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バレンタイン 後藤2話

(ど、どうしよう!まさか、こんなところで同期に遭遇するなんて‥!)

男子訓練生A
「こんなとこで会うなんて、ビックリですね!」

男子訓練生B
「でも、なんでふたりが一緒に‥?」

サトコ
「え、えっと、それは‥」

(ど、どうすればいいの!?)

平常心を装うとすればするほど、焦りが出てしまう。

後藤
姪っ子へのバレンタインプレゼントを探しに来たんだ

男子訓練生B
「姪っ子さん‥ですか?」

後藤
ああ、ねだられたのはいいが‥何を選べばいいか分からなかったから
業務外で悪いとは思ったんだが‥氷川に付き合ってもらおうと

男子訓練生A
「なるほど!そういうことだったんですね」

男子訓練生B
「ふたりが一緒だから、もしかして‥って、勘ぐっちゃいましたよ」

サトコ
「あは、あはは‥」

(あ‥危ない‥!)
(後藤さんが、咄嗟に誤魔化してくれなかったら、変に噂されるところだった)
(でも‥もしかして、これも‥公安の訓練?)
(咄嗟の判断で、その状況を誤魔化せるくらいのことはできるようにならないと)
(公安刑事としてやっていけない‥そういうことかも‥!)
(よし!次にもしこういうことがあれば、私だって‥)

男子訓練生A
「そうだ!せっかくだからご一緒しませんか?」

(ええっ!?)

男子訓練生C
「俺たちも手伝いますよ、プレゼント探し!」

後藤
あ、いやそれは‥

男子訓練生B
「いいな!楽しそうだし‥なぁ、氷川?」

サトコ
「えっと‥」

後藤
悪いだろう、せっかくお前らも休日で来てるわけだし‥

男子訓練生C
「気にしないでください」

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男子訓練生A
「そうですよ。どうせ野郎3人で来てる、寂しい集まりですから」

男子訓練生C
「おい、そういうこと言うなって」

思わず後藤さんと顔を見合わせる。

(仕方ないよね‥ここで断ったら、怪しまれちゃうもんね)

後藤
まぁ‥いいだろう

男子訓練生A
「よっし!」

男子訓練生B
「そういえば、こうやって教官と話すことってあまりなかったですよね」

後藤
そうだな

男子訓練生A
「任務について、いろいろ聞いてもいいですか?」

後藤
ああ。だけど、答えられる範囲でな

男子訓練生A
「もちろん、分かってますよ!」

後藤さんと訓練生たちは、意外にも話が弾んでいるようだった。

(後藤さんは楽しそうだし、まぁいいっか)

カフェに入って注文すると、しばらくしてパフェが運ばれてきた。

サトコ
「わぁ、美味しそう!」

運ばれてきたパフェに、目を輝かせる。

サトコ
「いただきます!」

パフェを口にすると、チョコの濃厚な甘みと生クリームの甘みが口いっぱいに広がった。

サトコ
「ん、美味しい~」

男子訓練生A
「へぇ、氷川のも美味しそうだな。一口くれよ!」

サトコ
「え‥あ、ちょっと‥!」

男子訓練生は私のスプーンでパフェをすくうと、パクリと口にする。

男子訓練生A
「うまっ!」

後藤
おい!

男子訓練生A
「へっ‥?」

後藤さんの声に驚いたのか、同期たちは目を丸くする。

男子訓練生B
「後藤教官‥?」

後藤
あ、いや‥人の食べ物に手を出すのよくないだろう

男子訓練生A
「あはは、すみません。美味しそうだったんで、つい」

男子訓練生B
「教官でも、そんな大声出すんですね!」

後藤
ああ‥いや‥
こっちこそ、悪かったな

後藤さんは少し居心地悪そうに、視線を逸らした。

それからカフェを出ていろいろなところを見て回るも、同期たちが一緒だった。

男子訓練生A
「うわー、いつの間にかこんな時間だ!」

男子訓練生B
「やっぱ休みだと、時間が経つのが早いなー」

(まさか、ここまで一緒になるなんて思わなかった‥)
(後藤さんとふたりきりになりたいのに‥)

時間は刻一刻と過ぎ、後藤さんと一緒にいるタイムリミットは近づいている。
腕を組んで立つ彼の手を、チラリと見る。

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(手も繋げてないなぁ‥)

男子訓練生A
「あっ、ちょっとトイレに行ってきていいですか?」

男子訓練生B
「俺も行ってきますね」

男子訓練生C
「俺、土産ちょっと見てきます」

(もしかして‥今がチャンス‥!?)

