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恋の行方編 黒澤2話

【カフェテラス】

黒澤さんからのお誘いを受けた翌日ーー

(土曜日の夜か。なにを着て行こう)
(この間、買ったばかりのワンピース···だと気合入れすぎかな)
(でも、せっかくのお誘いだし、いつもよりきれいめな格好してみても···)

???
「あれ、氷川さん?」

(···うん?)

真壁憲太
「おつかれさまです。今はお昼休み中ですか?」

サトコ
「はい。真壁さんは?」

真壁憲太
「僕はこれから研修で本庁に行くところなんです」
「ただ、一緒に行く先輩が、こちらに用があったみたいで···」

真壁の先輩
「待たせたな、憲太」

(うわ···!)

真壁憲太
「もういいんですか?」

真壁の先輩
「ああ。急ぐぞ」

真壁憲太
「はい!···それじゃ、氷川さん、また」

サトコ
「おつかれさまです」

真壁憲太
「後藤さんはお元気でしたか?」

真壁の先輩
「ああ、相変わらずだ。あのパジャマ野郎···」

(真壁さんの先輩ってことは、たぶんSPの···)

鳴子
「サトコ!いつの間に昴さまと知り合いになったのよ!」

サトコ
「昴さま?」

鳴子
「さっき!ここにいた!」
「警護課の一柳昴さま!!」

(ああ···)

サトコ
「違うよ。知り合いなのは、もう1人の真壁さん」

鳴子
「真壁···」
「じゃあ、昴さまの隣にいた人が警護課の真壁憲太くん!?」

サトコ
「う、うん。知ってるの?」

鳴子
「知ってるも何も···」
「真壁くんといえば、警護課の『リア恋枠ナンバー1』じゃん!」

(リア···?)

鳴子
「昴さまが『高嶺の花』なら···」
「真壁くんは『隣にいてほしい好青年』!」
「これ、警備部の常識だからね!?」

サトコ
「そ、そうなんだ···」

(真壁さん、人気あるんだな)

鳴子
「ところでサトコ、土曜日の夜、空いてる?」

サトコ
「えっ···」

(土曜日、といえば···)

サトコ
「ご、ごめん···その日はもう予定が···」

鳴子
「そっか、残念」
「じゃあ、サトコは欠席だね」

サトコ
「なにかあるの?」

鳴子
「うん、飲み会。黒澤さん主催の」

サトコ
「へぇ、黒澤さん···」

(えっ、黒澤さん!?)



【居酒屋】

黒澤
皆さーん。手元にジョッキはありますかー?

全員
「「はーい」」

黒澤
それじゃ、今日はこわーい教官たちは抜きということで···
思い切りはしゃいで飲んじゃいましょう!かんぱーい

全員
「「かんぱーい!!」」

個室のあちらこちらで、ガチャンガチャンと音がする。
私も、鳴子たちとジョッキを合わせると、最初の一口をぐびりと飲んだ。

鳴子
「はー、美味しい!」
「この調子だと、すぐに2杯目に手を出しちゃいそう」

千葉
「いいんじゃない?飲み放題みたいだし」

鳴子
「そうだよね。よーし、じゃんじゃん飲んじゃおう!」
「サトコもよかったね!予定がキャンセルになって」

サトコ
「う、うん···」

(言えない。実は「予定通り」だなんて)

あたりを見回すと、私たち訓練生以外の人もちらほらいる。
どうやら、すでに公安刑事として働いている先輩方のようだ。

(「訓練生と先輩たちの交流会」か)
(だから私にも声をかけてくれたんだ)

がっかりしていない、といえば嘘になる。
てっきり2人きりで飲みに行くとばかり思っていたのだ。

(でも、直々に声をかけてくれたのは嬉しかったし)
(なにより···)

黒澤
それじゃ、自己紹介ターイム

男子訓練生A
「えっ、今更ですか?」

男子訓練生B
「合コンでもあるまいし」

黒澤
まあまあ、そう言わずに

(···テーブルは離れちゃったけど、黒澤さんと同じ場所にいられるわけだし)
(これはこれで「有り」かなぁ、なんて···)

鳴子
「誰を見てるの」

サトコ
「えっ···べ、べつに···」

鳴子
「うそうそ!あっちのテーブルを見てボーッとしてたじゃん」
「どの先輩?もしかして奥から2番目とか···」

???
「隣に座ってもいいか?」

鳴子
「はい···」
「!!!」

(うわ、昴さまクラスのイケメン···)

鳴子
「あ、あああ、あの···どちらさまですか?」

謎のイケメン
「黒澤の同期だ。清墨という」

鳴子
「き、清墨さま!」

清墨英司
「お前たちは、サムライ···」
「『ラストサムライ・後藤』の教え子たちだそうだな」

鳴子
「そうです!後藤教官の教え子の佐々木です!」

サトコ
「···氷川です」

清墨英司
「そうか」

???
「おーい、清墨。ちょっと来てくれ」

清墨英司
「ああ」

鳴子
「ああ···っ」

サトコ
「カッコいい人だったね。···変なTシャツ着てたけど」

鳴子
「いいの、イケメンだから!」
「イケメンは正義だから!」

サトコ
「そ、そっか···」

男子訓練生C
「あの人、たしか海外の諜報機関にいた人だろ」

サトコ
「そうなの?」

男子訓練生C
「ああ。噂になってただろ、一時期」

男子訓練生D
「すごいよなぁ、海外で活躍とか」

(全然知らなかった。みんな詳しいんだな)

鳴子
「ああ、もう最高···」
「昴さまに次ぐハイスペック人材が、公安刑事にいたなんて」

男子訓練生C
「佐々木は、ああいうタイプが好みなんだ?」

鳴子
「もちろん!イケメンは正義だから!」

(鳴子、それ2回目···)

鳴子
「ちなみに教官たちの中では颯馬教官が一番好き!」

男子訓練生C
「そ、そっか···」

男子訓練生D
「じゃあ、氷川は?」

サトコ
「えっ、私?」
「え、ええと···芸能人でいうと···」

男子訓練生C
「おーい、それじゃ面白くないだろ」

鳴子
「そうそう!私たちの知ってる範囲で答えないと」

サトコ
「で、でも···」

(ムリムリ!そんなの、絶対ムリ···)

鳴子
「あーまさかサトコ···」
「結構本気な相手がいるとか?」

サトコ
「違っ···そ、そんなことは···」

と、運よく別のテーブルから大きな歓声があがった。
見ると、いつの間にかテーブルを移動していた千葉さんが必死な様子で···

千葉
「無理です!俺にはできません!」

男子訓練生A
「そう言うなって。気になってるコがいるんだろ」

男子訓練生B
「せっかくだから実践してみればいいじゃん」

千葉
「だから無理だって!」
「俺、そういう恋愛テクニック的なの、苦手で···」

(へぇ、「恋愛テクニック」···)

黒澤
大丈夫ですよ。やってみれば案外簡単ですから
とにかく、大事なのはロケーションです
時間帯は『昼』より『夜』···
で、必ず『夜景の綺麗な場所』に誘い込むんです

(···うん?)

黒澤
あとは、夜景を見ながらちょっとした思い出話をするだけです
『過去の辛かったこと』とか『心を揺さぶられたこと』とか

(···んんん?)

黒澤
で、最後に『気弱な自分』を少しだけ見せる···
これで、コロッと落ちますからねー
特に、恋愛偏差値の低い女性なんて一発ですよー

(あの···それって···)
(身に覚えがありすぎなんですけど···)

数時間後ーー

千葉
「はー、ずいぶん飲んだよなぁ」
「ふたりとも、二次会はどうする?」

鳴子
「行く!今度こそ、清墨さんとお喋りする!」

千葉
「そ、そっか。俺も行くつもりだけど···」
「氷川は?」

サトコ
「帰る」

千葉
「えっ、なんで···」

サトコ
「なんでもない」
「とにかく帰る」

千葉
「そ、そっか」
「じゃあ、気を付けて」

鳴子
「また月曜日ねー」

ご機嫌なふたりに背を向けて、私は駅に向かって歩き出した。

(ダメだ···頭が働かない···)
(つまりは、こういうこと?)

