カテゴリー

加賀 キス

キス&Kiss 【1】

「壊したいほどの衝動」

【加賀 マンション】

サトコ

「‥っ!」

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-020

呼吸すらも奪い尽くすような、激しいキス。

すべてを離さないという意思がひしひしと伝わってくるほど、荒々しいものだった。

サトコ

「どうして、こんなこと‥!」

加賀

身に覚えがないのか?

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-021

それとも、分かっていてそんな態度を取っているのか?

目の前には威圧感たっぷりの加賀さんが、私を見下ろしている。

加賀

まさか、この俺が浮気をされるとはな

私を壁に追い詰めながら、加賀さんの瞳が冷たく私を射抜く。

サトコ

「だから、あれは誤解なんです!」

「颯馬教官には、目についていたゴミを取ってもらっていただけで‥!」

加賀

それだけなら、あんなに近づく必要はねぇだろ

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-023

どうすれば誤解だと分かってもらえるか、必死に考えを巡らせるけど

加賀さんを納得させられるような言葉が思いつかない。

加賀

‥お前がそんなことを出来るわけねぇのに‥

‥分かってんのに

くしゃり、と髪を掻き上げながら、加賀さんがひとり言のように呟いた。

(もしかしてヤキモチ‥?)

いつも自信満々で、横暴なくらいなのに、今はそんな様子が欠片も見えない。

加賀

みっともねぇ‥

‥けど‥サトコの前じゃ、ただの男なんだよ

サトコ

「きゃっ!」

余裕のない表情のまま、再び加賀さんが私の唇を塞ぐ。

抵抗しようにも、壁に押さえつけられているから、身体を捩ることぐらしか出来ない。

サトコ

「待っ‥!」

私の声が聞こえてるはずなのに、加賀さんからの返事はない。

でもそのキスは‥

(私の気持ちを‥無視しないで‥!)

サトコ

「こんな‥っ」

「こんな乱暴なキス、嫌です‥!」

加賀

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-025

私の気持ちがやっと届いたのか、加賀さんが少し私から離れる。

加賀

‥逃がさねぇ

あいにくだが、俺がお前を手放すわけねぇだろ

独占欲に満ちた言葉なのに、私を抱きしめる腕はこれ以上ないくらい優しい。

加賀

‥あんまり、俺を妬かせんな

加賀さんは自嘲気味に呟きながら、私の頭を撫でた。

この小さな嫉妬が、私の胸をくすぐる。

(私が喜んでいるって知ったら、怒るかな‥?)

加賀さんの温もりを感じながら、私はそんなことを考えていた。

to be continued

キス&Kiss 【2】

「キスすることを許して‥」

加賀

‥少し頭を冷やしてくる

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-026

小さなヤキモチを妬いた加賀さん。

不意に私を抱きしめていた温もりが離れ、加賀さんはそのまま浴槽へ向かった。

(お風呂?)

すぐにシャワーの音が聞こえてきた。

(‥え!?)

【バスルーム】

サトコ

「な、何しているんですか!?」

浴室に行くと、服を着たままの加賀さんが頭からシャワーを浴びていた。

サトコ

「冷た‥っ!」

「加賀さん、やめてください!」

加賀

‥悪かった

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-028

サトコ

「え?」

加賀

お前にそんな顔をさせるつもりはなかったんだ

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-029

‥あんな、怯えた顔‥

サトコ

「‥‥」

加賀

時々、自分が怖くなる

この俺がお前のことになると、冷静さを欠いて‥

一度もこちらを振り向くことはない。

加賀さんが吐き出す言葉は、シャワーの水と一緒に流れて行くように、

気を付けてないと聞き逃してしまいそうだった。

加賀

‥は、情けねぇ

自嘲気味に呟く加賀さんの背中が、いつもよりも頼りなくて‥

(加賀さんだって‥不安になることあるんだ‥)

加賀さんの背中におでこをくっつけ、私は目を閉じながら呟いた。

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-030

私の気持ちが少しでも伝わるように、と加賀さんのシャツの裾をキュッと掴む。

加賀

‥離れろ。風邪引きたいのか?

サトコ

「いいんです。加賀さんの背中、凄く温かいですから」

加賀

お前、俺を甘やかし過ぎだ

‥これ以上お前を縛り付けさせる気か?

サトコ

「‥いいですよ。加賀さんなら‥」

私の言葉を聞き、加賀さんはゆっくりと振り返る。

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-031

そして、私の頬を両手で挟み、まぶたに、こめかみに、頬に、キスをした。

(さっきのとは全然違う‥)

(優しくて、温かい‥いつものキス、だ‥)

冷たいシャワーの中、触れる唇は温かい。

加賀さんの顔がゆっくりと近づき、私はそっと瞳を閉じた。

この小さな嫉妬が、私の胸をくすぐる。

(私が喜んでるって知ったら、怒るかな‥?)

加賀さんの温もりを感じながら、私はそんなことを考えていた。

to be continued


キス&Kiss 【3】

「独占したいキス、俺の腕の中だけに」

【寝室】

私はお風呂を借りて、加賀さんのシャツを身に纏っていた。

(借りちゃった‥)

(加賀さんのシャツ、大きいなぁ‥)

普段は加賀さんのシャツを着るなんて、滅多にないから、妙に気恥ずかしくなる。

加賀

ずいぶんとソソる顔してんじゃねぇか

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-032

サトコ

「ひゃっ‥」

1人で色々考えていると、加賀さんが背中から優しく抱きしめてきた。

加賀

暖かいな‥

シャツが薄いから、お前のこと‥直に感じてるみたいだ

耳元で囁かれ、私の心臓はバクバクと早鐘を打ち始める。

サトコ

「か、加賀さんこそ、上着を着てください‥!」

「お風呂で温まっても、それじゃ意味がないです」

加賀

チッ‥必要ねぇだろ

加賀さんは、私の頬に口づけながら呟く。

加賀

どうせ、すぐ脱ぐことになる

サトコ

「‥っ」

加賀さんの唇が首筋に移動して、ちくりと甘い痛みが走った。

私をソファに押し倒しながら、加賀さんは不敵に微笑む。

加賀

その顔は、俺だけのものだ

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-034

‥他の奴と共有するつもりは、一切ないからな

サトコ

「‥私だって」

「加賀さんにしか、見せるつもりないです‥」

加賀さんの唇が首筋から胸元へと移動していく。

その度に、私の身体が僅かに震えた。

加賀

当たり前だ

加賀さんの顔がゆっくりと近づく。

サトコ

「‥っ」

慈しむような優しい温もりに、身体と心が震える。

加賀さんの優しさも厳しさも、そして独占欲も‥

(このキスも、私のもの‥)

(加賀さんも、私の‥)

加賀さんの背中に腕を回しながら、甘い時間が始まるのを感じていた‥

Happy  End

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする