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加賀 恋の行方編 シークレット 1.5

『訓練合宿の夜 ~教官の部屋で~』

【ホテル】

海岸でナンパされて困っていたところを加賀教官に助けてもらった日の深夜‥
突然呼び出された私は、加賀教官の部屋へと向かうところだった。

(こんな時間に、いったいなんの用だろう?)
(でも、このホテルのロビーにご当地桜見大福があってよかった)

お礼にと、さっき買っておいた桜見大福を持って教官の部屋に向かう。


あれ?サトコちゃん、こんな時間にどこ行くの?

サトコ
「し、東雲教官!」


なんてね。兵吾さんの部屋に行くなら、バレないようにエレベーターじゃなくて非常階段を使わないと
さすがにこの時間じゃ、言い訳できないんじゃない?

サトコ
「いや、あの‥ち、違います!ちょっとホテルの中を散歩してただけですから!」


ふーん。そういう言い訳するならなおさら、気を付けないといけないんじゃない?

サトコ
「‥‥!」

東雲教官は不敵な笑みをたたえながら去って行った。

【部屋】

ドアをノックすると、すぐに教官が招き入れてくれた。

加賀
今回の合宿の報告書のテンプレだ
合宿の最後の日までに作っとけ

サトコ
「もしかして、これを渡すために‥?」

加賀
他に何がある

(仕事のことだろうとは思ったけど、何もこんな深夜に‥)
(っと‥そうだ!)

サトコ
「教官、さっきは助けてくださってありがとうございました」
「これ、ロビーで売ってたご当地桜見大福です」

加賀
さっき食った

サトコ
「え?もう!?」

加賀
常識だろ

(常識なんだ‥)

とりあえず桜見大福を教官に渡して、その場に立ち尽くす。

(そういえば、今って教官と2人きりなんだよね‥)
(ホテルで2人きりって、初めての潜入捜査でラブホに連れて行かれたことを思い出す‥)

不意に、あの時ベッドに押し倒されたことが蘇った。

(いや!あの時も今も、仕事なんだから‥!)

加賀
フッ

私の様子を見て、教官がどこか愉しそうに目を細めた。

加賀
ああ、そういやまだだったな

サトコ
「え?」

加賀
教育してほしかったんだろ
使える女の駒になるために

サトコ
「なな、な‥」

慌てて後ずさると、いつものように追い詰めながら、教官がゆっくり近づいてくる。

加賀
今日は、邪魔も入りそうにねぇしな

サトコ
「教官‥!」

加賀
そろそろ役に立ってもらわなきゃ困る
しっかり体に教え込んでやるから安心しろ

壁まで追いつめられると、教官は両手を壁について私を閉じ込めてしまう。

サトコ
「きょ、教官‥!こんなところ、誰かに見られたらっ‥」

加賀
何度も言わせるな。今日は邪魔は入らねぇ

(まさか、今度こそ本当にっ‥)

そのことに少し期待している自分もいた。
教官の顔が近づき、唇が触れ合いそうになったその時ーーーー

ガチャッとドアが開いて、石神教官が姿を現した。

石神
‥‥‥

サトコ
「きょ、教官!」

石神
‥‥‥

(うっ‥あの虫を見るような目が痛い‥!)
(っていうか、この状況‥完全に誤解されてる!)

加賀
なんだクソメガネ、これからって時に
たまには空気読めよ

石神
誰がお前の部屋に好き好んでこなければならない
邪魔してほしくないのなら、ノックした時に返事くらいしろ

(ノックされてたんだ‥慌てすぎて全然気づかなかった)

慌てて教官を見ると、余裕の微笑みを浮かべている。

(もしかして、教官には聞こえてた‥?わざと返事しなかったの!?)
(こんな状況でさえ楽しんでるんだ‥はぁ)

石神
お前の荷物がこちらに来ていた
入れ違いで俺の荷物がこっちに届いてるだろう。早く出せ

加賀
あ?知らねぇよ

石神
自分の荷物の確認もしてないのか

加賀
テメェこそこの時間に気づいたんだろうが

石神
今まで報告書を書いていたからな
補佐官にすべてやらせる誰かとは違う

加賀
うるせぇな。イヤミメガネが

(あ、相変わらずいがみ合ってる‥)

2人を見つめていると、石神教官がメガネを光らせながらこちらを見た。

石神
それで?これはどういうことだ、氷川

サトコ
「え?」

石神
この時間に教官の部屋を訪れる理由があるのかと尋ねている

サトコ
「あ、あの‥加賀教官に今回の合宿の報告書のテンプレをいただきに」
「あと、さっき海でナンパされてるところを助けていただいたので、そのお礼を‥」

石神
ナンパだと?海保の人間か?

サトコ
「あ‥もしかしたらそうかもしれません」

石神
それを、加賀が助けた、ということは‥」

私と加賀教官の顔を見比べ、石神教官は何があったのかだいたい予想がついたらしかった。

石神
ナンパとはいえ、海保の人間だ
お前のことだから、どうせ手を出したんだろう

加賀
クズがどうなろうと知ったことか

石神
不必要な遺恨の種を蒔く必要はない

加賀
それを回収すんのは俺の役目じゃねぇ
他の奴の面倒が増えようが、興味ねぇな

サトコ
「あ、あの‥私がもっとうまくかわせてたら、穏便に済んだかもしれないんです」

慌てて2人の間に入ると、加賀教官が目を細めて石神教官を眺めた。

加賀
俺の駒に手を出したクズに、自分の行いの過ちをわからせてやっただけだろ

サトコ
「きょ、教官‥」

石神
‥面倒事は勘弁だ。次は気をつけろ

ため息をつきながら、石神教官が出て行く。

加賀
誰に向かってモノ言ってやがる、あのメガネ野郎

サトコ
「でも、すみません‥私こそ、次はもっとうまく立ち回れるように頑張りますから」

加賀
あぁ?

私の言葉に再び教官が追い詰めるようなしぐさを見せる。

(わっ!ち、近い‥!)

加賀
二度とあんなクズどもに声かけられるんじゃねぇ
この感触は、俺だけのもんだからな

サトコ
「に、二の腕をつままないでください‥!」

加賀
なら、こっちの方がいいか?

そう言って教官が耳たぶを指でなぞる。

サトコ
「っ‥‥!」

加賀
生意気に感じてんじゃねぇ

サトコ
「か、感じてなんか‥」

結局、教官が解放してくれるまで私は散々もてあそばれ続けたのだった。

End

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