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誘惑ランジェリー 颯馬 カレ目線



【剣道場】

ヤーッ!

(あの声は···)

剣道場から聞こえてきた声に誘われ、そっと覗いてみる。

(やっぱり)

訓練生たちと自主練で汗を流すサトコの姿を見つけ、自然と頬が緩む。

(相変わらず頑張ってるな)

面越しにもわかるくらい額に汗が光り、気合が伝わってくる。

(······あぁ、だから)

藍染の道着姿のサトコを見て、ふと気づいた、

(道着の藍色が汗で色落ちするのか···)

【颯馬マンション 寝室】

颯馬
ネイビーが好きなんですね

サトコ
『?···!?』

【剣道場】

(あの時は、単によく見るなと思ってああ言ってしまったが···)

サトコは色移りを気にして下着を選んでいた可能性が高い。

(そこに意図があるとは、全く気付かなかったな)

『好きな色』と決めつけるような言い方をしてしまったことを少し反省する。

(本当は優しい色合いのものが好きなのかもしれないし···)
(······贈ったら迷惑だろうか?)

ふとした思い付きから真剣に考える。

(しかし···いきなり下着のプレゼントというのもどうなんだ?)

迷いつつサトコを見つめていると、ちょうど面を外したサトコと目が合った。

サトコ
「······」

控えめな笑顔を見せ、小さく手を振ってくる。

(···可愛いな)

そっと手を挙げて応える。

周りの目を盗んでこっそり楽しむ2人の時間が愛おしい。

(そうだ、俺と過ごすときだけに着けてもらえるような特別なものを贈ろう)

そう思いながら、その場を後にした。


【ランジェリーショップ】

店員
「では、こちらのデザインでよろしいですか?」

早速ランジェリーショップを訪れ、サトコへのプレゼントをオーダーメイドしに来た。
最近は恋人への贈り物として男性からの注文も増えているらしい。

(せっかくなら世界にただ一つのものを贈りたいと思うのは俺だけじゃないんだな)
(しかし素材から選べるとは、なかなか奥が深い)

やや透け感のある素材を選び、上品なレースを施してもらう。

(サトコの肌に触れる部分も、滑らかなこの質感なら心地よさそうだ)

ストラップにもレースをあしらってもらい、華やかさをプラスした。

(これで見た目も感触も申し分ない···)

颯馬
デザインはこれでお願いします

店員
「承知いたしました。では、お色はどういたしましょう?」

(色か···)

颯馬
そうですね···

次に色見本のカタログを見せてもらい、選んだデザインに合いそうなものを探す。

(うーん、やはり白か···?)

自分の好みで言えば『純白』だ。

(しかし、サトコの好みとなると···)

白い下着を着けている姿をほとんど見たことがないため、好みかどうかはわからない。

(けど、似合うかといえば···サトコなら絶対に白は似合うな)
(俺といる時に着けてもらう特別な下着だ···色移りなど気にしないで着てほしい)

颯馬
こちらの純白でお願いします

店員
「かしこまりました」

丁寧に頭を下げた店員の女性が、不意にニッコリと微笑んだ。

店員
「男性は終始照れていらっしゃる方が多いんですが、お客様はとてもスマートですね」

颯馬
···そうですか?

どういう反応していいのか戸惑い、苦笑いを浮かべた。

(気後れは多少あったものの、別段照れることでもないと思うが···)

サトコを思えばこその行動ゆえ、自分としては特に恥ずかしさは感じない。

店員
「白をお選びになるお客様は、特に照れる方が多いんですよ」
「 “自分色に染めたい” という心理がお顔に表れてしまうようで···」

(確かに俺もサトコを自分色に染めたいとは思う)
(でも今回は、それよりなにより···)

颯馬
好きな女性の喜ぶ顔が見たい···ただそれだけですよ

店員
「お客様の彼女さんはお幸せですね」

颯馬
そうであってほしいと、いつも願ってますよ

店員
「···素敵な彼氏さん!」

なぜか頬を赤らめながらも、店員の女性はテキパキと対応してくれた。


【ホテル】

颯馬
どうぞ

出先のホテルで、シャワーを浴びに行くサトコに例のプレゼントを渡した。

サトコ
「···?」

颯馬
ごゆっくり

不思議そうな顔をするサトコを残し、窓辺にあるソファへ向かう。

(···喜んでもらえるだろうか)

意外にも思っていた以上にドキドキする。
ソファに座って振り返ると、もうサトコの姿はなかった。
スパークリングウォーターを飲みながら、窓の外に目を向ける。

(···そういえば、女性に下着をプレゼントしたのは初めてだな)

今まで色々な人に様々なものを贈ってきたが、下着は思いついたこともなかった。

(今回もふとした思いつきには違いないが···)

これでまで接してきた女性たちが何色を身に着けていようが、正直あまり関心はなかった。

(けど、サトコに対しては身に着けるもの一つ一つが気になる···)
(しかもそこに “自分の好み” まで加えたくなるんだから、俺も変わったものだな)

苦笑いを浮かべつつ、そんな自分が嫌いじゃない。

(問題はその “自分の好み” をサトコが気に入ってくれるかだ···)

柄にもなく一抹の不安がよぎる。

(···サトコならきっと、俺の想いを受け止めてくれると信じよう)

希望的観測を抱きながら、あの純白の下着を着けた彼女の姿を想像する。

(早く見たいな···)

そのまま暫くぼんやりと窓の外を眺めているうちに、ふと思う。

(遅くないか···?)

