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お返し 加賀2話

【個室】

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私の日頃の疲れを癒そうと、加賀さんが連れて来てくれたスパ‥

私は今そこで、ぐったりと身体の力を抜き、加賀さんに身を任せていた。

サトコ

「か、加賀さ‥もうっ‥」

加賀

まだ足りねぇ

サトコ

「で、でも‥これ以上は」

いつものように身体を攻めたてられて、身体は素直に反応してしまう。

(でも、こんなところで、こんなこと‥!)

加賀

‥身体は正直だな

サトコ

「え‥」

加賀

普段よりも反応がいい

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サトコ

「!」

加賀

相変わらず、スリルがある方が好みらしいな

テメェがどれだけマゾ女かってことはわかった

(ち、ちが‥そうじゃな‥)

涙をにじませて弱々しく首を振る私を見て、加賀さんは満足そうだ。

すべて加賀さんに委ねてしまいたくなった時‥部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。

スタッフ

「失礼いたします。お着替えはお済でしょうか?」

サトコ

「!!!」

加賀

チッ‥邪魔が入ったな

舌打ちをしながら、加賀さんが私から身体を離す。

そして、何もなかったかのように着替えを始めた。

(あ、あ、危なかった‥危うく、あのまま流されるところだった‥!)

加賀

なに安心してやがる

安堵のため息をついていると、ぐいっと後ろから腰を引き寄せられた。

加賀

お預け食らわされた分、あとで覚えとけ

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サトコ

「お、お預け食らわせたのは、私じゃな‥」

「っていうか、早く着替えないと!」

スタッフ

「入ってもよろしいですか?」

サトコ

「すみません、もうちょっと待ってください!」

必死に呼吸を整えると、加賀さんに背中を向ける。

そして、さっき乱されたブラウスをこっそり脱いだ。

加賀

生意気に隠してんじゃねぇ

サトコ

「ひいっ!」

加賀

テメェの軟弱な身体なんぞ、充分把握してる

サトコ

「軟弱って‥」

加賀

それとも‥また啼かされてぇのか?

サトコ

「あの、加賀さん!今日の目的は、スパですよね!?」

慌てて加賀さんの手を押しとどめると、その手が私の二の腕を掴む。

そして、何度かぷにぷにと揉むように触ってきた。

サトコ

「く、くすぐったいです!」

加賀

飼い主が満足できる毛並みを維持するのも、飼い犬の仕事だ

前の柔らかさと吸い付きを取り戻さねぇと、どうなるかわかるな?

(捨てられる‥!)

サトコ

「は、はい‥!重々承知しております!」

加賀

ならいい

‥さっさと着替えろ

ニヤリと笑い、加賀さんが私の腕から手を離した。

(さっきは服の上からだったけど、今度は直接触られた‥!)

(そういえば出会った頃からよく、私の取り柄は柔らかさしかないって言われてたっけ)

なんだか恥ずかしくて、顔から火が出そうになる。

誤魔化すように、急いで着替えを終らせた。

スタッフが部屋に入って来て、早速、加賀さんと並んでマッサージが始まった。

スタッフ

「身体中が緊張してますね。なにか運動されましたか?」

サトコ

「運動‥」

(それって絶対、さっきの自転車全力疾走だよね‥)

(しかも、後ろに加賀さんを乗せた状態だったし‥)

サトコ

「そ、そうですね‥サイクリングを少々‥」

スタッフ

「わあ、素敵なご趣味ですね」

恐る恐る加賀さんを見ると、口の端を持ち上げて笑っている。

(絶対、さっきの自転車のことを思い出してるよね‥)

(それにしても、気持ちいいな‥日頃の疲れとさっきの自転車の疲労が抜けていく気がする‥)

気を抜くと、ついウトウトと眠りそうになる。

加賀

‥‥‥

(ハッ‥視線!?)

(加賀さんがこっち見てる‥寝たら怒られる!)

そう思うと、一瞬だけ目が覚める。

でも油断するとまたすぐ、まぶたが重くなっていく‥‥

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(頑張って起きてないと‥もし寝ちゃったら、加賀さんの恐ろしい教育的指導が‥)

(でも‥ダメ‥起きてるの、無理‥)

【ホテル】

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目を覚ますと、見知らぬ天井が視界に飛び込んできた。

(あれ‥?ここ、どこ‥?)

加賀

やっとお目覚めか

その声に、ガバッと起き上がる。

振り返ると、加賀さんがソファに座りながら新聞を読んでいた。

サトコ

「か、加賀さん‥?ここは‥」

加賀

都合が悪いことは全部忘れてんのか

(都合が悪い‥?‥あっ!)

サトコ

「そ、そうでした‥私、スパであまりの気持ちよさに眠っちゃって」

「絶対加賀さんに怒られるから、寝ないように頑張ったのに‥!」

加賀

その程度で怒るか

呆れたようにため息をつきながら、ソファから立ち上がった加賀さんがこちらに歩いて来る。

私はというと、スパ用の服ではなく、ちゃんと自分の服を着ていた。

(ってことは、つまり‥)

サトコ

「かっ、加賀さんが着替えさせてくれたんですか‥?」

加賀

他に誰がいる

サトコ

「もしかして、スタッフさんがやってくれたのかもって思ったんですけど‥」

加賀

俺じゃ不服か

<選択してください>

A: 恥ずかしいです

サトコ

「不服っていうより‥恥ずかしいです」

加賀

さっきも言っただろ

テメェの身体なんざ、見飽きてる

(加賀さんはそうかもしれないけど、私は恥ずかしくて居たたまれない‥!)

