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コラボ 加賀 3話

【部屋】

(あれ‥?加賀さん‥)

目を覚ますと、加賀さんの腕の中にいた。

(温かいなぁ‥)

愛しい人の温もりに包まれながら、視線を上に向けると‥

サトコ

「!?」

(あ、赤色のパンツ‥)

パンツが目に留まった瞬間、昨日の記憶が一気に蘇る。

(うぅ‥まさか、パンツを履かされてあんなことをさせられるなんて‥)

(穴があったら、入りたい‥!)

加賀

ん‥

布団を握ると、加賀さんが薄っすらと目を開ける。

加賀

フッ‥まだ足りねぇのか

サトコ

「た、足りてます!充分足りてます!」

加賀

昨日、あんだけ可愛がってやったってのに‥

サトコ

「ん‥」

いつもより優しく唇を塞がれると、加賀さんは再び瞼を閉じる。

加賀

‥あと少し、寝かせろ

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(疲れているのかな?もう寝息が聞こえてくる‥)

(最近、特に忙しそうだったもんね)

サトコ

「‥お疲れさまです」

(今日は加賀さんを、たくさんおもてなししよう!)

【廊下】

散歩に出るため、廊下を歩いていると‥

そら

「あっ、サトコちゃん!」

野村

「やっほ~」

サトコ

「!!」

野村

「ハハ、安心してよ。もう呼ばないからさ」

(ふぅ‥よかった、安心した‥)

サトコ

「皆さん、朝早いんですね」

「ああ。これから観光に出かけるからな」

サトコ

「こんなに早くからですか?」

八千草

「なんたって京都は広いからね。どれだけ時間があったって足りないくらいだよ」

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桐沢

「お前ら、そろそろ行くぞ」

桂木

「俺たちも、出るか」

「そうですね」

「じゃあな、氷川」

私は二課とSPの皆さんを、ロビーまで見送った。

【部屋】

サトコ

「あっ、起きてたんですね」

部屋に戻ると、加賀さんが座椅子に座りながらお茶を飲んでいた。

サトコ

「皆さん、観光に行かれましたよ」

加賀

やっと行ったか‥

あくびを噛み殺しながら立ち上がると、私の手を引く。

加賀

行くぞ

サトコ

「行くって、どこにですか?」

加賀

貸切風呂に決まってんだろ

サトコ

「こ、これからですか!?」

(そんな‥もし入ったら、今日一日動けなくなっちゃう!)

(って、なに期待したんの私!)

サトコ

「ダメです!」

加賀

ああ゛?

サトコ

「今日は行くところがあるんです!」

加賀

へぇ‥主人に逆らうとは、いい度胸じゃねぇか

サトコ

「ひいっ!」

(こ、怖っ!でも、ここで諦めるわけには‥)

サトコ

「い、いくら凄んでも無駄ですよ!ほら、早く着替えてください!」

「きなこの餅アイスも、わらび餅パフェも食べられなくなっちゃいますよ?」

加賀

‥‥‥チッ

なんとか加賀さんを納得させて、私たちは旅館を後にした。

【和室】

店員

「おまたせいたしました」

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今日は和スイーツ店巡りで加賀さんをおもてなしする予定だ。

ということで、町屋カフェに入った私たちは人気のきなこアイスを注文する。

サトコ

「わぁ、美味しそうですね。いただきます!」

アイスを口にすると、きなこの香ばしさが口の中いっぱいに広がった。

(んん、美味しい‥!)

サトコ

「加賀さん、どうですか?」

加賀

餅にアイスときなこなんて邪道だと思ったが‥悪くねぇ

きなこの風味が活きてる。滑らかで美味い

(気に入ってくれたのかな?いつもより、表情が柔らかい気がする)

小さな和スイーツを素直に食べる加賀さんは、普段の姿からはとても想像がつかなくて‥

(なんだか、可愛いかも)

加賀

ああ゛?もういっぺん言ってみろ

サトコ

「い、言ってません!何も言ってません!」

加賀

チッ‥

(読まれた!?もし口が滑ったら、アイアンクローコース確定だよね)

(間違っても『可愛い』なんて言えない‥)

そして、次にやってきたのは老舗のおはぎやさん。

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加賀

ここのあんこは上質だな

甘すぎねぇし、あんこの良さが引き立っている

加賀さんは言葉少なに食レポしながら、おはぎを口にしていた。

(加賀さんって、甘いものが本当に好きなんだな‥)

頬が緩むのを感じていると‥

サトコ

「あっ、口元にあんこがついてますよ」

手を伸ばして、加賀さんの口元のあんこを指で取る。

サトコ

「‥はい、取れました」

加賀

ああ

短く返事をしながら、再びおはぎを食べる加賀さん。

(朝もどこか甘えているみたいに見えたし‥今日の加賀さんって、いつもより雰囲気が柔らかいな)

(‥時々見せる鬼の形相は、健在だけど)

加賀

テメェ‥だらしねぇツラしてんじゃねぇ

調子に乗ってられんのも、今のうちだからな

サトコ

「っ‥!」

(ゆ、指を舐められた‥!)

加賀

フッ‥これで済むと思うなよ?

(これ以上のことをされるってこと‥!?)

???

