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Season3 プロローグ4話



サトコ
「···はい!」

石神班でも加賀班でもないことは残念だけれど
今はもう、それを憂えている場合ではなかった。

(女を使って、ここまできたと思われてるなら···その考えは撤回してもらわなきゃいけない)
(そんなの、ここまで指導してくれた教官たちにも失礼な話だから···!)

教官たちの顔に泥を塗るわけにはいかないと、私はぐっと拳を握り銀室長の視線を受け止める。

サトコ
「あの、津軽班というのは···」

所属の班がどこにあるのか、聞こうと口を開くと

長身の男性
「あれ、女の子がいる」

サトコ
「え!?」

場の緊張を解くような和やかな声と共に入ってきたのは···

(朝、電車で会った男の人!)

サトコ
「朝、地下鉄で会った···」

長身の男性
「······」

思わず声に出すと男性がこちらを向き、目が合ったと思ったら流し目で逸らされた。

(あれ?言ったらマズかった···?)


「遅い、津軽」

津軽
「すみません。ちょっと立て込んじゃって」

(津軽って···ええ!今朝会った人が津軽さん!?)
(これから私の直属の上司ってこと!?)

銀室長は津軽さんを一瞥して部屋を出ていく。
こんな偶然あるのだろうかと、口をポカンと開けると···

難波
お~、やってるかー

サトコ
「難波室長!」

難波
氷川も頑張れよ~、期待してるからな

サトコ
「あの、でも、難波室が凍結なんて全然聞いてなかったんですが···」

難波
卒業の時はまだ決まってなかったからな。ま、大して変わらんから大丈夫だ

サトコ
「いえ、かなり変わると思いますけど···教官たちだって···」

皆さんはこの体制について、どう思っているのかと振り返ろうとした時だった。

津軽
「やっぱ耳に掛けてる方が、色っぽい」

サトコ
「津軽さん!」

ふっと耳に息を感じたかと思うと、後ろに津軽さんが立っていた。

(いつの間に···!)

気配すら感じなかったことに驚いていると、そのまま距離を詰められる。

サトコ
「あ、あの···」

津軽
「···朝のことは、内緒ね?」

サトコ
「え···」

その人差し指が私の唇に当てられたと思った次の瞬間には、
私の頭をサラッと撫でて距離を取っている。

(は、早業!)

流れるような動作に固まっていると―――

東雲
···惚けた顔して、何やってんの

颯馬
隙だらけですね

サトコ
「こ、これは···あまりに突然で···っ」

黒澤
公安学校にはいないタイプでしたからね~。津軽警視みたいな人

石神
全く···銀室長がいたら、どうなることか···

後藤
もう少し緊張感を持った方がいいかもな

サトコ
「も、持つのは私ですか?」

(緊張感がないのは、どちらかというと津軽さん···いや津軽警視の方のような気が···)

加賀
テメェの他に誰がいる

サトコ
「う···」

(いや、脇が甘かったのは私だけど!)
(でも、新しい班長だってわかったばかりで警戒しろっていうのも···)

多少無茶な話では···と、思わざるを得ない。

難波
まあまあ、そうあんまりキツイこと言ってやるな
ただでさえ、昨日の友は今日の敵···石神班、加賀班、津軽班···
銀室においては、敵対関係となるんだからな

サトコ
「!」

(そうだった、仲間意識は捨てろって···)
(つまり、彼とも敵対関係になるってこと!?)

新体制に謎の班長――
波乱の公安刑事生活の幕開けに、最初に目が合ったのは···

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