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キスしてうつして プロローグ

【教場】

その日の午前中の講義が終わって、一息ついていると、鳴子に声をかけられた。

鳴子

「サトコ、お疲れ~。お昼行こう」

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サトコ

「そうだね。あれ?そういえば千葉さんは?」

サトコ

「サトコ‥千葉くん、朝から居なかったのに、今気づいたの?」

サトコ

「え!?そ、そうだっけ?」

鳴子

「不憫な千葉くん‥まあ、確かに存在感は薄いけど」

「昨日の夜から体調崩して、風邪で寝込んでるみたいだよ」

サトコ

「そうなんだ‥講義終わったらお見舞い行く?」

鳴子

「うつしたら大変だから、気持ちだけ受け取っておくって」

「もしかしたら、インフルエンザかもね」

(インフルエンザか‥可能性はあるよね)

実は現在、公安学校では風邪やインフルエンザが大流行りだ。

数日前から訓練生たちが休み始め、今日も半数近くが欠席している。

サトコ

「昨日辺りから、校舎の中も静かだもんね」

「半数近く休んでたら、活気もないし」

鳴子

「それは、果たして本当にそれが原因であろうか‥」

サトコ

「えっ?」

鳴子

「実はね、昨日から成田教官も休んでるらしいよ」

「それに‥なんと、黒澤さんも!」

サトコ

「え!?あの黒澤さんが!?」

鳴子

「そう!いろんな意味で決して風邪をひかなさそうな、あの黒澤さんが!」

(黒澤さんが休み‥?じゃあもしかして、校舎内が静かなのはそのせい‥?)

(そういえば、今朝教官室に行ったとき、珍しく静まり返ってたっけ)

鳴子

「最近、ほんと頻繁に学校に来てたもんね、黒澤さん」

サトコ

「うん。静かなのはいいことだけど、ちょっと寂しい気もするね」

なんとなく物足りなさを感じながら、カフェテラスに向かった。

【カフェテラス】

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人が少ないせいか、今日は無事に大好物のエビフライ定食を注文できた。

サトコ

「それにしても、お昼時にこんなに空いてるカフェテラス、初めてだよ」

鳴子

「これだけ風邪が流行ってるなら、私たちも気をつけなきゃ」

「今年のインフルエンザは、高熱がいきなり下がったりして、分かりにくいらしいよ」

サトコ

「そうなの?」

鳴子

「ただの風邪だと思って、熱が下がったら仕事や学校に行っちゃう人もいるんだって」

「それで、気づかないうちに蔓延させてるって」

サトコ

「うっ‥それは怖いかも」

(私も気をつけなきゃ‥明日から、予防のためにマスクしてきた方がいいかな)

最後のエビフライを口に入れたとき、カフェテラスに入ってきた男子訓練生に声をかけられた。

男子訓練生

「氷川!石神教官が探してたぞ」

サトコ

「ふぇ?」

(‥あっ!?そういえば、全員分のアンケート用紙を集めて持ってくるように言われてたんだ!)

サトコ

「っ‥‥‥!」

鳴子

「サトコ、落ち着いて。とにかく、そのエビフライ食べちゃいなよ」

サトコ

「う、うん‥」

必死にエビフライを口に詰め込んで飲み込み、急いで立ち上がる。

サトコ

「じゃあ私、石神教官のところに‥」

男子訓練生

「ごほごほっ」

食器を下げようとした時、男子訓練生が咳き込んでその場にうずくまった。

鳴子

「ちょっと、大丈夫?」

男子訓練生

「あ、ああ‥」

サトコ

「顔赤いよ。もしかして、熱があるんじゃ‥」

男子訓練生

「確かに昨日から、体調はよくなかったけど‥」

(もしかして、流行りのインフルエンザ‥?それなら、放っておくわけにいかない)

(でも、石神教官に呼ばれてるし‥どうしよう?)

<選択してください>

A:鳴子に任せて教官室へ

B:保健室に連れて行く

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