カテゴリー

黒澤 出逢い編 8話



【病室】

骨折しているとは思えない身軽さで、黒澤さんは私を組み敷いた。
蛍光灯の光を背にした黒澤さんの顔には、濃い影が落ちていた。

サトコ
「あ、あの···『元気づけろ』って···」

黒澤
そのまま、言葉どおりの意味ですよ
入院生活って、思っていた以上に退屈でして

サトコ
「······」

黒澤
アナタはどんなことでもするんでしょう、オレのために
だったら···ね?
まずは、それを証明してくださいよ

黒々とした目に見つめられて、私は···

<選択してください>

A: 応援歌を歌う

サトコ
「···わかりました」
「氷川、今から元気になれる応援歌を歌います!」

黒澤
···応援歌?

サトコ
「♪北アルプスの~ふもと~」
「♪大地を駆ける~一陣の風~」

黒澤
···なるほど。それはそれで面白そうですけど
今、オレがほしいのは···

B: 気合の張り手

(よし、こういうときは気合の張り手を···)

黒澤
···おっと!
容赦ないですねー、平手打ちですか

サトコ
「違います、『張り手』です」

黒澤
···えっ?

サトコ
「よくあるじゃないですか」
「気合を入れるために『バチーンッ』って···」

黒澤
ごめんなさい。オレ、痛いのは嫌なんです
それに、オレが望んでいるのは···

C: キスくらいなら···

サトコ
「キ···キスくらいなら···」

黒澤
···なるほど。キス『くらい』ですか

サトコ
「は、はい···それなら···」

黒澤
甘いですね

サトコ
「え···」

黒澤
それだけで済むはずがないでしょう?

サトコ
「···っ」

首筋に顔を埋められ、思わず息を呑みこんだ。
黒澤さんが求めているものを、はっきり突き付けられた気がした。

(イヤだ!)

『でも···』

(こんなの違う!)

『力になりたい』

ふたりの「私」が、脳内で激しくぶつかり合う。
それでも答えを出せずにいると、黒澤さんがクスリと笑った。

黒澤
ダメですよ。サトコさん···

サトコ
「···っ」

(やっぱり···!)

黒澤
ほら、今こそ···
『逮捕します!』って叫ばないと

(······え?)

黒澤
合意のない行為は『強制わいせつ罪』です
学校で習いませんでしたか?

サトコ
「···習った···ような気がします」

黒澤
じゃあ、こういうときこそ、叫ばないと
って、叫ばれるようなことは実際していませんけどね

(この笑顔···黒澤さんだ)
(私のよく知る、いつもの黒澤さん···)

黒澤
でも、これでアナタの覚悟はよくわかりましたので
本題に移りましょうか

(えっ、手伝わせてもらえるの?)

黒澤
サトコさんは『協力する』と言ってくれましたが···
詳細については、アナタに語ることができません
これ、『公安あるある』なんですけど、構いませんか?

サトコ
「······構いません」

私たちの任務は、身内を含む部外者はもちろんのこと、
場合によっては、同僚の刑事にすら話してはいけないと教わった。

サトコ
「それでもいいです」
「なにか黒澤さんの力になれることがあるなら···」

黒澤
では『行動確認』をお願いします

サトコ
「ターゲットは···」

黒澤
もちろん『首藤ナミカ』です
彼女の『病院外での過ごし方』をどうしても知りたいので

黒澤さんはにっこり笑うと、私の手にデジカメを乗せた。

黒澤
時間は、明日の朝9時から夜9時まで
同行者として、森沼さんを連れて行ってください

(あの、受付の彼女と···)

黒澤
首藤ナミカの自宅は、すでにご存知ですよね
恐らく、自宅から張り込んでもらうことになると思いますので

サトコ
「···わかりました」

(これで、ようやく黒澤さんの力になれる)



【廊下】

(ささやかだけど、黒澤さんに恩返しできるんだ)

サトコ
「頑張ろう、うん」

(それにしても、どうして「逮捕します」発言のこと、知ってたんだろう)
(私、話したことあったっけ?)

サトコ
「···ま、いっか」

(今度、お見舞いに来たときに聞いてみよう)
(今は、まず明日の準備をしないと)

翌朝ーー
予定より少し早めに、私は首藤ナミカの自宅周辺にやってきた。

(まずは、ベランダ側にまわってみよう)
(裏は公園だから、うろうろしていても怪しまれる可能性は少ないはず)



【公園】

(202号室は、左から2番目の部屋だよね)
(人影は···うん、ある。まだ在宅中だ)

プルル···

(ん?『M』···)
(受付の『森沼さん』からだ!)

サトコ
「はい」

森沼
『森沼です。最寄駅に着きました』

サトコ
「すみません、しばらく待機していてください」
「ターゲットが動き出したら、また連絡しますので」

森沼
『わかりました』

(まずは、ひとりで張り込もう)
(住宅街だし、そのほうが目立たないはず)

そうして、待つこと2時間。

(もうすぐ11時か···)

サトコ
「!」

(···出てきた!)

(あのメイクと服装···)
(「コンビニまでちょっと」って感じじゃないよね)

(···よし、森沼さんに連絡しよう)
(距離は···少し多めにとったほうがいいかな)


【駅】

私の読みどおり、首藤ナミカは駅にやって来た。

(あの様子だと、尾行には全然気付いてないよね)
(改札は···)
(···やっぱり通った)
(すぐに森村さんに連絡を···)

森沼
「おつかれさまです」

サトコ
「···っ、おつかれさまです」

(い、いつの間に···)
(じゃなくて!)

サトコ
「ターゲットが改札をくぐりました」
「急ぎましょう!」

森沼
「大丈夫です」
「彼女が乗るの、10分後の普通列車ですから」

(え···)

森沼
「それと、私は別車両に乗ってもいいですか?」
「彼女に顔を見られると、いろいろ面倒ですし」

(そっか、同じ職場だもんね)

サトコ
「分かりました。私だけ、同じ車両に乗ります」
「降りるときは、ワンコールしますので」

森沼
「了解しました。私は5両目に乗ります」
「彼女は、おそらく先頭車両に乗りますんで」

サトコ
「···そうですか」

(ずいぶん詳しいな)
(もしかして、前にも首藤ナミカを尾行したことがあったのかな)

【電車】

森沼さんの指摘通り、彼女が乗ったのは先頭車両だった。
しかも、特急列車を1本見送っての「普通列車」だ。

(それって、つまり「特急列車が停まらない駅」で降りるってことだよね)
(該当の駅は全部で7駅···降りそびれないようにしないと)

ところが、これについては予想が外れた。

【ホーム】

彼女が、下車したのは···

(うわ···相変わらず、すごい人···)
(さすが日曜日···)

森沼
「おつかれさまです」

サトコ
「おつかれさまです。まさかの終点下車でしたね」
「だったら、最初から『特急』に乗ればいいのに···」

森沼
「仕方ないんです。『特急』だと座席に座れないから」

(···うん?)

森沼
「『休みの日くらい、時間がかかっても座って移動したい』···」
「普段、立ちっぱなしだから余計にそう思うんでしょうね」

(···んん?)
(なんか、この口ぶりって···)


【本屋】

やがて、首藤ナミカはチェーンのパスタ屋さんに入った。
私たちは、向かいの本屋さんで待機することにした。

(たぶん、このまましばらく出てこないよね)
(だったら···)

サトコ
「あの、ひとつ聞いていいですか?」

森沼
「はい」

サトコ
「森沼さんって、首藤ナミカ···さんとお友だちだったり···とか···」

とたんに、森沼さんは悲しげに目を伏せた。

森沼
「1年前までは仲良しでした」
「少なくとも私は···親友だと思ってました」

(えっ、そこまで?)

