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加賀 続編 8話



【カフェテラス】

昭夫くんが供述を始めて、事件は解決へと向かっていた。

サトコ
「えっと、この次はこの大きいのが入って‥その次は5つ連続で小さいの」

カフェテラスの隅のテーブルで、私はネックレスの修復に勤しんでいた。

(あの時にちぎれたネックレス、苦労してチェーンを全部探しておいた甲斐があった‥)
(なんとしてでも、加賀教官に見つかる前に直さなきゃ)

鳴子
「サトコ!なにしてんの?」

サトコ
「鳴子‥手先、器用?」

鳴子
「なんの話?」
「わ~、かわいいネックレスだね。バラバラだけど」

サトコ
「うん‥服に引っ掛かって、ちぎれちゃって‥」

鳴子
「そうなんだ‥でもそれ、素人が直せるの?」

サトコ
「わからないけど、とりあえずやってみようと思って‥大事なものだから」

鳴子
「ええ~?ねえ、誰からのプレゼント?」

ニヤニヤしながら、鳴子が肘で私の肩をつつく。

サトコ
「そ、そんなんじゃないよ‥」

鳴子
「またまたー。そんな必死な顔して直してるくせに」

(うう‥鳴子に言いたいけど、加賀教官と付き合ってる、なんて言えるわけない‥)
(鳴子、ごめん‥!いつか必ず言うから‥!)

気まずい私の気持ちを察してくれたのか、鳴子が苦笑いしながらため息をついた。

鳴子
「ま、そのうち話してよね」

サトコ
「う、うん‥ごめんね」

鳴子
「でもとりあえずそれ、買ったお店に持って行った方がいいんじゃない?」

鳴子の言葉に顔をあげると、ちょうどカフェテラスの前を通りかかった加賀教官と目が合った。

加賀
‥‥‥

サトコ
「あっ‥」

鳴子
「え?」

険しい表情をしている教官を見て、鳴子が震えあがる。

鳴子
「もしかして、訓練に関係ないものを持ってきたことを怒ってるんじゃ」

サトコ
「わ、私‥ちょっと行ってくる!」

鳴子
「そうした方がいいよ‥とにかく謝り倒しておいで!」

(鳴子が言った意味とは違うけど、本当に謝り倒さなきゃ‥!)
(ちぎれたネックレス、絶対見られた‥もしかして、変な誤解されちゃうかも‥!)



【廊下】

サトコ
「教官!加賀教官!」

加賀
‥‥

サトコ
「ま、待ってください!あの‥さっきのネックレスなんですけど」
「あれは、その‥決して、故意ではなくてですね!」

加賀
ギャンギャンうるせぇ

立ち止まると、加賀教官が私を振り返った。

加賀
てめぇが自分で壊したんじゃねぇことくらい、わかってる

サトコ
「で、でも私、本当にわざとじゃ‥」
「‥え?」

教官の言葉に、思わず教官を二度見した。

サトコ
「そ、それって‥」

加賀
それとも、なんだ?わざと壊したってのか?

サトコ
「めめめ、滅相もございません!」

慌てて首を振る私の顔を、加賀教官がガッとわしづかみにする。

(あ、アイアンクロー!?)

サトコ
「そ、それだけはご勘弁を‥!」

加賀
直そうとしたことは褒めてやる

教官の大きな手から抜け出そうとする私に、教官の声が降ってきた。

サトコ
「え?」

加賀
もっとも、てめぇに細かい作業ができるとは思えねぇがな

サトコ
「それを言うなら、教官はもっと‥」

加賀
あぁ?

サトコ
「な、なんでもありません!」

ようやく教官の手から解放された私の目に飛び込んできたのは、
思いがけず、どこか優しい微笑みを浮かべている教官の姿だった。

(教官、嬉しそう‥?もしかして、私がネックレスを直そうとしたから?)
(でも、直すのなんて当たり前なのに‥お店に頼まず自分でなんとかしようとしたからかな)

加賀
‥あんなもん、捨てちまうだろ、普通

サトコ
「え?そんなことしないですよ」
「教官がくれた、初めてのプレゼントなんですから‥粉々になっても持ってます!」

加賀
この上、粉々にする気か

サトコ
「も、ものの例えですから!」

Good End

Happy End

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