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彼氏力チェック 後藤

お題:落ち込む彼女の慰め方

【後藤マンション キッチン】

今夜は後藤さんのお家でのんびりデート。

キッチンに立ち、楽しく夜ご飯の準備をするはずが···

サトコ
「はぁ······」

【教場】

鳴子
「この状況だったらA案でいくしかないと思うんだけど」

サトコ
「それだと不十分だよ、犠牲者が出るリスクが拭いきれない」

鳴子
「······」

【後藤マンション キッチン】

昼間、講義で出た課題について議論が白熱し、鳴子と気まずくなってしまった。

先程から思い出しては何度目かわからないため息が漏れる。

(ちょっと言い方が悪かったよね···)

(私からちゃんと鳴子に謝るべきだったかな···)

後藤
······?サトコ?

サトコ
「あ、後藤さん」

後藤
そんなに皮を剥いたら、食うところが無くなってしまうんじゃないか···?

サトコ
「あっ···!」

後藤さんの視線の先には、無心で皮を剥きすぎて小さくなってしまった人参があった。

サトコ
「すみません!」

後藤
まあ、食えないわけじゃない

サトコ
「すみません···つい、ボーっとしちゃって」

後藤
ハハハ、アンタらしいな
疲れているんだろう、俺も手伝う

サトコ
「でも、後藤さんの方がお疲れでしょうし···!」

後藤
大丈夫だ。横でアンタの料理してる姿を見てられるしな

そう言った後藤さんは微笑み、腕まくりをして私の横に並ぶ。

サトコ
「···ありがとうございます」
「じゃあ、この野菜を切ってもらっていいですか?」

後藤
ああ、任せろ

【リビング】

ふたりで作った料理を食べ終えた私たちは、ソファに並んで座りTVを見る。

サトコ
「おいしかったですね、一緒に作ったポトフ」

後藤
ああ

サトコ
「まあちょっと人参は小さめでしたけど、味は悪くないってことで···」

後藤
······

すると、隣に座る後藤さんがそっとこちらに向き直り、真剣な表情で私を見つめた。

後藤
···今日は何かあったのか?
アンタが話したくなければいいんだが···

サトコ
「後藤さん···」

料理を手伝ってくれた時から、話しやすいムードを作ろうとしてくれていた後藤さん。

気になりながらも私が話すのを待ってくれていた優しさに、少しだけ甘えることにした。

サトコ
「実は···」

鳴子とのことを話し終えるまで、後藤さんは黙って聞いてくれていた。

サトコ
「私も、キツイ言い方をしてしまったって反省してます···」

後藤
···そうか
後悔しているなら、やることは一つしかない

サトコ
「···はい」

後藤
アンタなら大丈夫だ

サトコ
「······」

後藤さんの励ましはとても優しかった。

でも、謝っても鳴子との間にわだかまりが残ってしまわないか···

そんな微かな不安が拭えず俯いていると、後ろから後藤さんの温かなぬくもりに包まれた。

後藤
大人になると、素直に謝るのはなかなか難しい
でも、ずっと後悔が残ることの方が辛い···
アンタと佐々木はお互い、真剣だからこそ対立したんだ
それなら、真っ直ぐ素直にぶつかればお互いに成長できるんじゃないのか?

サトコ
「後藤さん···」

後藤
俺はアンタのそういうところに惹かれた
正面からぶつかれば、佐々木にも響くものがあるはずだ

背中から伝わる、後藤さんの体温と真剣な想いに勇気づけられていく。

気持ちが軽くなった私は、すっきりした笑顔を向ける。

サトコ
「···明日、鳴子に謝ります!」

後藤
ああ、頑張れ

そう微笑みながら、後藤さんはおでこにチュッと優しいキスを落とした。

後藤
アンタにとって、佐々木は本当に大切な仲間なんだな

サトコ
「後藤さん···もしかして、ヤキモチですか?」

フフッと笑いながら後藤さんをからかうと、驚いた顔をする。

しかし、後藤さんはすぐに真剣な表情に変わり···

後藤
かもな

サトコ
「えっ!?」

後藤
冗談だ
男友達となったら話は変わるかもしれないがな

サトコ
「もう、後藤さん!」

悪戯に笑い、私をからかう後藤さん。

その笑顔を見て、いつの間にか、私の心のモヤモヤが解けていることに気が付く。

後藤さんの励ましで取り除かれた不安は、安心へと変わっていた。

Happy  End

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