午後から半休の、ある日。
鳴子と流行のカフェに行く約束をしていて、時間ギリギリに待ち合わせ場所に滑り込んだ。
サトコ
「お待たせ!」
佐々木鳴子
「···大丈夫?」
サトコ
「え?大丈夫って、何が?」
佐々木鳴子
「息も切れてるし、髪かなり荒れてるし···何なら、唇も切れてるし」
サトコ
「ああ···実は朝まで仕事で···」
数日前から潜入捜査に参加していて、終わったのが早朝だった。
シャワーだけ浴びて、着替えて飛び出したのが1時間ほど前のこと。
サトコ
「でも、大丈夫!体力は残ってるから」
佐々木鳴子
「問題は体力じゃないよ、サトコ···」
サトコ
「え···」
佐々木鳴子
「今のサトコ、女終わってる···」
サトコ
「!!??」
(女が···終わってる!?)
佐々木鳴子
「ごめん、ちょっと言葉が乱暴すぎたね」
サトコ
「いや、鳴子は現実を教えてくれただけだよ···」
(オシャレ女子が集まるこのカフェ空間で、私だけが浮いている···)
佐々木鳴子
「最後に美容院に行ったの、いつ?」
サトコ
「···いつだろ」
佐々木鳴子
「家でスキンケアにかける時間は?」
サトコ
「お風呂から上がると、いつの間にか寝落ちてて···」
佐々木鳴子
「鏡、見てる?」
サトコ
「最近忙しくて!仕事が一段落したら···っ」
佐々木鳴子
「ヒマになる日が来る?」
サトコ
「う、それは···」
佐々木鳴子
「美容にとって、仕事が忙しいは言い訳にしかならないのよっ」
「サトコはもっと周りのイケメンから養分とらなきゃ!」
サトコ
「え?イケメンから養分···?」
佐々木鳴子
「あ、ええと、今のはモノの例えでね!」
「手を抜き始めると、女子力は右肩下がりどころか、崖から転げ落ちていくよ」
サトコ
「た、確かに···」
(鳴子だって忙しいはずなのに、髪もメイクも爪さえも綺麗!)
(仕事を言い訳にしてたらダメなのか···)
サトコ
「ふぅ···」
鳴子とのカフェからプチプラ美容グッズ購入ツアーになり、帰宅。
早速買って来たばかりの極潤パックをしながら観るのは、
配信されている『パシフィック8』という映画。
(すごい···スパイやらエージェントやらの格好いい女性祭り!)
テレビ
『出来る女ほど、美しいものよ···』
サトコ
「!」
(そういうこと!仕事も女も両立して当たり前!これが出来る女!)
サトコ
「オシャレに時間を使うのは、もっと刑事として安定してからって思ってたけど」
「むしろ反対なのかもしれない···!」
仕事にいい影響を与えるために、自分を磨く。
まず私が頑張るべきなのはー-
to be continued