(あのときの、あの···)

黒澤
16年前の今日、大事な人を失いました
オレにとって、かけがえのない人でした
今でも、あの日のことを思い出すとたまらなくなります
悲しくて寂しくて、泣きたくなって···
16年って、それなりに長い年月のはずなのに···
未だ、オレはそれを乗り越えることができない
どうしようもない喪失感で、胸がつぶれそうになるんです

(···って言葉とか)
(そのあとの···)

黒澤
サトコさん、どうかお願いです
今日は帰らないで···このままオレのそばにいて
こんな情けないオレを、どうかひとりにしないで···

(こういう言葉も、実は全部嘘で···)

サトコ
「···そんなはずない」

(やっぱり、そんなふうには思えないよ)
(だって、あの時の黒澤さん、本当に辛そうな顔をして···)

???
「ああ、やっと追いついた!」

(えっ)

黒澤
二次会、出ないんですよね?
オレもなんです。一緒に帰りましょー

(一緒に、って···)
(今、黒澤さんと?)

黒澤
あー、そんな顔しないで
さ、行きましょ、行きましょー

(えっ···ちょっと···)
(そんな強引な···)



【電車】

この時間帯にしては、車内はそれほど混雑していない。
そのため、私たちは並んで座ることになってしまった。

黒澤
ふわぁ···眠···
ちょっと飲みすぎたかなー

黒澤さんは、軽くあくびをすると私の肩にもたれかかってきた。

(な···っ)

サトコ
「く、黒澤さん、なにを···」

黒澤
んー眠いなぁと思って···

肩口から体温が伝わってきて、ドキリとする。
それこそ、あの夜の「帰らないで」発言を思い出してしまって···

(ダメだ、ここで流されたら)
(まだ、いろいろはっきりしていないのに)

サトコ
「離れて、ください」

黒澤
どうして?

<選択してください>

人が見てるから

サトコ
「人が、見ています」

黒澤
···つまらない答えだなぁ

(え···)

黒澤
サトコさんなら、もっと面白い返事をしてくれると思ってたのに

サトコ
「···っ」

(そんなこと言われても···!)

ただの後輩だから

サトコ
「私は、ただの後輩です」
「こういうことをする関係じゃない···っていうか···」
「あまりくっつかれると困る···っていうか···」

黒澤
···なるほど

肩こりがひどいから

サトコ
「さ、最近肩こりがひどいので···」

黒澤
···ぷっ
いいですねー、その答え。面白くて

サトコ
「···っ、べつにウケ狙いで言ったわけじゃ···」

黒澤
アハハ

サトコ
「わ、笑わないでください!」
「私、本当に肩こりが···」

すっ、と体温が遠のいた。
黒澤さんは背もたれに体を預けると、緩い微笑みを私に向けてきた。

黒澤
そういえば、今日初めてですよね。ちゃんと喋るの
飲み会では別々のテーブルでしたし

サトコ
「···そうですね」

黒澤
そっちは、どんな話で盛り上がりましたか?

(どんな、って···)

サトコ
「普通の話です。訓練のこととか···」

黒澤
なるほど···さすが優秀な皆さんならではですねー
こっちも、現場絡みの話で盛り上がりましたよー
それと恋バナ。主に千葉さんの

サトコ
「!」

黒澤
彼、いい人ですねー。真摯で、誠実で···
真壁さんと、少し似てるかも

しみじみと呟く黒澤さんの隣で、私は強く拳を握りしめた。
そうでもしなければ、今すぐ黒澤さんに詰め寄りかねなかった。

(落ち着け···落ち着こう···)
(あの話を私が聞いていたこと、黒澤さんは知らないんだ)

だから、今の言葉も深い意味はない。

(ただ単に「恋バナをした」ってだけで···)

黒澤
あ···この駅、覚えてます?
オレとサトコさんが、初めて会った場所

(え···)

黒澤
ほら、サトコさんが自己啓発セミナーの勧誘を受けてて
オレが、間に割って入って

サトコ
「あ、はい···」

黒澤
今だから言っちゃいますけど
オレ、あの時点でサトコさんのこと、知ってたんですよねー

(···えっ?)