「ふふふ‥」

突然、笑い声が聞こえて隣を見ると、ご年配の夫婦がいた。

おばあさん

「仲が良いのねぇ」

おじいさん

「ああ、若いっていいな」

サトコ

「い、いや‥その‥すみません」

加賀

‥行くぞ

サトコ

「は、はい!」

今のやり取りを聞かれていたかと思うと、一気に恥ずかしさが込み上げる。

おじいさんとおばあさんに優しく見守られながら、私たちはお店を後にした。

そして、和スイーツ巡り竿語を締めくくるのは、日本庭園でスイーツが食べられるお店だった。

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わらびもちパフェを食べ、抹茶を飲みながら一息つく。

加賀

‥落ち着くな

(加賀さんがこんなこと言うなんて‥珍しいな)

(それだけ、満喫してくれてるってことだよね)

慌ただしい毎日からかけ離れた、静かな空間。

私たちは滅多に訪れない優しい時間を、心行くまで堪能した。

【清水寺】

サトコ

「綺麗‥」

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旅館に戻る前に、夜の清水寺を訪れる。

ライトアップされた紅葉と清水寺が、どこか幻想的な姿を見せていた。

サトコ

「やっぱり、秋の京都は紅葉ですよね」

「紅葉って、癒し効果もあるらしいですよ」

紅葉を見上げながら、歩みを進める。

サトコ

「あっ‥」

(段差につまずいちゃった‥)

加賀

っ‥

危ねぇだろが。ちゃんと前見て歩け

サトコ

「す、すみません」

私の手を、大きな手が包み込む。

加賀

駄犬のリード代わりだ‥離すんじゃねぇぞ

手を引かれて歩いていると、すぐ横を子どもがはしゃぎながら走り去っていった。

加賀さんは、さりげなくぶつからないように避けてくれる。

加賀

たまには、こうしてゆっくり出掛けんのも‥いいな

紅葉を見上げ、ぼそりと呟く加賀さん。

触れる肩口からは、加賀さんの温もりが伝わってくる。

(口は悪いけど‥やっぱり、加賀さんって優しいな)

(今日改めて、加賀さんから愛されてるって実感した気がする‥)

サトコ

「はい‥」

私は加賀さんに、こつんと寄りかかる。

(こんな時間がずっと続けばいいのにな‥)

加賀

‥知ってるか?紅葉の色は、欲を増進させるってな

サトコ

「えっ!?」

(せっかく、いい雰囲気だったのに‥)

(その意味ありげな微笑みは‥なに!?)

加賀

駄犬のくせに、散々焦らしてくれたからな

今日はたっぷり可愛がってやる‥覚悟しとけ

【温泉】

サトコ

「‥‥‥」

加賀

テメェ‥

(に、睨まれてる‥すっごく、睨まれてる!)

(でも、やっぱり恥ずかしいし‥)

加賀さんから少し離れてお風呂に入ると、鋭い視線が突き刺さる。

加賀

ここに来ても焦らすつもりか?

サトコ

「め、滅相もございません!」

加賀

駄犬が主人に牙を向けるとはな‥そんなに仕置きされてぇか

サトコ

「わわっ‥」

強引に引き寄せられ、そのまま腰に腕を回された。

何も纏っていない肌が密着し、頬に熱が上がっていく。

加賀

駄犬のクセに余計なことを覚えやがって‥

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サトコ

「んっ‥」

噛みつくように、唇が塞がれる。

乱暴だけど‥どこか温かみが感じられるキスは、加賀さんが満足するまで続けられた。

サトコ

「はぁ‥」

息もできないくらいの激しいキスを受け、耐え切れなくなった私は、加賀さんにもたれかかる。

加賀

風呂なんて、この間も入ってんだろ

サトコ

「何回入っても、緊張しますから‥!」

加賀

フッ‥テメェにはまだ、躾が必要だな

サトコ

「っ‥!」

加賀さんの意地悪な笑みに、ドキリと心臓が波打つ。

(加賀さんにはまだまだ、逆らえそうにないな‥)

(それに‥)

嫌かと聞かれると、決してそういうわけではなくて‥

加賀

今度また、お預けしてみろ‥

ただじゃおかねぇ

触れるだけの優しいキスをされ、言葉を飲み込む。

(まだまだじゃなくって、加賀さんには一生敵わないかも‥)

サトコ

「あっ‥!」

加賀

うるせぇ

サトコ

「そういえば清水寺に行ったとき、地主神社に行くの忘れちゃいました」

加賀

は?

サトコ

「清水寺の傍にある、縁結びで有名な神社です。人気スポットなんですよ?」

加賀

あの人だかりが出来てたところか。くだらねぇ

加賀さんは呆れながらも、少し何かを考えて口を開く。

加賀

まぁ、明日なら行ってやってもいい

サトコ

「え、いいんですか?‥でも、やっぱりいいです」

加賀

ああ゛?

サトコ

「だって私‥もう加賀さんと充分、結ばれてますから」

満面の笑みを浮かべると、加賀さんは苦笑いしながら私の頭に手を伸ばす。

加賀

‥駄犬が、生意気に

そう言いながらも、頭を撫でる手は優しくて‥

嬉しさが込み上げて目を細めると、どちらともなく顔を近付ける。

サトコ

「ん‥」

そして月明かりに見守られながら、私たちはもう一度唇を重ねた。

Happy  End

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