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東雲 恋の行方編 シークレット1



Episode2.5
「ランジェリーランデブー」

小テストで初の5番を取った私。
それに対して教官は、ご褒美として···

東雲
キミの言うこと、1つだけ聞いてあげるよ

サトコ
「だったら例のひったくり事件のこと、教えてください!」
「教官が、証言を変えた理由を」



【街】

こうして私は、チャンスをもらったわけだけど···

東雲
あーおいしかった
やっぱ、疲れたときはパフェだよねー

(ダメだ···今のところ、全然効果がない)
(せっかく朝から教官と一緒にいるのに)

東雲
···なに?キミ、まだ気にしてんの?
この爬虫類みたいな写真のこと···

サトコ
「ああ···っ」

東雲
すごいよね
ケーキを頬張る顔が『爬虫類』って···

サトコ
「ダメです!データ消してください!」

東雲
やだよ、もったいない

(この笑顔···また脅す気だ···)
(今度はあの写真をネタに、また私をパシらせて···)
(って、私が動揺してどうするの!)

さっきのスイーツカフェで、教官から教わったことを思い出す。

(情報を引き出すコツは『相手の感情を揺さぶること』···)
(つまり、教官を動揺させればいいわけで···)

そのとき、とあるお店の看板が目に入った。

(これだ!ここならきっと···)

サトコ
「教官、あの店に入りたいです!」

東雲
は?

サトコ
「ちょっとだけ···」
「ほんの、ちょっとだけでいいんで付き合ってください!」



【ランジェリーショップ】

店内を見回すと、様々なランジェリーがずらりと並んでいる。

(右にブラ、左にショーツ···)
(これなら教官もきっと動揺するはず···)

東雲
ふーん···
キミ、こういう店で下着を買ってるんだ

(···あれ?)

東雲
で、どれが欲しいの?
色はやっぱり紫系?

(『やっぱり』···?)
(ああっ、そういえば···!)

東雲
ああ、ウラグチさん、いいところに
これ、そこに落ちてたんだけど
キミか鳴子ちゃんのじゃない?

サトコ
「そ、それ···」

東雲
へぇ···これ、キミのなんだ
紫なんて、顔に似合わず派手だね

(···思い出した)
(この人、下着なんかじゃ全然動揺しない人だった···)

東雲
あ···これ、いいんじゃない?
カッパブラ

サトコ
「!?」

東雲
胸の部分がカッパの皿だって
キミ、こういうネタ系の下着、似合いそうだよね

サトコ
「似合いませんよ!」

東雲
似合うって。試しにつけてみなよ
意外と可愛いと思うし

(···可愛い?)

東雲
案外こういう下着からさ
キミの新しい魅力が見つかるんじゃない?

(···そうなのかな)
(だったら試着くらいしてみても···)
(って、なんでその気に···!)

サトコ
「騙されません!絶対につけません!」
「ていうか、今までのセリフ、かなりセクハラですよ」

東雲
ああ、確かにね
なんだか理不尽だけど

サトコ
「···?」

東雲
だってそうじゃない
性的興奮を覚えない相手に『セクハラ』って騒がれてもさ

(うっ···)

サトコ
「そ、そんなこと言ってますけど···」
「脱いだら案外すごいかもしれないですし!」

東雲
誰が?

サトコ
「·········私が」

東雲
躊躇うくらいなら、最初から言うのやめなよ

サトコ
「···っ」

(さっきからグサグサと···)
(ていうか、やっぱりおかしいよね)
(普通の男の人は、こういう場所ではもっと動揺するよね?)
(たとえば、あそこにいる···)

海司
「無理っす!」

そら
「そう言うなって。じゃんけんで負けたの、お前だろ」

海司
「でも、無理なもんは無理っす!」
「そらさんこそ、こういうの得意じゃないですか!」

そら
「バカ、勝手に決めつけんなよ」

(ほら、あれ!あれが正しい姿なんだってば!)
(普通の男の人は、こういうお店ではあんなふうにテレて···)

瑞貴
「どうしたんですか、2人とも」
「さっさと選べばいいじゃないですか」

(藤咲瑞貴ーっ!)

海司
「選べって、お前···だって女モノの下着···」

瑞貴
「仕方ないですよ」
「警護対象者の方は、今、外出制限されてるんですから」
「彼女には···」
「この猫のデザインがいいかな」

(すごい···)
(やっぱり元アイドルって何か違う···!)
(あんなに堂々とブラを手に···)

東雲
あれ、藤咲巡査部長···

サトコ
「!」

東雲
良かったじゃない。彼に下着を選んでもらえば?

サトコ
「無理です!無理無理···っ」
「それなら教官に選んでもらった方がまだマシ···」

東雲
じゃあ、カッパ

サトコ
「それはイヤです」

東雲
なんでさ
キミ、昔『長野のカッパ』って呼ばれてたんでしょ
石神さんが感心してたよ

サトコ
「それはそれ、これはこれです!」
「さすがに、その···カッパのブラはちょっと···」

東雲
あっそう。じゃあ···
オレが脱がせたくなるようなの、選ぼうかな

(え···)

東雲
······

(な···なんか胸元をジロジロと···)

東雲
···まぁ、サイズは控えめで

(ひど···っ)

東雲
この派手なのは、兵吾さんが好きそうだし

(私だって、寄せればなんとか···)

東雲
こういう透け感があるのは、颯馬さんが好きそうだし···

(いっそ、背中の肉も寄せて···)

東雲
ハハッ、この清楚なの、後藤さんあたりが好きそう

(こ、この際だからお腹の肉も···)

東雲
読めないのが石神さんなんだよなー
あの人、どうも今まで女の影が···
って、キミ···なにしてるの

サトコ
「えっ···あ、その···」
「いろいろからかき集め中っていうか···」

東雲
やめなよ
時間と労力のムダ

(そ、そんな、はっきり言わなくても···)

東雲
そもそも大きさなんてどうでもいいんじゃない?
大事なのは相手が誰かってことだし

サトコ
「そうなんですか?」

東雲
うん
オレ、さちならどっちでも平気

(ぐ···っ)

東雲
ついでにキミも
性的興奮を覚えないからどっちでもいい

(そ、そんな二重に落とさなくても···)

さすがにヘコんでいると、なぜか頭をくしゃりとされる。

東雲
ま、せいぜい頑張ってよ
キミの努力次第では···
······かもよ

サトコ
「えっ、今なんて」

東雲
······

サトコ
「教官···?」

東雲
···『喋る気になるかも』って言ったの
キミの努力次第で

(私の努力次第···それなら···)

サトコ
「わかりました。これから頑張ります!」
「なので今すぐ話してください!」
「例のひったくり事件のこと」

東雲
イヤだ。お断り

サトコ
「じゃあ、どうすればいいんですか!」
「カッパですか!カッパブラをつければいいんですか!」

東雲
え···それ本気?

サトコ
「本気ですよ。この際ですから!」
「でも、絶対に教官には見せませんけど」

東雲
いや、見たくないし

サトコ
「···っ!」

こうして話はどんどん脱線して···

私の情報収集はいつまで経っても成功しないのだった。

Secret End



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