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体育祭 プロローグ2

体育祭も、後半戦に突入した。

鳴子

『次は騎馬戦です!男たちの熱い戦いが楽しみですね!』

『しかしどうしたことでしょう。教官たちの目の色が変わった気がしませんか、千葉さん!』

千葉

『そうですね。これは個人的に氷川さん効果ではないかと‥』

鳴子

『なるほど!さっき氷川さんが“頑張ってる姿が素敵”といったからですね!』

千葉

『ええ、それが教官たちの闘争心に火を点けたんでしょう』

(なんか、司会っていうか解説者みたいになってるな‥)

(それにしても、私の発言で教官たちがやる気を出すなんて、まさかそんな‥)

鳴子

『各チーム、出そろいました!予想通り、白組の大将は石神教官!』

千葉

『対する紅組の大将は、加賀教官です!』

鳴子

『やだーもうどうしよう!教官たち、みんなかっこよすぎるーーー!』

千葉

『佐々木さん、そういうのはマイクを切ってから言ってください』

(鳴子の気持ち、わかる‥教官たち、みんなかっこいい!)

颯馬

みなさん、大将を守れなかったらどうなるか‥わかってますね?

男子訓練生

「っ‥!」

後藤

この勝負、絶対に勝つぞ

男子訓練生

「おお!」

黒澤

紅組も頑張りますよー!

東雲

透が大将やればよかったんじゃない?

加賀

おい、代われ黒澤

黒澤

無理です!加賀さんを騎馬にするなんて、そんな自殺行為は!

鳴子

『それじゃ、みなさん準備はいいですか?』

千葉

『騎馬戦、スタート!』

紅白に分かれた訓練生たちの騎馬がぶつかり合い、ハチマキを奪い合う。

その中央で、大将率いる2つの騎馬が向き合うのが見える。

加賀

さっさとそのハチマキよこしやがれ、カスタード野郎

石神

俺は別にカスタードが好きなわけじゃない

カスタードとプリンの区別もつかないのか?甘党あんこ野郎が

加賀

テメェはカスタードと生クリームの区別ついてんのか?

黒澤

全然関係ないことで争わないでください!

加賀

喚くな

黒澤、もっとあのメガネ野郎に近づけ

颯馬

透、私たちの大将めがけて突進なんてしたらどうなるか、分かってますね?

黒澤

えええーーー!なんでオレばっかり板挟み!?

東雲

別に勝っても負けてもどうでもよくない?

(なんか、大将同士の雰囲気がおかしい‥)

サトコ

「みなさん、頑張ってくださーい!」

力いっぱい応援すると、みんながハッとなった気がした。

後藤

やるしかないな

東雲

さっさと勝負決めちゃいましょうか

颯馬

望むところです

黒澤

ファイトー!いっぱぁぁつ!

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中央で、ついに大将同士がぶつかり合う!

接戦の末、勝利したのは‥

千葉

『おーっと!加賀教官が石神教官のハチマキを奪いました!』

『騎馬戦は、紅組の勝利です!』

笛が鳴り響き、白熱した騎馬戦が終わった。

鳴子

『勝ったチームにはボーナスポイントが与えられます!』

『教官たちがぶつかり合う姿は、ある意味私にとってもボーナスでした!』

サトコ

「もう、鳴子!さっきから何言ってんの!」

鳴子

「だって!イケメン教官の白熱したバトルが見れるなんてラッキーじゃん♪」

サトコ

「う、うん‥そうだね」

(確かに、頑張ってる姿はカッコいいけど‥)

サトコ

「いけない!教官たちにお茶とタオルを準備しなきゃ!」

鳴子

「あ、そうだ!お弁当も配らないとね」

戻ってきた教官たちに、お茶とタオルを手渡す。

サトコ

「みなさん、お疲れ様でした!本当にすごかったです!」

颯馬

敗北というのは、なかなか悔しいものですね

石神

すまない‥俺がもっとうまくかわせていたら

後藤

石神さんのせいじゃないです。俺たちが不甲斐ないばかりに

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石神

いや‥お前たちの頑張りはちゃんと伝わってきた

再び一致団結している石神教官チームの傍らで、加賀教官たちが悠然と笑っている。

加賀

妥当な結果だな

東雲

はぁ‥騎馬戦とか、ほんとサイアク‥

黒澤

これで1勝1敗ですよ!まだまだ油断せずに頑張りましょう!

鳴子

『みなさん、お弁当は行き渡りましたか?』

『ここで、罰ゲームの発表です!』

後藤

罰ゲーム?

黒澤

はい!罰ゲームの内容は、オレから発表しまーす!

いつの間にかマイクを握ってる黒澤さんの声が、グラウンドに響き渡る。

黒澤

さっきの騎馬戦は、実はお弁当を賭けた勝負でした

勝ったチームは豪華なお弁当、負けたチームは塩むすびとゆで卵です!

紅組からは歓声があがり、白組の訓練生は絶望に打ちひしがれている。

後藤

‥あいつが考えたんだろうな

東雲

透ってほんと、余計なことするよね

千葉

『それではみなさん、ここでいったん休憩です』

千葉さんの言葉で、体育祭はお弁当タイムになった。

颯馬

なるほど。そういうシステムでしたか

後藤

激しい運動をした訓練生たちには足りないだろうな

石神

まぁ、負けは負けだ。仕方ない

サトコ

「すみません‥やっぱり物足りないですよね」

「負けたチームのおにぎりとゆで卵は、私と鳴子で作ったんですけど」

申し訳ない気持ちでそう伝えると、教官たちが一斉に振り返る。

後藤

‥氷川が?

颯馬

サトコさんの手作りでしたら、喜んでいただきますよ

石神

塩むすびも悪くない

<選択してください>

A: 味は大丈夫ですから

サトコ

「あの‥味は大丈夫だと思いますから」

東雲

塩むすびとゆで卵に、味も何もないでしょ

颯馬

歩、サトコさんの手作りおにぎりが食べられないからって、負け惜しみですか?

東雲

まさか。そのおにぎり、いきなり爆発とかしないといいですけどね

サトコ

「危険物扱い!?」

B: 豪華弁当の方が美味しい

サトコ

「絶対、豪華弁当の方が美味しいですよ」

颯馬

そんなことありません。貴女が心を込めて握ってくださったんですから

後藤

具が入ってなくてもうまいな

石神

まあ、たまにはこういうのも悪くないな

C: 次は頑張ってください

サトコ

「次は頑張ってください!何もご褒美はありませんけど‥」

颯馬

サトコさんが応援してくれるなら、みんな頑張れますよ

サトコ

「もちろん、応援します!」

後藤

フッ、心強いな

東雲

へー‥応援ね

加賀

‥‥‥

(うっ‥紅組の教官たちの視線が痛い‥!)

黒澤

いいな~。オレもサトコさんの手作りおにぎりが食べたぁ~い

加賀

甘えた声出してんじゃねぇ

東雲

気持ち悪い

教官たちの横でお弁当を広げると、みんな覗き込んでくる。

石神

なぜお前は中身が違う?

サトコ

「実は、業者の手違いでお弁当が2つ足りなくて」

「私と鳴子は急きょ、自分で作ってきたんです」

鳴子

「サトコ、お疲れ~。一緒にお弁当食べよ」

サトコ

「うん。鳴子、卵焼き作って来てくれた?」

鳴子

「もっちろん。サトコの唐揚げと交換だよ」

サトコ

「そうそう、今回は飾り切りに挑戦してみたんだけど」

鳴子

「わ~、花の形したハム。かわいい!」

お弁当のおかずを交換する私と鳴子を、教官たちがジッと見つめている。

加賀

おい、クズ

サトコ

「はい?」

フォークに唐揚げを刺しながら振り返ると、加賀教官がパクリとそれを食べてしまった。

サトコ

「あ!?」

東雲

‥兵吾さんって、案外子どもですよね

加賀

知ったこっちゃねぇ

サトコ

「私の唐揚げが‥!」

鳴子

「いいなー、教官に『あーん』!」

サトコ

「今のは『あーん』じゃないよ‥略奪だよ‥」

鳴子

「ほら、元気だしなって。私のカニさんウィンナーあげるから」

サトコ

「うん‥じゃあミートボールあげるね」

「そうだ、見て見て。一口オムライス作ってきたんだ」

颯馬

さすがサトコさん、器用ですね

ひょいっと覗き込んできた颯馬教官が、私のスプーンから一口オムライスを食べてしまう。

サトコ

「ああ!?」

颯馬

ご馳走様です。とても美味しいですね

鳴子

「きゃー!!!そのスプーンで他のものを食べたら、かかか、間接キッス‥」

サトコ

「鳴子、落ち着いて‥!」

「それよりも、私のお弁当がどんどんなくなっていくことの方が問題‥!」

黒澤

加賀さん、周さん、ズルいですよ!オレだってサトコさんに『あーん』されたい!

石神

颯馬‥あまりはしゃぎすぎるなよ

東雲

だいたい颯馬さん、彼女が作った塩むすび食べたんですよね

颯馬

ええ、塩むすびもオムライスもとても美味しかったですよ

加賀

テメェ‥

石神

この戦いに、紅組も白組もないようだな

後藤

ええ‥氷川の弁当を食べた奴の勝ちです

サトコ

「待ってください!なんで私のお弁当が標的になってるんですか!?」

「それにみなさん、お弁当食べましたよね!?私、まだ一口も‥」

難波

なんの騒ぎだ?