黒澤
実はオレ、ある人に『サトコさんを見張るように』って頼まれてて
ちょうど、サトコさんの写真を確認したばかりでー

(えっ、えっ?)

黒澤
ま、あの場で出会えたのは半分偶然ですけど
助けたのは、訓練生だって知ってたからっていうかー

サトコ
「···どうして···」

黒澤
はい?

サトコ
「どうして、私を『見張るように』って···」

黒澤
ああ、アレですよー。『裏口入学疑惑』

サトコ
「!」

黒澤
その人、入学する前からサトコさんの『裏口入学』を疑っててー
いろいろ、知りたかったらしいんですよねー
公安刑事になるための『実力』とか『適性』とか、そういうこと

(じゃあ···)

サトコ
「黒澤さんが、私と親しくしてくれたのは···」

黒澤
もちろん、特別授業のためですよー
じゃないと、おかしいじゃないですか
部外者のオレとアナタが、いろいろ接点があるなんて

サトコ
「······」

黒澤
あー、でも···
違う接点、持っちゃいましたねー
この間の土曜日に

サトコ
「···っ」

耐えきれずに、私は席を立った。
そして、ちょうどよくドアが開いたのをいいことに、ホームへ飛び出した。

黒澤
ちょっとー、待ってくださいよー
ここ、下車駅じゃないでしょー?

サトコ
「······」

黒澤
サトコさーん···
サトコさーんってばー

サトコ
「追いかけてこないでください!」

黒澤
えーどうしてですかー?

(どうしてって···!)

<選択してください>

嘘つき野郎だから

サトコ
「嘘つき野郎だからです!」

黒澤
えー、誰がですか?

サトコ
「あなたです!黒澤さんです!!」
「私のこと、ずーーっとだまして···」

黒澤
ハハッ、たしかに···
でも、騙される方も悪いと思うけどなぁ

(な···っ)

サトコ
「なんですか、その開き直り···」

黒澤
あーハイハイ、落ち着いて、落ち着いてー

自分の胸に聞け

サトコ
「自分の胸に手を当てて聞いてみればいいでしょう!?」

黒澤
そうですか···じゃあ···

黒澤さんは、自分の胸に手を当てると、不思議そうに首を傾げた。

黒澤
うーん···何も聞こえませんねー

サトコ
「···っ、だから今のは···っ」

黒澤
アハハ、冗談ですよ、冗談

うるさい、バーカ!

サトコ
「うるさい、バーカ!」

黒澤
うわぁ···

サトコ
「バーカバーカ、バーカ!!」

黒澤
アハハッ
サトコさん、小学生みたいですねー

サトコ
「···っ、笑い事じゃ···」

黒澤
大丈夫
ちゃーんとわかってますよ、あなたが傷ついていること
だから···
今夜は、オレがなぐさめてあげましょうか?

サトコ
「!!!」

もはや、ためらいはなかった。
私は、右手を勢いよく振り上げた。

バチーーーン!!!

【駅】

(サイテー)
(サイテー、サイテー、サイテー!!!)

込み上げてくる涙を、私は必死に押しとどめた。

(誰が泣くもんか、あんな人のことで!)

先輩として、尊敬していた。
男の人としても···本当に、本気で好きで···
だから、あの夜、放っておけなかったのだ。

(でも、知らない。もう忘れた)
(黒歴史として、全部抹消するんだから!!)



