何がダメなんだ?ここには、俺たちしかいないだろう

サトコ

「そうですけど‥」

後藤

‥アンタが可愛すぎるから、抑えられそうにない

サトコ

「っ‥」

口元に笑みを浮かべる後藤さんが、妙に色っぽく感じた。

そして顎に手を添えられると、顔がゆっくりと近づく。

(後藤さん‥)

心の中で愛しい名前を呼びながら、ゆっくりと瞼を閉じると‥

B: 後藤の服の裾を掴む

サトコ

「ご、後藤さん‥」

恥ずかしさのあまり、ギュッと後藤さんの服を掴んだ。

後藤

‥もっとほしいのか?」

サトコ

「そ、そういうわけじゃ‥」

「っていうか、後藤さんこそどうしたんですか?」

「いつもより、大胆っていうか‥」

後藤

大胆、か‥

後藤さんは苦笑すると、私を抱きしめる腕に力を込める。

後藤

今日くらいはいいだろう?

俺だって、本当はもっとアンタと‥

C: 後藤をじっと見つめる

サトコ

「後藤さん‥」

じっと見つめると、後藤さんは私の頬に手を添える。

後藤

‥そんな顔するな。誘っているようにしか見えない

サトコ

「そ、そんな、誘ってなんか‥ん」

今度は唇に、軽いキスが落とされる。

後藤

そういうのが、誘ってるって言うんだよ‥

サトコ

「ご、後藤さ‥」

コンコンッ

サトコ

「!」

スタッフ

「お任せしてしまって、すみません。着付けは大丈夫でしょうか?」

後藤

大丈夫です。もう少しで終わりますから

スタッフ

「かしこまりました」

(ビックリした‥)

サトコ

「後藤さん、そろそろ‥」

後藤

分かってる。だけど、最後に一回だけ‥

スタッフの足音が遠ざかるとともに、後藤さんの顔が近づいてきて‥

サトコ

「ん‥」

小鳥がさえずるような可愛らしい口づけを交わした。

to be continued

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする