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東雲 ヒミツの恋敵編 7話



【研究所 外】

案の定、菊田は裏門からではなく塀をよじ登って敷地の外に出た。
さらに、鞄から取り出したキャップを深々と被って、足早に歩き出す。

(あの恰好···)
(どう見ても怪しい雰囲気しかないんだけど···)

サトコ
「!」

(しまった、タクシーに乗るつもりだ!)

サトコ
「宮山くん!」

宮山
「分かってます」

すぐさま、宮山くんは別のタクシーを呼び止める。
後ろのドアが開くなり、私たちは転がるように乗り込んだ。

幸いなことに、10分ほど走ったところで菊田はタクシーから降りた。
その後、迷うことなくビルの一角にあるカフェへと入っていく。

宮山
「行きますか?」

サトコ
「もちろん」

念のため、少しばかり時間を置いて···
私たちはカフェへと足を踏み入れた。



【カフェ】

駅から少し離れた場所にあるせいか、座席はそれほど埋まってはいなかった。

(菊田は···)
(いた!)

窓のない隅っこの席に座り、何やら本を読んでいる。

宮山
「ここ、セルフサービスみたいですね」
「俺が飲み物を買いますんで、先輩は席をお願いします」

サトコ
「了解」

席を選ぶふりをしながら、それとなく菊田のそばを通り過ぎる。
ちらりと見ると、テーブルの上にはもう1冊本があった。

(タイトルは···「とけゆく炎」···?)
(小説···?)

意外に思いつつも、彼を観察しやすそうな場所に席を取る。
すぐに2人分のテイクアウトカップを持って、宮山くんがやってきた。

宮山
「どうぞ」

サトコ
「ありがとう」

宮山
「···読書しに来たんですかね、あの男」

視線が、ちらりと菊田に向けられた。

サトコ
「どうかな。たぶん違うと思うけど」
「読書するだけならあんな恰好をする必要はないわけだし」
「それに、タクシーを降りた時、迷わずこの店に入ったよね」

宮山
「まぁ、確かに···」

推測は間違ってなかった。
10分後、いかにもガラの悪そうな男が菊田の向かいに腰を下ろした。

サトコ
「···今、何してる?」

宮山
「話をしています」
「あとは···生田がスマホを見せていますね」

(スマホ···ってことは何か画像を見せてる?)
(それか動画か···サイト閲覧の可能性もあるけど···)

宮山
「あ、店員を呼びつけました」

呼ばれた店員は、一度カウンターに下がると、チラシを持って戻ってきた。

サトコ
「···Wi-Fi?」

宮山
「えっ?」

サトコ
「さっきの店員さんが持ってたチラシ」
「無料Wi-Fiのチラシだったなぁって」
「もしかしてWi-Fi接続するつもりなのかな」

宮山
「Wi-Fi···」
「!」

宮山くんはいきなり顔を上げると、鞄からPCを取り出した。

サトコ
「どうしたの?」

宮山
「Wi-Fiですよ、Wi-Fi」
「ここの無料だし、セキュリティが緩いから、もしかしたら···」

宮山くんの狙いは、なんとなく分かった。
以前、講義で習った「大きな声では言えない」やり方だ。

宮山
「···きた」
「菊池のスマホにアクセスできました」

サトコ
「ほんとに?」

宮山
「ええ。今は···」
「地図サイトを開いてるみたいですね」
「あ、住所も出てる···」

けれども、私たちが分かったのはそこまでだった。
それ以上の情報は得られないまま、ガラの悪い男は店を出ていってしまった。

サトコ
「今、菊田は?」

宮山
「帰る準備をしています」
「あ、出ます!行きましょう!」

サトコ
「うん」

【街】

カフェを出た菊田は、研究所を出たとき以上の速さで歩道を歩いていた。
その姿は、まるで一刻も早くこの場から立ち去ろうとでもしているかのようだ。

宮山
「尾行、続けますよね?」

サトコ
「もちろん」

(やっぱり菊田は怪しい···)
(絶対にまだ何かあるはず···)

