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エピローグ 黒澤2話

サトコ
「う···ん···」

(肩···あったかいな···)
(なんでだろう···さっきまで少し寒かったのに···)

······バタン

(ん···ドア···?)
(なんで?たしか鍵かけてた···)

(はず······)

サトコ
「······」
「······あれ?」

(え···まさかの寝落ち?)
(ていうか、なんでテーブルに突っ伏して···)

サトコ
「そうだ、黒澤さん!」

(たしかソファで眠ってたはず···)

サトコ
「···いない」

(これって帰ったってこと?)
(そっか···そうだよね···)
(もう遅い時間だし、私、居眠りしちゃってて···)

サトコ
「······」
「·········」

(···なんだか、あの日みたいだな)
(「初めて」の翌日の···)
(朝、起きて、ひとりぼっちだったときの······)

サトコ
「···っ」

(ダメだ、思い出すな!)
(あのときはあのとき、今は今なんだから)

サトコ
「寝よう、とにかく」

(消灯時間を過ぎてるし、明日は実技訓練もあって···)

サトコ
「え···」

立ち上がったとたん、何かが肩から滑り落ちた。

(これ···私のカーディガン···)
(もしかして、黒澤さんがかけてくれた、とか?)

さらに、テーブルの上にはメモが置いてあった。

ーー「おはようございます」
ーー「起こすのが忍びなくて、こっそり帰りました」
ーー「愛のあいさつだけ残しておきますね」

(「愛のあいさつ」って···)
(このキスマークのイラストのことかな)

ーー「ところで、今度の土曜日、空いてますか?」
ーー「初デートはいかがでしょう」

サトコ
「!」

ーー「行き先のリクエスト、お待ちしています」

(うわ···うわっ)
(急すぎ!ていうか···)
(心の準備···はできてないわけじゃなかったけど!)

さっきまでのザワザワは、すっかり消えてしまっていた。
かわりに、胸の鼓動がうるさいくらい大きくなった。

サトコ
「ズルいよ、こんなの」

(急すぎるし、不意打ちだし)

でも、嬉しい。
すごく嬉しい。

(ああ、もう···ほんと···)
(我ながら、単純だなぁ)



【駅】

そんなわけで、約束の土曜日ーー

サトコ
「はぁぁ···」

(なんだろう、この緊張感)
(そういえば、ちゃんとした「デート」って学生時代以来だっけ)
(いちおう、外泊届も···出してきたけど···)
(ああ、でもまだ「初デート」だし、別にそういうことがなくても···)

???
「いいですねー、その顔」

(えっ)
(な···っ)

サトコ
「なにするんですか、いきなり!」

黒澤
もちろん、初デート記念の1枚ですよ
この写真、特別なフォルダに保存しておかないとなー

(ええっ!?)

サトコ
「ダメです、消去してください!」
「今、絶対ヘンな顔してましたよね?」

黒澤
「大丈夫です。ヘンな顔も素敵ですから」

(えっ、素敵···?)
(じゃなくて!)

サトコ
「やっぱりヘンな顔してたんじゃないですか!」
「カメラ、貸してください!」

黒澤
きゃー、助けてー
透、襲われちゃう···

???
「···何をやってるんだ、お前らは」

黒澤
!!

(こ、この声は、まさか···)

後藤
さっきから悪目立ちしているぞ
少しは周囲の目を気にしたらどうだ

サトコ
「す、すみません、つい···」

颯馬
仕方ありませんよ、後藤
心が通じ合ったばかりの男女は、得てして世界が狭くなるものです

(···うん?)

颯馬
視野が狭まり、周囲の雑音が耳に入らなくなり···
お互いの目には、お互いのことしか···

黒澤
すみませーん、オレたち、急ぎますんで

(ちょ···黒澤さん!?)

