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コラボ 加賀 1話

【寮 自室】

サトコ

「着替えよし、ガイドブックはこっち‥っと」

鞄に入れた荷物を、再度丁寧にチェックしていく。

明日は待ちに待った、加賀さんと京都旅行へ出発の日だ。

サトコ

「よし、カンペキ!あとは‥」

(この下着、どうしようかな‥)

手にしているのは、去年のクリスマスに加賀さんから貰った赤色の下着だった。

(せっかくの旅行だし、持っていくべきか‥)

(‥いや、でもやっぱ、恥ずかしいよね)

サトコ

「それに、加賀さんだったら‥」

加賀

ほう‥大胆に、テメェから誘ってくるようになったか

そんなに煽ってくるってことは、どうなっても構わねぇってことだよな?

観光?興味ねぇ‥誘ってきたのはテメェだろうが

サトコ

「‥うん、やっぱりやめておこう!こういうのは普通が一番だよね」

(あっ、ハンカチは忘れないようにポケットに入れとかなきゃ)

(加賀さんと旅行かぁ‥楽しみだな)

【駅】

翌日。

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サトコ

「加賀さん、お待たせしました!」

加賀さんの姿を見つけると、大きく手を振る。

加賀

クズが。声がでけぇ

サトコ

「すみません、嬉しくてつい‥」

(待ち合わせして旅行だなんて‥いかにも恋人!って感じだよね)

加賀

だらしねぇ顔してんな。置いてくぞ

サトコ

「ちょっ、ちょっと!待ってください~!」

【ホーム】

サトコ

「えっと、乗車口は‥」

ドンッ!

サトコ

「あっ、すみません」

???

「‥‥‥消えろ」

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(ひぃっ!な、なんて冷たい目線‥!)

サトコ

「あ、あの‥」

男性は何も言わずに立ち去ってしまった。

(‥肩がぶつかっただけなのに、あんな態度ってひどくない?)

(加賀さんも冷たいけど、今の人は比べ物にならない‥)

瑞貴

「‥‥‥」

サトコ

「あれ?」

(あれって‥‥藤咲さん!?)

条件反射で二度見するも、藤咲さんの姿はどこにもない。

(見間違いだったのかな?)

(SPは忙しいし、きっと気のせいだよね)

加賀

おい

サトコ

「は、はい!」

加賀

ボーっとしてんじゃねぇ、グズが

(こ、この声は‥怒っていらっしゃる!?)

加賀

これ以上、ノロマになったら本当のグズだな

サトコ

「わわっ!」

加賀さんが私の頭に手を伸ばしてくるが、間一髪のところでかわす。

サトコ

「やった‥!よけられ‥‥」

加賀

‥‥‥

サトコ

「いたたっ‥!!」

加賀

詰めが甘ぇんだよ

サトコ

「ぎ、ギブです‥!頭が割れちゃいます‥!」

加賀

ああ゛?どうせ空っぽだろうが

(ひ、ヒドイ‥)

【車内】

サトコ

「うぅ‥まだ頭がギシギシいってます」

加賀

大袈裟だ

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(相変わらずだな‥でも、今日はこれくらいでめげないんだから!)

気を取り直して、付箋がたくさん貼られているガイドブックを取り出す。

サトコ

「せっかくの京都旅行なので、いろいろ調べてみました」

「京都って言えば、やっぱりお寺に神社ですよね」

「有名どころですと、清水寺に金閣寺と銀閣寺。あとは下鴨神社に‥」

加賀

‥‥‥

(反応がないけど‥興味ないのかな?)

サトコ

「あっ、紅葉なんてどうですか?嵐山が有名みたいですよ」

加賀

ああ‥

ガイドブックを見せるも、一瞥しただけで終わってしまう。

(紅葉がダメなら‥)

サトコ

「ここなんてどうですか?」

加賀

‥ほぅ

とあるページを開くと、加賀さんの目の色が僅かに変わる。

加賀

和スイーツか‥

サトコ

「はい!きなこの餅アイスに、日本庭園で食べれるわらびもちパフェ」

「それに、老舗の豆大福もあるんですよ」

加賀

駄犬にしちゃ、頑張ったじゃねぇか

(褒められた‥!)

(大福好きの加賀さんなら、絶対気に入ると思ったんだよね)

それからしばらくして、お手洗いに立つと‥

???(野村)

「どこにやったかな‥」

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手をびしょびしょに濡らした男の人が、手洗い場にいた。

(ハンカチ、忘れちゃったのかな?)

サトコ

「あの‥よかったら、使いますか?」

???(野村)

「えっ、いいの?」

「ありがとう。優しいんだね」

男の人は人のよさそうな笑みを浮かべて、ハンカチを受け取る。

???(野村)

「‥あれ?これは‥」

違和感があったのか、男の人がハンカチを広げると‥

???(野村)

「‥下着?」

(パ、パンツ!?!?)

(加賀さんからプレゼントされたやつだ‥!)

