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加賀 出会い編 シークレット 1

『2人の教官に弄ばれて』

【個別教官室】

(どうして、こんなことに‥)

加賀
昨日の夜、俺の部屋に来いって言っただろ
なんで来なかった。その頭じゃそのくらいのことも覚えらんねぇのか

サトコ
「や、やめてください‥!」

弱者を追い詰める獣のような鋭い目をした教官から、必死に後ずさる。

サトコ
「私たち、教官と生徒なんですから‥!」

加賀
くだらねぇ

サトコ
「く、くだらないって‥!」

加賀
んな言葉で、俺を止められるかよ

教官の横をすり抜けて逃げようとしたけど、その前にドン!と壁に手をつかれて退路をふさがれた。

加賀
逃げられると思ったか?

サトコ
「教官‥お、落ち着いて‥」

加賀
それはテメェだ

整った綺麗な顔を、焦らすように近づけられる。

(言葉も態度も怖いけど、やっぱりかっこいい‥私、今絶対、顔真っ赤だ‥!)

サトコ
「し、東雲教官たちが戻ってきますよ‥!」

加賀
上等だ。見られている方が興奮するって、じっくり体に教え込んでやる

サトコ
「きょ、教官っ‥」

サトコ
「ダメ‥きょうか‥ん‥」

サトコ
「‥ハッ!」

ガクン!と身体が傾いて目が覚めた。

サトコ
「‥夢?」

(そうだ‥加賀教官の命令で、明日の訓練の課題を一人でまとめてて)
(あまりにも量が多くて、終わらなくて‥つい机でうとうとしちゃったんだ)

サトコ

「しかも、今日は石神教官と後藤教官にしごかれて、くたくただし‥」
「そのあとは、加賀教官と恋人のフリの演習をさせられて‥」

(だからあんな夢なんて見ちゃったんだ‥教官に追い詰められて、キスされそうに‥)
(いや!あり得ないあり得ない!天地がひっくり返ろうと、教官とあんなこと‥)


そんなにいやらしい夢見てた?

サトコ
「きゃっ」

突然、東雲教官が顔を覗き込んできた。

サトコ
「なな、なんですか‥!?」


兵吾さんとここで秘密の訓練する夢でも見てたの?

サトコ
「ど、どうして‥」


サトコちゃんって、ほんとわかりやすいよね~

(東雲教官が鋭いんだと思うけど‥)


で、夢の中の兵吾さんは優しかった?

サトコ
「な‥!」


あの人に限って、いくら夢だからって優しいわけないか
激しかった?それとも体の隅々まで調教されちゃった?

サトコ
「きょ、教官!」

必死に首を振って否定する私を見て満面の笑顔を浮かべると、東雲教官が手招きする。


ちょっと、兵吾さんに頼まれてる書類作成を手伝ってもらいたいんだけど

サトコ

「え?はい‥」


それにしても、サトコちゃんが兵吾さんと恋人のフリか。面白くなってきたね

サトコ
「え?」


なんでもないよ。じゃあこの書類、お願い

目の前に、大量の書類を乗せられる。


恋人のフリはどう?はかどってる?

サトコ
「はかどるって、何が‥」


なんなら、オレが訓練してあげてもいいよ。じっくり時間をかけて‥ね

書類を手伝う私の耳元で、東雲教官が吐息まじりにささやく。

サトコ
「け、結構ですから‥!」


オレの補佐官、サトコちゃんだったらよかったのにな
きっと、お互いに楽しめたと思うんだけど

サトコ
「東雲教官‥!」

ガラッとドアが開いて、加賀教官が入ってきた。

加賀
‥何してる

サトコ
「か、加賀教官!これは‥」


どこかの班長さんの書類作成と、あと恋人のフリの仕方も、指導しておきましたよ

(ええ!?なんか誤解を招く言い方‥!)

でも教官はまったく動じることなく、小バカにしたように軽く私に視線を流した。

加賀
このクズは使えそうか?


訓練次第では‥ってところかな。使いどころが難しそうだけど

加賀
やっぱりクズはクズか

(2人して勝手なこと言ってる‥本当に私のこと道具だって思ってるよね‥)

加賀
で、どこまで進んだ


あ、こっちの書類は終わりました。あとはこれだけ

加賀
貸せ

東雲教官から書類を受け取ると、身を投げ出すようにして加賀教官がイスに座る。

加賀
‥‥‥

(難しい顔してる‥加賀教官ってやっぱり、書類整理は苦手なんだな)


違うよ、オレとサトコちゃんの関係が気になってるんだよ

サトコ
「ひゃっ」

加賀教官を眺める私に、東雲教官が耳打ちしてきた。


あれ?サトコちゃんってもしかして耳が弱い?

サトコ
「な、な‥」

加賀
‥‥‥

私たちのやり取りを、加賀教官は気にしている様子もなく書類に目を落としている。

サトコ
「東雲教官、か、からかわないでください‥!」


からかうって耳のこと?

サトコ
「それもそうですけど‥!」


ああ、兵吾さんがオレたちのこと気になってるって?
まぁ確かに、書類整理も苦手だとは思うけどね

(っていうか‥私、『書類整理が苦手なんだな』って声に出してないよね‥?)
(東雲教官って、なんでこんなに人の心がわかるの!?)


オレたちがさっきどんな訓練したか、兵吾さんに報告する?
じゃないと兵吾さん、今以上に不機嫌になりそうだし

サトコ
「え‥」

(まさか‥それはないよ‥ね?)

サトコ
「って‥私たち、何もしてないじゃないですか!」

加賀
うるせぇ

加賀教官が、持っていた書類をバサッと私の方に投げてよこす。

加賀
さっさとやれ、クズ

サトコ
「すみません‥」


さてと、ちょっとモニタールーム行ってきまーす

(東雲教官、この状況で私を加賀教官と2人きりにするの!?)

東雲教官が出て行くと、立ち上がった加賀教官が私の顎をつかんで上を向かせた。

加賀
‥‥‥

(な、何‥!?)

目を離すことを許されない、無言で交わされる視線。
そして、教官のその指先が顎から唇へと触れていく。
見たこともないその真剣な表情を浮かべながら、教官の唇が近付いてきて‥‥

サトコ
「‥‥!」

加賀
‥色気の欠片もねぇな

サトコ
「え?」

加賀
もっとマシな反応できねぇのか

(あ‥もしかして今のも、恋人のフリの訓練‥!?)
(教官の訓練はイキナリすぎて、ついていけないよ‥)

加賀
芋くせぇ。これで雑用もできねぇなら、切り捨てちまった方がいいな

サトコ
「あ、あの‥頑張りますから!」

加賀
なら、追加だ

ドサッと、今取りかかっている書類の3倍はあろうかというファイルを乗せられた。

サトコ
「こ、これもですか‥?」

加賀
文句あんのか

サトコ
「い、いえ‥」

(なんだか私、入学してからずっと、教官に振り回されっぱなし‥)
(っていうか、この仕事‥今日中に終わるのかな)

書類の山に、がっくりとうなだれた私だった。

End

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