定例の班長会議。
このところどこも順調に捜査は進んでいるので、秀樹くんも兵吾くんもあっさり報告を終える。
津軽
「ね、何で2人とも俺が用意したお茶請け手を付けてないワケ?」
石神
「ああ、気付かなかった」
加賀
「そんなもんあったか」
津軽
「お茶だけカラにしておいて、よくそーいうこと言えるね」
「ほんとはそれ、用意したのウサなのに」
石神
「······」
加賀
「チッ」
津軽
「······」
(ウサが用意したって言ったら、ポケットに入れて持ち帰るわけ?)
津軽
「ウソ」
石神
「······」
加賀
「チッ!」
津軽
「ちょ!お菓子投げつけないでよ!俺の大阪土産だよ!?」
両手でキャッチしたそれをポケットの中にしまう。
津軽
「誰が用意したかで差別するって、ひどくない?お菓子に非はないのに」
石神
「相変わらず、氷川にもそんな態度なのか」
加賀
「問題ねぇって報告、嘘だろ」
津軽
「ウソじゃないって。本人に直接聞いてみたら?」
「セクハラもありませんってハッキリ答えるから」
石神
「······」
加賀
「······」
津軽
「2人とも、疑いを少しは隠したら?公安刑事でしょ」
(今の俺たちは恋人同士だからね)
(セクハラなんてものは、もはや存在しようがないのだよ)
加賀
「なんつーか、ぶん殴りたくなるツラだな」
石神
「同感だ」
津軽
「コワっ」
「いくら俺の顔がいいからって嫉妬しないでよね」
(ほんとはサトコが俺の班にいることが気に入らないんだよな)
(だけど残念。ウサは津軽班で活躍してるんだよ)
津軽
「そうそう、さっき言い忘れたけど」
「氷川のこと、育ててくれてありがとね」
「最初はダメダメかと思ったけど、思ったよりも使えるようになってるよ」
「公安学校もそこそこ意味があったのかもね」
石神
「加賀」
加賀
「ああ」
津軽
「···剣呑な空気で意見が一致した顔するのやめてくんない?」
「君たち、時々俺だけのけ者みたいにするよね~」
「そういうの班員にも伝染するからね?」
(ちょっと前までは公安学校時代のことは聞くだけで面白くなかったけど)
(今は何だろ。逆手にとって秀樹くんと兵吾くんをからかうのが面白いな)
この余裕がどこから出ているのか···は、言うまでもない。
サトコ
「失礼します!津軽さん、百瀬さんが呼んでます!」
津軽
「はいはい」
「じゃ、“ うちの子 ” がお迎えに来たから、お先に」
石神
「······」
加賀
「······」
2人の刺すような視線さえ心地いい。
ウサは俺のもの(恋人)だって言えてる気がするから。
Happy End