後藤
待て、黒澤!まだ話の途中···

黒澤
ハイハーイ、あとで聞きまーす

(軽っ)

サトコ
「いいんですか?こんなことして」

黒澤
大丈夫です。なんとかなりますよ
それより、このまま改札くぐっちゃってもいいですよね

サトコ
「はい、まぁ···」

(というか···)

サトコ
「あの···ひとつ聞いてもいいですか?」

黒澤
ハイ、なんでも

サトコ
「さっきの、颯馬教官のことですけど」
「もしかしてバレてるんでしょうか、私たちのこと」

黒澤
あー微妙なラインですね
オレは『カマをかけられたかな』って思ってますけど

(それって、ほとんどバレてるってことじゃ···)

黒澤
まぁ、いいじゃないですか。バレたならバレたで

サトコ
「えっ、それはちょっと···」

黒澤
どうしてですか?特に不都合はないでしょう
オレ、公安学校の関係者じゃないですし

サトコ
「でも、いろいろ気まずいというか···」

黒澤
バレたところで、誰も気にしないと思いますけどね
石神さんも後藤さんも、オレの恋愛に興味ないでしょうし

(たしかに···)
(石神教官と後藤教官は、恋バナとかまったく興味なさそう)

黒澤
あー、でも周介さんと難波さんはなぁ
飲み会で、酒の肴にされたりして···

サトコ
「!!」
「やっぱりダメです!ナイショでいきましょう!」

黒澤
えーオレ、オープンマインド主義なんだけどなー
学校の屋上から『サトコさーん、愛してまーす』って叫びたいんだけどなー

サトコ
「無理です!」
「絶対やめてください!」

黒澤
ハハッ、冗談ですよ、冗談

(どうだか···)

黒澤
それに···
意外と好きですよ、『ヒミツの恋』も
そういうの、燃えますし

(うわ···っ)
(反則っ···急な耳打ちとか···)

黒澤
···で、次の駅で乗り換えでしたっけ?

サトコ
「は、はい···」

(ダメだ···心臓に悪すぎる···)
(黒澤さんの特技って、実はハニトラなんじゃ···)

黒澤
それにしても意外でしたよ
サトコさんのリクエストが『あのお店』なんて

サトコ
「そうですか?」

黒澤
ええ。だって前にあそこで会った時は···
こーんな顔してたのに

サトコ
「···っ、あのときは、その···」
「いろいろ思うところがありましたから」

黒澤
オレに対して?

サトコ
「······」

黒澤
でも、今は違いますよね?

サトコ
「······まぁ······」

黒澤
どう違うんですか?

(「どう」って···)

サトコ
「今は、その······」

黒澤
······

サトコ
「·········好き···ですから···」

黒澤
ハーイ、サトコさんから『好き』いただきましたー

(な···っ)

サトコ
「声!ひそめてください!」

黒澤
大丈夫です。みんな、意外と聞いてませんって

サトコ
「でも···」

黒澤
あ、乗り換えですよ。ささ、下りましょう

(なんか、ずーっと黒澤さんに振り回されっぱなしな気が···)
(こんな調子で、1日保つのかな)



そんな不安を抱きつつも、ようやく私たちは目的にたどり着いた。
そう、ここは···

店員
「お待たせいたしました。ジャンボパフェです」
「スプーンはおふたつでよろしかったですか?」

黒澤
もちろん

(うわ···やっぱり大きい···)

このカフェの「ジャンボパフェ」を目にするのは、これで二度目だ。
ただ、以前来たときは一口しか食べなかった。
注文したのが、黒澤さんと真壁さんだったからだ。

(これ···いざ食べるとなると、どこから手をつけるか迷うな)
(とりあえずアイスのところから?)
(でも、下手に手を出すと、崩れそうだし···)

黒澤
どこでもいいですよ

サトコ
「えっ」

黒澤
食べる部分です。今、迷ってたでしょう?

サトコ
「···バレました?」

黒澤
ええ。真壁さんも、すごく迷ってましたし

(···そうだっけ?)

あの日のことを、思い出そうとしてみる。
けれども、頭に浮かぶのは黒澤さんのことばかりだ。

(あのときのフクザツな気持ちと···)
(ドキッとさせられたことと···それから···)

パシャ、とフラッシュが光った。

サトコ
「···っ、黒澤さん!」

黒澤
まあまあ。門外不出にしますから

サトコ
「そんなの、信用できません」

黒澤
えーひどいなぁ。考えてもみてくださいよ
ふつう、誰にも見せたくないでしょう?
オレとふたりきりのときの、サトコさんの姿なんて

(え···)

黒澤
そんなの、独り占めするに決まってるじゃないですか

(こ、この人···)
(なんで、こんなサラッと···)

黒澤
あ、ドキドキしました?

サトコ
「!」

黒澤
『黒澤さん、カッコイイ』って思っちゃいました?

サトコ
「!!」
「そんなの、思ってなんか···」

黒澤
でも100%本気ですよ

(え···)

黒澤
オレ、独占欲強いですから
今日撮った写真は、絶対に誰にも見せません

(黒澤さん···)

黒澤
なので、もう1枚···
撮ってもいいですか?

これまでとは違う、やわらかな声音。

サトコ
「·········ダメです」

黒澤
······

サトコ
「だって、今······」

(絶対···顔、赤い······)

黒澤
···わかりました
今回は、オレの心のフォルダに保存しておきます

サトコ
「······」

黒澤
それじゃ、早く食べましょう。アイス、溶けちゃいますよー

デート開始から、何時間も経ったわけじゃない。
それなのに「知らなかった黒澤さん」が、次から次へと顔を出す。

(人をからかうのが、好きっぽいところ)
(ドキッとさせるのが上手いところ)
(たまに、やわらかくなる眼差し······)

振り回されるのは、結構大変だ。
それでも少しずつ、いろいろな黒澤さんを知ることができるのは嬉しい。

(もっと、もっと知りたいな)
(これまで知らなかった、黒澤さんのこと)

サトコ
「あーさすがにお腹いっぱいです」

黒澤
女性にはけっこうなボリュームですもんね

サトコ
「でも、楽しかったです」
「一緒に、パフェを食べることができて」

黒澤
······

サトコ
「実はちょっとうらやましかったんです」
「前に、真壁さんと楽しそうに食べていたから」

黒澤
なるほど···つまり······
やきもちでしたか

サトコ
「!!」
「ち、違います!」

黒澤
えーいいじゃないですか
『やきもち』ってことにしちゃいましょうよー

サトコ
「しません!」

黒澤
えーオレ、やきもち妬かれるの好きなんだけどなー

(······そうなんだ)
(い、いちおう覚えておこうかな)

黒澤
ところで、次はどこに行きたいですか?

(あ···)

サトコ
「すみません。いろいろ考えたんですけど、あまり思いつかなくて」
「せいぜい、映画とか買い物くらいしか···」

黒澤
そうですか。だったら···
オレの行きたいところでもいいですか?

そこは、カフェの最寄駅から電車で20分ほど行った場所にあった。
有名な観光地ではあるけど、デートではあまり行かないところ。
ある意味「穴場スポット」と言える場所。

黒澤
うわぁ、ちょうどいい時間帯に来ましたね
見てください!霞が関方面、めっちゃきれいですよ

(これは予想外というか···)
(都内住まいだとなかなか来ないよね、東京タワーって)

黒澤
公安学校は···さすがに見えませんね

サトコ
「手前に新宿のビル群がありますから」

黒澤
あのビルがなければなぁ···惜しいなぁ

(すごくはしゃいでる···なんだか子供みたい)

サトコ
「好きなんですか?こういう景色を見るの」

黒澤
好きですね。子どもの頃、よく連れてきてもらっていました
特に、望遠鏡で街を覗くのが楽しみで
オレも兄も、いつも100円玉を握り締めていました

(兄?)

