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ボーイズトーク 颯馬

~腹黒男子のヘアケア事情~

【トイレ】

穏やかな昼下がりの男子トイレにて‥
颯馬が手を洗おうと中に入ると、真剣な表情で髪型を整えている東雲と鏡越しで目が合う。

東雲
あ‥お疲れ様です

颯馬
お疲れ様
‥‥‥

(何が気にくわないのだろうか‥?)

同じ箇所を一生懸命直す東雲が気になり、その様子を眺める。

東雲
‥なんですか?

颯馬
いいえ。そんなに真剣になって、どこが気になるのかと思いまして

東雲
別に‥。外で訓練だったんでセットし直しているだけです

颯馬
フフ、歩の髪はいつもサラサラでいいですね

(そのキノコヘアを保つのも大変そうだな‥)

東雲
まあ、ヘアケアはそれなりにやってるので

(ロン毛の手入れって面倒臭そう‥)

颯馬
やはり、毎日のトリートメントは欠かせないんですか?

東雲
いえ。毎日はしないです
オレの髪質の場合、2日に1回のトリートメントと週に1回のヘアパックですかね

颯馬
なるほど。勉強になります
そういえば、歩からためにユーカリの香りがしますけど髪からですか?

東雲
ああ‥それ、アロマだと思います
颯馬さんはなんか、甘いですよね‥香りが

颯馬
そうですね。コレが私に合うみたいなので

【デパート】

サトコ
「この香り、颯馬さんのイメージに合いますね」

颯馬
そうですか?男性がつけるには少し香りが強い気もしますが‥

サトコ
「あ!でも、実際に洗い流した後はそこまで香りは強くないみたいですよ。ここに書いてあります」
「私はこの香り、颯馬さんらしくて好きです」

颯馬
そうですか?なら、これからトリートメントはコレにしよう
お泊りの時は、貴女の髪からもこの香りがしますね

愉しげに笑いながら、颯馬はサトコの髪を手ですくいキスを落とした。

サトコ
「そ、颯馬さん!店員さんが見てます!」

颯馬
俺は別に、見られても構わないけど‥?

さらに追い打ちをかけるかのように、
サトコの耳元で囁くとサトコの顔が真っ赤に染まっていった。

【トイレ】

恥ずかしそうに顔を背けたサトコを思い出し、クスッと笑う颯馬。

颯馬
歩はヘアケア用品にもこだわって、特別なモノを使っていそうですね

東雲
行きつけの美容院から取り寄せてもらってます
‥それより颯馬さん、お時間平気なんですか?

颯馬
フフ‥すみません。最近の子はみんなお洒落な髪型なので気になっていたんです
ほら、最近人気の‥るぅちぇるとか、変わった髪型じゃないですか

東雲
ああ、透が言ってたやつか。理解できないですけど‥

颯馬
そうなんですか?

東雲
どういう意味ですか?

颯馬
いいえ。何でもないです

(俺には二人とも似たような髪型に思えたが‥)

東雲
オレも‥颯馬さんみたいに伸ばしてみようかな

(絶対ありえないけど)

颯馬
おや?奇遇ですね‥
私も歩みたいな個性的な髪型にしてみようかと思ったところです

(絶対に似合わないから、やらないけれど)

鏡越しに満面の笑みで会話する二人の後ろには、とてつもなく黒いオーラが漂っている。

東雲
そろそろ行った方がいいんじゃないですか?颯馬さん

颯馬
歩がいつもの素敵な髪型に戻ったみたいですし、そろそろ行きましょうか
誰もなかなかトイレに入って来れなかったみたいですから‥

東雲
そうですね。立ち聞きされるのって嫌いだし

【廊下】

二人がトイレのドアを開けると、顔を引きつらせ笑う黒澤が廊下に立っていた。

黒澤
ご、ごきげんよう★

東雲
バレてるから

颯馬
まだまだ公安として自覚が足りてないんじゃないですか?黒澤

黒澤
いやぁ~お二人があまりに仲良さそうに話していたのでお邪魔したら悪いかと思いまして‥
ははははは

東雲
へぇ‥言い訳するんだ?

颯馬
教育が足りないみたいですね

黒澤
だ、大丈夫です!充分すぎるくらいです!!
あ!そういえば石神さんに呼ばれているんでした。失礼しま~す

笑顔とは正反対のどす黒いオーラを放つ二人から逃れるように、走り去っていく黒澤だった。

Happy  End

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