サトコ
「‥あの!」

後藤
ん?

<選択してください>

A: ふたりきりになりたいと言う

サトコ
「‥私、後藤さんとふたりきりになりたいです‥」

後藤
サトコ‥

後藤さんは少し驚いたように目を開くと、私の手を優しく握った。

サトコ
「後藤さん‥?」

後藤
俺も‥同じことを思ってた

後藤さんは微笑むと、握ってた手に力を込めた。

B: 後藤の手を引いて歩き出す

サトコ
「後藤さん‥っ!」

後藤
っ、サトコ!?

私は後藤さんの手を取ると、そのまま歩き出す。

後藤
おい、サトコ。どうしたんだ?

サトコ
「‥‥‥」

私は少し歩くと、ピタリと足を止める。

サトコ
「その‥後藤さんとふたりきりになりたくて‥」

後藤
サトコ‥

後藤さんはフッと微笑むと、私の頬に手を添えて自身の方へ顔を向かせる。

C: 後藤にどうするか聞く

サトコ
「あの‥後藤さん、これからどうしますか?」

後藤
どうするって‥

サトコ
「その‥」

言い辛そうにしていると、後藤さんが私の手を握った。

サトコ
「後藤さん‥?」

後藤
このまま、あいつらがいないところに行くか?

後藤
俺は‥アンタはてっきり楽しんでいるのかと思ってたんだが

サトコ
「そ、そんなことありません!」
「同期と話すのも楽しいですけど、それよりも私は‥」

(早くふたりきりに、なりたかった‥)

後藤
なら‥よかった
それなら‥ふたりになろう

いつもより子供っぽい笑顔で、ニッと笑う。
グイッと腕を引かれて走り出す。

後藤
あいつらには悪いが、撒くぞ

サトコ

「はい!」

後藤
ここまでくれば、十分だろ

サトコ
「そうですね」

私たちは顔を見合わせると、微笑みあう。

サトコ
「次は、どうしますか?」

後藤
そうだな‥

後藤さんはチラリと時計を見ると、口を開く。

後藤
アンタと行きたい場所がある

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サトコ
「行きたい場所?」

後藤
たしか‥こっちだ

後藤さんは私の手を引いて、ゆっくりと歩き出した。

後藤さんは連れられてやってきたのは、広場だった。
辺りを見回すと、ちらほらとカップルがいる。

サトコ
「ここが来たかった場所ですか?」

後藤
ああ‥そろそろ時間か‥

サトコ
「時間?」

後藤さんに聞き返した瞬間、ハートのイルミネーションがライトアップされる。

サトコ
「うわぁ、綺麗‥」

ピンク色にライトアップされ、思わず見入ってしまう。

後藤
このハートが点灯する瞬間に立ち会えた人は、幸せになれるらしい
だから‥サトコと見たかった

後藤さんは頬を染め、視線を逸らしながら言った。

サトコ
「私も‥後藤さんと見れて嬉しいです」
「いつも、ありがとうございます‥」

私はカバンからバレンタインチョコを取り出すと、後藤さんに差し出す。

サトコ
「あの、バレンタインチョコです」

後藤
ああ‥ありがとう

後藤さんはチョコを受け取ると、私をそっと抱き寄せる。
そしてゆっくりと顔が近づき、唇が重なり合った。
長く甘いキスが終わり、名残惜しそうに唇が離れていく。

スマホ 019

<選択してください>

A: 後藤さんの名前を呼ぶ

サトコ
「後藤さん‥」

後藤
っ、そんな目で見るな‥

サトコ
「あっ‥」

後藤さんは照れ隠しをするように、私を抱きしめた。
後藤さんの鼓動は、早鐘のように鳴っている。

(後藤さんもドキドキしているんだ‥)