逸る気持ちを抑えながら、私たちは菊田の後を尾けていく。

(焦るな、落ちつけ···)
(冷静に···冷静に···)

でも、本当はちっとも冷静じゃなかった。
だから、気付かなかったのだ。
自分たちもまた「尾行されていた」ことに。

宮山
「先輩、アイツ、またタクシーに···」

サトコ
「分かってる。追いかけよう!」

急いでタクシーを呼び止め、乗り込もうとした時だった。

???
「お前ら、何者だ?」

(えっ)

サトコ
「痛たたたっ」

悲鳴を上げたのは、いきなり腕をひねりあげられたからだ。

宮山
「なっ、何すんだよ、アンタ!」

???
「うるせぇ、答えろ!」
「何故、菊田の後を尾けている!?」

サトコ
「···っ」

(まさかこの男、菊田の仲間!?)

宮山
「べ、べつに尾けてなんか···」

???
「とぼけるな!研究所からずっと尾けていたよな?」
「アァ!?」

(痛っ、ちょ、痛たたた···っ)
(折れる!折れるから···っ!)

???
「···まだ音をあげねぇか。しぶといな」
「仕方ねぇ、署まで来てもらおうか」

2人
「えっ」

私たちの目の前に、男は見覚えのあるものを突きつけた。

(け、警察手帳!?ってことは···)

2人
「同業者!?」



【教官室】

難波
アーハッハッハッ···
まずいな···おじさん、涙出てきちゃったよ

石神
「···室長···」

難波
だって前代未聞だろ
刑事部の刑事に尾行される公安部の刑事とか···

石神
笑い事じゃありません、室長
所轄と警視庁からクレームがきています

難波
ハハハっ···まぁ、そうなるよなぁ···

ようやく笑いを収めた室長が、私ではなく、私の隣に立つ人物に目を向けた。

難波

どういう教育してんだ、お前は

東雲
申し訳···

サトコ
「申し訳ありませんでした!」

東雲
ちょっと···

サトコ
「今回のことはすべて私の責任です」
「東雲教官からは『深追いするな』と指示を受けていました」
「それを分かっていながら、私は菊田を尾行しました」

難波
······

サトコ
「教官は何も悪くありません。すべて私の責任です!」

(そうだ、悪いのは全部私だ)
(指示を守らなかった、私の責任···)

難波
責任、なぁ

室長は興味なさそうに呟くと、親指のささくれをプチンと取った。

難波
それで?
お前の思う『責任の取り方』って?

サトコ
「······」

難波
言ってみろ、ひよっこ

サトコ
「···処分も、覚悟しています」

東雲

難波
なるほどな

ようやく顔を上げた室長は、やっぱり私じゃなく東雲教官のほうを見た。

難波
お前に任せるよ、歩
処分も覚悟しているそうだし

ほれ、と顔で促されて、教官は冷ややかな眼差しを私に向けてきた。

東雲
だいたいの経緯は聞いた
他に言いたいことは?

サトコ
「ありません」
「何を言っても言い訳にしかなりませんから」

東雲
だから処分を受けるって?

サトコ
「はい」

東雲
······分かった
彼女と宮山は1週間の謹慎
それと今回の捜査からは外します

サトコ
「···っ」

(やっぱり···)

難波
2人ともか?

