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カレらが執事になったら 3話

公安流・お嬢様の癒し方★0時を過ぎたら ~後藤の場合~

【リビング】

(部屋が綺麗になってたのって、こういう理由だったんだ)

ふたりで片付けていると、後藤さんが申し訳なさそうに肩を落とす。

後藤

アンタにも手伝わせてしまってすまない‥

サトコ

「ふふ‥気にしないでください。私のために、片付けてくれたんですよね」

「それに、片づけが苦手だなんて、後藤さん、かわいいです」

後藤

‥‥‥!

ハッとした後藤さんに、抱きしめられていた。

後藤さんの胸に顔をうずめるようにきつく抱きしめられて、前が見えない。

サトコ

「ご、後藤さん‥!?」

後藤

‥ちょっと待て

サトコ

「え?」

後藤

見るな

顔を上げようとする私を、後藤さんが腕の力を強めて止める。

それでもなんとか見上げると、後藤さんの頬は赤く染まっていた。

(後藤さんが‥照れてる!)

(っていうか、だ、抱きしめられたまま‥!)

慌てて離れようとした時、後藤さんの顔が近づいて、唇が触れ合った。

サトコ

「!」

後藤

‥執事の時間は、もう終わりだ

逆に照れる私に、後藤さんが時計を指す。

見ると、針は0時を指していた。

サトコ

「あ‥」

後藤

ここからは‥俺に、アンタを独り占めさせてくれ

サトコ

「後藤さん‥」

後藤

仕事中は、他の執事たちに触れられても文句が言えない

‥正直、我慢するのが大変だ

サトコ

「っ‥」

『執事』から『男の人』に戻った後藤さんと、飽きることなく唇を重ねた。

公安流・お嬢様の癒し方★0時を過ぎたら ~石神の場合~

【リビング】

(眠い‥けど、もう少しで終わる‥!)

睡魔と闘いながら、必死に資料作成を進める。

付き合ってくれている石神さんを見た時、その先の時計が視界に入った。

(あ‥もう0時になったんだ)

(石神さんが執事でいてくれる時間も、終わりか‥)

でも、どうやら石神さんは気付いていないらしい。

サトコ

「石神さん、もう0時になりましたよ。あとは自分で頑張りますので‥!」

石神

まだ終わっていない

サトコ

「え?」

石神

乗りかかった船だ。最後まで付き合う

サトコ

「ありがとうございます‥」

石神さんらしい言葉と優しさに、気合を入れ直した。

(早く終わらせれば、それだけ石神さんも早く帰れるんだし‥頑張ろう!)

石神

‥‥‥

サトコ

「どうしたんですか?」

石神

いや

私を見てフッと笑い、石神さんは再び、資料に目を落とした。

サトコ

「お、終わった‥やっと終わった‥」

資料を完成させて、ばったりとテーブルに突っ伏す。

そんな私の頭を撫でて、石神さんが微笑んだ。

石神

よく頑張ったな

サトコ

「ありがとうございます。石神さんのおかげです」

石神

いや、たいしたことではない

(相変わらずクールだな‥そこが素敵なんだけど)

(それにしても、こんな時間まで付き合わせて申し訳ない‥)

サトコ

「あの、石神さん‥何かお礼させてください」

「石神さんがいなければ、きっと今日中に終わらなかったと思います」

石神

礼か‥

少し考えたあと、石神さんが私を抱き上げた。

サトコ

「え!?」

石神

なら、今からお前の時間を貰う

私をお姫様抱っこしながら、石神さんが寝室へと向かう。

【寝室】

サトコ

「あ、あの‥石神さん、お仕事はいいんですか?」

石神

もう、執事ではない

サトコ

「あ‥」

石神

ただの男として‥お前に触れたい

サトコ

「‥っ!」

石神さんは満足そうに微笑むと、私の額にキスを落とす。

私はそっと、その首に抱きついたのだった‥

End

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