サトコ
「それって、幸成さんのことですか?」

黒澤
いえ、実の兄です
今は何をしているのか、わかりませんけど

サトコ
「えっ、どうして···」

黒澤
父が亡くなった時、兄は伯父に引き取られるのを拒んだんです
どうも養子になるのがイヤだったみたいで

サトコ
「じゃあ、それっきり?」

黒澤
ええ、会ってません

オレンジ色の光の中で、黒澤さんは薄く微笑んだ。

黒澤
今頃どうしてるのかなー
元気にしているのかなー

サトコ
「······」

黒澤
ちゃんと、生きてるのかなー

サトコ
「生きていますよ、絶対」

黒澤
······

サトコ
「元気にしていて···」
「いつか黒澤さんの前に現れます」

もちろん、断言できるだけの確証はない。
それでも、今だけはそう言い切りたかった。
夕闇に染まった黒澤さんの目が、わずかに揺らいでいたから。

黒澤
······優しいですね、サトコさんは

サトコ
「そんなことないです」
「単に、私がイヤなだけなんです」
「黒澤さんが、寂しそうにしているのが」

黒澤
······

サトコ
「あっ、でも···」
「寂しいときに『寂しい』って顔してくれるのはOKです!」
「『寂しくても強がっていてほしい』とか、そういうんじゃなくて···」
「黒澤さんに寂しい思いをさせる『環境』がイヤっていうか···」

黒澤
わかってます
ちゃんと伝わってますよ、ここに

黒澤さんは、軽く自分の胸元を叩いた。

黒澤
兄のことは、近いうちに探してみるつもりなんです
所属部署のおかげで、いろんな手段を知ってますし

(た、たしかに···)

黒澤
それに···
父の件も、一段落しましたから

ざわ、と胸が震えた。
それこそこの数日、私がずっと考えていたことだった。

(「一段落」···本当に)
(私ですら気にしているのに?)

黒澤
どこから調べようかなー
やっぱり出身校からかなー
サトコさんなら、まずは何を調べますか?

笑顔を見せながら、黒澤さんは自分の胸元を握り締めた。
シワの寄ったシャツに、胸がドキリとした。
同じような光景を、これまでにも何度か目にしてきた。

(数日前の合コンの時、部屋のソファで眠ってた時)
(それから···)

(そうだ、あの時···)
(黒澤さんが、お父さんの死について話してくれた時の···)

黒澤
ずっと待っていたんです、この機会を
警察官になると決めたときから···いえ···
三回忌に······されたときから、ずっと···

サトコ
「あの···!」

心が先走った。
気が付いたら、黒澤さんの手を掴んでしまっていた。

サトコ
「黒澤さん、私···っ」

黒澤
······

サトコ
「私でよかったら、その···」
「お父さんのこと······っ」

黒澤
そろそろ移動しましょうか

そっと手を外された。

黒澤
お台場方面の景色もきれいなんですよ
特に、某刑事ドラマで有名な、あの橋辺りが

線を引かれた。
やわらかな、それでいてはっきりとした拒絶だった。

(ああ、そっか···)
(ここから先は、ダメなんだ)

この先は、踏み込んではいけないんだーー

もちろん、そのあともデートは続いた。
いろいろな話をしたし、お台場の橋は本当に綺麗だった。

夕飯も、おいしいお店に連れて行ってもらった。
でも、どこか乗り切れない自分がいてーー

黒澤
あー久しぶりに休日を満喫したなぁ

サトコ
「······」

黒澤
オレ、ここのところ研修三昧だったでしょう?
おかげで、ぜんぜんゆっくりできなくて

サトコ
「···そうですか」

(なんだろう、この感じ···)
(デート前より距離ができたっていうか···)

もちろん「知らない黒澤さん」を目にする機会もあった。
それはそれで、すごくうれしかった。

(でも、ある部分から先には踏み込めない···)
(まるで「見えない壁」があるみたいな···)

サトコ
「あ···」

黒澤
どうしました?

