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アナタの誕生日 颯馬

【颯馬マンション エントランス】

誕生日は、颯馬さんとふたりきりで部屋で過ごす約束をしている。

インターホンを鳴らすと、すぐに颯馬さんが降りてきた。

颯馬

いらっしゃい。お待ちしてましたよ

サトコ

「颯馬さん、お招きいただきありがとうございます!」

クスッと笑い、颯馬さんが私に手を差し出す。

颯馬

今日は貴女が主役ですから、そんなにかしこまらないで

くつろいで、甘えてください。私のお姫様

サトコ

「は、はい‥!」

差し出された手を取ると、颯馬さんがスマートに部屋へと連れて行ってくれる。

(よくこうして、エスコートしてくれるけど)

(こんなふうにお姫様扱いされると、緊張しちゃうな‥)

ドキドキしながら、颯馬さんについていった。

【リビング】

食卓には、豪華な食事が並んでいた。

サトコ

「美味しそう‥!」

颯馬

貴女のお口に合うといいのですが

ワインクーラーからワインを取り出すと、颯馬さんがグラスに注いでくれる。

そのしぐさがなんだか色っぽくて、思わず見惚れてしまった。

颯馬

乾杯しましょうか

サトコ

「はい‥」

(高そうなワイン‥わざわざ、私のために用意してくれたのかな)

グラスに注がれたワインを眺めていると、私の視線に気付いた颯馬さんが微笑んだ。

颯馬

これは、貴女の生まれた年に作られたワインですよ

サトコ

「え‥」

ラベルを見せてもらうと、確かにそこには私の生まれた年の数字が刻まれている。

(これって、ヴィンテージワイン!?ものすごく高いんじゃ‥)

私の心を見透かしたように、颯馬さんがグラスを渡してくれた。

颯馬

そんなに恐縮しないで。貴女に喜んでもらいたいだけですから

貴女の笑顔が見たくて、用意したんです

サトコ

「颯馬さん‥」

颯馬

貴女と同じだけの年数を重ねて熟成されたワイン‥味わってみましょう

グラスを合わせて乾杯すると、颯馬さんと一緒に、口を付ける。

少し甘くて飲みやすいワインは、私の好みを知っている颯馬さんらしいチョイスだった。

サトコ

「すごく美味しいです‥!ワインは詳しくないですけど」

颯馬

味に深みがありますね

でも、私は‥

ゆっくりと颯馬さんの綺麗な顔が近づき、そのまま唇が合わさる。

たったひと口しか飲んでいないのに、颯馬さんの唇の葡萄の香りに酔いそうだった。

颯馬

ワインよりも、貴女を味わいたい

サトコ

「そ、颯馬さん‥」

颯馬

誕生日、おめでとうございます

もう一度、ワインよりも甘いキスが落ちてくる‥

その優しい感触に身を任せて、颯馬さんからのキスを受け止めた。

颯馬さんが用意してくれた料理に舌鼓を打ち、デザートのケーキも食べ終えたあと。

(はぁ‥大好きな颯馬さんとふたりきりで、こんなに素敵な時間を過ごせるなんて)

(この1年間、厳しい訓練に耐えてきた私への神様からのご褒美かも‥)

颯馬さんと談笑していると、部屋にインターホンの音が鳴り響いた。

颯馬

すみません。私はここの片づけをするので、出ていただけますか?

サトコ

「私が出ても大丈夫ですか?」

颯馬

ええ、もちろん

どこか意味深に笑う颯馬さんに送り出されて、玄関へ向かった。

【玄関】

玄関のドアを開けると、視界を満たすほどの薔薇の花が差し出された。

サトコ

「!?」

配達員

「こんばんは。颯馬周介様より、氷川サトコ様へお届け物です」

サトコ

「え‥!?」

両手いっぱいの花束を、しばらく呆然と眺める。

(颯馬さんから、私へ‥もしかして、これが誕生日プレゼント?)

驚きを隠せないまま、リビングへと駆け戻った。

【リビング】

サトコ

「颯馬さん!」

颯馬

おやおや、そんなに急いでどうしました?

サトコ

「こ、これ‥!」

「ありがとうございます!こんなに素敵なプレゼントをもらったのは初めてです」

興奮のまま伝えると、颯馬さんが満足げに微笑む。

颯馬

フフ‥喜んでいただけて何よりです

でも、プレゼントは花束だけではありませんよ

サトコ

「え?」

颯馬さんの視線を追いかけて、花束の中を確認する。

そこには小さな箱と、メッセージカードが添えられていた。

(『お誕生日おめでとうございます。私と出逢ってくれてありがとう』‥)

(颯馬さん‥それは、私の台詞なのに)

箱を取出し、颯馬さんに促されて開けてみる。

中には、キラキラ輝くアクセサリーが入っていた。

サトコ

「これ‥」

颯馬

アンクレットですよ

私の手からそれをさらっていくと、颯馬さんが軽々と私を抱き上げた。

サトコ

「え!?」

颯馬

つけてあげます

いつもの笑顔の颯馬さんにつれられて、向かった先は‥

【寝室】

寝室のドアを開けると、颯馬さんが優しくベッドに降ろしてくれる。

そして、片手で私の太ももの内側をなぞった。

サトコ

「っ‥‥」

颯馬

ストッキング‥自分で脱ぐ?それとも、脱がして欲しい?

(この顔‥颯馬さん、もしかしてスイッチが入った‥?)

恥ずかしくて答えられずにいると、耳元に颯馬さんの唇が近づいた。

颯馬

そんな顔して、誘われたら‥手加減できなくなりますよ

サトコ

「さ、誘っ‥」

颯馬

その時は、全部受け止めてくださいね?

ゆっくりと、颯馬さんの手がスカートの中に差し入れられる。

ストッキングを脱がされて、あらわになった太ももや膝に濡れた唇が触れた。

サトコ

「んっ‥」

颯馬

‥これは、サトコが俺だけのものって印

いつもより少し低い声が聞こえて、足首に冷たい感触を覚える。

颯馬さんが、アンクレットをつけてくれるのが見えた。

(くすぐったい‥)

それと同時に、颯馬さんのキスが足首に落ちてくる。

颯馬

サトコ、愛してる

サトコ

「颯馬さん‥」

颯馬

誕生日、おめでとう

その言葉と唇へのキスは、何よりも嬉しい誕生日プレゼントだった。

Happy  End

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