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彼を誘惑♡ハニートラップ 颯馬

【学校 廊下】

サトコ
「失礼しま···」

教官室に入ろうとすると、中から声が聞こえてきた。

難波
うーん、俺はこっちだな

颯馬
そうですね。私もこの方がいいです

後藤
では、決まりですね

(大事な話の最中みたい。後でまた来よう)

聞いてはいけないと思い、出直そうとするとーー

黒澤
やっぱり、男は脚が綺麗な女性に弱いですからね~

颯馬
まあ、そうですね

(え?)

引き返そうとした足が思わず止まる。

黒澤
この人の脚、周介さんの好みっぽいですよね!

颯馬
確かに彼女、きれいな脚をしてますね

難波
ああ、いいよな~

(綺麗な脚とか好みとか···いったい何の話?)

聞いてはいけないと思いつつ、聞き耳を立ててしまう。

黒澤
女性ならではの柔らかさって、たまらないですよね

東雲
まあ、ムキムキよりはね

(私は···柔らかさよりムキムキの方だ···!)

(やっぱり颯馬さんだって、綺麗な脚の女の人のほうがいいよね···)

グサッと胸を突かれたような気分になり、そっとその場を離れた。

【教場】

サトコ
「ねぇ、私の脚を見てどう思う?」

教場に戻った私は、思わず鳴子に聞いてみた。

鳴子
「どうしたの急に?」

サトコ
「あ、いや···ちょっと気になって」

鳴子
「う~ん」
「···いいと思うよ!」

サトコ
「え?」

鳴子
「すっごく公安向きだから!!」

サトコ
「···!!」

頭の中で、まさに “ガーン!” という音が鳴り響いた。

(このままじゃマズイ···なんとかしなきゃ!)

【グラウンド】

翌日ーー

後藤
あと1周!

後藤教官の檄が飛ぶ中、野外訓練で走り込む。

サトコ
「ハァ、ハァ···」

(キツイけど、ここが踏ん張りどころ!)

ラストスパートをかけてくる男子訓練生たちに負けじとパワーを上げる。

後藤
いいぞ氷川。最近、体力も脚力もついて良くなってる

サトコ
「はいっ···ありがとうございます!」

(って、喜んでる場合じゃないよ···!)

(昨夜から早速フットケアも始めたのに)

筋肉を落とすわけにはいかないので、まずは肌質改善と思い、オイルマッサージから始めた。

保湿クリームをたっぷり塗り込み、就寝時には着圧ソックスも履いて。

(せめて、これ以上ムキムキになることだけは阻止したい···)

そんな切望を秘めて走りきった私に、東雲教官が笑顔で近づいてくる。

東雲
凄いよね、キミ。男子訓練生並みの逞しさ

(うぅっ···!)

(美脚は一日にして成らず···だよね)

【教場】

鳴子
「それなら思い切ってさらけ出しちゃえば?」

女性らしさに欠ける自分の脚にため息をつく私に、鳴子が大胆な提案をしてきた。

鳴子
「露出した方がスッキリして見えるって、何かで読んだことあるけど」

サトコ
「露出かぁ」

(自信ないけど、試してみようかな···?)

【街】

数日後ー

(思い切っていつもより短めのスカートを穿いてきたけど···)

颯馬さんとのデートで早速脚見せファッションにチャレンジしたものの、特に反応がない。

(もっと大胆なミニにするべきだったかな?)

(膝上20センチのタイトとか、思い切ってショートパンツとか···)

(ムリムリ!私にはこの膝上ミニフレアが精いっぱいだよ!)

通り沿いのガラスに映る膝が丸見えのふんわりスカート姿は、私にしては頑張った方だ。

颯馬
次はどこに行きましょうか?

サトコ
「えっと···ちょっと休んでもいいですか?」

颯馬
ええ、構いませんよ

歩道のベンチに腰掛け、エレガントに見えるよう膝を揃える。

(膝下は少し斜めにして、爪先も揃える···)

一夜漬けの『脚が綺麗に見える座り方』に沿って実践してみる。

でも、颯馬さんの視線は私の脚どころか空に向いている。

颯馬
日が傾いてきましたが、寒くないですか?

サトコ
「···いえ、大丈夫ですよ」

微笑みながら、今度はさりげなく脚を組んでみた。

颯馬
今夜の食事は、夜景を楽しめるレストランでしましょう

サトコ
「え?あ、はい、楽しみです」

(···ダメだ。私の脚になんかちっとも関心ないみたい)

自分なりに頑張ってアピールしたものの、颯馬さんは全く無反応だった。

【レストラン】

夜になり、ホテル最上階のお洒落なレストランに連れて来てもらった。

サトコ
「綺麗···」

窓の外に広がる夜景に見惚れていると、店員さんがブランケットを手にやって来た。

店員
「お足元にお使いになりますか?」

サトコ
「あ、いえ···」

颯馬
頂けますか?

(え···)

颯馬さんがブランケットを受け取り、そっと私の膝に掛けてくれる。

颯馬
冷えてしまうといけないので

サトコ
「···ありがとうございます」

優しく微笑まれ、素直に受け入れた。

(脚を出してもアピールにはならないみたいだしね···)

こっそり自嘲しつつも、颯馬さんの優しさが嬉しかった。

【颯馬マンション】

デートを終え、颯馬さんの家にお邪魔した。

(脚見せアピールは失敗に終わったけど、楽しい1日だったな)

颯馬
今日は久しぶりに一緒にお風呂に入りませんか?

サトコ
「···はい、そうですね」

思いがけないお誘いに照れながら、私は小さく頷いた。

【バスルーム】

颯馬
サトコ、何か私に隠していませんか···?

サトコ
「えっ」

2人で湯船に浸かっていると、いきなり意味深に問いかけられドキッとした。

(もしや、この前教官室で聞いちゃったこと、バレてる!?)

サトコ
「す、すみません!聞いてはいけないと思ったんですが、つい···」

颯馬
立ち聞きはよくありませんね

正直に白状すると、颯馬さんはフッと小さく笑った。

颯馬
それで貴女は勘違いをしたのですね

サトコ
「勘違い···?」

颯馬
あれは次の協力者をどの人にするか選んでいたのです
それがたまたま脚の綺麗な女性だっただけです

サトコ
「···そうだったんですね」
「私、てっきり颯馬さんが脚が綺麗な女性が好きなのかと···」

颯馬
まあ、嫌いではないですが···

片頬だけで微笑んだ颯馬さんの手が、お湯の中でスーッと私の脚を撫でる。

サトコ
「···!」

ドキドキしていると、颯馬さんはゆっくりと身体を移動させた。

向い合せになり、そっと足首を掴まれる。

そのまま優しく引っ張られ、湯船の中で脚を伸ばされる。

颯馬
俺の気持ちをかき乱すのは······サトコだけだよ

(そ、颯馬さん···!)

伸ばされた脚を、太ももから指先までゆっくりなぞるように撫でられた。

(ダメ···そんなことされたら···)

サトコ
「···そろそろ先に上がりますね!」

一気にのぼせてしまいそうになり、慌てて湯船から出ようとする。

チャプン!

サトコ
「!」

お湯が跳ねる音と共に手首を掴まれた。

ドキドキしながら振り向くと、颯馬さんの前髪からぽたりと雫が落ちた。

颯馬
今日は逃しません
あんな可愛らしいアピールをされたんですから、しっかり応えないと

サトコ
「あっ···」

後ろから抱きしめられ、あっという間に湯船の中に引き戻された。

颯馬
膝を揃えて座る姿も、脚を組む姿も、とてもセクシーでしたよ?

(気づいてたんだ!)

颯馬
でもこれからは、俺だけに見せて欲しいな
他の男性には見せたくないから

サトコ
「···もしかして、レストランでブランケットを掛けてくれたのはそれで?」

颯馬
大事なものは独り占めしたいタイプなので

サトコ
「んっ···」

優しい微笑みと共に、甘いキスが唇に落とされた。

お湯の中で、優雅に泳ぐ魚のように妖しく動く颯馬さんの手に、そっと脚を撫でられながら···

Happy  End

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