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キスしてうつして 後藤 1話

後藤

サトコ‥?

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サトコ

「あ、後藤さん」

後藤

まだ残っていたのか

サトコ

「はい。石神教官から頼まれた資料の整理が‥」

(あれ‥?足元がフラついて‥)

後藤

おい!

サトコ

「っ‥」

倒れそうになるも、後藤さんが咄嗟に支えてくれる。

後藤

大丈夫か?

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サトコ

「は、はい‥」

(なんかさっきも後藤さんに支えてもらったような‥)

サトコ

「すみません‥ありがとうございます」

後藤

顔色、悪いぞ

サトコ

「あっ‥」

後藤さんから離れようとするも、グッと抱き寄せられる。

後藤

昼からフラフラしてるが‥風邪か?

サトコ

「多分、そうだと思います」

「でも、もう大丈夫ですから!」

後藤

‥‥‥

(うっ‥)

大丈夫と伝えるようにニッコリと笑みを浮かべるものの、後藤さんは私をじっと見る。

サトコ

「あ、あの‥」

後藤

‥寮まで送る

サトコ

「えっ!?大丈夫ですよ」

後藤

1日に2回もフラついたんだ。3回目があってもおかしくない

サトコ

「あっ‥」

後藤さんは私の前髪をかきあげ、コツンと額をくっつける。

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(後藤さんの顔が、目の前に‥!)

突然のことに、顔に熱が上がる。

サトコ

「あ、あの‥」

後藤

‥少し熱いな

それに、顔も赤くなってる

サトコ

「いえ、これは‥」

(確実に後藤さんのせい、だよね‥)

後藤

無理をするな。途中で倒れでもしたらどうする?

サトコ

「そ、それはそうですけど‥」

後藤

‥‥‥

しどろもどろになる私に、後藤さんの鋭い視線が突き刺さる。

後藤

無理をするな

サトコ

「きゃっ!」

後藤さんはいつもの調子で崩さず、私を抱きかかえる。

(こ、これって、お姫様抱っこ‥だよね)

<選択してください>

A: ちょ、ちょっと後藤さん‥!

サトコ

「ちょ、ちょっと後藤さん‥!降ろしてください!」

後藤

気にするな。軽い

サトコ

「そういうことじゃなくて!誰かに見られたらどうするんですか!?」

後藤

こんな時間まで残ってるのは、アンタくらいなもんだ

サトコ

「でも‥」

(もし、誰かが残っていたら‥)

後藤

‥嫌なのか?

サトコ

「いえ!嫌なわけないです」

後藤

じゃあ問題ない。大人しくしてろ

後藤さんは私を抱きかかえたまま、歩き出した。

後藤

‥‥‥

チラリと後藤さんの顔を見る。

(後藤さんは私の心配をしてくれてるだけなんだよね‥)

恥ずかしさはあったけど‥私はそのまま後藤さんに身を預けた。

B: 後藤の首に腕を回す

(後藤さんは私の心配をしてくれてるんだし‥)

(ちょっとだけ、甘えてもいいかな?)

私は後藤さんの首に腕を回す。

後藤

ようやく素直になったな

サトコ

「なんですか、それ‥まるで私が意地っ張りみたいな言い方‥」

後藤

フッ‥

サトコ

「あっ、今笑いましたね!?」

後藤

アンタはいつもひとりでなんとかしようとするからな

‥辛い時くらい、俺に頼れ

後藤さんはほんのりと頬を染め、歩き出す

サトコ

「ご、後藤さん‥」

後藤

‥‥‥

(もし、誰かに見られたら大変だけど‥)

今は後藤さんの優しさに甘えたい‥そんな気持ちが強かった。

C: 恥ずかしいです‥

サトコ

「ご、後藤さん‥」

後藤

どうした?

サトコ

「そ、その‥恥ずかしいです‥」

後藤

大丈夫だ。俺たち以外、誰もいないからな

(確かに、誰かに見られたら大変だけど‥)

サトコ

「そ、そういう問題じゃなくてですね‥」

後藤

後藤さんは、不思議そうに首を傾げる。

後藤

いいから、アンタは大人しくしてろ

後藤さんは私を抱きかかえたまま、ゆっくりと歩き出す。

(あれ‥?)

なるべく振動が来ないよううに、いつもより穏やかな歩調で歩いている。

(私に負担をかけないように、気を遣ってくれてるのかな‥)

後藤さんの優しさが、胸いっぱいに広がった。

【寮 自室】

後藤

着いたぞ

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サトコ

「ありがとうございます」

(よかった‥誰にも見られずに済んだ)

無事に部屋にたどり着き、ほっと息をついていると‥

後藤

サトコ

サトコ

「!」

チュッと軽い音を立てて、唇にキスをされる。

サトコ

「ご、後藤さん!?」

後藤

もう誰かに見られる心配はないだろう?

