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彼氏力チェック 加賀

お題:落ち込む彼女の慰め方

【居酒屋】

年配男性A
「いや~やっぱり若い子がいると華があるな」

サトコ
「そ、そうですか?華なんて、言いすぎですよ」
「あっ、お酒注ぎますね!」

学校の帰り、室長に連れて来られた私は、お偉いさんたちの接待をしていた。
隣に座る男性のグラスが空になっていたのでお酌をしていると、太ももに違和感を感じる。

サトコ
「!」

なかなか止めようとせず、エスカレートしてくる男性に耐えきれなくなった私は、

男性の手を思い切り払いのけてしまった。

(や···やってしまった···)

難波
おーい!氷川、こっちも頼む

私の様子に気付いたのか、室長が自然に空気をかえてくれる。

(た、助かった···)

その後、室長のおかげでその場は丸く収まり、なんとか接待を無事終えられたのだった。

【店外】

難波
あの様子じゃ、まだまだひよっこは卒業できねぇな

サトコ
「申し訳ありません···返す言葉もありません」

難波
今後、嫌なことでも最後までやり遂げなきゃならん事も出てくる
もう少し、感情をコントロールできるようにしておけ

サトコ
「はい···」

難波
以上だ。まぁ今日はお疲れさん。気を付けて帰れよ

室長は私に背を向けると手を挙げヒラヒラさせながら、ネオン街へと姿を消していく。

(あんなことにも冷静に対処できないなんて、室長の言う通りまだまだだよね···)

【寮】

サトコ
「はぁ···」

沈んだ気持ちで廊下を歩いていると、加賀さんの姿を見つける。

サトコ
「あ、お疲れ様です」

加賀
遅ぇ。飲み会はとっくに終わってんだろ
どこほっつき歩いてた

サトコ
「すみません···!ちょっと散歩を···」

加賀
夜にか?

サトコ
「はい···ちょっとお散歩したい気分だなー···なんて」

私は気持ちを隠すように、加賀さんに笑って見せる。

加賀
······
まあいい···入れ

何かを察したかのように、加賀さんは寮監室のドアを開けて私に中に入るように言う。

【寮監室】
加賀
で、何かあったんだろ。さっさと言え

サトコ
「はい···」

私は加賀さんに呆れられることを覚悟し、先ほどのことを話し始めた。

(きっと、加賀さんも室長と同じこと思うよね···)

話し終わり、加賀さんから出る言葉を想像しながら黙って待つ。

すると、加賀さんは何も言わず、私の頭をグシャッと撫でた。

サトコ
「えっ···えーと···」

加賀
説教なら、もう難波さんからされたんだろ?それが全てだ
言われたことに、ちゃんとテメェで分かったならそれでいい

サトコ
「······!」

(これって、加賀さんが慰めてくれてる···?)

怒られることを覚悟していた私は、いつもと違う加賀さんに少し戸惑ってしまう。

加賀
なんだその顔は
それとも、仕置きされてぇのか?

サトコ
「いえ!そんな事は···」

ビクつく私を鼻で笑いながらも、加賀さんなりの空気で私を包んでくれる。

(今の加賀さんなら、ちょっと甘えてみてもいいのかも···?よし···!)

私は、普段出来ないような事をお願いしてみることにした。

サトコ
「あの···図々しいお願いしてもいいですか?」

加賀
あ゛?

サトコ
「えーっと···あのですね···」

加賀
言いたいことがあるならさっさと言え

(ダメだ···)

(もし、今断られたら絶対に傷つくし、やっぱ止めておこう···)

サトコ
「···やっぱり大丈夫です!忘れてくださ···」
「···!」

気が付くと、私は加賀さんの腕の中にすっぽり収められてしまっていた。

加賀
テメェの考えてることなんざ、お見通しだ···

サトコ
「加賀さん···」

言わなくても、私の気持ちが分かってしまう加賀さんに、心の不安を溶かされる。

(今日の嫌なこと忘れちゃうくらい幸せな気分···)

(でも、このまま終わらない気がするのはなんでだろう···)

加賀
今のは貸しだ。今度たっぷり、礼をもらう
覚悟しておけ

サトコ
「!」

(や、やっぱり···!)

(でも、まぁいいっか···今日だけは···)

言葉が多いわけではないけれど、私にはそれが心地良い。

加賀さんの腕の中で、私の心はどんどん癒されていくのだった。

Happy  End

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