【教官室】
加賀
「‥‥‥」
石神
「‥‥‥」
颯馬
「‥‥‥」
東雲
「‥‥‥」
後藤
「‥‥‥」
難波
「‥‥‥」
いつも通り教官たちが黙々と作業している教官室。
しかし、最近なんだか教官室の空気が殺伐としている。
その理由はもちろん‥‥
加賀
(チッ‥あのクズ‥)
(特別捜査協力した警視庁のヤツに24時間尻尾振ってやがる)
石神
(‥最近姿を見ないと思えば、指名手配中の容疑者に手を焼いているらしいな)
颯馬
(彼女、何故か今になって“教師になる夢もあった”とか言い出したんですよね‥)
東雲
(あの子最近幕末にハマり出して意味わかんないんだけど)
後藤
(アイツ、最近闇オークションについて調べているが、危ない奴に捕まったか?)
難波
(最近急に週刊誌に釘付けで、関西弁を使い出した‥流行のアイドルでもいるのか?)
(わからない‥これがジェネレーションギャップっていうやつなのか?)
黒澤
「‥うわっ!皆さんどうしたんですか。そんな物騒な顔して‥」
東雲
「また来たよ」
加賀
「耳障りだ、失せろ」
黒澤
「きょ、今日の黒澤はそんなことではめげませんよ!」
「皆さん、総選挙の準備はできてるんですか?」
石神
「公安がそんなところで目立ってどうする」
後藤
「そうだ。石神さんが何度も言っていることだろう」
黒澤
「そんなこと言ってていいんですか~?」
「強がってますけど本当は、補佐官のサトコさんが離れていかないか不安なんでしょ?」
「皆さんに四六時中張り付いている黒澤にはお見通しですよ☆」
加賀
「チッ」
黒澤
「ちゃんと繋ぎ止めておかないと、人知れずどこかへ行ってしまうものですよ」
「女性というのは‥」
東雲
「なに分かったような口きいて‥」
東雲
(いや、まあ確かに思い当たる節はあるんだよね)
(卒業までしないって決めたからなるべく終電で帰らせたり‥でも)
(すっぽんのくせに‥離れないって言ったくせに‥)
石神
(‥期待するあまり指導に熱が入ることが最近多かったかもな)
(恋人としての時間が取れていなかったか‥)
颯馬
(彼女の前では紳士でいられなくなるのがいけないのでしょうか)
(私はもう、貴女なしでは生きられないというのに‥)
後藤
(ついにアンタも愛想をつかしてしまったのか?)
(ローズマリー野郎に妬きすぎたせいか?)
(‥俺もこのままではいけないということかもしれないな)
難波
(‥まあ黒澤の言い分も、たしかに納得できる)
(いじらしいあいつに甘え過ぎていたのかもな)
(ここはいっちょ、尽くしてくれるひよっこのために頑張ってみるか)
加賀
(チッ‥駄犬のくせにいいご身分だな)
(‥俺をこんなに焦らせるなんざ、テメェにしかできねぇ)
(責任とってついて来い、クズが‥)
黒澤
「フフフフフ」
「‥どうやら、みなさん分かって頂けたようですね!」
「これは、男の戦いです!!!」
「さらなる男磨きをするのです!!」
「彼女の最愛の男になるために‥」
こうして屈強な公安刑事たちが挑む戦いの火蓋は切って落とされた。
彼女の“最愛彼氏”になれるのは、一位になれるのは、はたしてどの男なのか‥
全ては彼らの愛する彼女‥
そう、アナタにかかっているのである‥‥