【教場】

週が明けて、月曜日ーー

鳴子
「ふわ···」

千葉
「おはよう。寝不足?」

鳴子
「うん···2日続けて飲み会で···」
「ところでサトコは···」

サトコ
「おはよう」

鳴子
「あ、おは···」

ドサッ!

鳴子
「なに、その大量のテキスト···」

サトコ
「今日、資料室に返却する分」

鳴子
「えっ、いつ借りたの?」

サトコ
「昨日」

鳴子
「昨日!?」

千葉
「まさか、1日でこれに目を通したとか···」

サトコ
「別に大したことじゃないよ」
「昨日暇だったから読んでただけ」

鳴子・千葉
「「······」」

サトコ
「あ、千葉さん。情報処理関係のでおすすめのテキストってある?」

千葉
「え、ああ···ええと···」
「リスト作ろっか?」

サトコ
「ありがとう。そうしてもらえると助かる」

(あとは、昼休みに教官室に行って···)

【教官室】

サトコ
「失礼します!」
「颯馬教官!少しお時間いただけますか?」
「先週の講義で伺いたいことがあるんですが」

颯馬
構いませんよ。どの部分ですか?

サトコ
「この3枚目の資料についてですが···」

さらに···

東雲
あー···怠···

サトコ
「失礼します!東雲教官!」

東雲

なに、サトコちゃん?

サトコ
「今日の講義で、伺いたいことがあるんですが!」
「テキストの15ページと18ページと、21ページの···」

東雲
え、怖···
じゃなくて、少し落ち着きなよ、サトコちゃん

そして放課後···

(たしか、このあたりに後藤教官が···)

サトコ
「教官、おつかれさまです!」

後藤
うん?
ああ、氷川か。どうした?

サトコ
「実は後藤教官にお願いがありまして···」

後藤
···なるほど。取り調べを見学させてほしい、か

サトコ
「はい。少しでも勉強させてもらえればと思いまして」

後藤
···わかった
見学しても差し支えのない案件があったら声をかける

サトコ
「ありがとうございます!」

後藤
だが、どうして俺なんだ?

(え···)

後藤
俺より、石神さんや周さんのほうが参考になると思うんだが

サトコ
「そ、それは···」

一瞬、「彼」の顔が頭を過る。
忘れると決めたはずの、あの笑顔が···

サトコ
「すみません···やっぱり今の件は···」

後藤
いや、遠慮することはない
俺が参考になるなら、その件は引き受ける

(後藤教官···)

サトコ
「ありがとうございます。よろしくお願いします」

後藤
ああ。それじゃあ

(···まいったな)
(こんなに腹が立っているのに、黒澤さんの意見を受け入れてるなんて)

サトコ
「これきりにしよう」

(黒澤さんからのアドバイスは、忘れてしまおう)
(もう二度と頼りたくないから)

サトコ
「よし、次!」

(資料室で千葉さんおすすめのテキストを揃えないと)
(そのあとは、成田教官を捕まえて···)

石神
······

こんな調子で、あっという間に1週間が過ぎ···

サトコ
「おはよう」

鳴子
「おはよう。···また朝勉?」

サトコ
「うん。最近、夜より朝のほうがはかどるから···」

千葉
「おはよう。なぁ、聞いた?」
「近いうちに、臨時の『特別訓練』があるって噂」

鳴子
「ううん。初耳だけど」

(「特別訓練」か···)
(第1回の時に失敗して以来、一度も選ばれてなかったよね)
(今の私の実力だと、それも当然って感じだけど···)

ピーンポーン♪

石神
今から呼ばれた者は、至急教官室に来るように
衛藤、坪井、中川···

鳴子
「なんの呼び出しかな?」

千葉
「例の『特別訓練』だったりして」

サトコ
「ああ、ありえそう···」

石神
···氷川

(えっ、私?)

石神
繰り返す。衛藤、坪井···

聞き間違いではなかった。
期待半分、不安半分のまま、私は急いで教官室へと向かった。

to be continued

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