『早く見たい』という気持ちがそう感じさせるのかと思いつつ、時計を見る。

(いや、もう出て来てもいいはずだな)
(···具合が悪くなったりしてなければいいが)

心配になり、バスルームの方へ向かう。
脱衣所に続く扉の前まで来ても、シャワーの音はしない。

(着替えている最中か?)

そう思うも特に物音も聞こえず、ノックをしてみる。

コンコン

颯馬
サトコ?

気配は感じるが返事がない。

颯馬
大丈夫ですか?

サトコ
『は、はい!大丈夫です、今出ます···!』

(···よかった、無事か)

具合が悪そうな声でもなく、ホッと胸を撫で下ろしたその時ーー

カチャ···

颯馬
···!

そこに見たサトコの姿に、息が止まるほど驚き、目を見張る。

(···俺、こんなの贈ったか······?)
(い、いや違う···俺が贈ったのはあの下着だけだ···)

サトコは、あのオーダーメイドした下着をちゃんと身にまとっている。
一瞬自分が知らぬ間にこんなものまで買っていたのかと錯覚するほど驚いた。

(それにしても可愛い···)

贈った純白の下着と重なり、とても似合っている。

サトコ
「な、何か言ってもらえると···」

(え、あ···)

颯馬
いや、想像していた姿と違ったもので···

サトコの声で我に返り、ようやく言葉を口にした。

(こんな姿を見せられたら、ただひたすらに見惚れてしまう···)

胸は高鳴り、顔も紅潮しているのが自分でもわかる。

颯馬
···驚きました。想像のずっと上を行く可愛さだから

サトコ
「······」

颯馬
とても似合ってます···

素直に伝えると、サトコは嬉しそうにはにかんだ。

サトコ
「···ネイビーばかりじゃダメだと思って······」

(やはりあの時の俺のひと言を気にしていたのか)

悪いことをしたと思うも、サトコの表情はとても柔らかい。

サトコ
「颯馬さんに見てもらいたくて‥喜んでもらいたくて買ったんです···」

(サトコ···)

頬を真っ赤にして告白するサトコに、愛しさが込み上げる。

(いつもの元気で活発なサトコももちろん好きだけど、こういう姿も、本当に魅力的だ)

普段、どちらかというと色気のあることは苦手なサトコ。
そんな彼女がこうして俺のために頑張ってくれたことが嬉しい。

(···早く抱きたい)

男としてのストレートな欲求が身体の奥底から湧いてくる。

颯馬
おいで

はやる気持ちを抑えつつ、そっと手を差し伸べた。
遠慮がちに俺の手を取るサトコの手を優しく握り、ベッドまで誘う。

颯馬
本当によく似合ってる···可愛い

ベッドに座らせたサトコの、露わになった肩にそっと触れる。
温かくてなめらかな肌は、俺の手にしっくりと馴染む。

颯馬
もっとよく見せて

サトコ
「······」

そっとベッドに押し倒し、真上からじっと見つめる。
恥らうサトコは、頬だけでなく身体全体がほんのりピンク色に染まっている。

(白い下着がよく映える···)

似合うとは思っていたが、予想以上の美しさだ。

(やはり純白にしてよかった)

サトコが俺のためにと思って選んだものも、同じ純白だったことが嬉しい。

颯馬
プレゼントした下着とピッタリだね

サトコ
「はい···お揃いかと思うくらいで、びっくりしました」

颯馬
俺たちの気持ちが通じ合ってる証拠かな

満たされた気持ちで、そっとサトコの髪を撫でる。

颯馬
···何色だって似合うのは今も変わらないけど、2人が選んだ色が一番似合うよ

愛しさに思いを込めて、胸元にそっとキスを落とした。

サトコ
「んっ···あ···」

可愛らしい甘い声と、唇に触れる柔らかな生地の感触が心地いい。
うっすらと肌が透ける生地の上から、キスの雨を降らす。
まるで雲のベールに包まれたようなサトコの身体は、ほんのりと熱く柔らかい。

(あんまり可愛くて、脱がせるのが勿体なくなるな)

薄い生地越しに伝わるサトコの体温を感じながら、そっと優しく指を這わせる。
美しい曲線をなぞるように、柔らかな感触を確かめるように。

サトコ
「んん···」

ゆっくりと身体をくねらせるサトコは、とても色っぽくて愛らしい。

颯馬
俺だけが知ってるサトコの姿···

キスも手も止め、もう一度真上からサトコを見つめる。
紅潮した肌が透け、下着自体がピンク色に染まっているようにも見える。

(もっともっと染めてみたい···俺色に···)

ランジェリーショップでも言われたが、やはりその心理は強く俺の中にもある。

(当然だな···サトコは誰にも渡したくない大切な宝物なんだから)

熱くなっている彼女の頬にそっと手を添えた。

(サトコ···)

颯馬
ずっと俺だけのものにしたい···

サトコ
「んっ···」

濡れた瞳に吸い寄せられるようにして唇を重ね、静かに身を沈める。
2人の肌が重なると、サトコの熱い手がぎゅっと強く俺の背中を抱きしめる。

サトコ
「颯馬さん···私も···んっ」

ゆっくりと開いたサトコの唇をそっとキスで塞いだ。

(それ以上は言わなくてもわかるよ···)

サトコの気持ちごと受け止めるように、更にキスを深める。

(ゆっくり染めていこう···2人だけで作る誰も知らない色に···)

星が輝く静かな夜は、熱く甘くゆっくりと更けて行った。

Happy  End



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