サトコ
「ああ、その···」
「黒澤さん、次の駅で降りますよね?」

黒澤
いえ、降りませんよ
サトコさんを、ちゃんと寮まで送り届けないと

(······え?)

黒澤
ああ、でも寮まで送り届けるのはマズいのかな
オレとしては、誰に見られても構わないんですけど

(······そっか。泊りじゃないんだ)
(いいけど···fまだ「初デート」だし···)



(それに、今日はこれでよかったのかもしれない)
(なんか···うまく言えないけど···)

黒澤
なんだか遊び足りませんねー
今度は、もっと早い時間に待ち合わせしましょうか

サトコ
「······」

黒澤
···サトコさん?

サトコ
「えっ、あ···」
「そ、そうですね!今度は遊園地とか行きたいですね!」

黒澤
えっ、遊園地?
え、ええと···そうきましたか······
まぁ、スースーするものじゃなければ···

サトコ
「スースーするもの?」

黒澤
い、いえ!気にしないでください
今のはただの独り言です

サトコ
「はぁ···」

いまいち噛み合わない会話を続けているうちに、寮が見えてきた。
楽しみだったはずの「初デート」も、これでおしまいだ。

サトコ
「あの···ここまででいいです」

黒澤
でも···

サトコ
「大丈夫です。もうすぐそこなんで」

黒澤
······

サトコ
「それじゃ···」
「おやすみなさい」

黒澤
······おやすみなさい

最後に軽く頭を下げて、黒澤さんに背を向けた。
振り返るのが怖かったから、そのままズンズンと速足で歩いた。

(なんで、こんなことになっちゃったんだろう)
(誘われたときは、すごく嬉しかったのに)

もっと、距離が縮まると思っていた。
けれども、突き付けられたのは「見えない壁」だった。

(バカだ、私···)

あんなこと、言うんじゃなかった。
そうすれば、余計なことを知らずに済んだのだ。

(お父さんの話を、持ち出したりしなければ···)
(そうすれば、何も気づかなくて、楽しい気分のままで···)

サトコ
「······」

本当にそうだろうか。
そんなものを、私は望んでいるのだろうか。

(あんな、取り繕ったような笑顔を受け入れて···)
(適度な距離を保って、差し障りのない会話を続けて···)
(ただただ楽しく過ごすなんて···)

サトコ
「冗談じゃない」

(「見えない壁」に、気付かないままでいるよりは···)
(気づいて、頭をぶつけて痛がった方がよっぽどマシだ!)

そこからは必死だった。
ただただ全速力で、今来た道を引き返した。

(捕まえないと···黒澤さんにちゃんと伝えないと)
(このままじゃ、イヤだって···)
(その壁を、まだ壊せないとしても···)
(せめてヒビだけでも入れたいって···)



サトコ
「はぁ···はぁ···」

(黒澤さん···は······)
(·········いた!)

サトコ
「黒澤さん!」

お目当ての背中が、驚いたように振り返った。

黒澤
サトコさん、どうして···

サトコ
「送ります」

黒澤
はい?

サトコ
「家まで、送ります」

黒澤
···いやいやいや
何言ってるんですか、おかしいでしょう
送ったのはオレのほうなのに···

サトコ
「だから、送り返します」
「これで、おあいこです」

黒澤
いや、あの······
ええと、ほら!もう遅い時間ですし···

サトコ
「外泊届、出しています」
「だから問題ありません」

黒澤
······

サトコ
「お願いです。家まで送らせてください」

このまま帰りたくないーー
そんな思いを胸に、捕まえた右腕に力を込める。
黒澤さんは、何かを言いかけて···
結局は、それをため息に変えた。

黒澤
けっこう無茶苦茶ですね。サトコさんって

サトコ
「自分でもそう思います。でも···」
「そんなの、黒澤さんに対してだけです」

黒澤
······

サトコ
「送って行っても、いいですか?」

ようやく目が合った。
そこには、半ばあきらめのような色があった。

黒澤
「わかりました。よろしくお願いします」

to be continued

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