森沼
「でも、ナミカは変わってしまったんです」
「セミナーに参加するようになってから」

サトコ
「セミナーって、あの『フレンドリー伊坂』先生の?」

森沼
「そうです」
「ナミカは、もともとボランティア活動に熱心で···」
「いつかそういう団体を立ち上げて『困ってる人を助けたい』って···」
「それが自分の夢だ···ってよく語ってたんです」

サトコ
「じゃあ、そのためにセミナーに?」

森沼
「はい。でも、今ではすっかり変わってしまって···」
「ボランティアよりセミナー活動に夢中になってしまって···」

サトコ
「森沼さんは、セミナーに行ったことは?」

森沼
「あります。ナミカに連れられて」
「でも私、あの雰囲気についていけなかったんです」
「それで、ナミカとケンカになってしまって···」

サトコ
「じゃあ、黒澤さんの『協力者』になったのも···」

森沼さんは、こくんと頷いた。

森沼
「ナミカに、セミナーを辞めてほしかったからです」
「警察の捜査が入れば、さすがに目が覚めるかなって」

(そっか···)
(そういう理由で「協力者」になることもあるんだ)

森沼
「···なんだかすみません。変な話をしちゃって」

サトコ
「いえ、そんな···」

森沼
「氷川さんは、どうして黒澤さんに協力することにしたんですか?」

サトコ
「えっ、どうしてって···」

森沼
「やっぱり『恋』ですか?」

サトコ
「!?」

森沼
「黒澤さん、素敵ですもんね」

サトコ
「ち、違いますよ!」
「私は、あくまで『後輩』として···」

森沼
「ふふ、そんなにムキにならなくても」
「本当のところはどうなんですか?」

<選択してください>

A: 憧れている

サトコ
「ええと、その···」
「ちょとだけ、憧れていたりも···」

森沼
「ふふ、やっぱり」

サトコ
「···っ、あくまで『ちょっとだけ』ですよ?」
「基本は、先輩刑事として尊敬して···」

B: 恋愛感情は一切ない

サトコ
「恋愛感情は一切ないです!」

森沼
「······」

サトコ
「···本当ですよ?」

森沼
「······」

サトコ
「ほ、本当ですってば···」

森沼
「···ふふ」

C: 笑って誤魔化す

サトコ
「あ、ええと···アハハハハ···」

森沼
「あ、今の笑い方···」
「黒澤さんにそっくりですね」

サトコ
「!?」

森沼
「いいじゃないですか、黒澤さんを好きでも」
「黒澤さん、今、フリーだって言ってましたし」

(え···)

森沼
「少し前に、氷川さんがお見舞いにいらっしゃったとき···」
「誤解して、帰られたことがあったでしょう?」

サトコ
「あ、はい···まぁ···」

(たぶん、アレだよね)
(2人が顔を近付けていて、私が驚いて荷物を落としちゃったときの···)

森沼
「あのとき、私こそ、焦ってしまって···」
「そうしたら黒澤さん、『大丈夫』って」
「『彼女とかじゃない、オレ、今フリーだから』って」

(そうだったんだ···)
(黒澤さん、彼女いないんだ···)

サトコ
「って、関係ないですってば、私には!」

森沼
「ふふ···」

サトコ
「本当に本当ですよ、もう」

そんなことがありつつも、尾行自体は拍子抜けするほど順調に進み···


【街】

夕方ーー

(行動確認開始から8時間···か)

サトコ
「大丈夫ですか、疲れてませんか?」

森沼
「平気です。それより···」
「ここ、セミナー会場近くです」

サトコ
「えっ」

森沼
「あの、少し先にある『鳥民』の看板の···」
「あのビルの3階がそうです」

(そっか···)
(私と鳴子が潜入した会場以外でも、セミナーが行われていたんだ)

すると、1人の女性が、私たちを追い越して首藤ナミカに近付いた。
ぽんと肩を叩いた彼女に、首藤ナミカは親しげな笑顔を見せている。

サトコ
「···見覚えは?」

森沼
「ありません」
「でも、きっとセミナーの参加者だと思います」

(だとしたら、写真におさめた方がいいよね)