おっ!美味そうだな

いつものようにけだるげにやってきた室長が、

私のお弁当を覗き込み、肉巻きアスパラを食べてしまう。

黒澤

あーーー!難波さん!

石神

くっ‥

加賀

チッ‥

難波

なんだ?ずいぶん殺気立ってるな

それにしてもこれ、美味いな。氷川はいい嫁になれるな

サトコ

「ありがとうございます‥それよりお腹が空きました‥」

黒澤

サトコさん!オレの豪華弁当と交換しましょう!

サトコ

「黒澤さん、ほとんど食べた後じゃないですか!」

東雲

いいからキミの弁当、黙ってよこしなよ

加賀

早くよこせクズ

サトコ

「きょ、恐喝‥!?」

必死にお弁当を隠す私の前に立ちはだかり、室長がみんなを抑えてくれる。

難波

落ち着け。確かに氷川の弁当は美味かった

でもな、全員でこれを食べるのは無理だろ

サトコ

「そ、そうです!だから私が自分で‥」

難波

ここは、午後イチの種目の徒競走で、決着をつけるのはどうだ?

サトコ

「そうですね!徒競走で‥」

「って‥え!?決着!?」

難波

同じチーム内でいがみ合ってるわけにもいかないだろ

恨みっこなしで、徒競走に勝った奴が氷川の弁当が食える、ってことだな

<選択してください>

A: 異議あり!

サトコ

「い、異議あり!」

全員

「異議なし!」

難波

決まりだな

サトコ

「くっ‥これが民主主義‥!?」

B: 私のお昼は!?

サトコ

「そんなことになったら、私のお昼は‥!?」

鳴子

「私のお弁当、半分あげるから‥」

千葉

「俺もあげるよ‥大変だな、氷川‥」

サトコ

「2人の優しさが身に沁みる‥」

C: 私も出ます!

サトコ

「それなら、私も自分のお弁当を賭けて徒競走にでます!」

難波

それはさすがに無謀だろ

石神

勝てるはずがないだろう

東雲

無駄な努力しないで、黙って景品になってなよ

(け、景品‥!?)

(ひどい言われよう‥)

鳴子

「でも徒競走も一応、紅組と白組の対戦ですよね?」

「教官同士の対決になるなら、3対2になっちゃいますけど‥」

黒澤

ご安心を!この黒澤が人数合わせでまた紅組に入りますから!

東雲

別にいらないんだけど

加賀

足手まといは必要ねぇ

黒澤

後生ですから!オレも参加させてください!

難波

というか、お前‥

さっきから普通に参加してるけど、そもそも人数に入ってないだろ

黒澤

今回はオレの企画ですよ!発案者が参加せずして何が体育祭かと!

難波

頼もしいな~

黒澤

というわけで、プログラム変更です!午後イチの徒競走は教官対決が一番最初で!

石神

なぜ部外者のお前が仕切っているんだ

東雲

うざっ

黒澤

ああ、グサグサ突き刺さるそのナイフのような言葉!

悦ぶ黒澤さんに、後藤教官のゲンコツが炸裂する。

そして、午後最初の競技、徒競走が始まった。

鳴子

『みなさん、お弁当は美味しかったですか~?』

『午後イチの徒競走は教官チームからスタートです!』

鳴子の言葉に、ゴールが準備される。

鳴子

『それでは、教官たち、準備はいいですか!?』

千葉

『位置について!用意!』

パン!とピストルの音が響くと、教官たちが一斉にスタートを切る!

サトコ

「教官、頑張ってくださーい!!」

(みんないいスタート‥!抜きつ抜かれつのいい勝負‥)

(‥って、あれ?東雲教官の姿がない‥?)

東雲教官を探している間に、誰かがゴールテープを切る!

振り返ると‥視界に飛び込んできたのは、大喜びする黒澤さんの姿。

黒澤

やったー!1位はこの黒澤がいただきました!

サトコ

「えええ!?」

石神

まさか‥黒澤に負けただと‥?

後藤

‥‥‥

颯馬

はぁ‥黒澤が1位ですか‥

加賀

とんだ茶番だな

(まさか黒澤さんが1位なんて‥でも確かに逃げ足速そう‥)

(きっとみんな、頑張って走ったんだから悔しいよね‥カレを慰めたいな)

誰を慰めに行きますか?

<選択してください>

A:後藤

B:加賀

C:石神

D:颯馬

E:東雲

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