【寮 自室】
今日は、一年で一番特別な日。
そう、私の誕生日。
(このあと、カレとふたりで会う約束してるんだよね)
(誕生日に好きな人と一緒にいられるなんて、幸せ‥)
デート用の服に着替えた時、部屋のインターホンが鳴った。
(誰だろう‥?もしかして、カレが迎えに来てくれたとか)
(いやいや、寮まで来たらバレちゃうし、あり得ないよね)
サトコ
「はーい、どちら様ですか」
玄関のドアを開けた瞬間、パーン!とクラッカーの音が鳴った。
サトコ
「ぎゃーっ!」
鳴子
「サトコ、誕生日おめでとう!」
千葉
「おめでとう!」
サトコ
「鳴子‥千葉さん!わざわざ来てくれたの?」
鳴子
「サトコの誕生日なんだから、当たり前でしょ~」
千葉
「それより氷川、さっき、『ぎゃーっ』って‥」
サトコ
「ご、ごめん‥まさかいきなりクラッカーが鳴るとは思わなかったから」
「でも、覚えてくれてて嬉しいよ。ありがとう」
鳴子
「で?で?」
鳴子が、満面の笑顔でぐいぐい迫ってくる。
サトコ
「え?」
鳴子
「今日の予定は?誰と過ごすの?」
サトコ
「えっと‥そ、その、まあ適当に‥」
鳴子
「何よそれ~!デート?デートなんでしょ?」
「可愛い恰好しちゃって!鳴子さんの目は誤魔化せませんよ!」
(し、しまった‥!出かける直前まで、ジャージ着てればよかった!)
でもなぜか、鳴子の横で千葉さんが慌てている。
千葉
「と、友だちだよな!誕生日パーティでパイ投げとか、女子の間で流行ってるんだろ!?」
サトコ
「誕生日パーティでパイ投げ!?」
(さすがにそれは聞いたことない‥!けど、乗っからせてもらおう!)
サトコ
「そ、そうなの!実は長野時代の友だちと、パイ投げとか枕投げとか」
鳴子
「なんでそんなに投げるの‥?」
「まあ、でも‥せっかくの誕生日だし、楽しんできてね」
サトコ
「うん、ふたりともありがとう」
(誕生日、かあ‥あの人と、どんな日を過ごすことになるのかな)
こっそりと思い出した、その人は‥
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