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子供と戯れる彼が見たかったので プロローグ

目の前には美味しそうなモンブラン。
店内はクラシカルな雰囲気で、使われているテーブルやソファ、カーテンなどなどーー
至るところまでアンティーク風で “映え” にピッタリな場所。
しかしーー


「···どうした」

サトコ
「い、いえ」

(な、なぜ私は銀室長とお茶を···)


「お前が注文したはずだが、嫌ならば···」

サトコ
「いえ、いただきます!」

事の始まりは数十分前ほど前、課内で突然呼び出されたことに始まる。

(一体、何の話なんだろう···)

どう見ても高級なモンブランは口に入れると飲み物のように蕩けていく。

(だけど、緊張してモンブランが無味に···もったいない···!)


「今回、お前に頼みたい案件がある」

サトコ
「!」

(し、銀室長直々に!?)

突然の室長からの任務に、思わずフォークを落としそうになる。


「やれるか」

じっとこちらを見る姿に背筋を伸ばす。

サトコ
「じ、自分は···まだ実地の経験も浅く、無塾であります」
「しかし、与えられた仕事は最後まで責任を持ってやり遂げます!」


「···そうか」

銀室長はロイヤルミルクティーのカップを手に、しばし考え込んだ後ーー


「それなら、お前に任せよう···今回の任務は···」

初めて銀室長から任された任務。

サトコ
「できる、できる、できる···私なら、きっとできる···!」

(これは絶対やり遂げなければならない···)
(絶対に絶対に絶対に···私なら、できる!)

それから数日後の、ある晴れた好天の日。

サトコ
「はい、みなさん、準備はいいですかー」

私はバスガイドさながら、マイク片手に車内を見回す。

石神
準備も何も、まだ目的地に着いてないだろう

加賀
チッ

黒澤
ガイドさーん、恋人はいますかー?

サトコ
「そういう定番の質問は却下です」

津軽
ガイドさーん、歌って踊ってー

サトコ
「レクリエーションは、皆でやりますので」

東雲
到着まで言うほど時間ないけど

颯馬
あと30分というところですね

後藤
下車の準備はできている

サトコ
「ありがとうございます!終わった方は、周りのお子さんの様子を見てあげてください」

『はーい』と声を返してくれるのは、社内の保護者の皆さんとお子さんたち。
私が任された任務。
それはーー警察庁管轄で新しく設置された保育園の親子遠足を企画することだった。

(そして公安課の皆さんは、保育士さんの設定!)
(警察官の家族の動向を知ることも、きっと任務のひとつなんだ···!)

サトコ
「間もなく目的地の自然公園に到着しまーす!」

チャーターしたバスが駐車場に停まり、順に降車させる。
そして最後に降りた私に、声をかけてきたのはーー

to be continued

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