サトコ

「すすすすすみませんっ!!そ、それは‥!」

???(野村)

「はい」

パンツを差し出され、光の速さでポケットにしまう。

(ハンカチのつもりで、ポケットに入れちゃったんだ)

(こんなミスするなんて‥)

男の人はクスリと笑みを浮かべると、通りすがりに囁く。

???(野村)

「‥結構、大胆なんだね?」

サトコ

「っ!!」

(は、恥ずかしすぎる‥)

立ち去っていく男の人を見送りながら、大きく肩を落とした。

サトコ

「‥ただいま戻りました」

加賀

ん‥?

顔の火照りを感じたまま席に戻ると、加賀さんがこちらを睨む。

加賀

‥なに、発情してんだ

サトコ

「し、してません!」

(下着をハンカチと間違えたうえに、男性に渡したなんて絶対に言えない‥!)

サトコ

「なんでもありません‥」

加賀

ほぅ‥駄犬が一人前に、主人に隠し事か?

サトコ

「むぐっ!?」

加賀さんは片手で、私の両頬を挟み込む。

加賀

それなら、躰に訊くまでだな‥

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ぐっと顔が近付けられた、その瞬間。

女性乗務員

「お、お客様の中に警察の方はいらっしゃいますか!?」

「刃物を持った男性が、暴れているんです!」

(刃物‥!?)

サトコ

「わた‥‥」

加賀

動くな

サトコ

「!?」

(そうだ、公安刑事は目立っちゃダメ‥)

(だけど、他に警察官なんて‥)

バッ!!

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桐沢

「ここにいます!」

花井

「犯人はどこですか!」

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天王寺

「任せとき!」

浅野

「いる」

八千草

「安心してください!」

京橋

「すぐ助けて差し上げましょう」

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女性乗務員

「!?」

桂木

「昴、瑞貴は避難誘導を」

瑞貴

「分かりました」

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「オレは後方に行くから瑞貴は先方を頼む」

桂木

「海司とそらはここで待機だ」

そら

「了解です!」

海司

「ここはオレらに任せてください」

桐沢

「よし、俺らは確保に回るぞ」

花井

「犯人は何号車に?」

女性乗務員

「こ、こっちです!」

嵐のように去っていく警察官らしき男たち。

(一柳教官に、SPの皆さん‥それに、他の人たちも警察官なの!?)

(まさか、こんなにいるなんて‥)

【駅】

犯人

「なんで警察がこんなにいるんだよ!!おかしいだろ!!」

京都府警の男

「静かにしろ」

新幹線を降りると、確保された男は府警に引き渡される。

15名ほどの警察官が乗り合わせたおかげで、事件はあっけない幕切れとなった。

八千草

「負傷者は、なし。よかったですね」

京橋

「ええ、私たちが乗り合わせていたなんて、不運な犯人です」

そら

「オレたちの出番、ほぼなかったな」

海司

「そうっすね」

(いや‥すごい逮捕劇だったな‥)

(皆さん、まだ私たちに気付いてない‥よね?)

加賀

チッ‥こんなとこでアイツらに会うとは

サトコ

「あちらの方々もお知合いなんですか?」

私の言葉に、加賀さんは眉間に深いシワを刻む。

(聞いたらダメだったのかな‥)

桂木

「桐沢たちも乗っていたんだな」

桐沢

「ああ、有休消化のために、みんなで仲良く旅行ってところだ。そっちは?」

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桂木

「うちもそんなとこだ」

(あれ?桂木さんたちの知り合いだったの!?)

加賀

‥行くぞ

サトコ

「は、はい‥」

腕を引かれ、人混みに紛れようとした時‥

???

「やっほ~、赤パンちゃん」

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「また会ったね」

『赤パン』の単語に反応して、顔を上げる。

サトコ

「あっ‥!」

(さっき、トイレで会った人だ!)

加賀

赤パン‥?

サトコ

「‥はっ!」

(パ、パンツの件が加賀さんにバレちゃう‥!)

サトコ

「え、えっとですね‥」

桐沢

「野村、何をフラフラして‥」

「って、加賀か?」

加賀

‥お疲れさまです

野村

「おっ、加賀もいたのか。可愛い女の子しか目に入ってなかったよ」

加賀

‥‥‥

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(この人も警察官!?っていうか、加賀さんの知り合いってことは‥)

野村

「警視庁副参事官の野村忠信。よろしくね」

サトコ

「!!大変失礼いたしました!公安学校で訓練中の氷川サトコです!」

桂木

「加賀?なんでこんなところに‥」

挨拶していると、芋づる式にSPの皆さんにもバレてしまう。

そら

「あっ、サトコちゃんもいる!」

サトコ

「お、お久しぶりです」

瑞貴

「おふたりとも、ご旅行ですか?」

(えっ!?)

加賀

んなワケねぇだろ。捜査の一環だ

野村

「そうなんだ。引き留めて悪かったね」

加賀

いえ‥行くぞ

サトコ

「は、はいっ!」

(ちゃんと、誤魔化せた‥よね?)

スタスタと先を行く加賀さんのあとを、慌てて追いかけた。

to be continued

2話へ



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