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加賀 出会い編 シークレット3

『あのキスの真意』

【校門】

加賀教官とスイーツ店に行った帰り、キスをされた。
今日はその翌日。

(はぁ‥なんかもう、頭が真っ白‥)


‥ちゃん

(教官のあのキスの意味は‥瞼だったけど、本当に唇にされるかと思った‥)


サトコちゃん、おはよう

サトコ
「えっ?あ、おはようございます」

颯馬
ぼんやりして、何かあったんですか?


さっきから呼んでるのに、全然返事しないから

サトコ
「す、すみません‥ちょっと考え事してて」


ん?どうしたの、その目の下のクマ

サトコ
「う‥寝不足で」

(昨日のことを考えてたら、全然眠れなかったんだよね‥)
(あのキス‥もしかして教官も私のこと‥?いやいや、まさか)


サトコちゃん、朝から兵吾さんのことばっかり考えすぎ

サトコ
「!」
「な、何のことを仰ってるのかさっぱり‥!」

颯馬
なんにしろ、今回の件は、サトコさんも加賀さんも無事でよかったです

サトコ
「ありがとうございます。颯馬教官たちが助けに来てくれたおかげです」

颯馬
さすがにあの倉庫を見た時は、2人とも危ないかと思いましたけど


あの人、ほんとに利益とか手柄のためならなんでもするもんね

サトコ
「なんでも‥ですか」


そう。今回みたいに命の危険があっても気にせず突入するし
他には、たとえば‥

私を見てからなぜか言葉を濁し、東雲教官が意味深に微笑みかける。


いや、まぁこれはいいか

サトコ
「‥気になりますよ。たとえば、なんですか?」


ほら、兵吾さんなら、好きでもない女とキスとか体の関係になるとか

(確かに‥否定できないところが、なんだか切ない‥)

今までのことを思い出していたら、東雲教官が顔を覗き込んでくる。


あ、やっぱり手出された?

サトコ
「え!?」

颯馬
フフ、あまりサトコさんをからかわない


だって、絶対なんかあったでしょ?

サトコ
「な、何もないです!」

慌てて否定したけど、東雲教官はずっとニヤニヤしたままだった。

【教場】

その日は、朝から加賀教官の講義だった。

(手柄や利益のためなら、好きでもない人とキスしたり体の関係になる、か‥)
(東雲教官たちの言葉はちょっと気になるけど、でも今はそれより‥)

加賀
とっとと動け、ノロマが

男性同期
「す、すみません!」

(あんなことがあった次の日に、朝イチで加賀教官の講義なんて‥いつも以上に緊張するよ)

加賀
次はテメェだ

サトコ
「え?あ、はい!」

加賀
さっさとしろ、クズが

いつものように乱暴な言葉を投げつけられながら、そろりと教官を見る。

加賀
あ?

サトコ
「い、いえ‥」

(また目が合った‥今日、これで何度目だろう)

その日は心なしかいつもより目が合うような気がして、なおさら緊張してしまったのだった。

【階段】

(はぁ‥朝の講義から、なんかものすごく疲れた‥)

加賀
おい

振り返ると、教官がこちらに歩いてくるのが見える。

サトコ
「な、なんでしょう」

加賀
何ビビってんだ

サトコ
「いえ‥」

(教官、いつも通り‥だよね)
(それにしても、なんだろう?また書類整理の手伝いかな)

加賀
まぁいい
今日の夜、空けとけ

サトコ
「へ?」

加賀
7時に駅前のロイヤルホテル最上階のレストランに来い

(ホテルのレストラン‥?どうして)

加賀
聞いてんのか?

サトコ
「は、はい!わかりました」

慌てて返事をすると、教官は私を見ることなくそのまま立ち去った。
呆然とする私の後ろから、鳴子が抱きついてくる。

鳴子
「サトコ~!見たよ!なんかただならぬ雰囲気だったけど、何話してたの?」

サトコ
「え、いや‥」

鳴子
「ほらほら、もったいぶらない」

サトコ
「その‥今日の夜、ホテルのレストランに来い、って‥」

鳴子
「え!?ちょっと、それってもしかして告白じゃない!?」

(こ、告白!?)

サトコ
「な、ないない!そんなのあるわけないよ!」

鳴子
「ただの生徒だと思っていた子と、危険な目に遭い‥」
「そこで教官は、サトコが特別な存在だとようやく気付いた‥」

サトコ
「ちょっと鳴子ってば‥」

鳴子
「そうと決まれば、そんなクマのある顔じゃダメ!何かあっても大丈夫なように、準備しなきゃ!」

サトコ
「何かって‥何!?」

鳴子
「それは夜のお楽しみでしょ♪」

(ダメだ、鳴子の妄想はとどまることろを知らない‥)
(でもまさか、加賀教官から告白なんてそんな‥!)

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【レストラン】

約束の時間にレストランへ向かうと、スタッフが個室に案内してくれた。

加賀
遅ぇ

サトコ
「す、すみません」

(レストランの個室なんて、初めて来た‥教官との距離も近い)
(ここに来る前、鳴子がメイクしてくれたけど‥変じゃないよね)

ゆったりとした曲が流れる中、教官がそっと、私の頬に手を添える。

加賀
‥‥‥

サトコ
「っ‥‥」

(まさか、本当に‥!?)

加賀
クズが

サトコ
「‥え?」

加賀
化粧はまだしも、香水なんてつけてくるんじゃねぇ

サトコ
「え?え?」

加賀
匂いでバレるだろうが
隣の部屋だ

チラリと、教官が壁に視線を流す。

サトコ
「‥もしかして」

(これって‥潜入捜査!?)

加賀
向こうが出てくりゃ、そこの廊下を通る
いつでも出られる準備しとけ

サトコ
「は、はい‥」

(‥そうだよね‥加賀教官に限って、告白なんて‥)
(香水までつけて‥ちょっと浮かれてた自分が恥ずかしい‥)

私の様子を見て、教官が意地悪に目を細めた。

加賀
お前、どうせ昨日のことで意識でもしてんだろ

サトコ
「えっ!?」

加賀
見え見えなんだよ

サトコ
「ま、まさか‥からかってあんなキスしたんですか?」

加賀
あの程度、キスのうちに入るか
なんなら、もっといいキスを教えてやる

私を追い詰めるように、教官の唇が近づく。

(まさか、本当に‥!?でも今は捜査中なのにっ‥)

でも、唇が触れ合う直前で教官の動きが止まった。

加賀
‥相変わらずだな

サトコ
「え‥‥?」

(い、今‥笑った‥?)

加賀
いつになったら使える駒になる
まずはその芋くせぇのからどうにかしろ

サトコ
「そ、そんなこと言われても‥!」

加賀
キスに値するだけの女になったら、ここに、してやってもいい

サトコ
「‥‥‥!」

親指で唇をふにっと触られる。

(からかわれてるのか本気なのか、全然わからない‥)

加賀
とにかく、余計なこと考えねぇで
お前はさっさと、俺を満足させられるような使える駒になりゃいい
わかったのか?

サトコ
「はい‥」

加賀
だが‥躾けにはアメも必要か

(え‥?)

頬に柔らかいものが触れた時、ドアの向こうの廊下を誰かが歩いて行った。

加賀
行くぞ。もたもたすんな

サトコ
「え?あ‥あの」

慌てて立ち上がりながら、頬が急激に熱を持っていくのがわかる。

(今のって‥東雲教官が言ったように、私を手なずけて利益につなげるため?)
(それとも‥特別な意味があるの?)

相変わらず教官の気持ちが読めないまま、私は急いでその背中を追いかけた。

End

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