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恋愛強化!鬼♡恋合宿 ~石神班~  プロローグ

石神班のメンバーと公安学校の訓練生を乗せたバスが長いトンネルを抜ける。

サトコ
「わあ‥見渡す限りの田園風景」

黒澤
いや~すごい田舎ですねぇ

バスが止まって降りると、緑と土の匂いがした。

(今日からここで1泊2日の公安学校の合宿が始まるんだ‥)

授業が終わり、私は教官室で黒澤さんの資料整理の手伝いをしていた。

黒澤
どうして種類ごとに分けてファイルに入れないですかね。後藤さんって人は

サトコ
「忙しいから、そこまで手が回らないんじゃないんでしょうか?」

黒澤
忙しいを免罪符にしちゃダメですよ。そんな甘いことを言ってると‥

後藤
言ってると、どうなるんだ?

黒澤
後藤さん!教官の皆さんもおそろいで‥

石神
黒澤、お前に任せたはずの資料整理をなぜ氷川がやっている?

後藤
今回の資料整理は遅れに遅れた報告書の罰だろうが

黒澤
あ、えと‥それはですね‥たまたまっていうか偶然というか‥

東雲
相変わらず要領良いようで抜けてるよね、透は

黒澤
ハハッ、そこがオレのチャームポイントなんです

石神
まったく‥今はお前に構っている暇はないんだ。さっさと言われたことは終わらせろ

黒澤
あれ?石神さん、機嫌悪いですね

石神
‥‥‥

加賀
こんな面倒押し付けられたせいで、クソメガネの顔がますます酷くなる

石神
それでも、お前よりはマシな顔で悪いな

加賀
鏡見て来いよ

石神
お前がな

(石神教官と加賀教官は相変わらずだ‥)

サトコ
「何かあったんですか?」

加賀
チッ

(う‥目が合った途端、舌打ちされた‥)

颯馬
石神さんと加賀さんは難波さんに合宿の計画を立てるように言われたんですよね

サトコ
「合宿!?公安学校のですか?」

東雲
ほかに何の合宿があるの?

サトコ
「ですよね‥」

(公安学校でも合宿なんてあるんだ‥)

石神
氷川には補佐官としてやってもらうことも出てくるだろうからな‥一応説明しておく
今月末、二手に分かれて強化合宿を行うことになった

サトコ
「二手に分かれてっていうと、行き先が違うんですか?」

後藤
行き先は海と山に別れる。引率の代表も石神さんと加賀さんがそれぞれ担当する

東雲
オレは兵吾さんと、後藤さんと颯馬さんは石神さんと一緒に行くから

黒澤
ってことは、オレとサトコさんも石神さん側ってことですね
人数偏ってますけど、大丈夫ですか?

加賀
歩が全部取り仕切るから心配いらねぇ

東雲
やっぱり全部オレにおしつけようとして‥そういきませんからね

石神
‥大体、あの人の考えていることがわかるだけにつらい

颯馬
まあ学校として、こなさなければならないカリキュラムだから諦めるしか‥

サトコ
「?」

(石神教官が『つらい』なんてはっきり口にするの、珍しい‥どういう意味なんだろう?)
(そんなに厳しい合宿なのかな‥)

公安学校初の強化合宿の話題は翌日には学校中に広まっていた。
ランチ時の食堂も合宿の話題で持ちきりだ。

男子訓練生A
「山側は石神教官だし‥海側は加賀教官だろ‥?」

男子訓練生B
「オレ、どっちにも参加したくねぇ‥」

男子訓練生A
「どっちに行っても鬼合宿だもんな‥」

(鬼合宿‥石神教官がつらいっていうぐらいだから、まさにそうかも‥)

鳴子
「サトコは山に行くんでしょ?」

サトコ
「うん、鳴子は‥?」

鳴子
「迷ってるんだよね。海に行けば加賀教官と東雲教官の水着姿が見られるし‥」

サトコ
「そこ考えるポイントなの!?」

鳴子
「まあね。それに訓練生も皆鍛えてるだろうし」

サトコ
「あ、そうだよね‥」

鳴子
「というわけで、私は海にしようかな」

サトコ
「そっか!鳴子がいないのはさみしいけど‥お互い頑張ろうね!」

鳴子
「うん。サトコは合宿中も補佐官としての仕事あるの?」

サトコ
「合宿中のことはまだわからないけど‥事前にタイムテーブルを作る手伝いをするんだ」

鳴子
「そっか、いろいろ大変だと思うけど無理しないでね」

サトコ
「うん、ありがと」

(今日の午後に合宿の詳細が決まるって石神教官が言ってたけど)
(そろそろ決まる頃かな‥)