サトコ

「そうですけど‥でも、ダメです!うつっちゃいますよ」

後藤

別に、アンタの風邪ならうつってもいい

サトコ

「そんな‥」

「ん‥」

後藤さんは笑みを浮かべ、今度は私の額にキスを落とす。

後藤

‥冗談だ

そもそも、俺はアンタより頑丈だからな

これくらいでうつったりしないから、安心しろ

ベッドに優しく降ろされ、ポンッと頭を撫でられる。

後藤

今日はゆっくり休め

サトコ

「はい‥ありがとうございます」

後藤

楽な格好に着替えた方がいい。その間に、台所借りるぞ

(えっ、台所って‥)

後藤さんには申し訳ないけど‥一抹の不安が過る。

サトコ

「自分で作りますから大丈夫ですよ」

慌てて立ち上がろうとするも‥

サトコ

「っ‥」

後藤

何が大丈夫だって?

立ちくらみがして、後藤さんに支えられながら、ベッドに座り直す。

サトコ

「すみません‥」

後藤

気になるなら、普段作ってくれてる礼だと思ってくれればいい

アンタは休んでおけ

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サトコ

「あっ‥」

キッチンに向かう後藤さんの背中を見送る。

(本当に大丈夫かな‥?)

サトコ

「ちょっとだけならいいよね‥」

私は壁に手をつきながら、こっそりと台所をのぞき見する。

(あ、スマホで調べてる‥)

(調べながら作るなら、大丈夫そうだけど‥)

後藤

‥おい

サトコ

「!」

後藤さんは私に気付くと、深いため息をつく。

後藤

休んでろと言っただろう

<選択してください>

A: ひとりじゃ寂しくて‥

サトコ

「ひとりじゃ寂しくて‥」

「ほら、風邪をひくとひと肌が恋しくなるっていうじゃないですか」

後藤

‥‥‥

(うっ‥)

後藤さんの眼差しに怯みそうになるものの、ぐっと堪える。

後藤

そんなに信用ないか?

サトコ

「そ、そういうわけじゃ‥!」

後藤

俺は確かに料理は得意じゃないが‥

‥アンタのために、何かしてやりたいんだ

サトコ

「後藤さん‥」

後藤さんの言葉が、胸に突き刺さる。

(後藤さんは純粋に私の心配をしてくれたのに)

サトコ

「すみませんでした‥」

後藤

謝らなくていい

アンタが心配する気持ちも、わからなくないからな

後藤さんは苦笑いすると、私の肩に手を置く。

後藤

ほら、早く着替えて休んでろ。出来たら呼ぶから

サトコ

「はい」

B: 後藤さんが心配だったから

サトコ

「後藤さんが心配だったから‥」

後藤

俺の心配より、自分の心配をしろ

無理して酷くなったらどうするんだ?辛いのはアンタだぞ

後藤さんは私の頭にポンッと手を乗せ、頭を覗き込んでくる。

後藤

‥顔色が悪いな

心配そうに眉をひそめる後藤さんに、胸が締め付けられる。

(後藤さんはこんなにも私のことを心配してくれてるんだ‥)

(‥そうだよね。今は身体を治すことを考えなきゃ)

サトコ

「すみません‥。私、着替えてきますね」

後藤

ああ。出来たら呼ぶから、ゆっくり休んでろ

サトコ

「はい」

C: やっぱり一緒に作りませんか?

サトコ

「やっぱり一緒に作りませんか?」

後藤

は?アンタ、何言って‥

サトコ

「一緒に作った方が早く出来ますし」

「それに‥」

(はじめは後藤さんが心配だったからだけど‥)

風邪をひいているせいか、寂しがり屋な自分が顔を覗かせる。

サトコ

「こうして後藤さんと一緒にいられるのは久しぶりだから、どうせならって‥」

後藤

サトコ‥

後藤さんは照れくさそうに視線を逸らし、頬を掻く。

後藤

アンタの気持ちは嬉しいが‥今は聞けない

一緒に作るのは、体調がよくなってからでもいいだろう?

優しい眼差しを向けられ、私は小さく頷く。

サトコ

「そう、ですね‥」

(これ以上、後藤さんに心配かけたくないし‥)

後藤

ほら、早く着替えて休んでろ。出来たら呼ぶから

サトコ

「はい」

私はベッドに戻ると、着替えはじめる。

(後藤さんが心配だったけど‥そもそも、こうなったのは私が体調を崩したからだもんね)

(早く治すためにも、今は身体を休めなきゃ)

シャツを脱いで、パジャマに袖を通す。

ゆっくりとした動作で、ひとつひとつボタンを閉めていると‥

ガッシャーーン!

サトコ

「!」

(今の音‥キッチンからだ!)

私は体調が悪いことも忘れて、慌ててキッチンへ駆けていく。

サトコ

「後藤さん!大丈夫ですか!?」

後藤

サトコ‥

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サトコ

「あっ‥」

私はキッチンの惨状に、目を見張った。

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