サトコ
「私、先に行きます」

森沼
「え···」

サトコ
「一緒にいる彼女の写真、撮りたいんで」
「森沼さんは、あとからゆっくり来てください」

森沼
「わかりました」

歩く速度を上げながら、黒澤さんのデジカメの電源を入れる。
距離を2メートルまで縮めたところで、電源ランプの点灯を確認。

(「特別訓練」のときは、わざわざ待ち伏せしないと撮れなかった)
(でも、今は···)

黒澤
じゃあ、今日は特別に教えちゃいましょう
盗み撮りのコツですが···
まず、カメラは正面からガッとつかみます

サトコ
「ガッ···と···」

黒澤
そうです。こうやって本体を覆い隠すように
で、撮る寸前で、親指はシャッター
レンズが指の間にくるようにスライドさせて···
ターゲットのそばを通り過ぎたら、すぐに···

パシャ!

(···よし、撮った)
(画像確認は、彼女たちがビルに入ってから···)

森沼さんが言っていたとおり、彼女たちは雑居ビルのなかに消えていった。
念のため、さらに数メートルほど距離を置いて、私は画像をプレビューした。

(···うーん、ちょっと微妙かも)
(首藤ナミカの顔、半分切れちゃってるし···)

サトコ
「···ん?」

(あれ、このデジカメ···もしかして···)

森沼
「どうでしたか、写真は」

サトコ
「なんとか撮れました」
「こんな感じですけど···」

ディズプレイに表示された2人を、森沼さんは食い入るように見つめた。

サトコ
「??あの···」

森沼
「···やっぱり、見たことない人です」
「でも、この人が···今のナミカの『友だち』なんですね」

(森沼さん···)

その後、私たちは近くの路地裏に隠れ、再び待機し···

【路地裏】

夜8時55分ーー

森沼
「···氷川さん、出て来ました」
「セミナーの参加者です」

サトコ
「わかりました」

(いちおう、それらしい人たちを全員撮っておこう)
(首藤ナミカの尾行も、あと5分で終了だし···)

最後にできるだけシャッターを切って、私たちの調査は終了した。



【病室】

そして、翌日ーー

サトコ
「おつかれさまです!」
「デジカメと、昨日のレポートです!」

黒澤
ありがとうございます
···デジカメ···結構撮りましたね···

サトコ
「はい、あの···気になるものは全部押さえておこうと思って」
「特に、最後はセミナー会場の前で張っていたんで」
「他の参加者たちも、できるだけ写しておこうかと」

黒澤
なるほど、それは有り難い···
······

(あれ、なんか様子が···)

黒澤
サトコさん、この写真は···

サトコ
「ああ、それ、微妙ですよね」
「前に教わった『追い越し撮り』で撮ってみたんですけど」
「首藤ナミカの顔が、半分切れてしまって···」

黒澤
······

サトコ
「でも、目的は隣の女性だったんで···」
「まあ、よかったかなって···」

黒澤
···『まあ』どころじゃないです
大金星かもしれません

(えっ?)

黒澤
後藤さん···いや、石神さん···
いやいや、いっそ、室長に連絡···

サトコ
「??」

黒澤
とにかく!大金星ですよ!!

サトコ
「ええと···」

(今の、なにが大金星なんですか?)



【学校 廊下】

そんなわけで、数日後···

難波
よう、ひよっこ。いい仕事をしたな!
例の写真確認したが···
いやぁ、最高だ。一気に2階級上げてやりたいくらいだ

颯馬
室長、その発言は問題ありますよ
せめて『2評価アップ』みたいな言い方じゃないと

難波
ハハッ、それもそうだな

サトコ
「···ありがとうございます」
「それで、少し伺いたいんですけど」
「具体的に、どのあたりが『いい仕事』だったんでしょうか」

2人
「「······」」

(···え、無言?)

難波
···いやぁ、とにかくいい仕事だった!

颯馬
これで、他の訓練生より一歩リードしましたね

(えっ、待って···なんで?)