サトコ
「えっと‥鬼泣山の地図は‥」

黒澤
ここにありましたよ!
それにしても鬼泣山ってスゴイ名前ですよね

サトコ
「鬼も泣くほどの山だから、そんな名前が付いたって書いてありますけど‥」

合宿の行き先は鬼泣山という山に決まった。
山岳に潜むテロリストたちを探す模擬演習が行われることになっている。

(演習のタイムテーブルを組むためには、山の下調べをしておかないと‥)

サトコ
「演習の目的はターゲットの捕縛ではなく捜索なんですよね」

黒澤
今回はそうみたいですね
事前準備もない状態で、地形や環境を把握して捜査する技術を身につけることが目的です

サトコ
「公安もそういった捜査するんですね」
「てっきり、念入りに下調べをしてから捜査に出るものだとばかり思ってました」

黒澤
確かに‥調べをしないで突入することは、よっぽどじゃないとないですね
まぁ‥山の捜索が表の目的で‥

サトコ
「え?表‥?」

黒澤
いえいえ、何でもないです。とりあえず、地図のコピーから始めましょうか

サトコ
「はい。私はタイムテーブルを作ることで事前準備することになりそうですけど‥」
「いいんでしょうか?」

黒澤
サトコさんは補佐官だからいいんじゃないですか?
多分、訓練も特別なものが用意されているんじゃないかなぁ

サトコ
「そうなんですか!?特別って‥特別厳しいとか‥?」

黒澤
大丈夫ですよ。サトコさんには頼もしい教官がついているじゃないですか!

サトコ
「できればみんなと同じ訓練がいいんですけど‥」

(鬼泣山って名前もすごいし‥覚悟して言った方がよさそう)



ー鬼泣山ー

石神
着いてさっそくだが、これより訓練を始める

男子訓練生A
「旅館に荷物を置いて、一息つく間もなく訓練‥」

男子訓練生B
「いよいよ鬼合宿の始まりだな」

サトコ
「ここまで来たんだから頑張ろう!」

石神
今回の演習についてはバスの中で渡した資料に書いてある通りだ
向こうに見える鬼泣山にテロリストが潜んでいるという前提で捜索を行ってもらう

男子訓練生A
「さっそく山に入るのかな‥」

サトコ
「うん‥」

(この時間なら、まだ日の高さは大丈夫だと思うけど‥)

石神

まずは‥

石神教官が指示を出そうとした時、後ろに控えていた難波室長が1歩前に出てくる。

難波
まずはチームの結束力を高めるためにレクリエーションから始める

石神
室長‥そのような予定はスケジュールに入っていませんが

難波
予定変更に臨機応変に対応するのも合宿の醍醐味だろ

黒澤
いいですね!まずは訓練生の皆さんの緊張を解すのが第一だと思います

男子訓練生B
「黒澤さんって教官じゃないのに、イベントの時っていつもいる気がする」

男子訓練生A
「ああ‥黒澤さんって石神班大好きだよな」

難波
では、レクリエーションを発表する
その名も‥『2人でタッチ』だ

全員
「!?」

(2人で‥タッチ!?)

難波
黒澤、説明してやれ

黒澤
はっ!かしこまりました!

後藤
お前はレクリエーションやるの知ってたのか‥

颯馬
難波さんと黒澤にやられたね

黒澤
『2人でタッチ』は鬼を2人、逃げる2人をまず決めます
最初の鬼はオレは、もう1人は訓練生の中から選びますね。では、サトコさん‥

サトコ
「は、はい!」

黒澤
サトコさんには逃げる役をやってもらいます
逃げる2人はしっかりと手をつないで‥一緒に逃げる相手を選んでください!

誰と逃げる?

<選択してください>

A:石神

B:後藤

C:颯馬

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