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お返し 加賀1話

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【街】

ホワイトデー当日、学校を終えて指定された場所に行くと、すでに加賀さんが待っていた。

加賀

遅ぇ

サトコ

「ま、待ち合わせの15分前ですけど‥」

加賀

俺より遅く来たことに変わりはねぇ

(こんなに早く来て『遅ぇ』と罵られる私‥)

(でも今日はホワイトデーデートだし、どんな罵りにも耐えられる‥!)

ふと見ると、加賀さんの後ろにはなぜか自転車が停まっている。

(しかも、あれって‥ふたりで漕ぐ“タンデム自転車”!?)

(は、初めて見た‥本当にサドルもペダルもふたり分あるんだ。いったい誰が‥)

加賀

さっさと乗れ

サトコ

「はい?」

加賀

ソレのことだ

加賀さんが顎で指したのは、間違いなくタンデム自転車だった。

サトコ

「こ、これ‥まさか、加賀さんが借りてきたんですか?」

加賀

文句あんのか

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サトコ

「滅相もございません!」

「でも、一体何のために‥」

加賀

テメェが漕ぐために決まってんだろ

(漕ぐ!?私が‥ひ、一人で!?)

加賀

この間の体力測定、最下位だったらしいな

困惑する私に、加賀さんが蔑むような視線をくれる。

サトコ

「うっ‥そ、それは」

加賀

あんな軟弱な男共に負けてんじゃねぇ

(そんな無茶な‥)

(男女じゃ、そもそも基礎体力が違うのに)

でも、反論しようものならグラウンド100周よりも厳しいお仕置きが待っているに違いない。

言い訳できない私に、加賀さんが冷たく言い放った。

加賀

体力もねぇクズは、日頃からこれでも漕いで特訓しとけ

サトコ

「え‥」

加賀

やんのか、やんねぇのか

サトコ

「や、やります!」

(じゃあもしかして、今日は特訓のために呼び出されたの‥?)

(ホワイトデーデートだなんて、浮かれてる場合じゃなかった‥!)

泣く泣くタンデム自転車にまたがると、加賀さんが後ろに座る。

<選択してください>

A: 出発していいですか

サトコ

「えっと‥それじゃ、出発していいですか?」

加賀

ああ

サトコ

「ちなみに目的地は‥」

加賀

つべこべ言ってねぇで、とっとと出せ

サトコ

「は、はい!」

B: 加賀さんも乗るの?

サトコ

「え!?加賀さんも乗るんですか!?」

加賀

何のためのふたり乗りだ?

サトコ

「えっと‥ってことは、ふたりで協力して漕ぐということですよね?」

加賀

相変わらず、頭ん中お花畑だな

(漕ぐ気、ゼロ‥!)

C: 一緒に漕いでくれますよね?

サトコ

「ちなみに、加賀さんも一緒に漕いでくれるなんて‥」

加賀

‥‥‥

サトコ

「ないですよね。すみません」

(それじゃ訓練にならないもんね‥)

(それにしても‥こんなことなら、ヒラヒラのスカートなんて履いて来るんじゃなかった!)

風でスカートがめくれないよう、四苦八苦しながら自転車を漕ぎ始めた。

【街】

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必死に自転車を漕ぐ私の後ろに乗る加賀さんは、予想通りまったく手伝ってくれる気配がない。

(いくら特訓といえど、ちょっとくらい協力してくれても‥!)

(うう、疲れた‥自転車に乗ったのなんて、何年ぶりだろう‥)

加賀

スピードが落ちてきてる

サトコ

「!」

加賀

やる気あんのか、クズが

サトコ

「が、頑張ります!」

(でも、目的地がわからないから、なおさら疲れが増してくる‥)

(頑張れ私‥!今まで命からがら耐えてきた加賀さんの訓練を思い出せば、自転車くらい‥!)

加賀

ついた、停めろ

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サトコ

「ま、まだやれます!」

「‥え?ついた?」

加賀

なにマヌケ面してやがる

もっと漕ぎてぇなら、好きにしろ

サトコ

「い、いえ!もう充分です!」

慌てて自転車を停めると、加賀さんが目の前の建物へと歩いていく。

その後を、私も慌てて追いかけた。

【スパ】

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(ここって‥スパだよね?確か、ホテル併設の豪華で有名なところだ‥)

(もしかして捜査?それとも、最近捜査続きでお疲れの加賀さんを癒すため‥?)

疑問に思いながらついていくと、加賀さんが入口でぴたりと足を止めた。

そして振り返りざまに、私の二の腕をガッとつかむ。

サトコ

「な!?」

加賀

最近、テメェの二の腕の吸い付きが悪ぃ

サトコ

「す、吸い付き!?」

加賀

この柔らかさはキープしとけと言ったはずだ

自己管理も満足にできねぇのか

疲れなんざ残しやがって‥

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サトコ

「あの‥疲れてると、す、吸い付きって悪くなるんでしょうか」

加賀

テメェで考えろ

(言われてみれば確かに、最近は遅くまで残って加賀さんのお手伝いしてたっけ‥)

(じゃあ、もしかして‥私の疲れを癒すために連れて来てくれたの?)