そんな私の鼓動も、後藤さんと同じようにドキドキと大きく鳴っていた。

B: もう一度キスがしたいです

サトコ
「もう一度キスがしたいです」

後藤
サトコ‥

後藤さんは私の唇をそっと撫でると、キスを落とす。
いつまでも感じていたいと思うほどの、優しい温もりが伝わってきた。。

C: 後藤さんに身体を預ける

私はそっと、後藤さんに身体を預けた。

後藤
サトコ‥

後藤さんは私の背中に腕を回す。
たくましいその腕に、トクンと心臓が高鳴った。

サトコ
「後藤さん‥」

後藤さんの香りが鼻腔をつく。
その香りは、どこまでも私を安心させた。

私は後藤さんと顔を見合わせ、やがて口を開く。

サトコ
「このイルミネーションを見ると、幸せになれるって言ってましたけど‥」
「もう叶っちゃいましたね」

後藤
ああ、そうだな‥

後藤さんはフッと微笑むと、最後にもう一度だけ私の唇にキスを落とした。

翌日‥‥‥

男子訓練生A
「あ、氷川!昨日、どこ行ってたんだよ」

男子訓練生B
「そうだぞ。トイレから戻ったらふたりともいないし、探したんだからな」

サトコ
「ご、ごめん。その、人が多くて迷っちゃったんだ」

男子訓練生C
「ったく、そういうときは連絡しろよ?」

サトコ
「う、うん。本当にごめんね!」
「あっ、私、教官に呼ばれてるから、行くね」

私は誤魔化すように、その場を後にした。

(ふぅ、危ない危ない‥)

同期たちの姿が見えなくなり、短く息をつく。

(それにしても、昨日は楽しかったなぁ)
(イルミネーションの前でキスなんて、ロマンチックだし‥)
(‥あれ?そういえば、後藤さんはなんでイルミネーションのジンクスを知っていたんだろう?)

私は教官にチョコを配るため、教官室を訪れた。

サトコ
「失礼します」

黒澤
あっ、サトコさん、聞いてください
昴さんからとっておきの情報を入手しまして‥

サトコ
「一柳教官から?」

黒澤さんの視線の先には、後藤さんがいた。
黒澤さんは、怪しい笑みを浮かべて、後藤さんの元へ行く。

黒澤
後藤さん、聞きましたよ?
昴さんから今度は、ハートのイルミネーションについて聞いたらしいじゃないですか!

後藤
なんのことだ?

東雲
しらばっくれても無駄ですよ。言質はとれていますからね

東雲教官と黒澤さんはニヤリと笑みを浮かべながら、後藤さんを問い詰める。

後藤
知らないものは、知らないな

東雲
そうですか‥

サトコ
「?」

東雲教官は、私に視線を向ける。

東雲
サトコちゃん。ショコラ・バーのチケット、莉子さんからもらってたよね?

サトコ
「!?」

黒澤
ショコラ・バーといえば‥後藤さんが目撃された場所ですね!?

サトコ
「え、えっと‥」

(ど、どうしよう‥ハッ!そうだ!)

サトコ
「あ、あの!実は今日、みなさんにバレンタインのチョコを持ってきたんです」

黒澤
えっ、本当ですか!?
やったー!

東雲
何、懐柔されてんの
どうせ、安価チョコでしょ?

サトコ
「な、何故それを‥!?」

東雲
やっぱりね。本命にお金を使いすぎて、お金が無くなったってとこでしょ

黒澤
歩さん!チョコにお金は関係ありません!気持ちが大事なんです!

(な、なんとか誤魔化せたかな?)

東雲
‥安心するのは、早いんじゃない?

サトコ
「!?」

後藤
歩。もうその辺にしておけ

それからも私は、東雲教官たち相手に必死に弁明するのだった。

Happy   End

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