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サバゲー 加賀 1話

加賀

チッ‥グズが

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暴言と同時に、強く腕を引っ張られる。

サトコ

「加賀さ‥加賀教官!」

加賀

手間かけさせやがって

サトコ

「すみません。でも私のペアの人がまだ‥」

困り果てる私に加賀さんが見せてくれたのは、“0” と書かれた紙だった。

サトコ

「え!?もしかして、加賀さんがペア‥」

加賀

喚くな

慌てて口をつぐむと、颯馬教官が私たちを探してこちらに歩いてくるところだった。

(そうだった‥颯馬教官に狙われてたんだ!)

(どうか、やり過ごせますように‥!)

緊張しながら口を抑えていると、不意に颯馬教官がこちらに視線を流す。

颯馬

フフ‥見つけましたよ

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サトコ

「!」

加賀

チッ

(颯馬教官‥加賀さんじゃなくて、私を狙ってる!?)

銃口がこちらに向けられて、避けようと思う前に颯馬教官が引き金を引く‥!

加賀

なにやってやがる

耳元で声が聞こえたかと思った直後、後ろから伸びてきた腕に抱き寄せられた。

それとほぼ同時に顔のすぐ横に加賀さんの腕が伸びてきて、颯馬教官を狙う!

パンッ!

颯馬

‥形勢逆転、ですね

加賀

‥外したか

颯馬

不利な状況で戦うほど、愚かではありませんよ

加賀さんの銃弾はギリギリのところでそれたらしく、颯馬教官が笑顔のまま退いた。

サトコ

「び、びっくりした‥」

加賀

放心してる場合じゃねぇ

さっさと銃を構えろ。次が来るぞ

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加賀さんは、すでに次の攻撃の準備に移っている。

(でも‥加賀さんが助けてくれなかったら、颯馬教官に撃たれていた)

サトコ

「加賀さん、さっきはありがとうございました!」

加賀

喚くなって言ってんだろ

サトコ

「すみません‥」

加賀

あれくらいの攻撃もかわせねぇようなら、現場じゃ使えねぇ

サトコ

「ハイ‥」

(でも‥さっき、咄嗟の状況だったのに守ってくれた)

(足を引っ張ったんだから、喜んでる場合じゃないんだけど)

でも加賀さんの腕の温もりを思い出すと、どうしてもニヤけてしまう。

必死に頬が緩むのを押さえる私に、加賀さんのアイアンクローが飛んできた。

サトコ

「ぎゃっ!痛い!」

加賀

気色悪ぃ

サトコ

「痛‥痛い!加賀さん、ちょっと力緩めてください‥!」

加賀

うるせぇ

(うぅ、顔が潰れる!)

(でも、あんなふうに守ってもらえるのはレアだし、多少の痛みなら耐えられる‥!)

アイアンクローに慣れつつある私に、加賀さんが呆れたようにため息をついた。

加賀

‥テメェは、どうしようもねぇマゾだな

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サトコ

「す、すみません‥」

加賀

行くぞ

顔から痛みが消えると、加賀さんがサッサと歩き出した。

急いで追いかけながらも、まだ顔は緩みっぱなしだ。

(でも、これ以上足を引っ張ると次はアイアンクローでは済まされない‥)

(命の危険に晒される前に、気合を入れ直さないと)

サトコ

「颯馬教官、また狙ってきますかね?」

加賀

来るだろ。ペアと合流してな

他のヤツらも油断できねぇ。特に‥

サトコ

「室長ですか?」

必死に後ろをついて行く私を、加賀さんが一瞥する。

加賀

室長は問題じゃねぇ

サトコ

「でも、実はすごい人なんですよね?」

加賀

やる気がありゃな

あの人は、こんな課外訓練に張り切るような性格じゃねぇ

(確かに‥積極的に参加する室長の姿は、ちょっと想像できない‥)

サトコ

「じゃあ、いったい誰が‥」

その時、ガサッと草むらが鳴った気がした。

(ん‥?もしかして、誰かいる‥?)

立ち止まると、加賀さんも私の気配を感じ取って振り返った。

加賀

おい‥

その時、加賀さんを狙う銃口が草むらから見えた!

サトコ

「加賀さん‥危ない!」

加賀

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思わず加賀さんを庇うように突き飛ばす。

でも次の瞬間、シュパッという嫌な音が背後から聞こえた。

加賀

‥‥‥

サトコ

「ま、まさか‥!!」

恐る恐る背中を見ると、べったりと髪から服にペンキがついている。

サトコ

「あああ‥」

加賀

‥‥‥

サトコ

「か、加賀さん‥あの、これはですね‥」

東雲

はーい、お疲れ様でした~

嬉しそうな声が聞こえて振り返ると、東雲教官が同期の男子訓練生と一緒に歩いてくる。

どうやら、私を撃ったのは訓練生の方らしい。

加賀

‥やっぱりテメェか

東雲

厄介な人たちは、先に倒しておかないと

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(も、もしかして‥油断できないって言ったのは、東雲教官のこと!?)

