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ときめきノベル大賞 加賀 カレ目線



【加賀マンション】
週末の休みのうちの一日は、サイボーグクソ眼鏡との会議で潰れた。

(ただでさえ、会議なんざかったりぃってのに···)
(あのカスタード野郎のせいで、余計に疲れた)

会議が終わると、サトコを部屋に呼んでようやくひと息つく。
本当は今日、休みを利用してどこかにいくつもりだった。

(あの眼鏡が、休みの日に懐疑するなんて言い出さなきゃ)
(···今頃、こいつとどこかに出かけてたんだがな)

サトコ
「えっ、生産終了!?」
「加賀さん、私が好きなお菓子が生産終了だって···」

加賀
よかったじゃねぇか

サトコ
「よくないですよ···!これから何を楽しみに生きていけば」
「加賀さんにとっての大福が食べられなくなるくらいのショックです···」

加賀
······

(···そういや)

今日、書記兼雑用として参加させたサトコが、大福とプリンを用意していたことを思い出す。
昨日は普段よりも講義が多かったはずなのに、忙しい合間を縫って買ってきたのだろう。

(講義が終わったときには、へろへろになってやがったが)
(わざわざ早起きして、買ってから学校に来たってことか···)

補佐官として、こいつもそれなりに気を遣っていたのかもしれない。
そういえば、帰ってくるなり冷蔵庫に何かしまっていた。

(···こいつのことだから、俺の分のプリンってとこか)
(仕方ねぇ···あとで食うか)

脳内プリン野郎のことはムカつくが、プリンに罪がないことは分かっている。
だが少しするとサトコが立ち上がり、冷蔵庫からプリンを持って戻ってきた。

加賀
テメェ···眼鏡に寝返ったか

サトコ
「そんなんじゃないですってば」

笑いながら、サトコが俺の隣に座り直す。
じっとプリンを眺め、おもむろにスプーンですくうと、何を思ったかこっちに差し出してきた。

加賀
······

サトコ
「あ、あーん···」

加賀
なんのつもりだ

サトコ
「試しにひと口!絶対美味しいですから!」
「プリンだって、柔らかいじゃないですか。大福とはちょっと違いますけど」

(ふざけんな。一緒にすんじゃねぇ)
(だが···この状況)

いくら無視しても、サトコは諦める様子がない。
まるで餌付けするために、犬に『待て』をしているようにも見える。

(飼い犬に餌付けされるなんざ、冗談じゃねぇ)

そう思ったが、一歩も退かないその根性に免じて、仕方なくスプーンを口に含んだ。

サトコ
「······!」
「ど、どうですか···!?桜抹茶プリンです!」

加賀
······

(···甘ったりぃ)
(だが···サイボーグ野郎は気に入らねぇが、こいつが買ってきたプリンは悪くねぇ)

甘さを抑えている点も、評価できる。
俺が食ったプリンを、サトコは嬉しそうに頬張った。

(バカが···疲れているくせに、わざわざこんなもん探してきやがって)

なんとなく先手を取られたような気がして、面白くないのも事実だ。
プリンを食い終わったサトコの手を取り、強引にソファに押し倒して馬乗りになる。

サトコ
「かっ、加賀さん···!?」

加賀
なんだ

見下ろされ、サトコはあからさまに緊張した様子で頬を染めた。
こいつのどこかおびえたような困ったような顔を見ているのは、気分がいい。

加賀
デザートが足りねぇって言っただろ

サトコ
「さ、さっきのプリンは···!?」

加賀
あんなもん、食ったうちに入らねぇ

ボタンを外してブラウスを脱がし、二の腕を指で弄ぶ。
唇を押し付け、その柔らかさを楽しんだ。

(初めて会ったときから、これだけは褒めてやれるな)

肌をなぞりながら、二の腕を食む。
微かに身体を揺らして、サトコが小さく悲鳴を上げた。

サトコ
「加賀さん···それは、大福じゃないです···!」

加賀
クズが
···こっちのほうがいいだろ

サトコ
「え···?」

一瞬こっちを見たサトコが、慌てたように目をそらす。
両手で顔を固定して、逃げられないようにしてやった。

サトコ
「や、やめてください···!」

加賀
俺に指図するなんざ、1万年早ぇ

サトコ
「どんどん増えていく···」
「あ、あの···せめて、電気を···」

加賀
全部見えてるからいいんだろうが
いいから、黙って発情しろ

サトコ
「ひ、ぁっーーー」

明かりの下、サトコが身じろぎする。
頬を赤く染めて目を潤ませ、軽く睨むように俺を見上げた。

サトコ
「加賀さん、は、恥ずかしっ···」

加賀
だからやってんだろ

サトコ
「い、意地悪···!」

(テメェはもっと、そういう顔を見せとけ)

服を全て脱がし、サトコの肌をじっくりと味わう。
そのたびに、サトコの口からこぼれる嬌声が大きくなっていく。

(···甘いな)
(大福よりプリンより、一番甘いのは···)

サトコ
「加賀さ、ぁ···」

加賀
···テメェの啼き声は、悪くねぇ

サトコ
「や、ダメ···っ」

ダメ、が本当の意味での『ダメ』ではないことを知っている。
ソファの上でサトコの腰を抱きしめて、その肌に顔をうずめた。


【キッチン】

数日後。
捜査を終えた後、サトコとともに帰ってきた。

サトコ
「ようやく終わりましたね、あの案件」

加賀
思ったより時間がかかったな

サトコ
「仕方ないですよ。向こうも相当警戒してましたから···」
「···あれ?」

スーパーで買ってきた食材を冷蔵庫にしまおうとしていたサトコが、間抜けな声を上げる。
その視線の先には、冷蔵庫に入っていた桜抹茶プリンがあった。

加賀
······

サトコ
「···加賀さ~ん」

ニヤニヤしながら、サトコがこちらを振り返る。
甘さと柔らかさがなかなか悪くなかったのでまた買ってきたのを、運悪く見つかってしまった。

加賀
···なんだ

サトコ
「そんなに気に入ってくれたんですね、ラルムの桜抹茶プリン!」

加賀
あの眼鏡野郎にチクリやがったら、どうなるかわかってるな

サトコ
「ふふ···わかってますよ。絶対誰にも言いませんから」

嬉しそうなサトコに、一瞬苛立つ。

(だが···結局、憎めねぇ)
(俺もずいぶん、甘くなっちまったもんだな)

まだ笑っているサトコの顔面をつかみながら、舌打ちをこぼした。

Happy End



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コメント

  1. アリエル より:

    この前コメントさせて頂いたアリエルです!今まで高校受験生で、こちらのサイトを息抜きに利用させて頂いだいてました!
    無事合格できました!
    これからもこちらのサイトを応援しています!本当にありがとうございました!また、多忙の中返信いただきありがとうございました!

    • sato より:

      アリエルさん
      おお!合格おめでとうございます!(*^ー^*)∠※Pan!!。・:*:・
      このサイトが少しでもお役に立てたなら、嬉しいです。
      相変わらずの亀更新ですが、これからもよろしくお願いします。

      サトコ