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ヒミツの恋敵 加賀GE

【教官室】

奥野さんに挨拶を済ませると、その足で公安学校に戻ってきた。

サトコ

「か、加賀さん‥あの」

加賀

‥‥‥

(怒っていらっしゃる‥!?やっぱり、隙を見せちゃったから‥?)

サトコ

「加賀さん!さっきのは‥」

黒澤

あれ~?サトコさんじゃありませんか!

難波

おお、戻って来たのか

サトコ

「黒澤さん、また学校に入り浸って‥」

黒澤

サトコさんが退院したって聞いたから、急いで仕事を終わらせてきたんですよ~

とある消息筋からの情報によると、サトコさん、新聞社の先輩に迫られたとか!?

サトコ

「な!?」

(黒澤さん、そういう情報をいったいどこから‥)

(っていうか、消息筋って誰!?怖い!)

難波

まあ、とりあえず今回の件はようやく解決しそうだ

氷川もハニートラップを覚えたらしいし、一件落着だな

加賀

‥‥‥

サトコ

「全然決着してません‥!むしろ、火に油を注ぐ事態に」

加賀

おい、クズ。さっさと来い

振り返ると、加賀さんが個別教官室に入っていく。

加賀

テメェが休んでた分の仕事がたまってるからな

サトコ

「ハイ‥」

すごすごと、加賀さんについて個別教官室に向かった。

【個別教官室】

部屋に入ると、大量の書類を渡された。

サトコ

「これ‥全部ですか!?」

加賀

文句あんのか?

サトコ

「ないです‥」

(うう‥一応怪我人なのに、この仕打ち‥)

加賀

さっさと終わらせろ。テメェが休んでた分の講義も残ってる

サトコ

「へ?」

加賀

まさか、サボったまま終わらせるつもりじゃねぇだろうな

(も、もしかして‥潜入捜査の時と、入院してる分の講義!?)

サトコ

「入院は仕方ないですけど、潜入捜査は免除になるんじゃ‥」

加賀

誰がそんな寝ぼけたこと言った

サトコ

「誰も言ってないです‥」

(ま、まさか戻ってきた途端に、こんなことになるなんて)

(もうちょっと入院してればよかったかも‥)

結局、仕事は夜になってようやく片付いた。

サトコ

「お、終わった‥」

加賀

遅ぇ

サトコ

「すみません、久しぶりだったので、やり方を忘れ気味で」

加賀

さっさと準備しろ

(準備‥って、これから休んでた分の講義するのかな?)

(今日は絶対に、寝れないコースだ‥)

サトコ

「ここでいいんですか?それとも、教場に‥」

加賀

クズが

吐き捨てられるように言われて、首を傾げる。

サトコ

「え?」

加賀

今日はこのあと、休み扱いだ

さっさと寮に戻って、出かける準備して来い

サトコ

「休み‥?出かけるって」

(あ‥!?も、もしかして‥デート!?)

サトコ

「急いで用意してきます!」

加賀

40秒で支度して来い

サトコ

「無理です!」

嬉しさにニヤけながら、個別教官室を飛び出した。

【スカイタワー】

オシャレして家を出る前、加賀さんから届いたメールに、待ち合わせ場所が記されていた。

(ここ、スカイタワーだよね‥そういえば、前に七夕の時にも来たことあったっけ)

(フロア全体がプラネタリウムみたいになってて、すごく綺麗だったな)

