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誘惑ランジェリー 後藤 カレ目線




【後藤マンション 寝室】

久しぶりに仕事が終わり、サトコと共に家に帰った。
ゆっくり休める夜のはずが‥

後藤
······

サトコ
「······」

(まだ起きてるか···?)

腕の中にサトコの温もりを抱いていると愛しさが募る。
髪に顔を寄せると、ふわっとシャンプーのいい香りがした。

(本来なら、こういう日は休ませてやらなきゃいけないんだが···)

教官としての顔と恋人としての顔がせめぎ合い、決着は意外なほど早くつく。

(サトコのことになると、俺は意志が弱い)

後藤
もう眠いか?

サトコ
「いえ···後藤さんとこうしていると気持ちいいなって思ってました」

後藤
···俺は足りない

サトコ
「え···」

サトコの答えを待たずに、彼女を引き上げると唇を重ねてしまう。

後藤
もう少し起きてられるか?

サトコ
「は、はい···」

(こんなふうに聞くのはズルいよな)

そう思っても、彼女を求める手を止めるとこはできない。

サトコ
「後藤さんの腕の中で寝るのも好きですけど」
「抱きしめらるのは、もっと好きです」

後藤
サトコ···

(アンタがそうやって俺を甘やかすから)

言い訳にもほどがあると思いながら、彼女の言葉に甘えてシャツのボタンを外す。
素肌に触れながら背中に手を回すと···

パチッ!

(ん···?)

聞き慣れない音に手を止める。

(何だ?これは···)

手だけで確認して、下着のホックらしきものがとれているのが分かった。

(壊した···のか?)

後藤
······

サトコ
「あ、あの···」

動きが止まった俺にサトコが怪訝そうな様子を見せる。

サトコ
「後藤さん?」

後藤
···悪い、壊れた

サトコ
「え?何が?」

後藤
アンタの下着だ

サトコ
「!」

(この状況で何をやってるんだ、俺は···)

サトコ
「すみません···生地が弱っていたのかもしれません」

後藤
いや、俺がもっと丁寧に扱っていれば···

サトコ
「そ、そんなことないですよ!下着は消耗品ですから!」

笑顔でフォローしてくれるサトコに余計に失態を申し訳なく思い、俺は嘆息した。


【駅ビル】

それから数日後の夜。
仕事が終わり、泊まりに来るサトコと共に駅ビルに行くと彼女が不意に足を止めた。

サトコ
「あの、買い物···」

後藤
何か欲しいものがあるのか?

サトコ
「あれを···」

後藤

サトコの視線の先にあるのは、色鮮やかな下着が飾られた店。
実はこの店の前で立ち止まるのは初めてではない。

(これは‥この店に入る運命なのか···?)

この店の前で最初に立ち止まったのは、サトコの下着を壊した翌日のことーー

【ランジェリーショップ】

(俺が壊したのなら、俺が新しいものを贈るのが道理だよな)

仕事帰りに立ち寄ろうと思ったのは女性の下着が売っている店。
店を探し、その前まで来たが···当然、すぐに入ることはできない。

(男が女性の下着売り場に行ったら通報···はされないよな)
(せいぜい不審者として···いや、その前にろくに店内を見られないのに選べるのか?)

背中と手に嫌な汗をかく。

(俺には無理か?···だが俺には責任がある。周囲の目など、いつもはろくに気にしていないんだ)
(ここは腹をくくって···)

入るしかないーーと覚悟を決め、一歩店内に足を踏み入れると。

女性A
「ね、あの人···この店に入るの?」

女性B
「わ、イケメン!彼女へのプレゼントじゃない?」

女性C
「どんな下着選ぶんだろうね?」

後藤
······

周囲の女性の注目が一身に集まるのを感じる。

(これは···ダメだ)

己の意気地のなさを痛感しながら、日を改めよう···と、そのまま踵を返した。


【駅ビル】

サトコ
「い、一緒に買いに行きませんか?」

後藤
······

サトコ
「なんて、はは···っ」

後藤
俺は···

(日を改めると言いながら、あれから来ていない)
(サトコが一緒に入ってくれるのは願ったり叶ったりのこと)
(ここで逃げることは出来ない)

後藤
···いや、俺の責任だからな

サトコ
「え?」

後藤
行こう

サトコ
「ええっ!?」

今日こそ目的を達成しようと、俺はサトコの手を引き下着屋へと足を踏み入れた。

【ランジェリーショップ】

いっそのこと潜入捜査だったら割り切れたかもしれない。
どこを見てもカラフルな下着ばかりで、先日と同じように嫌な汗が滲むのを感じる。

(くそ···目のやり場に困る)

サトコ
「ご、後藤さん、大丈夫ですか···?」

後藤
問題ない

俺の挙動が心配になったのか、サトコが気遣うような声を掛けてきた。

(これ以上、サトコに気を遣わせてどうする。今度こそ腹をくくれ)

目を閉じ精神統一してから目を開けると、今度は比較的冷静に周囲を確認することが出来た。

女性A
「ねえ、これとかどうかな?」

男性A
「こっちの方がいいんじゃないか?」

(男もいるのか···)

俺たちの他にもカップルで買い物に来ている人がいて、わずかに胸を撫で下ろす。

(とはいえ、居心地が悪いのに変わりはないが···)

サトコ
「あ、あの、後藤さんは···その、どんなのが好きですか?」

後藤
何がだ?

