カテゴリー

颯馬 キス

キス&Kiss 【1】

「泣きっ面にキス」

【屋上】

サトコ

「‥私、バカだ」

涙で滲む夕日を見つめながら、私はポツリと言葉を零す。

今日、私は些細なミスで颯馬さんに迷惑をかけてしまった。

サトコ

「‥書類の不備だなんて、いつもは絶対しないのに」

ミスをしてしまったことも悲しいけど、それは確認を怠ってしまった私が悪い。

自分のミスは受け止めるつもりだけど、一番つらいのは‥

(颯馬さんに、迷惑かけてしまったこと‥)

颯馬

見つけましたよ

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-052

ぐす、と鼻を鳴らしていると聞き慣れた柔らかい声が聞こえる。

思わず不安を顔に残したまま振り向いてしまい、颯馬さんが困ったように微笑んだ。

颯馬

私の前では気丈に振る舞っていましたけど‥

そういう顔こそ、ちゃんと私の前でしてもらわないと困ります

優しい声に堪えていた涙が、ぽろり、と零れ落ちる。

颯馬

涙を拭くのも、私の役目にして頂かないと‥

サトコ

「つ、次は‥っ、もう絶対‥」

颯馬

大丈夫ですから、泣かないでください

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-053

私の涙を親指で拭った後、額にキスが落とされる。

そして、瞼、頬、と唇が降りてきて‥

颯馬

辛い時は我慢しないで、ちゃんと私を頼ってください

そう呟いた後、私の唇を塞いだ。

サトコ

「!」

颯馬

ふふっ!涙が止まりましたね

サトコ

「あ‥」

颯馬

肝心な時に頼ってもらえないと、私が不安になってしまいます

‥私は、貴女の恋人でしょう?楽しいも悲しいも、共有したいんですよ

サトコ

「‥っ」

そっと頭を撫でられ、昂っていた感情が冷静さを取り戻していくのを感じていた。

to be continued

キス&Kiss 【2】

「濡れたまぶたに慰めのキス」

【個別教官室】

私は個別教官室に連れて行かれ、颯馬さんの作ってくれたココアを飲んでいた。

颯馬

ミスはしましたが、貴女はちゃんとフォローもしてくれていましたよ

そのフォローがあって、今はもうしっかり収拾がつきましたし

颯馬さんから資料を見せられ、解決したことにホッと胸を撫で下ろす。

颯馬

大事なのは悔やみ続けることではなく、同じミスをしないこと

分かりましたか?

颯馬さんは私のまぶたにゆっくりと口づけながら、諭すように優しく呟く。

(‥これからは、颯馬さんに迷惑をかけないようにしなきゃ)

まぶたに口づけられる心地よさに目を閉じていると、柔らかな笑い声が聞こえた。

颯馬

ふふ、少し塩辛いですね

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-056

サトコ

「‥っ!」

私を優しく、だけど強く抱きしめながら颯馬さんが耳元で囁いた。

その時、廊下を慌ただしく走る足音が聞こえ、身体を離そうとしたけど‥

颯馬

だめですよ。私から離れるなんて

サトコ

「で、でも、もし他の人に私たちの関係がバレたら‥」

私はもちろん、颯馬さんだって何らかの処罰を受ける可能性がある。

それだけはどうしても避けたかった。

颯馬

バレることより‥今の貴女を離すことの方が耐えがたい

私を抱きしめる腕に力がこもる。

颯馬

俺に、どうしてほしい?

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-058

私の唇を指でなぞりながら、颯馬さんが妖しく問いかけてくる。

サトコ

「‥キス、してほしいです」

恥ずかしさを堪えながら答えると、颯馬さんが優しく微笑み‥

颯馬

よくできました

その言葉と同時に、熱いキスを落としてきた‥

to be continued

キス&Kiss 【3】

「どんなお菓子よりも甘いキス」

【寮監室】

サトコ

「あ、あの、どうしてここに‥?」

私は教官宿泊室に案内され、ベッドの上に座らされていた。

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-059

颯馬

言ったでしょう?今の貴女を離すことの方が耐えがたい、と

それに‥

クイッと顎を持ち上げられて、熱を帯びた瞳に見つめられる。

颯馬

あんなキスをしといて、俺が我慢出来るとでも?

‥ダメだよ、誘ってきたのはサトコなんだから

さっきまでの優しい雰囲気が一変して、私の唇を塞ぐ。

豹変した態度とは裏腹に、触れる唇はこれ以上ないくらい優しい。

サトコ

「‥っ」

ちゅ、と室内に響くリップ音に恥ずかしさが増していく。

颯馬

たったこれだけで顔を真っ赤にして‥

本当にサトコは可愛いね

サトコ

「そ、颯馬さん‥っ」

颯馬

‥このまま、すべて食べてしまえたらいいのに

そうすれば、サトコを俺だけのものに出来るのに

独占欲に満ちた視線を向けられ、私はドキドキしすぎて視線を逸らす。

けど、すぐに颯馬さんの方に顔を向かされ、お仕置きといわんばかりの激しいキス。

(‥激しいのに、優しくて甘い)

颯馬

本当にカワイイ‥

%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b-061

ねぇ、やっぱり俺に食べられてみる?

サトコ

「なっ、そ、そんな‥っ」

颯馬

今さら照れてもダメだよ

言っただろ?誘ったのはサトコの方だって‥

瞳を妖しく光らせながら、私の唇を塞ぐ。

角度を変え、何度も優しいキスを繰り返され、私の思考はどんどん溶かされていった‥

Happy  End

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする