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誘惑ランジェリー 颯馬 1話



【颯馬マンション 寝室】

颯馬
サトコ···

甘い雰囲気に呑まれ、ドキドキと鼓動が高まる。
なんとなくじゃれ合っているうちに、ベッドに押し倒されてしまった。
颯馬さんは真上から私を見下ろし、愛おしそうに髪を撫でてくれる。

颯馬
今夜は···泊まるんですよね?

サトコ
「はい···」

颯馬
では、ゆっくり楽しみましょうか···

妖艶な微笑みに、さらに胸を高鳴らせる。
颯馬さんの指先は、髪を頬を通って顎へと下りてきた。
そのまま顎を持ち上げられるかと思いきや、指先は喉をなぞって更に下へ行く。

(なんか···すごく焦らされてる気が···)

胸の鼓動がどんどん激しくなる中、颯馬さんの指は胸元へ。
ブラウスのボタンを、一つ一つゆっくりと外されていく。
ゆったりと流れるような動きで服を脱がされ、下着だけの姿に···。

颯馬
ネイビーが好きなんですね

(え?···あっ!)

ブラの肩紐に手を掛けて言われ、ハッとした。

(剣道着の色移りが気になって、最近つい紺色ばかり選んじゃうから···)

藍染の剣道の道着は、白や淡い色の下着に色移りしやすい。
汗びっしょりになるため、中にTシャツを着ても移ることがある。

サトコ
「ええと···」

(実用性しか考えてない、なんて言えない···)

颯馬
「···何色でも似合いますよ。サトコなら

私の戸惑いを覆い隠すように優しく、そっとキスを落とされた。

(気を遣われちゃった···?)

後悔と恥ずかしさを感じながらキスを受け止める。

しかしやはり颯馬さんの言葉が気になってしまい、深まるキスにもどこか夢中になりきれなかった。


【ランジェリーショップ】

(うーん、どんな感じのがいいのかなぁ)

翌日、早速新しい下着を買いにお店へ繰り出した。

(フランス旅行のために買ったのが赤だから···)

あの時は鳴子が一緒だったので色々とアドバイスをもらえた。
でも今日は一人なので、なかなか決められない。

(パステル系は色移りしやすいし···)
(思い切って···黒?黒なら道着の色も···って!また剣道基準になっちゃってるよ···)

自分に呆れつつ迷っていると、店員さんに声を掛けられた。

店員
「どのような感じのものをお探しですか?」

サトコ
「それが、何て言ったらいいのか···」
「今まであまり選ばなかったようなものを買ってみようかなって···」

具体的なイメージがあるわけではないので、そんなあやふやな言い方しかできない。

店員
「それでしたら···!」

店員さんはピンときたような顔をした。
そのまま少し離れたところまで行くと、真っ白な何かを手に戻ってくる。

店員
「こちらのベビードールはいかがでしょう?」

(えっ、何?かなりスケスケなんだけど···!)

ミニ丈のキャミソールドレスのようなベビードール。
レースやシフォンなどの透ける素材で、可愛いとは思うけどセクシーすぎる。

店員
「今までお求めになられたことはございますか?」

サトコ
「い、いえ、ないですないです!」

店員
「ではこの機会にぜひ」

(ムリムリムリ!冒険しすぎだよ···!)

店員
「こちらは意外と普段使いに向いているんですよ」

(いやいや、普段からコレはちょっと···)

店員
「お風呂上がりのリラックスタイムや、部屋着にしてもいいと思います」

(···なるほど、そういう意味での普段使いか)

店員
「プライベートタイムにさりげなく取り入れるだけで、ぐんと女子力が上がりますよ」

サトコ
「なるほど···」

(女子力···私に最も欠けている力だ···)

店員
「もちろん恋人とのひとときを演出するにも最適ですしね」

(恋人とのひととき······そ、それだ!)

自分が求めていたものが何なのか、そのキーワードで明確になった。

店員
「おすすめですよ?」

サトコ
「じゃ、じゃあ、これにします‥!」

店員さんの笑顔に背中を押され、思い切ってベビードールを買ってしまったのだった。


【ホテル】

週末、久しぶりに遠出をして宿泊先のホテルに戻った。

(今日は楽しかったな)

颯馬さんの完璧な計画で、一泊デートはとても充実していた。

颯馬
サトコ、先にシャワー浴びておいで

サトコ
「はい、ありがとうございます」

荷物の整理をしていると、後ろから声を掛けられた。

(シャンプー類と、着替えと···)

そこでふと手が止まる。
持参したお泊りセットの中には、あの純白のベビードールも入っている。

(一応持ってきたけど、冷静に考えたらやっぱり大胆すぎるよね···)

店員さんの巧みなセールストークに乗せられてしまった感が否めない。

(やっぱりやめておこうかな···でもせっかく買ったんだし···)

とりあえず他の着替えと一緒に脱衣所まで持っていくことにした。

(お風呂上がりの時の気分で決めよう)

サトコ
「じゃあ、お先にいただきますね」

颯馬
よかったらこれを

サトコ
「え?」

颯馬
どうぞ

小さな包みを渡された。

(何だろう?)
(今渡されるってことは、お風呂で使うもの?)

颯馬
ごゆっくり

意味深な笑みを浮かべると、颯馬さんは窓辺のソファの方へと行ってしまった。

【脱衣所】

脱衣所に来て、渡された包みを開けてみるとー

サトコ
「えっ?」

思わず声が出てしまい、慌てて口を塞ぐ。
それは、純白の上下セットの下着だった。

(颯馬さんが選んでくれたの···!?)

突然で、しかも予想外のプレゼントに驚き、心臓がバクバクする。

(と、とりあえずシャワー浴びてこよう!)

動揺を鎮めるためにも、ひとまずバスルームに飛び込んだ。

(さて、どうしよう···)

シャワーを浴び終わり、再び純白の下着と対峙する。

(紺の下着ばかりなのを見かねて買ってくれたんだろうな···)

颯馬さんがくれた下着は、ほんのりと透け感があり、上品なレースが施されている。
清楚な中にも程よいセクシーさがあり、とても美しい。

(私が買ったベビードールと合いそうなデザインだよね)

迷いつつも持参したベビードールと並べてみる。

(わ、最初からお揃いみたい!)
(けど、やっぱり私にはちょっとハードル高いな···)

並べた下着とベビードールを見つめ、しばらく逡巡する。

(うーん、でもせっかく颯馬さんがプレゼントしてくれたんだし···!)

勇気を出して着てみると、下着のサイズは驚くほどピッタリだった。

(すごく気持ちいいフィット感!)
(ここまでピッタリのサイズがわかってしまう颯馬さんって···すごすぎる)

驚きと感心が先に立ち、その後、猛烈に恥ずかしくなる。

(カップもアンダーもこんな完璧に把握されてたなんて···)
(しかも感触だけで···?)

一瞬ベッドでのひと時を想像してしまい、カッと顔が赤くなった。
火照った頬のまま、続けて自分で買ったベビードールも着てみる。

サトコ
「······」

鏡に映る自分の姿に、思わず言葉を失う。
予想以上に透けていて、中の下着はもちろん、身体のラインもはっきり分かる。
まるでグラビア雑誌から出てきたような大胆さだ。

(こ、この姿で出て行くのはやっぱり恥ずかしい···!)

でも颯馬さんの気持ちを思うとどうしようか迷う。

(プレゼントされた下着はそのままに、ベビードールだけ脱いで部屋着に着替えよう!)

そう思った時だった。

コンコン

颯馬
サトコ?

サトコ
「!!」

なかなか出て来ないのを心配して様子を窺いに来てくれたらしい。

颯馬
大丈夫ですか?

サトコ
「は、はい!大丈夫です。今出ます···!」

(うぅ、もう覚悟を決めるしかない···颯馬さんの気持ちに応えるんだ!)

私は意を決して扉を開いた。


【部屋】

颯馬
「···

部屋に続く扉の前で、颯馬さんは息を呑むようにして固まった。
まっぐに私に視線を向けたまま、微動だにしない。

(み、見てる···ものすごい見てる···)

そのまま沈黙が続き、どうにも気まずい。

(だ、ダメだ。もう耐えられない)

サトコ
「な、何か言ってもらえると···」

颯馬
いや、想像していた姿と違ったもので···

(うっ、似合ってなかった···!?)

恥ずかしすぎて逃げ出したくなるも、颯馬さんの表情にふと目が行く。

(···照れてる?)

頬には微かに赤みが差し、困ったような顔をしている。

颯馬
···驚きました。想像のずっと上を行く可愛さだから

(え···)

颯馬
とても似合ってます···

颯馬さんは、少し恥ずかしそうに視線を泳がせた。

(···颯馬さんがこんなふうに照れるなんて)

いつも余裕があってスマートな颯馬さんの意外な反応が新鮮だった。

(な、なんかちょっと可愛く見えるかも···)

視線が外れた隙に、一人こっそり微笑む。

(颯馬さんのこんな姿が見られるなら、勇気を出して着てよかった)

颯馬
おいで

差し伸べられた手をそっと取る。
触れ合う指先に、なんだかいつも以上にドキドキしてしまう。
そのまま手を引かれ、ベッドに座らされる。

颯馬
訓練を頑張っている姿も好きだけど···
俺との時間では、それを着てくれると嬉しいな

サトコ
「···はい」

大事そうに肩に触れられ、そっと頷いた。

颯馬
本当によく似合ってる···可愛い

サトコ
「そんなに言われたら恥ずかしいです」

颯馬
可愛いものは可愛い。何度でも言うよ

サトコ
「もう···あっ」

照れて俯こうとした瞬間、優しくベッドに押し倒された。

颯馬
もっとよく見せて

サトコ
「······」

真上からの真っ直ぐな視線に、再び全身が熱を持つ。

颯馬
プレゼントした下着とピッタリだね

サトコ
「はい···お揃いかと思うくらいで、ビックリしました」

颯馬
俺たちの気持ちが通じ合ってる証拠かな

サトコ
「え···?」

颯馬
俺に見て欲しいと思って選んでくれたんでしょ?

サトコ
「···そうですけど」

颯馬
俺も、サトコに着て欲しいと思って選んだから

2人がそれぞれ選んだものが、偶然にもぴったりの相性だった。

サトコ
「思い切って買ってみてよかったです···」

颯馬
俺も

颯馬さんは優しくも色っぽい微笑みを浮かべると、胸元にそっとキスを落とした。

サトコ
「んっ···あ···」

下着の上からされるキスは、ゆっくりとおへその方へ下りて行く。
ベビードールの薄い生地越しに感じる颯馬さんの唇は、とても熱い。

颯馬
俺だけが知ってるサトコの姿···

キスを止め、再び真上から改めて私を見つめる颯馬さん。
更に熱を帯びた瞳に捉えられ、恥ずかしいのに目を逸らすことができない。

颯馬
ずっと俺のものにしたい···

サトコ
「んっ···」

柔らかなキスと共に、颯馬さんの身体がゆっくりと下りてくる。
重なる肌の温もりを感じながら、そっと背中に手を回す。

サトコ
「颯馬さん···私も···んっ」

“あなただけのものでいたいです” という言葉は、優しいキスに飲み込まれてしまった。
伝えたい言葉を胸に抱いたまま、静かに目を閉じる。
宝物のように大切に扱われる喜びに、泣きたくなるほど幸せを感じる。
夜空が綺麗な静かな夜に、2人の熱い吐息が溶け込んでいった···

Happy  End



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