サトコ
「だから、その···下着の好みというか···」

後藤
ああ、そうだよな···

(この状況で話題にするなら、ひとつしかないだろうが)

どうも思考が散漫でいけないと小さく息をついて呼吸を整える。

後藤
アンタが着けるなら、何でも···

サトコ
「そ、そうですか?その、何か···可愛い方がいいとか、大人っぽい方がいいとか···」

後藤
···どっちも似合うと思う

サトコ
「じゃあ、その色とかは···」

後藤
色か···

やっとのことで周りを見られるようになると、目に入ったのは濃いブルーの下着。

後藤
青···

サトコ
「え?」

(俺が適当に服を選ぶと、あの手の色が多いよな)

サトコ
「青···ですね。ええと、何着か選んで合わせてきてもいいですか?」

後藤
ん?ああ···

サトコが自分で何着か選んだようで、少しホッとする。

(細かく好みを聞かれてもな···答えられるものなら答えたいが)
(こういう話は、どうも苦手だ)


【試着室】

思えば下着の好みなど考えたことがない。
とはいえ俺も男···様々なことから分析すれば好みはあるのだろうが···
それをサトコに知られるのは出来るだけ避けたい。

(待っている時間を長く感じるが、実際は大して経っていないんだろうな)

試着室の前にいたのは、どれくらいの時間だろうか。
やがてドアを開けてサトコが出てくる。

サトコ
「お待たせしました」

後藤
···決まったのか?

サトコ
「はい」

合わせた中に気に入ったものがあったようで、サトコは小さく頷く。

後藤
じゃあ、それを包んでもらってくれ。俺が払う

サトコ
「いえ!私が···」

後藤
俺が壊したようなものなんだ。新しいのを贈らせてくれ

サトコの顔も赤いが、おそらく俺の顔も似たようなものだろう。
二人でチラチラと視線を合わせては逸らせる姿は、
周囲から見れば見られたものじゃないかもしれない。

サトコ
「それじゃあ···ありがとうございます」

後藤
気にするな

選んだ下着をレジに持っていく姿はさすがに見られず、俺は遠くに視線を投げる。
無事に会計が終わると、俺たちは大きな任務を果たした時のように同時に深いため息を吐いた。

【後藤マンション 寝室】

そしてサトコが新しい下着を着けて風呂から上がってきた夜。

(いつもは意識しないが、どうしても今日は···)

サトコが着けている下着に意識がいってしまう。
白シャツから透けそうなそれを見つめそうになり、慌てて視線を逸らした。

(もうそんなことでドギマギするような歳でもないだろう)

そう思いながらサトコの唇を塞ぎ、シャツの下に手を忍ばせ···

(今度は壊さないようにしなければ)

下着に触れると、これを買った時のことが自然と思い出される。

後藤
そういえば、色々試したみたいだが···何を選んだんだ?

サトコ
「!」

頭に浮かんだ疑問をそのまま口にすると、サトコが一瞬目を見開いた。

(しまった···デリカシーに欠ける質問だったか?)
(今ならまだフォローが···)

出来るだろうかと口を開いたものの、すぐに言葉が出て来ない。

(くっ···日頃口下手だと揶揄されるが、これでは反論ができたものじゃない)

顔を真っ赤にするサトコに申し訳なさを感じていると、彼女は俺の耳に唇を寄せてきた。
耳たぶにかかる吐息がくすぐったい。

サトコ
「···青いのです」

後藤

(青···?)

サトコ
「その、好きって言ってたので···」

後藤
······

(青い下着が好きって言ったか?)

正直、あの店内で過ごした時間を思い出すことは難しく、何となく言ったような気もしてくる。

(青い下着を···俺の好みを汲んでくれたのか)

込み上げる愛しさに衝動が抑えられない。
彼女の両手をシーツに縫い止めると、そのままベッドに押し倒した。

サトコ
「んっ···っ」

後藤
······

(きっと締まりのない顔をしているんだろう)
(サトコに顔を見せられないのは俺の方だ)

サトコ
「後藤っ···さん···?」

後藤
明かりを消した方がいいのは、俺かもな

サトコ
「え?」

後藤
余裕のない顔、してるだろ

視線を合わせられずに顔を背けると、反対にサトコはこちらを見つめてくる。
いっそのこと笑い飛ばしてくれればと思うのに。

サトコ
「私の好きな後藤さんです···」

後藤
アンタ···

(どうしてそう、このタイミングでアンタは···)

後藤
あんまり俺を追いこむな
今のアンタに、そんなことを言われたら···歯止めがきかなくなる

急く手でシャツのボタンを外すと、サトコの白い肌が眩しい。
その肌を際立たせるような濃いブルーの下着が妙に扇情的だ。

後藤
これは···

手を滑らせ、下着に触れると腰骨の上のところでリボンに触れた。

サトコ
「え?あ···な、なんか可愛かったので···たまには、いいかなって···」

リボンを解くだけの下着。
手を止めて思わず見つめると、サトコが恥ずかしそうに身を捩った。

サトコ
「そ、そんなに見られると、その···」

後藤
···学校に着けて行くのは禁止だ

サトコ
「え?」

(こんな下着危険すぎる。万が一、このリボンが解けたらどうするんだ?」

軽く指で引っ張るだけで、サラッと解けるリボン。
光沢のある生地が照明を弾くと、カッと身体に火を点けられた気がした。

(下着なんて興味ないと思ってたが···それも所詮、思い込みか)
(サトコの前じゃ、本当にただの男だな)

後藤
明日、辛かったら悪い

サトコ
「ええ!?んっ···」

鮮やかな青とサトコの白い肌のコントラストに目を奪われて。
結局、そのまま彼女を掻き抱いた。

Happy  End



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