B: 裸、見たんですか?

サトコ

「じゃあ‥私の裸、見たんですか!?」

加賀

テメェと違って、今さら裸程度で発情なんざしねぇ

(そこは女として、してほしい‥って、いやいや、そうじゃなくて!)

(加賀さんが着替えさせてくれた‥なんて、スタッフの人たち、どう思っただろう‥!?)

C: お手数おかけしました

サトコ

「こ、このたびは誠に、お手数をおかけいたしました‥!」

加賀

まったくな

人に着替えさせておきながら、気持ちよさそうに寝やがって

サトコ

「本当にすみません‥!自転車での全力疾走が効いたみたいで‥」

サトコ

「じゃあ、加賀さんがスパからここまで運んでくれたんですね」

加賀

主人に抱きかかえられて眠りこける駄犬連れてな

サトコ

「うう‥本当にお世話になりました‥」

ベッドに座ると、加賀さんが意味深に笑って私の二の腕をつかんだ。

加賀

飼い主好みの手触りになったかどうか、確かめてやる

サトコ

「え‥」

加賀

柔らかさも吸い付きも、キープ出来てなきゃただじゃおかねぇ

恐ろしい言葉とは裏腹に、加賀さんの優しい手が私の服を押し上げて、肌を撫でる。

ゆっくりと押し倒されると、ブラウスのボタンを外され、腰まで下ろされた。

加賀

‥まあまあだな

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私の身体にキスを落としながら、加賀さんが笑う。

サトコ

「あ‥」

何か言おうとした私の両手首を掴んで、頭の上で押さえつけ‥

私の二の腕に顔を近付けると、軽く吸い付いた。

サトコ

「ひゃっ‥」

加賀

もっと色気のある声出せねぇのか

サトコ

「だって、く、くすぐったい‥!」

加賀

上等だ

そんな余裕なんざ、すぐなくしてやる

加賀さんの言葉通り、あっという間に唇と指に攻め立てられ‥

強引で甘い加賀さんと一緒に、ベッドを軋ませたのだった‥

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何度も求められた後、加賀さんの隣でぐったりと身体の力を抜いた。

(あ、頭が真っ白‥加賀さん、相変わらず容赦ない‥)

(いくら『待って』って言っても全然待ってくれないどころか、何度も何度も‥)

乱れた呼吸を整えながら、さっきの激しさを思い出して勝手に頬が火照る。

ふと加賀さんが起き上がり、ベッドから抜け出してソファの方へと歩いて行った。

(どこに行くんだろう‥?タバコかな)

消えてしまった温もりを少し寂しく思っていると、すぐに加賀さんが戻ってきた。

手に持っていた何かを、私の方へ放り投げる。

サトコ

「え?」

加賀

‥‥‥

起き上がってよく見ると、それはかわいいミニブーケだった。

サトコ

「‥え!?」

加賀

うるせぇ

サトコ

「す、すみません‥!でもこれ、私に‥?」

「もしかして、ホワイトデーだからですか!?」

加賀

いらねぇなら捨てろ

<選択してください>

A: 一生大事にします

サトコ

「嬉しいです‥ありがとうございます!大事にします!」

加賀

喚くな

サトコ

「だって‥まさか加賀さんが花束をくれるなんて」

加賀

‥チッ

B: 加賀さんが選んでくれたの?

サトコ

「これ‥加賀さんが選んでくれたんですか?」

加賀

いや‥歩だ

サトコ

「!?」

加賀

嘘に決まってんだろ

(か、加賀さんが冗談を言った‥!?)

C: どういう風の吹き回し

サトコ

「こ、こんな素敵なものをくれるなんて、一体どういう風の吹き回し‥」

加賀

‥‥‥

(しまった‥!口が滑って余計なことを言い過ぎた!)

サトコ

「いえ、そのっ‥びっくりするほどかわいいブーケだったので!」

不機嫌そうにしながらも、こちらに戻って私の顎をつかんだ加賀さんはどこか愉しそうだ。

加賀

大声だしやがって

‥まだ、体力が有り余ってるってことだな

サトコ

「!?」

「いや、そんなことは‥も、もう限界です‥!」

加賀

生憎だな‥俺はまだ足りねぇ

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サトコ

「‥‥‥!!!」

(この笑い方‥ずるい)

意地悪そうなその笑顔を見ると、反抗するどころか、すべてを捧げたくなってしまう。

(みんなにもよく言われるし、自分でもわかってたけど‥)

(私ってほんと、加賀さんの犬‥下僕‥奴隷‥)

加賀

さっきはお預け食らわされたからな

その分がまだだ

サトコ

「はい‥」

覆いかぶさる加賀さんを受け止めると、触れ合う肌が心地いい。

(犬でも下僕でも奴隷でも、なんでもいい‥)

(こうして、ずっと加賀さんの隣にいられるなら)

大好きな人の激しい熱を受け止めながら、そんなことを考える‥

どこまでも、加賀さんに従順な私だった。

Happy  End

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