密かに喜ぶ私を見て、加賀さんが不機嫌そうな顔になる。

加賀

チッ

サトコ

「舌打ち!?」

加賀

気色悪ぃ面してんじゃねぇ

サトコ

「すみません‥」

(彼女に対して、『気色悪ぃ』って‥もう慣れたけど)

(それにしても、加賀さんが私のために‥)

そう思うとまたニヤけそうになったけど、何かおかしいことに気付く。

サトコ

「‥あの、加賀さん」

加賀

なんだ

サトコ

「私の疲れを癒すために、連れて来てくれたんですよね?」

「それなのに、自転車を漕がせてここまで来るとは、これいかに‥」

私の言葉を最後まで聞くことなく、加賀さんは一人で建物の中に入って行ってしまった。

(ほ、本当に癒すために連れて来てくれたの!?)

(ただ単に、私をいびりたかっただけなんじゃ‥!?)

そう思いつつも、慌てて加賀さんを追いかけスパに足を踏み入れた。

【個室】

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豪華で有名なだけあり、中はふかふかの絨毯が敷き詰められ、高級ホテルのようだった。

サトコ

「すごいですね‥!こんな世界があるなんて」

「加賀さんはよく来るんですか?」

加賀

こんなとこに一人で来て何が楽しい

サトコ

「じゃあ、やっぱり私のため‥」

言いかけた時、加賀さんの大きな手に口を塞がれた。

サトコ

「もごっ」

加賀

くだらねぇこと言ってんじゃねぇ

サトコ

「んんんんん‥」

加賀

わかりゃいい

あっさり、加賀さんが手を離してくれる。

サトコ

「加賀さん‥今の『んんんんん』でよく、『すみません』って言ったって分かりましたね」

加賀

‥‥‥

サトコ

「すみません。もう何も言いません」

(これ以上怒らせると、たぶんもう、あとがない‥)

サトコ

「えっと‥ちなみにここって、個室ですよね」

加賀

らしいな

サトコ

「他の人が一緒の、普通のところじゃダメだったんですか?」

加賀

ゆっくりできねぇ

(なるほど‥加賀さん、人が多いところは好きじゃないもんね)

(でも、ここって‥)

部屋を見渡すと、なんとなくただの個室とは違う雰囲気がする。

(そういえばさっき、スタッフの人も『カップル専用の‥』とか言ってたよね)

(もしかしてここ、カップルのための個室‥?)

準備してあったスパ用の服に着替えようと手に取った時、突然、加賀さんが隣で服を脱いだ。

サトコ

「!?」

加賀

なんだ

サトコ

「い、いえ‥!」

慌てて背中を向けると、加賀さんが私の肩を掴み、耳元で囁く。

加賀

発情してんじゃねぇ

サトコ

「し、してません‥!」

加賀

ほう‥?主人に嘘つく気か

意地悪に笑い、加賀さんが私の頬を指でなぞる。

(た、確かに加賀さんの裸を見て頬が熱いけど)

(でもこれは決して、発情しているわけじゃ)

いつまでも着替えようとしない私のブラウスを指で引っ張り、加賀さんが微かに笑う。

加賀

テメェも、とっとと脱げ

サトコ

「‥‥!」

加賀

それとも、駄犬は着替えもできねぇか?

<選択してください>

A: 見られてたら無理です

サトコ

「み、見られてたら無理です‥!」

加賀

そんなくだらねぇことを気にするように躾けた覚えはねぇ

(く、くだらない!?かなり重要なことだよね‥!?)

サトコ

「あの‥せ、せめて加賀さんが見てないところで‥!」

B: 向こう向いてて

サトコ

「で、できます!でもせめて、向こう向いててもらえませんか‥」

加賀

テメェの身体なんざ、見飽きてる

今さら隠すもんでもねぇ

サトコ

「そうかもしれませんけど、気分的に‥!」

C: 別の部屋で着替えてきます

サトコ

「あの‥それじゃ、別の部屋で着替えてきま‥」

加賀

それが許されると思うか?

サトコ

「思いません‥」

(でも、さすがに目の前で着替えるのは‥!)

加賀

四の五の言ってねぇで、さっさと脱げ

サトコ

「お、追いはぎ!?」

後ろから回ってきた加賀さんの手が、ブラウスのボタンをひとつ、ふたつと外す。

微かに覗く肌を指で攻められると、甘い吐息が漏れた。

加賀

‥やっぱり発情してんじゃねぇか

サトコ

「ち、ちが‥」

加賀

テメェは、人に見られた方が興奮するんだったな

サトコ

「な‥」

私の腰を引き寄せると、加賀さんがブラウスのボタンをすべて外してしまう。

あらわになった肌の上を加賀さんの手が滑り、膝に力が入らなくなる。

サトコ

「か、加賀さっ‥ダメっ‥」

加賀

テメェは黙って、俺の言いなりになってりゃいい

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サトコ

「ぁっ‥‥‥‥」

こぼれそうな吐息を、慌てて手で口を押えて我慢する。

でもその私の手をつかみ、加賀さんが口から離した。

加賀

生意気に、我慢するつもりか

サトコ

「待っ‥あっ‥」

(声出したら、外に聞こえちゃう‥!)

(これからスパなのにっ‥こんなところで、ダメ‥!)

加賀

テメェの身体は、俺が教え込んだ通りに反応する

‥我慢しようなんざ、無理な話だ

サトコ

「加賀さんっ‥い、意地悪っ‥」

涙目で訴えたけど、加賀さんは口の端を持ち上げて愉しそうに笑うばかりだった。

(どうしよう‥このままじゃ、私‥‥‥)

to be continued

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