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放課後 加賀1話

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【教場】

それは、ある日の放課後のこと。

石神

違う。それはこの間の実習の時に学んだはずだ

現場で、咄嗟の判断が遅れる可能性のある場合は

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サトコ

「あ、そうでした!先に優先順位を考えておくこと、ですよね」

石神

そうだ

(まさか、石神教官の個別補習を受けることになろうとは‥)

(でもテストの点数が悪かったんだし、仕方ないよね)

厳しくも正確で丁寧な石神教官の補習は、自然と頭に入ってくる。

(さすが、石神教官‥)

(普段はもっと厳しいけど、マンツーマンだと時間もあるし、いつも以上に丁寧に教えてくれる)

石神

では、次はこの課題を終わらせろ。それが済んだら‥

教官の言葉を遮るように、乱暴に教場のドアが開いた。

石神

‥何しに来た

サトコ

「え?」

加賀

テメェに用はねぇ

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(か、加賀さん!?)

ドアの所に立って呆れた様子でこちらを見ているのは、間違いなく加賀さんだった。

加賀

俺の仕事をサボって、サイボーグの個別補習か。いいご身分だな

サトコ

「加賀教官の仕事‥?」

(まさか‥)

慌てて携帯を確認すると、加賀さんから雑用を命じるメールが届いている。

サトコ

「す、すみません!気づかなくて‥!」

加賀

クズが‥

つかつかと私の方へ歩いてくる加賀さんを、石神教官が睨みつける。

石神

用がないのなら、補習の邪魔だ。帰れ

加賀

用もねぇのに来るわけねぇだろ

ひとつ舌打ちをして、加賀さんがガタンと私の隣に座った。

(えっ‥)

加賀

さっさと終わらせろ

サトコ

「は、はい!」

(もしかして、待っててくれるのかな‥)

(だったらなおさら、急いで終わらせないと!)

でも、正面に立つ石神教官、隣に座る加賀さんに、身体が縮こまる。

(仁王像に挟まれてる気分だ‥つらい‥!)

加賀

こんな基本問題でつまずかせてんのか

石神

お前が、補佐官に振る仕事量を考えないからだろう

今日も、雑用をさせるつもりだったらしいな

加賀

普通なら、補習なんざ受けなくても充分にこなせる量だ

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遠回しに要領の悪さを責められているようで、精神的ダメージがすごい。

(ダメだ‥早くここから抜け出さないと、立ち直れない!)

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急いで課題を終わらせると、採点を終えた石神教官が相変わらずの厳しい口調で言った。

石神

次は、補習にならないように

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サトコ

「は、はい!すみませんでした!」

(やっと終わった‥補習で、石神教官の手を煩わせちゃったな)

(それに、また補習になったら、補佐官の仕事もおろそかになっちゃうもんね)

気を引き締め直し、ノートと筆記用具を抱える。

先に教場を出た石神教官に続こうとした瞬間、後ろから二の腕をぐいっと引っ張られた。

(えっ‥‥‥‥)

バタン、と加賀さんが乱暴に教場のドアを閉める。

何か言う間もなく、強引なキスに口を塞がれた。

(待っ‥石神教官が、外に‥!)

バサバサッと、手からノートが落ちて床に散らばった。

サトコ

「かっ‥」

慌てて加賀さんの身体を押し戻そうとしたけど、腰を抱き寄せられてキスはさらに深くなる。

加賀さんの手が、二の腕の感触を楽しむように柔らかく触れ始め‥

サトコ

「っ‥こ、ここっ‥教場ですよっ‥」

加賀

それがどうした

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絡めていた舌を離すと、加賀さんがいつものように私の唇を舐める。

サトコ

「んっ‥」

加賀

この程度で感じてんじゃねぇ

やっぱりテメェは、こういう方が好きだな

サトコ

「ち、ちが‥」

加賀

気づかれるかもしれねぇ状況の方が、発情するんだろ

意地悪に笑うと、加賀さんが私の二の腕を離してこちらに背を向けた。

加賀

クソメガネとの時間を優先してんじゃねぇ

サトコ

「で、でも‥補習で」

加賀

二度と補習なんざ受けるな

もしまたやらかしやがったら‥一生後悔するほどの仕置きをしてやる

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(一生後悔‥!?一体どんなお仕置きが‥)

(‥あれ?でも今、加賀さん‥石神教官との時間を優先するな、って)

サトコ

「もしかして、ヤキモ‥」

加賀

‥‥‥

サトコ

「な、なんでもないです!」

加賀

‥チッ

思い切り舌打ちすると、加賀さんがドアを開けた。

そして、床に散らばった筆記用具やノートを顎で指す。

加賀

それ拾って、教官室に来い

サトコ

「あ‥はい。仕事があるんでしたね」

加賀

ったく‥くだらねぇことで面倒かけやがって

とりあえず、個別教官室で躾し直しだ

(躾‥お仕置きと同じくらいに恐ろしい響きだ‥)

震えながら加賀さんに続いて教場を出ようとして、ふと振り返って辺りを見回す。

(普段、講義を受ける場所で‥しかも、石神教官に見つかるかもしれない状況で、あんなこと‥)

(これからは講義中に、キスされたことを思い出しちゃうかも‥)

加賀

さっさとしろ

サトコ

「は、はい!」

頬の熱を自覚しながら、急いで加賀さんを追いかけた。

to  be  continued

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