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難波 恋の行方編 Good End

サトコ

「怒るなって言われても‥」

難波

まあまあ‥

室長は私の気持ちをなだめるようにポンポンと頭に手を置いた。

難波

さて、それじゃ行くか

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サトコ

「行くって‥どこへですか?」

わずかな期待を込めて聞いてみた私を、室長は不思議そうに見返した。

難波

‥そりゃ、寮じゃないか?

サトコ

「あ、ああ‥そうですよね」

(なんだか、ただの部下の扱いから昇格できてない気もするけど‥)

(これって、両想いってことでいいのかな?)

【小澤の家】

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その週末。

室長に呼び出されて連れて来られたのは、小澤さんの家だった。

小澤の妻

「仁くん、サトコちゃん、わざわざありがとうね」

相変わらずキレイな小澤さんの奥さんに案内され、仏壇の前に並ぶ。

室長は神妙な面持ちで花を供えると、ずいぶんと長いこと手を合わせていた。

難波

‥よし

サトコ

「事件の報告、してたんですか?」

難波

ん?ああ‥それとまあ、サトコのこともな

サトコ

「え‥?」

(どういうことだろう?)

(ていうか、さり気なく今、サトコって呼んだよね!?)

サトコ

「わ、私のことっていうのは、それはつまり‥その‥」

明らかにうろたえている私を見て、室長はくすっと笑った。

難波

あのな、日本語、壊れちゃってるぞ

サトコ

「だ、だって‥」

(名前呼びだよ?これはつまり、やっぱり私はもうただの部下じゃなくて‥)

(室長のカノ‥)

小澤の妻

「2人とも、お茶が入ったわよ」

難波

は~い。今行きます

ほら、お前も行くぞ

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室長は小澤の奥さんの呼びかけに応え、さっさと席を立って行ってしまった。

(あれ?今度はサトコって言わなかった‥)

(もしかしてさっきのは、ただの空耳だったり‥?)

【リビング】

後を追うと、室長の隣には嬉しそうに娘さんが座っていた。

難波

お、うまいな、このケーキ

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小澤の娘

「でしょ?これ、ママの手作りなんだよ」

難波

そうか~さすがはママだな

もはや天才的だ

ほら、お前も食べてみろ

サトコ

「え‥」

室長が無造作にフォークですくったケーキを差し出してきて、思わず固まった。

(これは‥いわゆる間接キスというものでは‥?)

難波

どうした?甘いもの、好きだろ?

サトコ

「す、好きですけど‥」

(この状況は、ちょっと甘すぎです‥)

小澤の妻

「あなたたち、もしかして‥」

難波

へ?

サトコ

「え?」

小澤の娘

「2人は恋人なの?」

サトコ

「!!」

驚きうろたえる私とは対照的に、

室長は落ち着いた様子で差し出していたフォークを自分の口に運んだ。

難波

どうだろうねえ?

君はどう思う?

小澤の娘

「んー、よくわかんない」

難波

そうかー。まあ、まだわからんよな

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(えええ!???)

(それは小さな子にはわからないってこと?それとも、室著にもわからないってこと?)

(そこのところハッキリしてくれないと、私もよく分からないですけど‥!)

でも室長は、ニヤニヤしたままそれ以上何も言わずにケーキを食べ続けている。

小澤の妻

「でも、仁くんがこんな風に女の子を連れて歩くなんて今までなかったことよね?」

難波

そうでしたっけ?

サトコ

「そうなんですか?」

小澤の妻

「この人はほら、ちょっと無粋なところあるから」

サトコ

「ああ‥それはなんかわかるかも‥」

小澤の娘

「ブスイってなに?」

サトコ

「それはね、平たく言うと、相手の感情の変化に気づきにくいってこと」

難波

ちょ、ちょっと待て

俺がいつ、相手の感情の変化に気づかなかったんだ?

サトコ

「さあ、いつでしょうか‥?」

「でもそれに気づいていないこと自体、無粋ってことなんじゃ‥」

難波

お、お前‥!

私の頭を掴もうとした室長の手から体を反らせ、とっさに受け身の姿勢を取った。

サトコ

「その手は食いませんよーだ!」

難波

な‥待て!

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意地でも私の頭に触れようとする室長と、

必死に逃げる私の間で、しばらくの間攻防戦が繰り広げられた。

小澤の妻

「ふふっ」

難波

サトコ

「!」

ハッとなって手を止めると、小澤さんの奥さんがおかしそうに笑っている。

難波

玲さん‥?

小澤の妻

「ごめんごめん。あなたたちの息があまりにもぴったりだから」

「なんか、とってもいいコンビになったわね、サトコちゃん?」

サトコ

「は、はい‥」

何となく気まずくなって、チラリと室長を見た。

室長もこの上なく気まずそうな顔で私に視線を送る。

お互いの表情に、どちらからともなく笑い出した。

(はっきりしたことは結局分からなかったけど、まあ、いいか‥)

確かな言葉はなくても、室長との関係が変わったことに間違いない。

だから今は、こうして一つでも多くの笑顔を積み重ねて行こう‥‥

隣に大好きな人がいてくれる幸せを全身で感じながら、

今までとは違う公安学校での生活が、再び始まろうとしていた。

Good  End

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