東雲
2人ともです

難波
分かった。明日中に始末書と報告書出せよ

サトコ
「···はい」

最後に、もう一度頭を下げて私と教官はその場を後にした。
言い渡された処分は、当然の結果として受け止めるしかなかった。

【廊下】

一緒に廊下に出たにも関わらず、教官とは目も合わせなかった。

(···当然だよね)
(期待を裏切って、迷惑をかけたんだから···)

東雲
明日12時

サトコ
「えっ」

東雲
始末書と報告書の提出期限
オレから室長に提出するから、個別教官室に持ってきて
謹慎はそのあとでいいから

サトコ
「···分かりました」

東雲
それと、宮山への処分はオレから本人に伝える
キミは何もしなくていい

サトコ
「でも···」

東雲
オレから伝える
キミは何もするな

(教官···)

<選択してください>

A: 怒ってますよね

サトコ
「やっぱり怒ってますよね」

東雲
······

サトコ
「教官に言われたことを守らないで、皆に迷惑をかけて···」

東雲
怒ってない

サトコ
「でも···」

東雲
呆れてはいるけど
あまりにもどうしようもなさすぎて

サトコ
「······」

B: 補佐官失格ですよね

サトコ
「補佐官失格ですよね、私」

東雲
······

サトコ
「教官に言われたことを守らないで···」
「そのせいで、こんなふうに迷惑をかけて···」

東雲
別に
キミに迷惑をかけられたのは今に始まったことじゃないし
それより、キミの『勘違い』のほうが問題だと思うけど

(···勘違い?)

C: 恋人失格ですよね

サトコ
「恋人失格ですよね、私」

東雲
なんで?
別だと思うけど。仕事とプライベートは

サトコ
「でも···」

東雲
それとも何?
キミのなかでは、仕事もプライベートも一緒なの?

サトコ
「そ、そういうわけじゃ···」

東雲
じゃあ、オレこっちだから
報告書と始末書、忘れないで

サトコ
「···分かりました」

階段を上ってゆく教官を見送って、私はひとり寮へと向かう。
グッと奥歯に力を入れているのは涙を堪えるためだ。

(泣くな···)
(こんなの自業自得なんだから)

それでも、やっぱり悔しかった。
捜査を外され、教官に失望したような目で見られるのは。

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【寮 食堂】

誰もいない食堂で、遅い夕食を口にしようとした。
けれども、驚くほど箸が進まない。

(せっかくエビフライが2本もあるのに···)
(教官もいないから、ゆっくり味わって食べられるのに···)

ふいに、慌ただしい足音が食堂内に響き渡った。
足音は一瞬ピタリと止まると、すぐにまたこちらへと近づいてくる。

宮山
「聞きました。今回の処分のこと」

サトコ
「······」

宮山
「それに、先輩が···」
「『自分が悪い』って、ただただ平謝りしたってことも」

サトコ
「······」

宮山
「どうして本当のことを言わなかったんですか」
「菊田を尾行しようと言い出したのは俺じゃないですか!」

<選択してください>

A: 私の責任だから

サトコ
「だとしても私の責任だから」
「指導係で、引き止めなくてはいけない立場だったのに···」
「それを自分から破って···」

宮山
「だからっておいしいだろ、こんなの!」

サトコ
「···っ」

B: 言うのを忘れていた

サトコ
「言うのを忘れていただけだよ」

宮山
「!」

サトコ
「室長も教官たちもすごく怒っていて···」
「だから言うのをすっかり忘れちゃって···」

宮山
「嘘だ!」

怒りに満ちた目が、私を睨みつけた。

宮山
「そうやってすぐに庇おうとするなよ!」
「指導係かなんだか知らねぇけど···」

C: ···そうだった?

サトコ
「···そうだった?」
「言い出したの、宮山くんだっけ」

宮山
「···とぼけんなよ」
「本当は覚えてんだろ」
「俺が言い出したってこと」

苛立ちを滲ませた目が、私を見据える。

宮山
「俺は、アンタに責任を被せたいわけじゃない」
「自分の責任くらい自分で背負いたい」
「そもそも俺は、今回の判断が間違っていたとは思っていない」

サトコ
「えっ?」

宮山
「今回の件は、この間の万引き犯とは明らかに違う」
「俺たちが捜査していることと関係があるって判断してのことだったろ!」

サトコ
「それは···」

宮山
「俺たちが謝るとしたら、教官の指示を仰がなかったことだけだ」
「尾行自体は間違っていたとは言い切れない」

サトコ
「でも、教官たちに迷惑をかけて···」

宮山
「だとしても譲っちゃいけない部分ってあるだろ!」
「なのになんで平謝りしてんだよ!」

(宮山くん···)

宮山
「俺、報告書に書きますから」
「尾行を言い出したのは自分だってことも」
「なんで尾行しようとしたかってことも」

サトコ
「······」

宮山
「俺は、このままなんて絶対に嫌だから」

スカートの布地にギュッとしわが寄る。
せっかく堪えていたはずの涙が、今度こそ溢れてしまいそうだ。

(じゃあ、どうやって責任を取れば良かったの?)
(皆に迷惑をかけて、教官は責任を問われて···)
(あのとき、謝る以外にどうすれば良かったの?)

それからしばらくの間は特に何事もなく過ぎた。
強いて何かを挙げるとするなら···
謹慎中に、鳴子と千葉さんが講義のノートを差し入れしてくれたこと。
謹慎明けに、以前赤点を取ったテストの追試があったこと。
そして···


【資料室】

(宮山くん、今日も来ない···)
(あんなに一緒に勉強していたのに)

後藤教官おすすめの資料も、すでに4冊読み終わっていた。

(あと1冊読み終わるまでに元通りになれるかな)
(なれるといいんだけど···)

ため息交じりに、すぐそばの資料棚を見る。
ふと、そこに見覚えのある本があることに気が付いた。

(「とけゆく炎」って···確か菊田が持っていた···)

手に取り、表紙を見たとたん、カフェでの光景が1枚絵のように浮かんだ。

(そうだ、この本がテーブルに置いてあった···)
(著者は···なんか見たことある名前だけど)
(ジャンルは···小説···?)

サトコ
「えっ」

表紙を開いて、ドキリとした。
カバーの折り返しに「テロリストの手記」と書いてあったからだ。

(なんで菊田がこんなものを?)
(ただの偶然?それとも···)
(菊田と「ありのまま団」は繋がっている···?)

脳裏に浮かんだのは「コチ電業」の一件だ。
ただの社員だと思っていた加地寛人は、過激派組織と繋がっていた。

(菊田だって、あり得ないことじゃない)

鼓動が速くなるのを感じながら、私は急いでページをめくった。
本の中身は、思っていた以上に生々しいものだった。
拉致のやり方。
拷問の手段。
メディアの動かし方。

(これ···ただの回顧録っていうよりはちょっとした資料だよね)
(だから、ここに保管されているのかな)

サトコ
「···ん?」

(これは···からくり箱···?)
(なんで、からくり箱がテロリストの手記に···)

颯馬
面白い本を読んでいますね

サトコ
「あっ、颯馬教官···」

颯馬
しかも、よりによってそのページですか
爆発物でも作りたくなりましたか?

サトコ
「ち、違いますよ!そんな物騒な···」

颯馬
でも、その割に写真を熱心に見ていたでしょう

サトコ
「それは、その···」
「どうしてテロリストの手記に『からくり箱』が出てきたのかなって」

颯馬
おや、もしかしてテキスト部分を読んでないのですか
そのからくり箱は、立派な爆発物ですよ

サトコ
「えっ」

颯馬
箱を開けるにはフタのパネルを移動させる必要があるんです
けれども、それを知らずに開けようとすると···
バーンッ!
というわけです

(怖っ···)
(からくり箱もだけど、颯馬教官の笑顔も怖っ)

颯馬
まぁ、次のページにはフタの開け方が解説されていますけどね

サトコ
「あ、ほんとですね」

(しかも図解とか···)
(意外と親切だな、この手記)

颯馬
何故その本に興味を持ったのですか?

サトコ
「え···」

颯馬
歩に勧められましたか?

サトコ
「いえ、その···」
「先日、菊田が読んでいたなぁと思って···」

颯馬
菊田···
ああ、例の刑事部と揉めた案件の···

(うっ···)

颯馬
石神さんから聞きましたよ
あの件に関する貴方の態度は、とても潔かったと

サトコ
「い、いえ、そんな···」

颯馬
謙遜する必要はありませんよ
誉めていませんので

(え···)

颯馬
『責任はすべて自分にある』『言い訳はしない』···
『処分は覚悟している』···
そうした潔い態度は、一見するととても印象がいいものです
ですが、それは···
本当に責任を果たしたと言えるのでしょうか

ドクン、心臓が跳ねた。
数日前に言われた言葉が、次々と頭によみがえった。

難波
お前の思う『責任の取り方』って?』

宮山
『俺は、アンタに責任を被せたいわけじゃない』

東雲
他に言いたいことは?

(でも、だって···)

じゃあ、あのき私はどうすれば良かったのだろう。

【廊下】

考えても答えが出ないまま、気が付けば数時間が経過していた。
ガラス窓に映った顔は、明らかに疲れでグッタリとしていた。

(ダメだ、いったん休もう)
(考えすぎて、頭がボーっとして···)

???
「やっぱり間違っていたとは思えません」

(えっ···)

???
「俺、あのあと調べたんです。菊田が窓から出てきた部屋を」

(この声、宮山くんだよね。いったい誰と話して···)

サトコ
「!」

【階段】

宮山
「あの部屋は、習志野が個人で使っている『室長室』でした」
「つまり、菊田は習志野の部屋で何かをやらかして、窓から逃げ出しているんです」

東雲
···それで?

宮山
「今回の脅迫の件、必ず菊田が絡んでいます」
「その背後には、例の『ありのまま団』がいるかもしれない」
「例えば、菊田が喫茶店で会っていた男···アイツがそうかもしれない」

東雲
······

宮山
「勝手な行動をしたことについては申し訳なく思っています」
「でも、このままじゃ納得いきません!」
「俺と先輩が得た情報は無用なものじゃないはずです!」
「それなのに、この後の捜査に関われないなんて···」

(宮山くん···)

思わず拳を握りしめたのは、彼の悔しさを理解できるからだ。

(そうだよ、本当は私だって悔しかったよ!)
(確かにやっちゃいけないことをしたけど···皆に迷惑をかけたけど!)

東雲
処分を受けると言ったのは氷川さんだよ

サトコ
「!」

東雲
彼女は、それが『責任の取り方だ』って···

宮山
「そんなのおかしでしょう!」
「責任の取り方なら他にもあるはずです」

東雲
···そうだね

宮山
「だったらなんで教えないんですか!」
「氷川先輩を指導しているのはアナタでしょう!?」

東雲
だからだよ
教える必要なんてない
彼女は、オレの教え子で補佐官だ

宮山
「それが何なんですか!」
「まさか、教えなくても分かるはずだ、とでも?」

東雲
······

宮山
「···へぇ、ずいぶん信頼しているんですね」

宮山くんの皮肉げな言葉に、教官はゆっくりと振り返った。

東雲
悪いけど···
彼女のことは、オレが一番よく知っている
キミよりも、誰よりも

(教官···)

【廊下】

(教官···っ)

何日も堪えていた涙が、ついにぽろりと零れ落ちた。

(···そうだ、私は教官の教え子だ)
(バカで、「ウラグチ」で、まだまだ未熟で···)
(それでも、教官はたまに私を誉めてくれて···)

胸元のペンダントトップをギュッと握りしめる。
ガーベラの花言葉は、私自身の誓いでもあったはずだ。

(だとしたら、今、私がやらなければいけないのは···)
(私なりの責任の取り方は···)

【モニタールーム】

翌日の夕方。
ようやく心を決めて、私は教官のもとを訪れた。

東雲
···なに?
ピーチネクターなら間に合ってるけど

振り向きもしない教官に、私は精一杯頭を下げた。

サトコ
「お願いします。捜査に戻してください」

東雲
······

サトコ
「もう一度、私と宮山くんに捜査をやらせてください!」

to be contineud



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