男子訓練生

「氷川、悪い!」

サトコ

「うう‥まさか後ろを狙われるなんて」

男子訓練生

「一番狙いたくなかった相手だったんだ‥加賀教官だし‥」

男子訓練生

「でも東雲教官に、狙わないなら毎日グラウンド200周だって言われちゃって」

サトコ

「いや、しょうがないよ‥訓練なんだし、お互い、命あってこそだもんね‥」

東雲

ちなみにそれ、なかなか落ちないから

そうとう洗わないと、髪とジャージについたままだと思うけど、頑張ってね

サトコ

「え‥」

ニヤニヤ笑いながら、東雲教官が男子訓練生を連れて立ち去る。

加賀

‥‥‥

サトコ

「か、加賀さん‥」

加賀

テメェ‥

<選択してください>

A: 土下座する

サトコ

「も、申し訳ありませんでした!」

土下座する勢いで謝ったものの、加賀さんの眉間の皺はなくならない。

加賀

なんで飛び出した

サトコ

「あ、あの‥加賀さんが狙われてると思って」

B: 言い訳する

サトコ

「あのですね、さっきのは、草むらから加賀さんが狙われてるのがわかったから」

加賀

気づかねぇわけがねぇだろ

サトコ

「え?」

加賀

テメェが気づいている気配を、俺が見落とすと思うか

サトコ

「た、確かに‥!」

C: 無言を貫く

(こうなったら、無言を貫こう‥!何を言っても怒られる気がする!)

加賀

‥‥‥

サトコ

「‥‥‥」

加賀

‥‥‥

サトコ

「‥すみませんでした!」

沈黙に耐えかねて、結局謝った。

(よく考えたら、あのくらい加賀さんだったら余裕でかわせたはず‥)

(私、完全に余計なことしちゃったんだ)

加賀

余計なことしやがって

サトコ

「今まさに、自分でもそう思ったところです‥」

「本当にすみませんでした‥!私のせいで、加賀さんまで」

加賀

‥‥‥

私の髪とジャージをジッと見つめた後、加賀さんは私に背を向けた。

加賀

チッ‥行くぞ

サトコ

「あ‥はい!」

慌てて加賀さんを追いかけながらも、後悔の念が押し寄せてくる。

(はあ‥せっかくの野外実習だったのに、こんなに早くアウトになるなんて)

(まさか、私たちが一番最初じゃないよね‥?)

サトコ

「加賀さん‥そういえば、どこに行くんですか?」

加賀

リタイアした人間が、いつまでも現場にいても仕方ねぇ

サトコ

「確かにそうですけど‥」

(そういえば、リタイアしたらどうなるんだっけ‥?黒澤さん、説明してなかったよね)

(っていうか、今回は完全に私の失態‥まさか、加賀さんに連れて行かれるのは地獄‥!?)

【宿泊所】

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加賀さんについてやってきたのは、私たちが泊まる宿泊所だった。

(よ、よかった‥行き先は地獄じゃなかった)

(それにしても、ガランとしてるな‥私たち以外まだだれも帰ってきてないみたい)

サトコ

「‥ん?それってつまり、私たちが一番最初にリタイアしたってことですか‥?」

加賀

その通りだ

怒りのオーラをまといながら、加賀さんがこちらに近付いてくる。

加賀

テメェのせいでな

サトコ

「すっ、すみません‥!なんでもしますから、命だけは!」

加賀

当然だ

サトコ

「え?」

加賀さんが顎で指した方を見ると、そこには今朝までなかった張り紙がしてある。

(『リタイア一番乗りのペアには、罰がありま~す!』‥)

(『訓練から帰ってきたみんなを労うために、すべての宿泊準備をしておいてください!黒澤』‥)

サトコ

「すべての宿泊準備って‥」

加賀

宿泊所の清掃、布団の準備、メシの支度

あらゆる準備、全部だ

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サトコ

「ぜ、全部!?」

(それって、まさか‥)

<選択してください>

A: 私一人で?

サトコ

「あの‥私一人で‥ですか?」

加賀

‥‥‥

サトコ

「い、いえ!よもや加賀さんに手伝っていただこうなどとは!」

加賀

分かりゃいい

(やっぱり、一人でやらなきゃならないんだ‥)

B: 手伝ってくれますよね?

サトコ

「その‥もちろん加賀さんも、手伝っ‥」

加賀

‥‥‥

サトコ

「‥ってくれないですよね。すみません」

加賀

今回は、テメェの失態だからな

(ごもっとも‥)

C: 頑張ります‥

サトコ

「わかりました‥頑張ります‥」

加賀

テメェがあの時飛び出してこなきゃ、もっと殺れたってのにな

(『殺れた』って言った‥お、恐ろしい‥!)

サトコ

「つい、体が動いちゃって‥本当にすみません」

(はあ‥全員の分を、一人でやるのか‥みんなが帰ってくる前に終わるかな)

一縷の望みをかけて加賀さんを見たけど、ジロリと睨まれた。

加賀

あ゛?

サトコ

「い、いえ‥」

(やっぱり無理か‥そりゃそうだよね)

(落ち込んでても仕方ない、とにかく準備を始めないと)

【廊下】

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サトコ

「まずは掃除からかな‥全部で何部屋あるんだろう」

「私と鳴子は同室だから、一番最後でいいとして」

加賀

おい

サトコ

「はい?」

加賀

どこ行く気だ

サトコ

「とりあえず、廊下の掃除から始めようかと」

加賀

だからテメェはクズだって言ってんだ

チッと舌打ちして、加賀さんが私のジャージを指す。

加賀

それより、そのペンキをとっとと落としやがれ

サトコ

「あ‥」

(そういえば、ペンキ、そのままだった)

サトコ

「でも、今からやらないと掃除が‥」

加賀

んなもん、各自にやらせろ

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サトコ

「だけど、布団と食事の準備は」

加賀

テメェの布団も用意できねぇ奴は、外で寝りゃいい

メシの準備はあとだ。とにかくシャワー浴びて来い

サトコ

「は、はい!」

(加賀さん、優しい‥!手伝ってはくれないけど)

(お言葉に甘えて、先にシャワーを浴びてこよう)

少しだけ見せられた加賀さんの優しさに、るんるん気分でシャワールームに向かった。

to  be  continued

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