待ち合わせ場所の壁際に、加賀さんが立っている。

サトコ

「お待たせしました!」

加賀

遅ぇ

サトコ

「すみません‥てっきり学校に行けばいいと思って、のんびりしちゃって」

「スカイタワー、七夕ぶりですね!」

加賀

‥覚えてんのか

サトコ

「そりゃ覚えてますよ。加賀さんとの大事な思い出ですから」

加賀さんに並んで立つと、一面ガラス張りになった壁からは、外の景色が一望できた。

サトコ

「綺麗‥!すごい夜景ですね!」

加賀

このくらいで騒ぐな

サトコ

「でも、前に来た時には外が見えないようになってたじゃないですか」

「あの時も、まるで星の中にいるみたいに綺麗でしたけど‥」

何気なく視線を落とすと、なんと床もガラス張りになっていてまるで地面がないように見える。

サトコ

「ぎゃーーーっ!!!」

加賀

‥‥‥

サトコ

「かっ、かかか、加賀さん!地面!下!ゆ、床がないです!」

加賀

なかったらとっくに死んでんだろうが

思わず腕にしがみつく私の頭を、加賀さんがぐいっと押しのける。

サトコ

「痛い!加賀さん、痛いです!」

加賀

‥相変わらず、色気のカケラもねぇ

サトコ

「すみません‥」

謝りながらも、つい頬が緩んだ。

加賀

情けねぇツラしてんじゃねぇ

サトコ

「だって、加賀さんとのデート、久しぶりで‥」

「今なら、どんな罵詈雑言でも受け止められますよ」

加賀

そりゃいつものことだろうが

サトコ

「ふふ‥」

加賀

‥テメェは、どこまでマゾだ

加賀さんのツッコミすら、嬉しく感じるのだった。

【帰り道】

デートの帰り道、加賀さんと並んで、駅から寮まで歩く。

サトコ

「すごく楽しかったです。ありがとうございました」

加賀

あの程度で、礼なんざいらねぇ

加賀さんの低い声が、心地いい。

(こうしてまた、加賀さんの隣を歩けてよかった‥)

(幸せだな‥やっぱりこれからも、加賀さんのそばにいたい)

加賀

‥ところで

サトコ

「はい」

加賀

他の男に触らせたこととは、話が別だ

サトコ

「‥はい!?」

思わず後ずさる私の行動を予期していたのか、加賀さんが私の手を掴む。

加賀

‥『ロクに仕事もできねぇくせに、やることはやってる』

サトコ

「!!!」

(それは‥前に奥野さんに言われたっ‥)

サトコ

「お、覚えてたんですか‥」

加賀

仕置きだと言ったはずだ

サトコ

「でもあれから結構経ってるし、もう時効‥」

加賀

時効はねぇ

サトコ

「ないんですか‥!?」

加賀

テメェに限ってはな

(こ、これは‥帰ったら完璧お仕置きコース‥!)

震えながらも、ふと今日の宿直が加賀さんであることを思い出した。

(宿直なら、今日は寮監室に泊まりだし)

(まさか寮で、変なことなんて‥いや、前にもあった)

(でも、そのまま部屋に閉じこもってれば大丈夫だよね‥助かった!)

加賀

甘ぇ

サトコ

「え?」

加賀

考えがダダ漏れだ

場所なんて関係ねぇ

サトコ

「!!!???」

「まさか‥りょ、寮監室で‥!?」

加賀

さあな

ニヤリと口の端を持ち上げて、加賀さんが私の手を引いて歩き出す。

甘く激しいお仕置きを想像して、怖いような幸せなような、複雑な気持ちでついて行った。

【寮監室】

抵抗する気も起きないまま、寮監室に引きずり込まれる。

ドアが閉まった途端に抱きかかえられて、ベッドに降ろされた。

サトコ

「あれ‥」

加賀

なんだ

サトコ

「い、いえ‥放り出されると思ったんですけど」

加賀

‥そこまでクズじゃねぇ

(あ‥もしかして、まだ腕の怪我が完全じゃないから?)

サトコ

「加賀さんがそんな気遣いをしてくれるとは‥」

加賀

‥少し迷い犬になってた間に、ずいぶん偉くなったもんだな

サトコ

「迷い犬!?」

慌てる私を押さえつけて、加賀さんがシャツを脱ぎ捨てる。

サトコ

「!」

慌てて目を逸らそうとする前に、加賀さんにまっすぐに見下ろされた。

加賀

あれだけ躾けてやったのに、まだ足りねぇか

サトコ

「か、加賀さんの躾についていけるのは、私くらいですよ‥!」

加賀

上等だ

ニヤリと口の端を持ち上げられて、嫌な予感に身体が震える。

(まずい‥これは確実に、お仕置きコース!)

(久しぶりのデートでテンションが上がって、言わなくてもいい事まで言った‥!)

思わずぎゅっと目を閉じると、落ちてきたのは思いのほか優しいキスだった。

サトコ

「え‥」

加賀

なんだ?仕置きの方がいいか?

サトコ

「い、いえ‥!」

(もしかして、怪我のこと、気にしてくれてる‥?)

聞き返そうと思ったけど、すぐに強引なキスで口を塞がれた。

久しぶりの甘いキスに、心がとろけそうになる。

サトコ

「加賀さん‥」

加賀

‥なんだ

サトコ

「なんでもないです‥」

加賀

‥‥‥

一瞬、見つめ合い‥激しく唇を貪られ、求められる。

キスとは裏腹の労わるような優しい指先に、すべてを委ねた‥‥

Good  End

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