【教官室】

その後も···

(ええと、今日の石神教官のスケジュールは···)

東雲
おつかれさま。聞いたよ、透から
サトコちゃん、大金星をあげたんだってね

サトコ
「はぁ···そうみたいなんですけど···」
「具体的に、どのあたりが大金星なのか、いまいち分からなくて」
「東雲教官、ご存知ですか?」

東雲
もちろん知ってるよ
でも、キミには教えなーい

サトコ
「ええっ」

(な、なんで···?)

【カフェテラス】

さらに···

加賀
おい、クズ

サトコ
「はい!なにか···」

加賀
昨日はいい仕事したらしいな
クズの分際で

サトコ
「あ、ありがとうございます」
「ただ、その···なにが良かったのかさっぱりわからなくて···」
「加賀教官、なにか···」

加賀
チッ

(今度は舌打ち!?)

【廊下】

そして···

成田
「······」

サトコ
「······あの···なにか······」

成田
「······くっ···」

サトコ
「!?!?」

(だから、なんなの!?)

そんなわけで···

(もういい!)
(こうなったら自力で調べるんだから!)
(新聞に、関連記事が出てるかもしれないし···)
(場合によっては、捜査関連のDBに無理やりアクセスしたって···)



【資料室】

けれども、そううまくいくはずもなく···

サトコ
「はぁぁ···」

(···ダメだ、撃沈)
(新聞は全滅だし、DBは私の実力では到底ムリ···)

後藤
どうした、そんな顔して

サトコ
「あ···おつかれさまです···」

後藤
···酷い顔だな。せっかくいい仕事したのに

サトコ
「ありがとうございます···」
「でも、それがどう『よかった』のか···」
「具体的には、教えていただけないんですよね?」

後藤
まあ、そうだな
事件が解決したら、教えられるかもしれないが

(えっ···)

サトコ
「事件は、まだ解決していないんですか?」

後藤
ああ、ただ···
お前が撮った『写真』が、捜査の突破口になった
うまくいけば、近日中に大きく動くはずだ
どうしても知りたいなら、それまで待つといい

サトコ
「···わかりました」

(そうだ、もともと黒澤さんに言われていたんだ)
(「詳しいことは話せない」って)
(だったら、今は待つしかないよね)

後藤
「ところで、石神さんにはもう会ったか?」

サトコ
「いえ、今日はまだです」
「朝からずっと警視庁に行っているはずなので···」

後藤
いや、さっき帰って来ていたぞ
それで、お前のことを探していたようだったんだが···

(石神教官が、私を?)

【個別教官室】

サトコ
「失礼します」
「あの···後藤教官から『私を探していた』と伺ったのですが」

石神
······ああ

石神教官は、めずらしくなにかを迷っているような様子で私を見た。

石神
3か月後の考査に向けた勉強は進んでいるか

サトコ
「はい。少し予定より遅れていますが」
「今週中に、その分を取り戻す予定です」

石神
そうか···
······

(えっ、それだけ?)

サトコ
「あの、他には···」

石神
······

(これは···もうないのかな?)
(だったら退出しても···)

石神
······君が、黒澤に『協力』した件だが
同行した『協力者』はどうした?

サトコ
「??」

(それって、森沼さんのことだよね)

サトコ
「日曜日の夜9時まで一緒にいて、その後、近くの駅で別れました」

石神
それ以降、連絡は?

サトコ
「特にとってません」
「月曜日はお休みだったみたいで、受付にいませんでしたし」
「それ以降は、私が黒澤さんのお見舞いに行ってませんので」

石神
···そうか
俺が聞きたかったのは以上だ

サトコ
「···では、失礼します」

【廊下】

(どうして、森沼さんのことを聞かれたんだろう)
(もしかして「連絡をとれ」ってこと?)
(でも「協力者」とは、必要以上に接触しないのがセオリーで···)

プルル···プルル···

(『M』···森沼さんからだ!うわ、すごいタイミング···)

サトコ
「はい、氷川···」

森沼
『助けて···』

(え···?)

森沼
『お願い、私を助けて···っ!』

to be contineud



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする