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加賀 恋の行方編 シークレット 10.5



『恋人のベッドで迎える朝♡』

【加賀マンション 寝室】

教官と一晩を過ごした翌朝、目が覚めるとベッドに教官の姿はなかった。

サトコ
「教官‥?」

(どこに行っちゃったんだろう‥?今日は学校だけど‥)
(教官のことだから、先にひとりで行っちゃったのかな‥?)

サトコ
「うう‥それにしても眠い‥」

時計を見ると、そろそろ起きなければならない時間だった。

(それにしても‥私、本当に教官と、その‥恋人になったんだよね)

加賀
起きたのか

ハッと振り返ると、シャワーを浴びてきたらしい教官が寝室に戻ってきたところだった。

(またバスタオル1枚!目のやり場に困る‥)

いまだに慣れず慌てて目をそらしながら、不意に以前、教官の家に泊まらせてもらった日のことを思い出した。

(そういえばあの次の日、キッチンで朝ごはん作ってたら教官がシャワーからあがってきて)
(鳴子と電話中だったのに、後ろからいじわるされたりして‥)

サトコ
「‥教官って、早起きなんですね」

加賀
あ?

サトコ
「前に泊まらせてもらった時も、教官に起こされたじゃないですか」

加賀
テメェが寝すぎなんだ
それにしても‥昨日は気持ちよさそうだったな

サトコ
「な‥!?」

加賀
ずいぶんといい声で啼く
それだけは、合格点をやってもいい

サトコ
「そ、それは教官のせいじゃないですか‥!」

加賀
俺がなんだって?

どこかけだるそうに口の端を持ち上げながら、教官がベッドに腰を下ろす。

加賀
で、また誘ってんのか

サトコ
「誘っ‥!?」

(あ‥!わ、私‥あのまま寝たから、何も着てない!)

加賀
この感触は褒めてやる

サトコ
「やっ‥へ、変なところ触らないでください!」

加賀
煽るなら、もっとうまくやれ

サトコ
「煽ってないですから!」
「も、もうそろそろ支度しないと!遅刻しちゃいます!」

加賀
その前にシャワー浴びてこい

サトコ
「え?いいんですか?」

加賀
残念だったな、もう少し早く起きてりゃ、一緒に入ってやったんだが

サトコ
「‥‥!」

朝から教官に振り回されながら、身支度を整えると、

少し早めに家を出て、教官の車で学校へ向かった。

【校門】

早めに学校についたせいか、朝は誰にも会わずに加賀教官と別れることができた。

(他の生徒や教官に見られたら、大変だもんね‥)

【教官室】

(さてと、朝イチの講義があるから始まるまで時間あるし、補佐官の雑務があるから、教官室で‥)

教官室のドアを開けると、教官のみなさんと、黒澤さんが集まっていた。


サトコちゃん、おはよう

サトコ
「おはようございます」

颯馬
今朝は仲良く出勤ですか?

サトコ
「え!?」

黒澤
加賀さんも、同伴出勤なんてやりますね~

サトコ
「いや、あの‥!」


透、夜の仕事じゃないんだから。サトコちゃんは普通にパートナーとして、だよね?

(ぱ、パートナー‥!確かに、私と加賀教官はそういうことになる‥のかな)

妄想して1人で照れていると、東雲教官が顔を覗き込んでくる。


サトコちゃん、顔真っ赤

サトコ
「!」


ぷっ‥ほんと、素直だね

(ま、またからかわれた‥!)

サトコ
「あ、あのですね‥今日のは、その」

颯馬
捜査帰り‥というふうには見えませんでしたが

加賀
どうだかな

私の後ろから教官が入ってきて、そのまま背後に立たれる。
そして、みんなから見えないよう腰辺りをぷにぷにといじられた。

サトコ
「!!」


ん?なんかさっきより赤くなってるけど

サトコ
「な、なんでもないです!」

(きょ、教官‥なんで今、そんなところ触るの?)
(みんなにバレたら‥!)

石神
‥ゴホン

慌てる私に石神教官の冷静な咳払いが聞こえたけど、誰も解散しようとしない。

黒澤
これはアレですね、もし2人が付き合うことになったら
『加賀さんを落としたお姫様に乾杯☆会』を開かないと!


それいいね!みんなでお祝いしよう

颯馬
あなたたちは、ただ騒ぎたいだけでしょう

黒澤・歩
「アハ、バレてました?」

そんな2人に、後藤教官がゴン!と鉄拳を喰らわせているのが見える。

(ひとまず、まだ付き合ってるのはバレてないみたい‥)
(鋭い人たちだから、時間の問題だろうけど‥)

加賀
行くぞ、さっさと用意しろ

サトコ
「えっ?でもまだ書類作成が‥」

加賀
あとでいい。俺を待たせるな、クズ


早く行った方がいいよ?怖~いお仕置きが待ってるかもしれないし

黒澤
甘~いお仕置きの間違いでは?

黒澤・歩
「ふふふ‥‥」

サトコ
「し、失礼します!」

みんなにからかわれながら、急いで教官室を出た。

【喫茶店】

教官に連れて行かれたのは、なぜか喫茶店だった。

サトコ
「あの‥捜査じゃないんですか?」

加賀
あ?朝メシ食ってねぇだろ

サトコ
「そういえば‥」

お言葉に甘えて、モーニングセットを注文する。
教官の前に運ばれたのは、ふわふわのおいしそうなパンケーキだった。

サトコ
「それ‥メニューに載ってた人気No.1のやつですか?」

加賀
朝メシと言えばこれだろ

(パンケーキの上に生クリームとアイスクリーム‥その上から大量のシロップ)
(しかもふわふわで食感もよさそうだし、教官が好きな組み合わせだよね)

サトコ
「教官、もしかしてコーヒーにもシロップを入れる派ですか?」

加賀
ブラックでもなんでも飲める

サトコ
「そういえば、この前泊まった時に私が淹れたコーヒーもブラックで‥」

(‥ん?あれ?)

話しながら、ふと気付く。

(もしかして‥これって、初デート?)
(って、ちょっと無理矢理かな)

加賀
今日は講義が終わったら新しいヤマのターゲットを追う。準備しとけ

サトコ
「あ、はい」

(教官は、デートだなんて思ってないだろうけど)

私にとっては嬉しいひとときだった。

加賀
なんだ?食いてぇのか

じっと見つめていた私に、教官がパンケーキを差し出す。

加賀
食わせてやるよ

サトコ
「えっ、あの‥!」

加賀
ほら

(‥でも、前よりもずっとずっと、近くに感じる)
(これから、もっともっと教官に近づけたらいいな)

口の中に広がる甘いシロップを感じながら、

この幸せな時間に微笑んだ。

End

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